ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

「九」の山-九重山

2008-09-01 11:16:13 | 四方山話
九重山(久住山・1787m)
大分県玖珠郡九重町から竹田市久住町(旧・直入郡久住町)にかけて広がる火山群の総称。主峰の久住山、大船山を始めトロイデ型の火山が連なり、「阿蘇くじゅう国立公園」に属しています。つまり山群全体は「九重」、単体の山名は「久住」、国立公園は「くじゅう」という、読み方は同じでも別々の書き方をします。
1997年、天然記念物のミヤマキリシマの時期に訪れ、「坊がつる賛歌」で知られる法華院温泉で一泊しました。

6月9日夜、梅雨入りの鬱陶しい空の下、降られるのは覚悟でフェリーに乗る。

10日、別府からは爽やかな高原の大分道を走り、長者原ビジターセンターに駐車。三俣山の美しい山容を見ながら緩く登る。幾つもの噴気孔から盛んに白い蒸気を噴き上げる硫黄山が正面に見えた。
二つの山のコルの「すがもり越え」から北千里浜へ火山岩の急坂を下る。盛んに大きな噴煙を上げ、ゴウゴウという響きが高い硫黄山の麓を行く。



ススキの原に入り、頭上に見える稜線目掛けて草付きの急坂を登り、「久住分かれ」で東へ石のゴロゴロした急斜面を登り、一等三角点のある久住山頂上に立つ。



さすがに連峰の盟主の名に恥じぬ胸の空くような眺望が開ける。目の下には飯田から瀬の本に続く緑の高原、周囲には星生山、硫黄山、三俣山、天狗ヶ城、中岳、稲星山などが取り巻いている。缶ビールで乾杯し、昼食を取る。

午後は最高峰(主峰より4mだけ高い)の中岳経由で行くことにする。
美しい水をたたえた火口湖の御池畔を過ぎると、大きな岩の間をよじ登る豪快な道となる。ミヤマキリシマでピンクに染まった平治岳(ひじだけ)から大船山に続く山並みが美しく望めた。
登りにも増した急坂を稲星山とのコルに向かって下る頃からポツポツと雨滴が落ちだした。傘をさして歩くうち法華院温泉山荘の屋根が見えた。



1日。幸い雨が止んだ。「四面山なる坊がつる…」を通り抜け、大船山を目指す。
1時間で見晴らしの利く5合目に着く。三俣山の左肩に紫色の阿蘇山がくっきりと見える。右手には雲海に浮かぶ由布岳、さらに北部の山々。
急坂のジグザグを繰り返し火口壁の段原(だんばる)に登り着くと、思わず歓声を上げる光景が待っていた。左には北大船山のピーク、正面には米窪の凹地を隔てて黒岳へのなだらかな稜線、右へ大船への道が続いている。その山肌の殆どがピンクの絨毯で覆われているのだ。



頂上からの展望は期待以上だった。
すぐ近くの主峰初め久住連山の眺めはもとより、南東の傾山、南の祖母山、南西の阿蘇五岳、北の英彦山、北東の由布岳、鶴見岳とずらり九州の主な山が見渡せるのだ。平治岳方面のピンクの稜線も鮮やかだ。



平治岳へはミヤマキリシマの花の中を切り開いたような道を、延々と続く人の波に流されるように登り専用と書かれた道を行く。狭い頂上は人でごった返しているので、写真を撮り、早々に下り専用道を坊ガツルに下る。



九重連山の四つの峰に登り、素晴らしい展望と花に出会えて、最高に幸せだった二日間の山旅でした。