ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

雨模様の北東北ハイキング

2013-10-09 14:23:00 | 山日記

丸さんご夫妻をお誘いして、3日間のJTBハイキング・ツァーに参加しました。

10月6日(日) 8時15分伊丹発のJALで1時間の空の旅。1時間20分で着いた「いわて花巻空港」はあいにく今にも泣きだしそうな空模様でした。いったん南下して一関市厳美渓で昼食。

出発まで天然記念物の渓谷美を観賞しました。


 

午後は霧雨の栗駒山麓「世界谷地(やち)」散策。秋田県鹿角の湯瀬温泉に泊まりました。


10月7日(月) 夜来の雨が上がった八甲田山へ。ロープウェイで田茂萢岳へ登り、田茂萢(たもやち)湿原から美しく紅葉した上毛無岱(けなしたい)、下毛無岱を経て酸ヶ湯へ歩きました。


酸ヶ湯で入浴中、激しく降っていた雨も小降りになり、和田湖畔の宿へ移動する途中で奥入瀬渓谷を歩きました。ハイキングとはいうものの、酸ヶ湯への下りは結構きつく、奥入瀬は時間の制約もあって早足で歩いたので、音を上げた人もいたほどでした。


10月8日(火) 発荷峠から八幡平へ。朝から無情の雨が降り続き、八幡平の頂上はガスと雨で無展望でした。


山頂ハイキングは急遽、後生掛温泉周辺と


大沼のハイキングに予定変更されましたが、普段ツァーでは行くことのないコースを歩けてまずは満足でした。17時、秋田空港発のJAL機で途中、羽田乗継で20時過ぎ伊丹へ帰りました。詳しいレポートと写真は後程、見て頂きます。


超展望の伊那前岳(2013.09.28)

2013-10-04 14:17:11 | 山日記

木曽駒ヶ岳・乗越浄土に建つ宝剣山荘の朝。昨夜は私たちの個室のすぐ横が階段で、何度もトイレに行く足音で眠りを覚まされた。暗いうちから出かける人の声で起されてしばらくすると、もう窓の外が薄明るくなってきた。ご来光は部屋の窓からも拝めるが、外へ出て少し宝剣の方へ登ってみる。


  

和合山の黒いシルエットの左には見事な雲海が拡がり、その上に八ヶ岳が浮かんでいる。次第に朱色を増す東の空に富士の姿が美しく浮かび上がっている。


やがて伊那前岳の方から真紅の日輪が顔を出して周囲からどよめきが起こる。(Photo by Miwako-san)

 

振り返ると中岳の左に朝陽に燃えるような木曽御嶽が浮かんでいた。(Photo by Maru-san)

6時からの朝食を済ませると殆どの人は宝剣や木曽駒へ登って行った。少し体調の優れない三輪子さんを残して、三人で伊那前岳をピストンする。乗越浄土から和合山へ向かうと、もう誰にも出会わない静かな尾根道になる。殆ど空身なのでルンルン気分で時々、写真を撮るために立ち止る他はのんびりとハイマツの稜線を行く。

見下ろす千畳敷カールをロープウェイのゴンドラが登ってきて、千畳敷駅の放送が聞こえる。

やや勾配が強まると最初のピーク・和合山(2,911m)に着いた。乗越浄土から僅か10分あまりである。頂上手前から東側を捲くが、再び稜線に出ると素晴らしい展望が拡がった。右手・北西に中岳、木曽駒ヶ岳から将棊頭山に続く稜線、左手・西から南にかけて宝剣岳、檜尾岳、空木岳に続く稜線が鮮やかに見える。

少しガラガラの石ころ道を下るとハイマツの中のほぼ平坦な道になり、富士山を正面に見ながら快適に歩く。左手が少し開けた砂地には九合目の標識が立っていた。

次のピークには左手の高みに石柱で囲まれた大きな岩があり、道を挟んで「天山阪本先生勒銘石之碑」と書かれた副碑(昭和6年建立)がある。


 

手元にある「信州百山」(1970年信濃毎日新聞社刊)によると、「勒銘石(ろくめいせき)」は天明4年(1784)、高遠藩郡代・坂本天山が苦心の末にここに立って駒ヶ岳を見た時の感動を石工に刻ませたものである。『銘文の風化磨滅は、駒ヶ岳登山の歴史の深さを物語っている』と書かれた通り、四言絶句の文字は殆ど消えてしまっているが、上掲書から引用すると…霊育神駿(霊は神しゅんを育し) 天逼天門(高く天門にせまり) 長鎮封城(長く封城をしずむ) 維岳以尊(この岳もって尊し)…と記されている。

さらに稜線を下り気味に進み、登り返すと伊那前岳の頂上である。岩の上に錆びた鉄棒が立っていた。2,883mの三等三角点は一段下がったところにあり、さらに東へ北御所登山口への下り道が続いている。


頂上からの展望は期待以上に素晴らしく、東には八ヶ岳から間に富士を挟んだ南アルプス、北には御岳、乗鞍、北アルプスの山々、南には宝剣岳から空木岳と続く中央アルプスの山々と遮るもののない大眺望である。

 

しばらく至福の時を過ごして引き返す。

帰り道も槍・穂高始め懐かしい山々の大展望に酔いながら、のんびりと歩いた。

 

和合山を下り、乗越浄土に近づくと大勢の登山者の姿が見える。休み終えた人は中岳へ宝剣へと次々と登っていく。私たちは途中で単独の若い男性に二度出会っただけで、静かな山をゆっくり楽しめて良かった。(Photo by Maru-san)

 

  

