昨日は、久しぶりに、映画の帰りに、お蕎麦やさんの紅葉川に行きました。
入った途端、おかみさんに
「あら、お久しぶりですね〜」と。
三越新館の向こう側の道を歩いていかないといけないので、つい、ランチは、三越か、高島屋か、コレド室町でしていました。
久しぶりの辛味大根おろしそばは、さっぱりしていて、辛味大根もとても美味しかったです。
三谷映画「記憶にございません」は、パロディとしてすごく面白かったです。
生活保護費をどんどん削られ、怒った民衆に頭に石を投げつけられ、記憶喪失になってしまった、主人公の中井貴一演じる首相は、まるで、青木理のルポ『安倍三代』(朝日新聞出版)の中の、取材でつまびらかになってくる、凡庸で、おっとりして、おとなしくて、従順で、ちょっと鈍そうな、少年時代の安倍晋三のよう。
『安倍三代』では、父方の祖父、安倍寛について詳細に調べています。安倍寛は、平和主義者で反戦を貫き、東条内閣の方針に真っ向から向かい合った政治家です。
けれど、首相になってからの安倍晋三の脳裏には、母方の祖父・岸信介の理念しかなくなります。
また、首相になる前までの、彼の政治家としての理念は文章にほとんど残っていないそうです。
三谷幸喜は、きっと青木理の『安倍三代』を読んで、記憶喪失の首相のキャラクター作りを、思いついたのだろうなと思いました。
映画館は満席。
映画を見に来た人たちは、そのパロディに大爆笑。
安倍の親友の、加計とおぼしき登場人物も出てきます。そこも笑いのツボ。
いたるシーンで、大きな笑いの渦ができていました。
こんなにたくさんの人たちが、今の政権に「否」を唱えているのに、日本人は、サイレントマジョリティが多いのだなと思いました。
森友・加計問題も、うやむやのまま。
まさに「記憶にございません」状態で、止まったままなのに、メディアでは、連日、韓国のチョ・グクのことばかり。
もう「もりかけ問題」など「人の噂も75日」的感覚になっています。
そうしたモヤモヤを抱えている人たちにとって、この映画のパロディは、ある意味、憂さ晴らしかもしれません。
でも、こうして映画で問題を突きつけられ、もう一度、笑いながらでも、怒ることは大切なことだと思いました。
記憶を取り戻した首相が、自分の、人としての感覚の原点に立ち返るというラストは、甘い着地ではありますが、鈍重でテコでも動かない、厚顔無恥でしたたかな、安倍政権を見ていると、この、人としての良心を取り戻した首相の姿に、妙なカタルシスを、わずかでも感じるから不思議です。
今の政権の、こうしたカタルシスのなさに、私たちは、飼いならされすぎていますから。