万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

透明な棒が生み出す色模様

2019-04-23 20:12:17 | 万華鏡ブログ

向こう側が見える、透明なアクリルの棒がそのままミラーシステムになっている万華鏡をご紹介します。イスラエルのロイ・コーエンさんの「フラワー・トンネルスコープ」です。 軽やかできれいな姿に惹かれました。

この写真はトンネルの入り口。

覗き口と先端のホイールは真鍮製で、支える脚もお洒落な一体型。 ホイールは彼の独特のデザインで、樹脂で固めた色とりどりのピースを真鍮の枠でまとめています。 ステンドガラスのホイールとはちょっと違った趣です。
前方のホイールは覗く側から見ると後ろ側のホイールになりますが、飾った時にもきれいなデザインですね。

ミラーシステムに近いのはこちらのホイールです。1枚目とは違ったデザインです。そしてサインいり。

ボディの筒は透き通っています。クオリティーの高いアクリル製の棒で、覗くとサークルミラーのような映像を見せます。しかも実にきれいな色を鮮やかに映し出します。

先端にある鮮やかなホイールの一部をとらえ、その色が渦巻き状になって目に飛び込んでくるのは、迫力満点です。

ホイールを回転させると、2枚のホイールの重なり具合や光の様子で、違った色模様が生まれます。 外から見ると全く透明なのに、覗いたとたんに色の渦巻きに圧倒されるのが、一番の特徴でしょう。 そしてその鮮やかさが際立っているのが、ロイさんらしさなのだと思います。

ロイ・コーエンさんの作品は、全体的に見て、オブジェクトにはくっきりとした鮮やかな色を使っている印象です。 イスラエルの作家さんは珍しいですね。大学で建築を学ぶ中で鏡を使ったプロジェクトに携わり、万華鏡制作への興味へとつながったそうです。 もう20年の作家歴があります。真鍮のホイールデザインに個性が光ります。

 

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木彫りと万華鏡

2019-04-16 22:12:17 | 万華鏡ブログ

鈴木義雄さん・吉見秀子さんによる木彫りの万華鏡をご紹介します。指物師の家系で幼いころから木に触れてきた吉見さんは、木彫りの作家さん。 万華鏡の筐体にその技を表現します。 中の映像に同じ花を表現する万華鏡に仕上げるのは鈴木さんです。

最初にご紹介するのは、「桜」です。 日本人の誰にも愛される桜のように、この万華鏡を覗いた人が暖かい気持ちを感じてほしいと作家さんは願います。

私の住むところでは、桜が散るころ、ハナミズキが咲き始めます。 鈴木さん、吉見さんのお住まいの近くには街路樹として植えられているようです。日本の桜とアメリカから来たハナミズキは両国の友情の花として多くの人に愛される花ですね。万華鏡の「ハナミズキ」です。

4ポイントの映像は明るさで変化します。

次は「花菖蒲」という作品です。

立体映像を表現するため、独自のミラーの形と組み方で、こんな素敵な映像が見えています。本当に菖蒲の花のようです。

最後の作品は、「竹坡の薔薇」という作品です。 1878年生まれの日本画家、尾竹竹坡の掛け軸の絵がモデルだそうです。

覗き口は底側に2か所あり、それぞれに異なるミラーシステムを入れています。 作品の中の蝶は水晶で制作しています。

2011年の東日本の震災、津波、原発の事故などのつらい出来事が、鈴木さんや吉見さんを一連の万華鏡制作へと向かわせました。どれも鎮魂、再生への祈りを込めて制作された作品です。 そして水晶の蝶は作家さんの想いを象徴するものだと思います。

これらの4点の作品は、現在開催中のストラスモアのBKS万華鏡展に出品されました。手の込んだ木彫りの万華鏡は珍しいので、それぞれ一点ものの味わいを楽しんでもらえることでしょう。願わくば、作家さんの想いがアメリカの方に届きますように。 

