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アジアに学校建設を 札幌出身バイオリニスト西本さんら 札幌でチャリティー演奏会

2020-12-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 12/27 21:02 更新
 教育環境が整っていないアジアの国々に小学校建設資金を寄付するチャリティーコンサートが27日、札幌市民交流プラザで開かれた。札幌出身で仙台フィルハーモニー管弦楽団などでコンサートマスターを務めるバイオリニスト西本幸弘さんら7人が美しい音色で聴衆を魅了した。
 旭川市江丹別地区を拠点に大人の学び場として有志が開校した「熱中小学校江丹別分校」ボランティア部主催。西本さんと、アイヌ民族でトンコリ奏者のToyToy(トイトイ)さんの合同演奏もあり、会場から大きな拍手が送られた。
 収益金はNPO法人AEFAアジア教育友好協会(東京)に寄付される。また同校のホームページで来月11日までコンサート映像を配信し、寄付も受け付ける。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/496343

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歴史あるチーム名を変更へ 「誇りに思う」と監督

2020-12-28 | アイヌ民族関連
産経新聞 2020.12.26 12:27

 先住民のかぶり物を身に着け応援するインディアンスのファン=2016年11月、クリーブランド(ゲッティ=共同)
 米大リーグで100年以上の歴史を持つインディアンスの名称が消えようとしている。先住民を意味するチーム名は差別的という面から問題視されており、早ければ2022年に変更することがこのほど決まった。
 「正しいことを行おうとする球団を誇りに思う」とメジャー公式サイトに語ったのはフランコナ監督だ。かねて批判を浴びながらも球団は変更を見送ってきたが、人種差別撤廃の動きの高まりを受け、今年7月には名称の扱いを議論していると公表。19年から「先住民族の長」をあしらったロゴの使用を取りやめたのに続く決断となった。
 新たな名称は未定。フランコナ監督は「われわれはファーストネーム、つまり(本拠を置く地名の)クリーブランドに誇りを持っている」と、変わらない愛着を示した。(共同)
https://www.sankei.com/photo/story/news/201226/sty2012260002-n1.html

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ニッケル工場売却 ストや道路封鎖も 80年代の独立運動ほうふつ【ニューカレドニア】

2020-12-28 | 先住民族関連
琉球新報 2020/12/27 14:04
 12月初旬、ニューカレドニア南部にあるブラジルの大手鉄鋼会社ヴァレが所有する、ニッケル精錬工場の売却に関する会議が行われた。売り手と買い手、当局代表、議会代表、ニューカレドニア独立派の「南部工場国営推進化グループ」など関係者が参加したが、売却内容の合意後に解釈の違いが明らかになった。合意は覆され、売却先が変更された。交渉は決裂し、同グループがストライキを予告した。
 1864年にニッケル鉱石が発見されて以来、ニューカレドニアは世界的なニッケル生産地となった。2016年時点のニッケル鉱石生産量は世界第5位、埋蔵量は第4位(670万トン)と言われている。ニッケル産業はニューカレドニアの基幹産業で、太平洋屈指の高い生活レベルもニッケルのおかげだ。
 北部に建設された工場に対して、南部には最新の技術を持つ世界屈指の工場がある。しかし技術的な問題で開業時から工場がフル操業できていない。南部工場で働く人は約3千人。ニューカレドニアでは多くの人が何らかの形でニッケル産業と関係を持つ。
 12月7日、ヌメア市民は街を封鎖するバリケードや、燃え上がるタイヤの前で暴徒化する独立派の姿を目にした。封鎖されたのは首都・ヌメアだけではなく、ニューカレドニア全土の主要道路に及んだ。同日の夜、工場の新たな買い手となっていた、韓国の鉄鋼会社Korea Zincが辞退したため、南部工場国営推進化グループのストライキが激化した。道路の封鎖が続き、操業鉱山12カ所のうち9カ所が混乱に陥り、市民生活がまひした。
 この状況を見た市民が思い起こしたのが、80年代の独立騒動だった。工場売買に関するストライキは独立問題を巻き込み、ストライキの限界を超えた。独立派は軍隊の警備を突破して南部工場に入り、一部を放火した。独立派の一部は暴走して、先住民族議会の説得にも耳を貸さなかった。
 憤激する市民は各地で行動を起こした。道路を封鎖する独立派の反対側で、フランス国旗を掲げて居座る市民もいた。ヌメア以外でも、市民を集めて本国の介入を求める市長などの姿が見られた。
 12月10日の新聞にはヌメア市長のソニア・ラガルド氏が1面広告で、クリスマスの行事を取りやめるという厳しい選択を伝達した。被害者の救済と安全確保のためだ。ニューカレドニアの12月は夏休みの始まりで、クリスマスの時期でもある。例年なら街が活気にあふれる季節だ。今年は新型コロナウイルスの影響で、どこも行けない閉塞(へいそく)感がある上に、不穏な空気が国を覆っている。
 (山田由美子ニューカレドニア通信員)
https://news.goo.ne.jp/article/ryukyu/region/ryukyu-20201227140403.html


