万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

装飾はんだの美しい万華鏡

2006-06-30 22:47:11 | 万華鏡ブログ
今日もコージー・ベーカーコレクションからのご紹介です。今から20年ほど前に創られたステンドガラスの万華鏡ですが、それぞれ個性的ですね。特に装飾はんだが素晴らしいものをご覧いただきたいと思いました。 白地に花がデザインされた作品(作家名はわかりません)はその図案の輪郭まで細かい点状の装飾はんだで飾られています。(写真でわかるでしょうか。)ガラスのつなぎ目、ホィールの縁にも細かい装飾はんだが見えます。右側の作品はエイミー・ナトコという作家の「ザナデュー」シリーズの一点ですが、このシリーズは、それぞれ統一性のある塔のようなデザインながら、一点ずつ異なったはんだ装飾がユニークです。万華鏡の外部のデザインにとても凝った作家でしたが、これも夢を感じるデザインですね。
前から2本目のブルーのマーブルスコープは、ガラスビーズを装飾に取り込んだはんだ使いがユニークです。リタマ・ハーガという作家がハワイのカイマナアートガラス工房でシャンティデヴィと共同制作をしていた頃の作品です。(もう一点は他に比べるとおとなしいデザインに見えますが、結構この時代にも液体入りの球体をオブジェクトに使っていたことがわかります。)ステンドガラス製の万華鏡を見る時は、はんだの部分にもどうぞ注目なさってください。 作家さんの個性が表れるところだと思います。
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昔の万華鏡の特許にまつわる話

2006-06-29 22:38:29 | 万華鏡ブログ
デヴィッド・ブリュースター卿はカレイドスコープを発明し特許を申請しましたが、申請に不備があったために特許が認められる前に大変多くの数が他の企業家によって製作されて売られてしまい、カレイドスコープの爆発的な人気にも関らず、彼自身が金銭的に報われることはありませんでした。彼は学者でカレイドスコープの発明に関する論文も書いたので、発明者としての栄誉は守られました。
チャールズ・ブッシュは彼の考案したカレイドスコープでいくつかの特許を取りました。昨日書きました液体入りのガラスアンプルや、オブジェクトケースの中身を交換する方法、そして分解したり、組み立てたりできる4脚のスタンドの特許を取った記録が残っています。
この写真はコージー・ベーカーさん所有のいくつかのアンティークスコープですが、右端の万華鏡がブッシュスコープです。他のものも19世紀に製作されたものと思われます。
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チャールズ・ブッシュの万華鏡

2006-06-28 22:15:06 | 万華鏡ブログ
今日はアメリカで万華鏡を広めた初期の功労者、チャールズ・ブッシュ(1825-1900)について書こうと思います。彼は「ブッシュスコープ」と総称される数多くの万華鏡を考案し、製作しました。チャールズ・ブッシュは1847年ドイツ(当時のプロイセン)からアメリカへ移住して、父親を助けて働き、後にビジネスを成功させましたが、顕微鏡、望遠鏡、天文学、写真などにも興味を持ち、熱心に研究をしていました。1870年代前半から万華鏡をデザインし、工業生産するようになりましたが、当時としては驚くほど品質が安定していたそうです。 ブッシュスコープの外観の特徴は黒い厚紙の筒、舵輪のような真鍮製の取っ手がついた回転するオブジェクトセル、そして木製のスタンドに載っていることです。特筆すべき特徴はガラスオブジェクトの充実、特にガラスアンプルです。細いガラスの筒に液体と空気の泡を閉じ込めたもので、オブジェクトセルの回転を止めた後でもアンプルの中に動きのある面白さがあります。この技術は簡単なものではありませんが、後年ビル・オコナー、シャンティデヴィ、マーク・ティクルなど現代の作家達にもマスターした人がいて、それぞれのオブジェクトセルの中に見ることができます。ブッシュスコープに魅せられ、レプリカを作ろうとしたクレイグ・ムッサーが、ガラスアーティスト、ビル・オコナーにこのガラスアンプルの製作を依頼し、その試行の過程で、もっと素晴らしい自分達の万華鏡ができるのではないかというところから、カレイドスコープ・ルネッサンスは始まりました。20世紀になってからは子供のおもちゃとして細々と存続した万華鏡でしたが、ブッシュが万華鏡を作り始めてから約百年後、まさにブッシュスコープが引き金となって新しいアートとしての万華鏡が生まれてきたと言う意味では、ブリュースター郷についで大きな影響力を持った人物と言えるでしょう。この写真はブッシュスコープの内部映像です。
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ホィールが美しい万華鏡

