万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのこと

2014-01-23 22:03:07 | 万華鏡ブログ

今日はブリュースター・カレイドスコープソサエティー(BKS)について書きます。 この組織は万華鏡愛好者からなる国際的なグループです。
創立は1985年。 創立者はコージー・ベーカーさんで、万華鏡ルネッサンスの立役者です。 ルネッサンスといえば、14-16世紀のヨーロッパでギリシャ、ローマの古典文化の復興を目指した文化の流れですが、そこから文芸、宗教などの復興、再生を意味する言葉として使われています。
万華鏡が発明されたのが1816年のこと。その後一大ブームを引き起こしたものの、ブームは去り、子供のおもちゃとして作られて続けてきた万華鏡でしたが、1970年代に一つの転機を迎えます。 ブリュースター卿が発明したころの作品を見直すことから、現代の素材で万華鏡を創る動きが出てきたのです。
その頃、万華鏡の面白さ、万華鏡の持つ力に魅せられた一人の女性が居ました。 彼女は万華鏡を創る人を訪ね、万華鏡を売る店を訪ね、万華鏡を集める人を訪ね歩きました。 そうやって集めた情報から、万華鏡の本を書き上げ、世界で最初の万華鏡展をアメリカで開催したのです。 現代の万華鏡作家が生まれ出てきたその流れを「万華鏡ルネッサンス」と呼び、本のタイトルにもなりました。


彼女がつないだ万華鏡愛好者のネットワークが、ブリュースター・ソサエティーという団体になったのです。 その活動の使命は、万華鏡というユニークなアートを広め、後世に伝えていくことを目的とし、アーティスト、コレクター、そしてディーラーのためのフォーラム(交流の場)を提供することです。

リーダーであったベーカーさんは亡くなりましたが、その意思を引き継ぎ、万華鏡を愛する人たちの活動は続いています。 2013年末の時点14カ国、410名の会員がいます。 日本人は6.5%ほどですが、アメリカに次いで2番目です。 作家(万華鏡を創る人)、コレクター(万華鏡を買う人、集める人)、ディーラー(万華鏡を売る人)の3つの立場の会員が一堂に集まる、大変ユニークな団体でもあります。

この組織の一番大きなミーティングが、年に1回開かれるコンベンションです。 アメリカの様々な場所で開催されるコンベンションは、最新の万華鏡を見る機会でもあり、また多くの万華鏡作家から直接話を聞くことのできる貴重な機会です。作家の人は、自分の作品をコレクターの方に見てもらい、直接その反応を見ることができるのです。 ディーラーの立場では、多くの作家の作品を見て、何を仕入れるか考え、また店に来るお客さんの意見などを作家さんに伝えたりすることができます。 コレクターの方も直接作家さんと話をしながら、作品を選ぶことができます。
一流の作家さんたちの技を垣間見ることのできるワークショップがあったり、作家さんが準備した特別のキットで、自分だけの万華鏡を製作する機会もあります。

何より魅力的なのは 同じ興味、喜びをシェアする人々との交流です。 言葉の壁、文化の壁は、実際は乗り越えるべき壁ではなく、それぞれの国民の個性のようなものと理解されている気がします。そして一人一人は万華鏡のオブジェクトで、BKSはそのオブジェクトが生み出す美しい万華鏡模様だとベーカーさんも語っていた記憶があります。

このようなグループがあることをもっと多くの人に知ってもらいたい、そしてメンバーとして万華鏡の魅力を一緒に分かち合ってくれる人を増やしたい。 いつか、日本でもこのグループの集まりが開催されたらどんなに素敵だろうと思うこの頃です。

 

万華鏡映像は、スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の「テキーラ・サンライズ」です。

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二重奏 

2014-01-16 22:52:23 | 万華鏡ブログ

ガラスオブジェクトの奏でる二重奏・・・佐藤元洋さんの素敵な万華鏡をご紹介いたします。
オブジェクトセルの中にはやさしい色合いのガラスオブジェクトがたくさん見えています。 オブジェクトセルは取っ手のついた花のような形をしています。 これも吹きガラスで製作されている佐藤さんオリジナルのセルです。

滑らかに回転するセルを回すと、オブジェクトの動く音もやさしく響きます。 サラサラ? カシャカシャ? 何と表現したらよいでしょう? 気持ちの良い音です。

その音とともに変化する映像の細かくてきれいなこと!  春色の美しい景色が次から次へと生まれていきます。

「二重奏」というタイトルの由来は、オブジェクトセルの二重構造にあります。 ミラーに近い方のオブジェクトが手前にくっきりとした模様を映し、外側(ミラーから遠い方)のオブジェクトは奥に薄い色で霞がかかったような色模様を映し出します。

見えるその割合も回すたびに違って、雰囲気の違う映像表現になります。 春霞のようですね。

最初の写真で見えているガラスオブジェクトが淡い色で映っています。

ミラーシステムは角度の狭い二等辺三角形に組んだ3ミラーで、とても大きな中心映像が細部まで映し出され、その精密な美しさに目を奪われます。

手持ち型ですが、やや大きく高さは25cmあります。 Pureというシリーズの作品で、流れるようなガラス色の美しい筒です。 黄緑やオレンジの混じり合う明るくてきれいな色合いは、まるで春をイメージしているように思いませんか? 寒い毎日ですが、万華鏡でちょっとだけでも春を感じていただければ・・・と思いました。

 