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2020年、ポジティブな気候変動関連ニュースBEST5

2020-12-28 | 先住民族関連
ギズモード 2020/12/27 11:00
どうやら今年はなにもかもが悪いわけではなかったようです。
誤解しないでくださいね。2020年はひどい年でした。新型コロナウイルスは世界中で過去に類を見ない悲劇を引き起こし、環境問題によって搾取されているコミュニティを最も苦しめました。それはまた、貧困や気候災害のような、他のあらゆる危機と連動していました。石油産業は破綻しましたが、株主の利益を守りながら多くの労働者を解雇したため、それさえも祝うに値しません。
しかし、私たちの地球の未来にとって希望の光もありました。気候変動ムーブメントはいくつかの大きな勝利を収め、汚染者はいくつかの大きな敗北を喫しました。ここでは2020年に地球にとって最大となった5つの勝利を紹介します。
1. 再生可能エネルギーブーム
エネルギー産業は新型コロナウイルスによるロックダウンをきっかけに急落した燃料需要の急落で大打撃を受けましたが、再生可能エネルギーは立ち直りの早さを証明しました。 IEA(国際エネルギー機関)の報告書によると、2020年に設置される新しい電力インフラの90%近くが再生可能エネルギーで、2020年末までに世界で再生可能エネルギー容量が7%増加するのだとか。
世界的に見ると、2020年は洋上風力にとって特に素晴らしい年でした。ブルームバーグNEFの分析によると、投資家は2020年上半期に350億ドル(約3兆6000億円)を新規洋上風力プロジェクトに注ぎ込んだそうです。この額は、2019年の同時期と比べて300%以上もアップしています。投資家やるじゃん。そして、アメリカでは太陽光発電が急成長しています。 近頃発表された業界団体の調査によると、太陽光発電の導入は年末までに43%増加すると予想されており、業界アナリストによる新型コロナ流行前の予測とほぼ同じペースで推移しています。パンデミックの影響がなければ、もっと増えていたのかもしれませんね。
そして再生可能エネルギーはまだまだ成長を続けるようです。ブルームバーグのアナリストは、2024年までに世界で1,123ギガワットの風力発電と太陽光発電が導入されると予想しています。この数字は、現在のアメリカの発電容量を上回っているとのこと。さらに、新しい種類の再生可能エネルギーも導入されようとしています。5月には、オハイオ州議会が北米初になる淡水洋上風力発電所の建設法案を可決しました。建設は容易ではないようですが、もしも建設されれば、7,000軒の家庭に電力を供給するのに十分な20.7メガワットのエネルギーを発電できるそうです。実現できれば、他の地域でも実践可能な前例になりそうですね。
これらはすべて、脱化石燃料がすでに起こっていることを示していますが、だからといって市場任せにしてはいけません。むしろ世界の指導者たちは、クリーンな電力にさらに多くの資金を投入し、化石燃料の使用を禁止して、より迅速かつ公正な方法で移行できるようにすべきです。私たちは移行の際に最も過酷な影響を受ける労働者や脆弱なコミュニティを守るために、新しいエネルギーが人々と地球のために持続可能な方法で生産されていることを確認する必要があります。まだまだやるべきことはたくさんありますが、ちょっとだけ立ち止まって進歩をお祝いしましょう。
2. ダコタ・アクセス・パイプライン建設操業停止命令
今年の夏、気候変動活動家たちは何年も続いた闘いに勝利しました。ワシントンD.C.特別地区連邦地方裁判所の判事が、ダコタ・アクセス・パイプラインの操業停止を命じました。連邦地裁は、米陸軍工兵隊が同パイプラインの建設主体であるエナジー・トランスファー・パートナーズに与えた連邦認可は国家環境政策法に違反しているため、廃棄されるべきと判断しました。