2006-06-27 18:48:23 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した映像を生み出したのがこの2枚のホィールです。質感の異なるダイクロイックガラス(2色性ガラス:光の当たる方向により色合いが違って見える特色があります)をふんだんに嵌め込んだホィールが重なることによって、決して単純にはならない映像の面白さ、美しさを演出しています。背後に明るい光があると、昨日の映像とは全く違った力強い色合いに変化して、驚かされます。オブジェクトがミラーシステムの先端からすぐ近くにあり、ミラーの組み方もきれいなので、映りこむ映像はシャープで視覚に強く訴えてきます。
「フローレット」という名前の万華鏡ですが、「小さな花」という意味です。ホィールの部分を花に見立てたのでしょうか。それとも小さな花が集まって咲くような映像からその名がついたのでしょうか。ホィールは外から見てもきれいに輝いて素敵です。
チェスニック工房では、金属と木製の台を組み合わせたすっきりとしたデザインの作品を数多く作っていますので、大きさや形など選ぶ楽しみもあります。また大きさを統一した定番のホィールを数種類用意し、先端のネジを回して取り替えることができるようになっているので、組み合わせを変えて楽しめます。 美しい色合いのメノウを組み合わせたもの、ミルフィオーリと呼ばれるガラス細工を嵌め込んだものなど透明なガラスとは違った面白さを見せてくれます。
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チェスニック工房の万華鏡

2006-06-26 21:27:14 | 万華鏡ブログ
チェスニック・スコープス工房といえば、ホィールタイプの万華鏡の第一人者です。カレイドスコープルネッサンスの初期の頃から、真鍮やクロームを素材とし、木製のスタンドや台に載った、2枚のホィールをオブジェクトとする万華鏡をずっと創り続けてきた作家さんです。ところで海外の作家さんを紹介する際にいつも名前の呼び方について考えるのですが、ジャニス&レイ・チェスニックといつもジャニスさんの名前が最初に来るのには理由があります。幼い頃から色の組み合わせに興味を持ち、万華鏡が好きな少女だったジャニスさんは、大学でもアートやクラフトに関するコースを学びました。妻として、母としての生活の中で趣味として続けていたさまざまなクラフトの中から、ステンドガラスの知識を活かして万華鏡を創ってみたのです。さまざまな色合い、パターンを生み出し、しかもそれを変化させることができる面白さにすっかり魅了され、その美を追求するようになりました。一方で趣味の万華鏡製作に留まらず、あくまでも家庭を基盤としたビジネスとする努力もして、家族を巻き込んでの万華鏡製作が始まりました。ですから、この工房の顔はジャニスさんなのです。おそらく世界中で一番たくさんホィールスコープを作り、売ってきたと思います。彼らの成功は多くの万華鏡作家の励みになったに違いありません。自分の環境の中から創作と言う生きがいを見つけ仕事とする…そんな女性の生き方としても素敵だと思いませんか。
さて彼らのホィールスコープが魅力的な理由のひとつはダイクロイックガラスを使っているところです。その映像がこの写真です。2枚の重なり合いと光の当たり具合で色合いも模様も変化が大きく、どのあたりをご紹介するか最後まで迷いました。ぜひご自身の目で確かめていただきたい魅力です。
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コーキー・ウィークスのメタル素材の万華鏡

