万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ドライセルに液体の流れを取り入れた万華鏡映像

2006-12-29 19:42:45 | 万華鏡ブログ
奥行きのある3D映像が特徴のマーク・ティクルさん・スーザン・ランドグレンさんご夫妻の作品でぜひ注目していただきたいのが、実は、オブジェクトのひとつひとつです。この「ボボリ」という作品は、とても大きな覗き口から、2つのオブジェクトセルが作り出す変化する映像と周りを飾る金箔やガラス、そして飛んでいるトンボのすべてをトータルで楽しむ、大変スケールの大きな映像表現が特徴です。ですからその大きな表現に驚き、変化する部分にあまり注目されないことがあるのですが、それは少し残念なことです。
ティクルさんご夫妻の限定版の大型作品は、アート作品としての品格と表現、そして高い品質を備えていて、素晴らしいものがあります。それを可能にする技のひとつが美しいオブジェクトです。
この写真で中心に映る映像を生み出すのは黒い背景のオイルセルですが、バーナーワークによる様々なタイプのガラスオブジェクトのひとつひとつがユニークで、その組み合わせが見事です。そして、周辺部に映りこむのは、半透明な背景のドライセルで、オブジェクトは「液体入りガラスアンプル」です。透明なガラス管に色のついた液体とガラスビーズを閉じ込めたもので、ドライセルの中に流れを感じさせます。
アメリカで19世紀の後半、たくさん作られたブッシュスコープの特徴のひとつがこの液体入りガラスアンプルでした。100年以上経ってカレイドスコープルネッサンスのさきがけとなったビル・オコナーが、さらに素晴らしいガラスアンプルとして復活させたことは以前(2月28日)にも書きましたが、その後何人かのアーティストがこの技を身につけ、作品の中に取り入れています。
ティクルさんご夫妻の作品を見ることがあったら、ぜひこのあたりにも注目して楽しんでください。もちろん飛んでいるトンボも素晴らしい出来です。
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万華鏡でメリー・クリスマス!

2006-12-25 18:44:44 | 万華鏡ブログ
可愛らしいクリスマス万華鏡の写真がメッセージと共に届きました。嬉しかったので、ブログでご紹介します。
ツリーのオーナメントにもなるサンタクロースは、腕がオブジェクトをぎっしり詰め込んだドライワンドで、回したりスライドさせて映像の変化を楽しみます。
雪だるまの万華鏡は帽子の部分がオブジェクトケースになっていて、覗くと雪の結晶の形になるようにミラーを組んでいます。
誰もが楽しめる可愛くてきれいな作品は、京都万華鏡ミュージアムの万華鏡教室で講師を務める金川芳さんの考案された万華鏡です。いつも夢のある楽しいアイディアを形にするべく、熱心に万華鏡を研究なさっています。次はどんなものを作ってくださるのか、これからも楽しみにしていきたいと思います。
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「小さなクリスマス」万華鏡

2006-12-24 21:21:26 | 万華鏡ブログ
クリスマスイブの今日、ご紹介するのは細井厚子さんの「小さなクリスマス」の映像です。友人のコレクターの方からお借りして写真を撮らせていただきました。細井さんの作品は、万華鏡を覗いてゆっくりと待っているとじわーっと繊細な映像が生まれてきて、すーっと消えていきます。密やかだけれど心に灯をともすような映像が見たくて、筒をゆっくり回して待っていると、また違う映像が生まれて消えていきます。細井さんに伺ったところによると、何も映りこまない時間も含めての映像展開を考えてオブジェクトセルを創られるそうです。覗いていると自分の心を覗いているみたいな気がして、その静けさに心が落ち着く作品です。大変ユニークな作品の創り方ですが、心惹かれるファンの方がたくさんいます。
外観は、他の作品と同様のシンプルなデザインですが、透明感のある赤いガラスを赤銅色のはんだでまとめたクリスマスらしい温かみのある万華鏡です。クリスマスの楽しさを懐かしく思い出すような万華鏡は、覗いた人がその想いを共有して、いとおしく感じるのだと思います。
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万華鏡の中の花園