小屋に別れを告げて八丁坂を下る。見上げる宝剣の上の真っ青な空に細く痩せた月が浮かんでいる。さすが好天の土曜日だけあって登ってくる人が切れ目ない。その間隙を縫うように少しづつ下る。子供連れも多く、元気に登ってくる子、むずかっている子、中には背中に負ぶわれて眠っている子までいた。みんな良い想い出が作れますように…。「今日は混雑が予想されるので、ロープはフル回転」のアナウンスに急かれるように駅に歩く。カールのお花畑はチングルマの苞花が風に揺れ、枯れかけたコマウスユキソウが一株残っていた。駒ヶ岳神社へ無事に山行を終えたお礼を言上して、家路についた。


爽秋・木曽駒ヶ岳(2013.09.27)

2013-10-01 20:56:03 | 山日記

今回も丸さん車のお世話にになり、駒ヶ根ICを出て駒ヶ岳高原菅ノ台バスセンターに駐車。バスで「しらび平」に向かう。
 

11時20分発のロープウエイは左手に「ひぐらしの滝」や大滝、右手にも大小の滝を見下ろしながら高低差950mを7分30秒で千畳敷駅に到着する。


  

千畳敷カールの大標識の前で記念写真を撮っているツァー客らと分かれて、ホテル千畳敷東側のベンチに腰を下ろして、まずは腹ごしらえ。




空は真っ青に晴れ上がり、目の前には鋸岳、甲斐駒から仙丈ヶ岳、白根三山、富士を挟んで更に右に塩見岳…と居並ぶ南アルプスの贅沢な眺めをほしいままにしながら昼食を済ませる。




駒ヶ岳神社からカールの北側を八丁坂に向かう遊歩道は、行き交う人で混み合っている様子なので剣ヶ池の方へ下る。道の両側には真っ赤な実を付けたナナカマドが並んでいて、その上に青空を背にした宝剣岳が聳えていた。


剣ヶ池から八丁坂入口の分岐までは僅かな登りだが、腹が膨れたせいか足が重い。散策路をきて乗越浄土まで登る気になる軽装備の人もいるが、ここまでに比べるとハイカーの数もぐんと少なくなる。


(Photo by Maru-san)

 道は次第に険しくなり、ゴロゴロの石に金網を被せてあったりする。風邪気味で体調は今一つだが、ゆっくりと休まずに登り続ける。最後に岩棚状になった処は長い板のハシゴや、急な階段が設けられている。

 

(左. Photo by Maru-san

 登りきった乗越浄土には数人の人が休んでいた。お馴染みの大きな標識は壊れていて、文字が読めなくなっている。

 

予約してあった天狗山荘に余分な荷を預けて、木曽駒ヶ岳に向かう。午後になってガスがでてきたが、雨の心配はまず無さそうだ。広い岩礫の平には青いロープが張ってあり、それに沿って中岳へ登る。途中で左への捲き道があり、「難所あり冬季は通行禁止」の標識が出ている。単独の登山者に様子を聞くと、「ちょっと危ないところがあるので、まっすぐ行かれた方がいいですよ」とのことだった。


  

中岳頂上の祠に手を合わせ、更に最高点まで登ると本峰とのコルへの急な下りになる。広いコルには青い屋根の頂上山荘が建ち、その横がテント場で一張りのテントが見える。その上に本峰の頂きが高い。

 

 

コルで夫婦連れに出会ったが、ご主人は奥さんを置いてさっさと先に登って行った。後で山頂近くを降りてくるご主人に出会ったが、奥さんはとうとう引き返されたようだ。ハイマツの緑の中の道を登る。頂上直下で先頭の♀ペンがハイマツの中に鳥を見つけて写真を撮っていると、後からきた十数人のパーティに追い越された。先頭の女性ガイドは「イワヒバリです」とニベもなく吐き捨てて三角点に行ってしまった。雷鳥でなくても見せてあげればいいのに…。


  

山頂の三角点と方位板(字が消えて読めない)付近は、このパーティ(福岡からきた山の会)が記念写真を撮り合ったりしているので、先にヒノキ材作りの
駒ヶ岳神社に参拝する。先ほどからのガスに加えて風が出てきて肌寒さを感じる。木曽側から登ってくる道を見ると、先輩たちと4人で夜行で木曽福島、タクシーで駒ノ湯に来て、夜明けから雨の中を登ったことを思い出す。50年以上前の、もちろんロープウエイがない頃は木曽側からの登路が一般的だった。

 

大きな山名柱で先ほどのガイドさんにシャッターを押して貰い、後でお返しにパーティ全員の記念写真のシャッターを押した。

 

 

ここを境に先に参拝したのが木曾の、中岳側の石に囲まれた祠が伊那の神社である。パーティが下山したあと、しばらく山頂でのんびりしていたが、霧は晴れず残念ながら展望は全くない。次のパーティが登ってきたのを汐に下山する。


 

 

中岳への登り返しは見るだにアルバイトが偲ばれるので、丸さんの同意を得て右手山腹の捲き道に入る。入口に冬閉鎖用のクサリがある。前方の岩峰が霧に見え隠れし、右手が切れ落ちてかなり高度感があるが、霧のお蔭でそれも減少される。私たちはこれまで何度か通っているが、岩に慣れない他の二人に
は不安を感じるよう難所もあったが、無事に通過して合流点に出る。

 

小屋に入る前に天狗岩の前で休んでいると、雲が流れて青空が見えだした。夕食を終えて個室に入る。東に面した窓から満天の星空を仰ぎ、遅くにはオリオンや月も昇ってきた。美しい山の夜空の饗宴に満足して眠りについた。