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羽石茂さん・泉さんの「コメット 眩(くらら)」

2019-04-07 15:57:32 | 万華鏡ブログ

羽石茂さん・泉さんの万華鏡「コメット 眩(くらら)」をご紹介します。 地元のデパートで開催中(横浜市たまプラーザ東急百貨店で4月9日まで)の万華鏡展で見つけたものです。 このあたりでは万華鏡展は意外と珍しい催事ですので、大歓迎の気持ちで見に参りました。
羽石さんたちの作品は和の要素も取り入れながら、どこかエキゾチックな雰囲気があります。 据え置き型の作品は優雅なスタイルのステンドガラス製で内部照明や替えのセルなどもあって大変見ごたえがあります。(今回は写真は撮りませんでした)

コメットは、手持ち型の小ぶりな作品ですが、外観のデザインは、ほかにはないユニークさがあり、丁寧な装飾はんだが目を惹きます。そして持ちやすく、先端のオブジェクトセルの回転もスムースです。 回転するだけでなく左右に少し動かすだけでも映像が変化していきます。

セルの中には色とりどりの細かいオブジェクトが入っています。 オブジェクトセルの下には黒い板を組み込んでいるので、透明なセルの向こうに余分な景色が映り込まないようになっています。 黒い背景に浮かび上がる9ポイントの映像です。

ミラーシステムの第3面に少し反射する素材を使うことで、オブジェクトの色を拾ってオーラのように見えます。

繊細な美しさに目を奪われますね。丁寧な造りでどの作品も美しいシンメトリーを生み出しています。

コメットシリーズにはいろいろ種類があるようですが、今回は眩(くらら)という新作です。自分の手元に置いて楽しみたいなと思うような手持ち型の作品は、小ぶりですが素材や見せ方などに工夫があり、覗くたびに違った美しさに出会えるのが嬉しいです。

私はオンラインでの販売やご紹介をしていますので、住んでいる地元の方に万華鏡を知っていただく機会もあまりないのですが、今回は近くの方にご紹介もできて、現代万華鏡の認知度も上がるといいなと思っています。 また次回がありますように。

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細井厚子さんの「白い鳥は・・・」

2019-04-03 08:12:04 | 万華鏡ブログ

3月に銀座のギャラリー田中さんで細井厚子さんの個展が開催されました。細井さんの作品はとても人気があり、初日からたくさんの方が見にいらっしゃったそうです。

今回の個展では陶器の作品とガラスの作品が展示され、細井さんの世界に静かに浸る人たちがいました。 細井さんも連日在廊なさっていたので、いろいろな話も聞かせていただけたのではないでしょうか。
ご自分で陶器の筒を創るようになって、そこでも独自の世界を展開なさっています。どれも手に取りたくなる、覗きたくなる万華鏡ばかりでした。 テーマは鳥、花、子供たち、クリスマスなど。 どれも作家さんの想いを表わして、それぞれ違っていて、何度も覗きたくなりました。

今日ご紹介するのは「白い鳥は・・・」という陶器の作品です。 白い釉薬のかかった筒に白い鳥や花が小さく、優しく描かれています。

暖かい手触りで、手に馴染む大きさです。 

オブジェクトは、ひとつひとつバーナーワークで薄く、小さく、デリケートに加工されたガラスです。 

そしてオイルの中に少しだけ入っているのが特徴です。 オブジェクトの軽さとオイルの濃さで、とてもゆっくり動きます。

模様が動き出すのを待ちながら筒を回さずに覗きます。 一つの華が生まれては消えていく。 その時間は誰もが集中して、細井さんの映像世界に没頭してしまうのです。

白いラインのオブジェクトは重なって鳥の飛翔を思わせます。

パステルカラーの優しい色合いも心地よいです。 

細井さんにとってオブジェクトは自分の語る「言葉」とおっしゃっていました。 オブジェクトによって語られた文章を読んでほしい。
文章の行間にあるものも感じてもらえたらもっと嬉しいとも。
手と目で作品を拝見することで、作家さんらしさを感じることができるのは素敵なこと。万華鏡の大きな魅力だなあと思います。

 
個展という形で細井さんの世界を楽しむこと、味わうことができて至福の時でした。 また次の機会がありますように。

 

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