この命令は、4年前に米先住民のスタンディング・ロック・スー族が居留地付近を通るパイプライン建設に対して大規模な抗議活動を行なった際の訴訟に対する判断でした。この訴訟でスタンディングロック・スー族の指導者は、彼らの主要な水源である川の地下を通る石油パイプラインが、飲み水や魚釣り、伝統的な儀式に使われる水を汚染すると主張していました。彼らが「水は命(Water is life)」と話していたのを覚えています。
ありとあらゆる手段でパイプラインを存続させようとする化石燃料産業と、それを支える米政府を相手取っての勝利は、特に心強いものになりました。水の守り人たち(彼らは自身たちを「Water protectors」と呼んでいます)が起こした2016年の抗議行動は、警察や軍、州兵による暴力と、民間の警備会社による軍事スタイルの監視を受けました。氷点下の中で抗議をする人たちに、警察がホースで大量の冷水を浴びせかけたこともありました。権力者たちは、この恐ろしいパイプライン建設プロジェクトの立ち上げと実行を心から望んでいて、そのために多大な時間を費やすのをためらわなかったのです。
スタンディングロック・スー族の闘いはまだ完全に終わったわけではありません。7月の判断はまだ上訴中のため、また覆される可能性もあります。また、抗議活動に参加した人々の中には、連邦政府に告発され、110年の懲役刑に処される可能性に直面している者もいます。当局は今すぐに彼らを赦免すべきであり、上訴を扱う裁判所は、公正な社会を作るための出発点として、パイプラインの廃棄命令を支持すべきです。
3. 気候変動リーダーたちが選挙に勝利
トランプ政権の終焉は、気候にとって確かに良いニュースではあります。ジョー・バイデン次期大統領は、大規模な気候変動対策計画を打ち出しましたが、汚染産業とつながりのある人物を政権移行チームの主要ポストに起用するなど、脱化石燃料を約束したわけではありません。それはさておき、もっとエキサイティングなのは、次の会期で連邦議会に足を踏み入れようとしているグリーン・ニューディーラーたちです。
大統領選と同時に行なわれた上下院選挙で、重要な気候変動リーダーたちが再選しました。その中には、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(以下AOC)とエド・マーキー上院議員が含まれています。ふたりは2019年に連名でグリーン・ニューディール決議案を提出しています。また、AOCと彼女と親しいイルハン・オマル下院議員、ラシダ・トレイブ下院議員、アヤンナ・プレスリー下院議員らは、斬新な気候変動政策を掲げています。11月に行なわれた選挙では、下院でグリーン・ニューディール決議案の共同提案者になった下院議員が93人立候補しましたが、落選したのはたった1人だけでした。グリーン・ニューディールへの世論の後押しを感じますね。
米連邦議会では、大規模で大胆な環境政策を支持する新しい顔も見られるでしょう。ニューヨークの下院選で当選したジャマール・ボウマン議員もそのひとりです。彼は、革新的なグリーン・ニューディールや気候正義を促進するための米国外交政策の抜本的な見直しを支持するなど、臆することなく進歩的な政策を掲げて出馬しました。もうひとりいます。コーリー・ブッシュ下院議員は、環境正義の強力な味方です。ここに挙げた以外にも、心強い勝利がいくつかありました。
これらの勝利は、長い間世論調査が示してきたことを反映しています。 大多数のアメリカ人が気候変動対策を支持しているという事実です。私たちが気候変動対策のために、そしてそれを推進する候補者のために闘う意思さえあれば、革新的な対策が実施される未来が待っています。
4. 主要銀行、北極圏の石油ガス掘削に投資せず
今月初めにバンク・オブ・アメリカが北極圏での石油・ガス掘削に投融資を行なわないと発表した時に、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティバンクに続いて、この種のコミットメントを行なう最後のアメリカの大手銀行になりました。北極圏での掘削事業を拡大しようとしている企業にとっては最悪のニュースですが、地球にとっては朗報ですよね。