2006-06-25 16:23:07 | 万華鏡ブログ
様々な素材を使い、オリジナル作品を多数作っているコーキー・ウィークスの作品、「Out Our Window(窓の外)」をご紹介します。コロラド州の工房の窓からコーキーさんは、木々の間から時折姿を現す鹿をを見ることがよくあるそうです。そんな「鹿」をテーマとしたこの作品は、ステンレススティール製の鹿の枝角をスタンドとしたデザインですが、鹿の姿を現しているようにも見えますね。万華鏡の本体は刷毛目模様のアルミニウムに真鍮製の格子のネットをかぶせてあります。いくつかの金属の組み合わせが効果的で面白く、姿もバランスが良くて素晴らしい作品です。簡単に取り外して向きを変えることのできるリバーシブルのオイルセルが特徴で、一面はブルー系のガラスやきらめきのある素材をオブジェクトとし、もう一面はアースカラーやゴールド系のビーズ、ガラス、ワイヤー、鹿のフィギュアなどが入っており、外からも良く見えます。内部を覗くと、これらのオブジェクトの生み出す独特の雰囲気を、2ミラーシステム5ポイントの映像で楽しむことができます。
コーキーさんは自分の製作意欲に任せて作品を作る方なので、この作品のように限定版となっていても、いくつ作るかはご本人も決めていないとのこと。その自由さこそが、信じられないほど多くの作品を生み出す原動力と結びつくのかもしれません。
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万華鏡に描くスー・ロス

2006-06-23 18:57:24 | 万華鏡ブログ
自然を愛する気持ちを、あふれるまま表現したスー・ロスの万華鏡「ドラゴンフライ(トンボ)」です。ガラスのボディーに手描きのトンボとガラスで創った立体的なトンボが飾られ、ガラスで創った葉も貼り付けられています。ボディーのガラスは、どの面にも自然の風景が描かれ、ガラスのビーズが光を受けて輝く露を表現しています。絵の上にさらにガラス細工を飾ることで、ボディーそのものが奥行きのある表情を見せ、内部映像への期待を高めます。何と自由な表現でしょうか。 緻密な計算や設計図など必要とせずに、想いをそのまま表現した印象を受けます。スー・ロスの万華鏡は、だから皆、一点ものです。この万華鏡は2つのミラーシステム(2ミラー、3ミラー)を内蔵し、ふたつのアイホールがあります。(同時には見にくいですが・・)オブジェクトセルはオイル入り。ビンのような形で、水平に取り付けられ、前後に回転させて映像の変化を楽しみます。さまざまな形や色のオブジェクトがたくさん入っていて、奥行きがあるので変化も楽しめます。“画家”スー・ロスの描く外部の色合いにふさわしい、美しい色彩の内部映像は、レンズによってはっきりと大きく見えます。絵だけでなく、刺繍やガラス細工、ジュエリー作りなどさまざまなクラフトの技術を持ち、表現したいものがたくさんあるスー・ロスの作る万華鏡の世界は装飾に夢があり、内部映像でその夢の続きを楽しめる、ユニークさがあると思います。
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花と華が楽しめる万華鏡たち

