20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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一輪のバラ

2014年04月24日 | Weblog

        

 先日、お花屋さんの店先で、赤いバラをじっと見つめ、なにかを考えている、若い男の人を見かけました。

 バラを一輪、手にしてはなにかを考え、またポットにもどします。

 横でお花を探していた私は、自分のことより、その男性のことが気になり、ときどきちらちらと、そちらを見ます。

 男性はまた手をのばし、けれど寸前で、手をひっこめ・・・。

 あの数分間の彼の逡巡は、なにを物語っていたのでしょう。

 

 彼の、胸の鼓動まで聞こえてきそうです。

 と、彼が決意を固めるように、足を一歩、ふみだしました。

 彼は胸をはると、一本の深紅のバラを持って、お会計に・・・。

 

 そのうしろすがたを見ながら、またもや妄想です。

 あのバラを受け取る人は、どんな人なのかしら?

 出来ることなら、彼が勇気をふりしぼって、足を踏み出すまでの逡巡を、そばにいってその人に教えてあげたい衝動に駆られていました。

 その一歩をふみだすことに、人はどんなに勇気がいることなのか・・・。

コメント
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