バンク・オブ・アメリカの発表は、気候変動活動家らの長年にわたる圧力の成果といえます。昨年秋に環境保護団体の連合が気候危機へのウォール街の役割を問い詰める「ストップ・ザ・マネー・パイプライン(パイプラインへの資金提供をやめろ)」キャンペーンを立ち上げて以来、特にバンク・オブ・アメリカは強い批判を受けてきました。
この公約は原油価格の下落後に行なわれました。つまり銀行はいずれにせよ石油やガスから大きな利益を得られなくなりそうということを意味しています。活動家たちはまた、北極圏で新規リース契約を結ぶ企業と、融資する銀行を訴えるつもりだと話しています。そんなこともあって、バンク・オブ・アメリカが純粋に世のため人のためにこの発表をしたとは思えませんが、それでもこれは良いニュースであり、特に経済を味方につけた場合の圧力が有効であることを示しています。
繰り返しになりますが、やるべきことはまだまだあります。化石燃料会社が掘削を検討している場合、未公開株式投資会社のような小規模の金融機関に資金を求めることも可能ではあります。そういう金融機関は金利も高くて投資に対する利益の回収が早い傾向があるので、必ずしも安全な賭けとは言えないかもしれませんが、それでも可能性がないとは言い切れません。
環境保護団体や先住民族の人権団体は、北極圏での掘削を終わらせるために、銀行や資産運用会社、保険会社、さらには広報会社にまで汚染者との関係を終わらせるよう働きかける一方で、北極圏の新たなリース契約について連邦政府に提出する意見書を準備しているそうです。
5. 大きな変化を起こすにはまだ遅くない
気候危機と環境破壊が深刻化していることは科学的に明らかです。そして人間の行動、というかほぼほぼ権力側の行動が原因であることは明らかです。それでも変化を起こすのは今からでも遅くないことが、多くの調査結果から明らかになってきています。
11月に「二酸化炭素の排出をすぐに止めても、気候変動は取り返しがつかないところまできている」と主張する研究結果が発表されましたが、専門家はすぐに否定。研究は非科学的で、信頼されている気候モデルはその逆が事実であることを示していると指摘しました。
大規模なプラスチック汚染問題の解決もまた、今からでも遅くありません。確かに今、世界はこれからたった20年のうちに海に捨てられるプラスチックの量を3倍に増やす勢いです。しかし、同じ調査では、指導者たちがこの問題に真剣に取り組めば、その量を80%削減できることもわかっています。また、世界の指導者たちは、パリ協定のプラスチックバージョンのようなものを検討しており、準備ができていることを示していると言えます。パリ協定のように象徴的な意味合いしか持たないものにならなければいいのですが…。
大胆な行動をとれば、地球の生物多様性の危機を収束させることだってできます。世界自然保護基金が今年発表した報告書によると、1970年以降に世界の動植物の個体数が68%も減少しているのだとか。恐ろしすぎです。しかしながら、国連の研究者たちは、世界は生物多様性の目標を達成できていないものの、減少傾向を逆転させるような変革は可能だとしています。私たちは、生態系を回復させることも、生産性を高め被害を最小限に抑えるために食糧システムを再構築することも、植物を中心とした食生活に移行することも、ハチをはじめとする受粉者の個体数を増やすことも、化石燃料の使用をやめることもできるのです。というか、このような行動を実行しなければならないのです。
訳者は、バイデン次期大統領が気候変動対策を優先すると言っても、トランプ政権が覆したオバマ前大統領の環境政策をやり直す程度で終わるんじゃないかと思っていたのですが、先住民女性を内務長官に、黒人を環境保護局の長官に、大統領予備選で躍進したピート・ブーティジェッジ氏を運輸長官にそれぞれ指名するなど本気度を見せていて、2021年を迎えるにあたってそこそこ良いニュースかも、とちょっぴり期待しています。
https://news.goo.ne.jp/article/gizmodo/trend/gizmodo-226604.html

