ティクルさんご夫妻の限定版の大型作品は、アート作品としての品格と表現、そして高い品質を備えていて、素晴らしいものがあります。それを可能にする技のひとつが美しいオブジェクトです。
この写真で中心に映る映像を生み出すのは黒い背景のオイルセルですが、バーナーワークによる様々なタイプのガラスオブジェクトのひとつひとつがユニークで、その組み合わせが見事です。そして、周辺部に映りこむのは、半透明な背景のドライセルで、オブジェクトは「液体入りガラスアンプル」です。透明なガラス管に色のついた液体とガラスビーズを閉じ込めたもので、ドライセルの中に流れを感じさせます。
アメリカで19世紀の後半、たくさん作られたブッシュスコープの特徴のひとつがこの液体入りガラスアンプルでした。100年以上経ってカレイドスコープルネッサンスのさきがけとなったビル・オコナーが、さらに素晴らしいガラスアンプルとして復活させたことは以前(2月28日)にも書きましたが、その後何人かのアーティストがこの技を身につけ、作品の中に取り入れています。
ティクルさんご夫妻の作品を見ることがあったら、ぜひこのあたりにも注目して楽しんでください。もちろん飛んでいるトンボも素晴らしい出来です。