数年前、パリからランスに向かう列車の車窓から見たのが、ヤドリギ。
車窓を飛ぶように流れる、すっかり落葉したはだかんぼうの木についた、根をもたない緑の固まり・・・。
灰色の空の下、その姿はとても神秘的でした。
さて、そのヤドリギ。
北欧では、その不思議さから魔除けとして珍重され、クリスマスの日には、玄関に飾られるそうです。
写真は、三越本店に飾られた、ヤドリギとその説明。
↓は、「ニッポニカ」(日本大百科全書)から引用させていただいた「宿り木」の解説です。
落葉した木に着生し常緑を保つヤドリギは、古代の人々にとって驚きであったとみえ、ヨーロッパ各国でセイヨウヤドリギの土着信仰が生じ、儀式に使われた。その諸例はフレーザーの『金枝篇(きんしへん)』で取り上げられている。古代ケルト人のドルイド教では年初の月齢6日の夜、ヨーロッパナラに着生したセイヨウヤドリギを切り落とす神事があった。北欧では冬至の火祭りに光の神バルデルの人形とセイヨウヤドリギを火のなかに投げ、光の新生を願った。常緑のヤドリギを春の女神や光の精の象徴として室内に飾る風習は、クリスマスと結び付き、現代に残る。