2006-12-23 17:37:26 | 万華鏡ブログ
「ジョイスのガーデンスコープ」の内部映像は、花園です。シークレットガーデン工房は、ドライフラワーをオブジェクトとする作品が有名ですが、最近では製作していません。今度の花園を演出するのは、ガラスの花を焼き付けたビーズの数々と、バーナーワークで作られたデリケートな葉や茎。ガラスに咲いた小さな花々がさまざまな色合いの花園を演出します。
この作品は背景が黒で横から光を取り入れるタイプの万華鏡です。オブジェクトのビーズそのものは透明感はないのですが、やはり花園のイメージだけあって明るい太陽の光の下で見ると、とてもきれいな明るい花いっぱいの映像が展開します。
もう一つの楽しみ方は、リキッドセルの横から光を当てることです。思いがけない幻想的な花園が輝きを持って現れます。光によく反応する部分が用意されているのにちょっとびっくりです。
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花を描いた万華鏡

2006-12-22 17:32:44 | 万華鏡ブログ
シークレットガーデン工房からこの夏デビューしたJoyce's GardenScope 「ジョイスのガーデンスコープ」です。工房のスタッフの一人、ジョイスさんの手描きの植物をあしらった筒が、独特の質感に仕上げられており、今までのシークレットガーデン工房の作品と比べると新しいスタイルです。硬質で厚みのある紙筒にざらざらとした手触りの塗装を施し、アクリルペイントで絵を描いてから、ラッカーで保護しているので、しっかりとした重厚感を感じます。外部のデザインは、手前が「マグノリア」、奥が「ジャパニーズ・ガーデン」です。このほかに「アイビー」と「モーニングソング」という図柄があるそうです。
「マグノリア」は、表には大輪の花が一輪、裏にはつぼみが2輪描かれています。「ジャパニーズガーデン」には小ぶりで可愛らしい花が描かれ、椿の花かなと思うのですが、枝ぶりが・・・?
どちらもぐるりと筒全体を使って、植物の生命感を表現した作品です。内部にはシークレットガーデン工房らしい、秘密の花園が展開します。次回ご紹介したいと思います。
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クリスマスカレイドスコープのコレクション

2006-12-19 08:57:59 | 万華鏡ブログ
昨年アメリカのコレクターのお宅で撮影した写真です。全てではありませんが、1990年代後半のものから2003年までのデュレット夫妻のシークレットガーデン工房のクリスマススコープが並んでいます。(黒いのはコーキー・ウィークスですが。)過去のものはなかなか見る機会がないので、嬉しくなって撮影しました。
コレクターズアイテムとしてすでに売切れてしまっている限定版の万華鏡は、日本の万華鏡ファンの目に留まることも少ないかと思いましたので、ご紹介します。
シークレットガーデン工房の万華鏡には、木材を薄いシートにして巻いている筒を使った作品が多く見られます。ここに写っているように、何種類かの木材で美しい模様を組み込んでいるものは外部のデザインとしてとても素敵です。残念ながら最近の作品にはこのデザインは見られませんが、このようにコレクションとして並んでいると、やはり素敵だなあと思いました。(復活すれば良いのに・・・)
それぞれ内部に、オイルセル・2ミラーシステムの生み出すクリスマスならではの暖かさ、楽しさを演出する作品です。
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もうひとつのスノーフレークス

2006-12-17 22:46:40 | 万華鏡ブログ
キャロリン・ベネットさんの「リキッドサスペンション」シリーズから「スノーフレークス」です。 デュレット夫妻の「スノーフレークス」とテーマは同じですが、また一味違った魅力のある、プロダクションタイプの作品です。
藍色の地に白い雪の結晶の模様が描かれているように見えますが、これは万華鏡の模様を布地に再現するキルト作家、ポーラ・ナーデルスターンによるキルトの作品をプリントした紙を使っています。(素晴らしいキルト作品です!)大変きれいな模様になっているだけでなく、このリキッドサスペンションのアクリルのボディーによくあっているデザインです。
筒全体を回して映像の変化を楽しみます。覗いていると白いオブジェクトが青の中から浮かび上がって来るのが、まるで空から降ってくる雪を下から見上げているような感じです。オイルセルの中に、1cmぐらいの透明感のあるビー玉が4~5個、ごろっと入っているのがこのシリーズの特徴ですが、普通の3ミラーシステムの映像に立体感を与える効果があります。白と青と水色の映像が本当にきれいで、雪の世界に浸っていつまでも覗いていたい万華鏡です。
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スターフィールド