2006-06-22 18:19:53 | 万華鏡ブログ
昨日は、依田さんの大型の受賞作品をご紹介しましたが、今日はお部屋に飾ってみたいなと思うお洒落な万華鏡です。ワイヤー細工とガラスチューブを使って、楽しさ、可愛らしさを演出したものですが、万華鏡であることに気がついてもらえないかもしれないところに、驚きの要素があって楽しいと思います。万華鏡になっている3本はそれぞれ、内部映像の色合いやミラーシステムが違っています。チューブの太さにあった細かいオブジェクトを選び、その映像がきれいに見えるようにレンズを決め、その焦点距離に合わせてミラーシステムを考え、組み込みます。オブジェクトセルは下から1/3ほどのところに位置する小さな空間だけで、試験管のようなチューブの先端部分が残りますが、ざっくりとしたガラスのかけらを入れることで、内部への期待をもたせる外観になっています。小さなオブジェクトのガラス片が作り出す映像は、依田さんのマジックで、美しい透明感のある色世界をこの細いチューブの中に生み出します。鏡に映っているという単純な仕組み以上の何かが表現されているところが、依田さんの創るガラスオブジェクトの素敵なところです。生花と組み合わせて飾り、「花」と「華」を楽しめるのも素敵ですね。
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依田満・百合子万華鏡フェア「空と宙の物語」

2006-06-21 20:11:14 | 万華鏡ブログ
今日から依田満さん百合子さんの万華鏡フェアが始まりました。「空(そら)と宙(そら)の物語」と題したこの展示会では、2006年度ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーでの受賞作品「宇宙2006」を中心に過去の受賞作品やさまざまな万華鏡が並び、依田さんの創られる万華鏡の世界を堪能できます。タイトルが示すように、依田さんご夫婦は万華鏡に物語を語らせます。「宇宙2006」では果てしない宇宙の片隅で星が生まれ死んでいくダイナミックなストーリーを感じます。見る人の負担が少ないように考えられた機能など、細部にまで配慮が感じられることも、さすが日本を代表する作家さんだなあと感じ入ります。
ステンドガラス作家・竹形夏野さん、琉球ガラス作家・稲嶺盛吉さんとのコラボレーションによって生まれた万華鏡も展示されていましたが、ふたつの個性が相乗効果をもたらすような素晴らしい作品を見て、常に新たな表現の可能性に挑戦されていることを感じました。
小型の作品にもそれぞれに作家さんの想いをこめた物語があり、見る人がそれを感じたり、自分の物語に重なったりすると、その万華鏡にたまらない愛着を覚えるのです。この万華鏡は私を待っててくれたような気がする・・・そんな気になったことありませんか? もしかしたらそんな出会いが待っているかもしれないこの作品展は6月30日まで伊勢丹新宿店本館6階で開催中です。
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ロックスターという万華鏡

2006-06-20 17:30:38 | 万華鏡ブログ
なかなかスタイリッシュな万華鏡ですね。クロマスコープス工房のデヴィッド・カリッシュさんの「ロックスター」という作品です。アクリルと金属(サテンクローム)と木と天然石の組み合わせがとても自然な、このようなすっきりとした形の万華鏡になりました。この写真では分かりにくいかもしれませんが、オブジェクトセルを挟む2枚の三角形のアクリル板を支えにしてこんな風に傾けても飾れるところがお洒落で気に入っています。オブジェクトはきれいな色合いのジェムストーンがオイルの中で動きます。石は不透明なので、きれいな映像を映し出すためにオブジェクトセルは透明で、たっぷりと光を取り込めるようになっていると同時に、外からオブジェクトを見られます。アクリル板ごと先端部を回転させて見る手持ち型万華鏡です。派手さはないですが、6ポイントの味のある、きれいな映像を見せてくれます。アイホールの部分に木を使っています。 
デヴィッド・カリッシュさんは、アクリル、金属、木などを組み合わせてシンプルで洗練されたデザインの作品を数多く作っていますが、そのシンプルさ故に、形だけのコピー商品が出回り製作を中止せざるを得なくなった作品もあったそうです。でも、中を見れば、その違いは歴然としています。それにコピーが作られるのは、その良さが認められたということだから・・・と前向きなコメントをくれましたが、やはりあまり嬉しくないと言っていました。さてこの万華鏡のネーミングですが、ジェムストーンを使っていることで「ロック」そして三角形が組み合わさって星型なので「スター」ですが、勿論「ロックミュージックのスター」とかけて、かっこよさをアピールしているのでしょう。
Comments (2)
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