20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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バラの香り

2012年06月20日 | Weblog
           
 
 二週間ほど前、息子がビデオチャットで、「交換留学生のことでブルガリアに一週間、行くことになった」と話していました。
 ブルガリアと言って、まず思い浮かぶのがヨーグルト。でもそれより有名なのがバラです。
 世界の香水の7~8割がブルガリアの「バラの谷」で育ったバラの精油が使われているのだそうです。

 日曜日の父の日に、プレゼントとして息子から、夫が興味を持っていた本2冊(『<世界史>の哲学 中世篇』『ふしぎなキリスト教』)と一緒に、私にそのバラの香水が送られてきました。
 匂いを嗅いでみると、まさしくバラの香りです。

 その香りに、ふと思い出したのが、日本ペンクラブの子どもの本委員会のお仲間である、翻訳家の八百板洋子さんのお話です。
 いつでしたか八百板さんから、雑談をしながら東欧の吸血鬼伝説のお話をうかがったことがあります。
 だれもが知っているメジャーなお話としてのドラキュラはイギリス人の書いた小説です。
 けれどルーマニア地方には、古くから伝わる昔話や、伝説として、たくさんの吸血鬼が語りつがれているそうです。
 それが証拠に、ブルガリアの国立歴史博物館では、発掘された「吸血鬼」の遺骨を展示しているそうです。
 もともと12-14世紀ごろのブルガリアでは異教信仰が広がっていたそうです。
 この遺骨の男性は吸血鬼に変身するのを防ぐための儀式において埋葬されたとみられているというそうです。
 国内で100体以上の「吸血鬼」の遺骨が発見されて おり、大半は不死身で血を吸うとされていた中世の貴族だったそうです。
 こういった人々は現世において悪者であり、異教信仰では死後は吸血鬼となってよみがえり、生きている人間を苦しめ続けると考えられていたそうです。
「だから、木や金属の棒で体を突き刺されていることがしばしばあった」ということです。

 八百板さんとお話していると、そういった吸血鬼伝説にわくわくします。
 そう言えば、萩尾望都の『ポーの一族』も血とバラのエッセンス。そしてバラのスープです。吸血鬼にとってバラは、ひとつのキーワードなのかもしれません。

 話は変わりますが、近ごろベランダに鳩がたびたびやってきて、窓越しにこっちを見ています。気が散るので窓を叩いて追い払おうとしますが、それくらいでは知らん顔。
 窮してネットで調べたら、鳩の弱点はバラの香りだそうです。
 息子からのブルガリアみやげの、バラのフレグランスを「シュー」と吹きかければ、鳩はきっと二度とベランダにやってこなくなるでしょう。
 その話をしたら、「え~、鳩に?」と息子のがっかりした声。もちろん、フレグランスとしても大切に使わせていただきます。
 
 鳩に憎しみを抱いているわけではありません。
 でも、フンでベランダを汚されるのが・・・。
コメント (2)
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