先日、お花屋さんの店先で、赤いバラをじっと見つめ、なにかを考えている、若い男の人を見かけました。
バラを一輪、手にしてはなにかを考え、またポットにもどします。
横でお花を探していた私は、自分のことより、その男性のことが気になり、ときどきちらちらと、そちらを見ます。
男性はまた手をのばし、けれど寸前で、手をひっこめ・・・。
あの数分間の彼の逡巡は、なにを物語っていたのでしょう。
彼の、胸の鼓動まで聞こえてきそうです。
と、彼が決意を固めるように、足を一歩、ふみだしました。
彼は胸をはると、一本の深紅のバラを持って、お会計に・・・。
そのうしろすがたを見ながら、またもや妄想です。
あのバラを受け取る人は、どんな人なのかしら?
出来ることなら、彼が勇気をふりしぼって、足を踏み出すまでの逡巡を、そばにいってその人に教えてあげたい衝動に駆られていました。
その一歩をふみだすことに、人はどんなに勇気がいることなのか・・・。