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ポートランドが生活習慣病患者に自転車を「処方」することを提案。健康促進と住民間格差への介入

2020-12-28 | 先住民族関連
アンプ 12/26(土) 6:01
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ソーシャルディスタンスを保てる移動手段として、世界中で自転車への関心が高まっている。コロナ禍のアメリカも例外ではなく、2020年6月には、アメリカにおける電動自転車販売台数が前年比190%を記録した。
通勤や気分転換のためのレクリエーションのほか、健康問題への介入手段として、行政も自転車利用のメリットに注目しはじめている。ポートランドが良い例だ。
薬よりも自転車。自転車のサブスクリプションサービスを病院で「処方」
ポートランド市交通局は、オレゴン州マルトノマ郡の保健局と連携し、生活習慣病を抱える住民を対象に、自転車のサブスクリプションサービス「Biketown」を病院で「処方」する方針を明らかにした。特に、健康問題を抱えている比率が高いアフリカ系住民への効果が期待されている。
「Biketown」を処方されると、1年間のメンバーシップでシェア型電動自転車が乗り放題になる。この電動自転車は時速32キロまで出すことができ、通常の自転車よりも長距離・長時間の利用が期待できる。市内の移動だけでなく、ちょっとしたエクスカーションとして遠出をすることも可能だ。
提案の主体であるREACH(Racial and Ethnic Approaches to Community Health)の代表・Charlene McGeeは、単なるアドバイスではなく病院での「処方」として自転車の利用を勧めることで、患者側の積極的なエンゲージメントが見込めると説明。また、自転車の使用は身体の健康だけでなく、コミュニティ活動の一貫として行われることで、メンタルヘルスにも良いと話す。1人1時間でも身体を動かすことは、特に生活習慣病患者にとっては重要だ。
生活習慣病に悩む非白人系住民への効果に期待
アメリカ保健福祉省疾病予防管理センター内の組織であるREACHは、人種や民族の違いに起因する格差から生じる健康被害を防ぐための専門組織だ。アフリカ系、ヒスパニック、アジア系、アラスカの先住民族など、非白人系のコミュニティを対象に活動を行っている。
アメリカの大都市のなかでも、白人系住民の割合が最も高い都市の一つとされるポートランド。多様性の低さが課題となるなかで、アフリカ系を中心に、ラテン系・アジア系など非白人系住民の社会的・経済的格差も問題となっている。
教育や収入の差、社会的インフラへのアクセシビリティに関する居住区域による不平等など、人種や民族の違いが要因のひとつとなって生じる格差は、そのまま健康問題へも繋がるというのがREACHの考えだ。社会経済的に不利な立場にある住民は、健康保険や病院へのアクセスが限られている。新鮮で栄養のある食事や、住居環境なども健康状態に直結する。
肥満や生活習慣病、糖尿病などの病気は、ポートランドに限らずアメリカ全域で、非白人系市民に多い。2011年から2014年までのデータでは、アフリカ系成人の糖尿病疾患率は18%、ヒスパニック系は16.8%と、白人系市民の9.6%に対し、ほぼ倍に近い数値となっている。
ポートランドにおけるアフリカ系住民の死亡理由の8割は、生活習慣病だ。心身ともに健康であることは、社会的、経済的に住民を健康にし、長期的な視点では格差を縮めることに貢献していくだろう。市がREACHと共に行う今回のプログラムは、健康問題を超えて、人種・民族間の不平等に自転車を使って介入する、画期的な事例のひとつでもある。
非白人系住民のエンパワメントにも。多様性を称えるサイクリストコミュニティ
人種差別や格差へのカウンターアクションとして自転車を活用する事例は、他にもアメリカで徐々に増えている。
ニューヨークでは、白人系住民よりもアフリカ系・ラテン系住民の方が、警察による自転車利用の取り締まりが多いことが問題となっている。カメラやスマートデザインなど新しい自動施行技術を導入することで、警察官の偏見によるこうした差別を撤廃するよう、今年NPOが要求した。
アメリカにおけるサイクリストコミュニティが白人中心的・かつ男性中心的であることに抗議する運動「 Black Girls Do Bike(黒人女子も自転車に乘る)」も興味深い。人種差別や偏見の対象になりやすい黒人女性が結成した運動で、皮膚の色に関わらずにサイクリングを楽しめるよう、コミュニティへの参画を呼びかけている。ポートランドでも同様の活動が展開されているようだ。また、同市では今年6月、BLM運動の一環として、非白人系住民が差別撤廃を求める集団ライドが行われた。
サイクリストコミュニティの多様性を担保する、人種間の不平等に介入するという意味でも、自転車を「処方」する今回のポートランドの提案には効果がありそうだ。
文:杉田真理子 / 編集:岡徳之(Livit)
https://news.yahoo.co.jp/articles/296001bbb782a982808204255e70bfcc02290113

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