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赤いコーヌスコープ Conuscope by Charles Karadimos

2014-01-09 21:25:03 | 万華鏡ブログ

昨日に続いて、チャールズ・カラディモスさんの最新作「Conuscope コーヌスコープ」をご紹介します。 筒のガラスの色は何種類かありますが、それぞれ50点の限定版製作です。
この作品は赤のイリデッセントガラスをコーン状にスランピングの技法で形づくったものですが、ラインにカーブをつけて、手になじみやすい形状になっています。

2ミラーシステム10ポイントで、ドライセルの万華鏡はカラディモスさんのお得意のスタイルです。この作品もまた均整のとれた美しい映像を限りなく姿を変えて見せてくれます。

以前に比べると、黒のオブジェクトがあまり目立たなくなったような気がします。またとても細いオブジェクトや淡い色のオブジェクトなども使って、面と線が組み合わさった映像が新しい感じかなと思うのですが、いかがでしょうか。

この作品は外のガラスの色に合わせて、赤がアクセントになった映像表現です。 
カラディモスさん特有のオブジェクトであるドライアンプルが良く見えるようにしてみました。 赤い粒、淡いピンクの粒が透明なガラスアンプルの中に見えていますね。

オブジェクトセルの背景は白っぽい半透明なガラスを使っているので、オブジェクトの色が白地に映えて、すっきりとした感じを受けます。 

オイルセル、黒い背景という万華鏡もとても人気がありますが、ドライセルで白い背景、しかも2ミラーがいいとおっしゃる方も多いです。  皆様はいかがでしょうか?

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アンビエント ブラック Ambient Black by Charles Karadimos

2014-01-08 21:22:39 | 万華鏡ブログ

チャールズ・カラディモスさんの最新作「Ambient Black」です。  以前から製作している白い「Ambience」と対をなすようなデザインです。 黒いコーン型で、左右のつなぎ目のラインの一部に色ガラスをはめ込んでいます。 

背景のガラスは白っぽいですが、内側に色が見えています。セルを回転させるときにパステルカラーの色となって映像に柔らかく反映されています。

ドライセル、2ミラーというスタイルは、カラディモスさんのこだわり続けているもの。 この作品では12ポイントの完璧なシンメトリーを目指します。
テイパード2ミラーシステムは、先に向けて鏡の幅が広くなっているミラーシステムです。 このミラーシステムは覗いた正面にきれいなシンメトリーを見せることができます。 正面に均整のとれた映像を見せるには、、いくつかの工夫がありますが、カラディモスさんの場合は、いつもこのミラーシステムで、そのためにコーン型の作品が多くなっています。

オブジェクトセルにはランプワークによるガラスオブジェクトや、手作りのドライアンプル(ガラスアンプルの中にガラスの粒が入っています)が組み込まれて、多様な色模様を生み出します。

無限にランダムな映像を生み出すのがカラディモスさんの万華鏡のすごいところです。 同じ模様は繰り返さないのが万華鏡ですが、彼の映像の多彩さは、もっともそのことを見せてくれます。 同じ作品でもガラッと雰囲気が変わり、まさに「千変万華」・・・次はどんな模様が現れるのか気になります。

オブジェクトの面白さに加えて、背景の色にも注目です。柔らかい色味の上にオブジェクトが模様を作っていますね。 「アンビエンス」やこの「アンビエント」の特徴です。 オブジェクトセルを回転させると、映り込んでくる色も変化します。

《 背景の変化 × オブジェクトの変化 =無限の組み合わせ 》  ということになるでしょうか?

基本的なスタイルは変えずに創り続けるのは、ある意味、勇気のいることではないでしょうか。多くの人が称賛する万華鏡作家であるのは、彼の創る作品の完成度が高いことによると思うのですが、ご本人にとってはまだまだ先を目指しているのかなあと思ったりもします。

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ふたつの魅力

2014-01-05 22:10:41 | 万華鏡ブログ

2014年の最初にご紹介するのは、Kiry さん(桐林恭子さん・亨さんご夫妻)の新作「ポーラ」です。 アクリルを素材としていろいろな万華鏡を製作なさっている作家さんですが、手持ち型の小ぶりなシリーズは軽くて持ちやすく、滑らかな手触りで、とても覗きやすい万華鏡です。

この作品の新しいところでありチャームポイントでもあるのは、その映像です。 オイルセルの中にはバーナーワークによる繊細なガラスオブジェクトがパステル調の美しい色合いを見せています。

オイルの中で流れるように変化し続ける美しい曼荼羅映像にうっとりとしてしまいます。
 
オイルセルの背景は一見黒いのですが、実は透明で、先端から光を当てると映像の質が全く変わります。

背景が急に色づいて、透き通った色模様に変化するのです。

その秘密はオブジェクトセルの中にありました。 よく見ると無色透明なオブジェクトが入っています。 この偏光素材と偏光フィルターを組み込んでいるので、真正面から光が入ってくると、このように重なり合いが色の違いを生み出します。

光の取り入れ方や強さにより、偏光フィルターの働きが強く作用したり、しなかったりするために、ガラスオブジェクトの見え方も違ってくるのです。 偏光素材とガラスオブジェクトの二つの要素を、覗く人が調節しながら楽しめるのが魅力で、新しいなあと思いました。

2014年も万華鏡のこと、万華鏡作家さんのこと、ブリュースターカレイドスコープソサエティーのことなど、書いていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願いいたします。


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