2006-12-16 00:32:25 | 万華鏡ブログ
シルバーのアクセサリーのような映像は、トム&キャロル・パレッティー夫妻の「スターフィールド」という万華鏡のものです。スターフィールドとは望遠鏡で覗いて見える星空のこと。
演出するのは黒い背景に流れるような動きを見せる銀色の細かいガラスビーズです。 その上に映りこむのは、ダイクロイックガラスや色鮮やかなメタル素材のオブジェクトが織り成す5ポイントの星。ビーズの細かさとは対照的に大きめのガラス片がビーズ中に埋もれていて時々顔を出して映像に映りこむ、これらの絶妙な組み合わせが、この作品のユニークなところです。そして、まるで光を受けたかのように輝く映像が、不思議でもあり、魅力的です。周りに写りこんでいる部分は、鏡の第3面に溝をスカラップ状に削りこんだ木材を使っているために、このような見え方をしますが、彼らの作品の特徴となっています。木工の名手、トム・パレッティーならではの加工です。外観のデザインも、美しく加工された木材とアルミニウムと金色の真鍮が良いバランスで組み合わされて、センスの良いクールな万華鏡だと思います。
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ふぁんたじ~

2006-12-14 18:30:44 | 万華鏡ブログ

第7回日本万華鏡大賞展でグランプリを受賞なさった尾崎百々花さんの作品「ふぁんたじ~」がとても素敵でしたので、ご本人にお願いして写真をいただきました。この作品の素晴らしいところは、アイディアの豊かさ、光というテーマを見事に表現した万華鏡製作の優れた技術、夢を感じる美しさを見る人の心に届かせるメッセージがあるところです。
オブジェクトはたくさんの透明のビー玉です。透明なアクリルのトレイに並んだビー玉は、トレイごとに大きさが変えてあり、一部はケースに隔離され、三重に重ねてあります。重なったトレイがビー玉の上をすべるので、ちょっと手を添えると回転したり前後左右に動くのです。滑らかでとても気持ちのよい動きです。透明なオブジェクトに色を与えるのは常に変化する多色の光。ビー玉達は複数の色を集め、動き転がり美しい光の映像を生み出しています。底の部分の、色が変化する丸い光のボール、その色を映し出すビー玉の球面、水玉模様をあしらった和紙のデザインの全てがよく引き立て合って、見るからにきれいで楽しい作品です。特に色を映し出すビー玉の表情に「参った!」と思いました。
上から覗くと2つのミラーシステムを通して、内部にも淡くてきれいな色のファンタジーが楽しめます。 
作者の尾崎百々花さんは、このコンテストでも数々の受賞暦を誇る作家さんで、たくさんの素晴らしい万華鏡を作っていらっしゃいますが、ご自分の作品を含め、いろいろな万華鏡の情報をウェブサイトで公開してくださっているので、万華鏡ファンにはとても嬉しいサイトです。 http://kmomoka.hp.infoseek.co.jp/
この万華鏡大賞公募展は12月17日までは千代田区の科学技術館で開催中です。その後、2月から全国7都市で巡回展示されます。詳しい情報は日本万華鏡倶楽部http://mangekyou-club.sakura.ne.jp/index.html でご覧下さい。

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クリスマスツリーの並ぶ万華鏡映像

2006-12-13 18:21:56 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した、デュレット夫妻の「スピリット・オブ・クリスマス」の映像のひとつです。
四角形の筒のミラーシステムで向かい合う2面を鏡にし、残りの2面を反射しない材質にすると、横に長く連続模様が並ぶ「コーラスライン」と呼ばれる映像になります。このミラーシステムを最初に試みたのはコーキー・ウィークスさんだそうです。その映像にステンシルの型でくり抜いたマスキングをすることで、クリスマスツリーが並ぶ楽しい映像が生まれました。
オイル入りのオブジェクトセルは、横から光を取り込むタイプです。映像の背景はクリスマスツリーの緑の枝を思わせる緑色の手描きの模様となっており、さらに偏光フィルターの背景を重ねて、色合いをさらに豊かなものにしています。別々に動く、二重の背景の仕組みは、デュレット夫妻が時々取り入れている工夫です。
オブジェクトはバーナーワークによるダイクロイックガラス細工、ラインストーンが埋め込まれたボールなどのほかに、小さなトナカイや「For you」と書かれたプレゼントなど夢あふれる飾りもあります。万華鏡を覗いたとき、「For you」という文字が見えたら、一瞬嬉しいですね。 こんな風にメッセージを入れるのも素敵だと思いました。 きっと作家さん自身のクリスマスの思い出をたくさん詰め込んで創り上げた作品なのでしょう。
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