万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アルケミスト

2017-12-15 14:47:31 | 万華鏡ブログ

このブログでも何回かご紹介してきた小嶌淳さん・喜多里加さんの「アルケミスト」です。 シリーズ作品としてたくさん制作されてきたに違いないのに、毎回新鮮さを感じます。ご存知の方も多いかもしれませんが、陶器の筒を作るのが喜多さん、鏡とオブジェクトセルを担当するのが小嶌さんです。今回の筒は新しいデザインで、花を描いてあり金彩が華やかさを添えています。

今回の「アルケミスト」(小)は、長さ約10㎝の作品ですが、迫力のある映像です。淡いブルーに紫色、緑色、金色で花がたくさん咲いています。

2ミラー4ポイントです。ミラーシステムの第3面にフィルムを貼っているので、オブジェクトの色がオーラのように広がります。
 

金属性の輝きはダイクロイックガラスを加工したオブジェクトによるものです。光を当てるとさらに輝きます。

「アルケミスト」(中)は長さ約13㎝です。 

模様を削り、彩色し、金彩を施した独特の質感のある陶器です。
この作品は2ミラー6ポイントの映像が展開します。

マンダラ模様の周りを飾る幻想的な輝きと、オブジェクトの一つ一つが持つ深い輝きがともに響きあって、強い印象を与える作品です。 オイルの流れが生み出す映像の変化は滑らかで、その動きに吸い込まれそうな気持ちになります。

京都での万華鏡世界大会ではアメリカの会員の方にも作品を見ていただく機会となり、高い評価をいただいたお二人の作品は海を渡っていきました。これからがますます楽しみです。 

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空華(くうげ)

2017-12-01 22:34:12 | 万華鏡ブログ

赤津純子さんの最新作をご紹介します。 毎年12月に開かれる銀座の松屋デパートでの個展のために作り上げた「空華(くうげ)」という作品です。 四角い筒型のすっきりとした姿ですね。
ステンドガラスですが、ハンダの盛り上がりがなく、軽やかな雰囲気に仕上がっています。
今回はオイルセルの作品に挑戦しました。 デリケートで繊細なオブジェクトは赤津さんらしく、バランスの取れた映像美を見せています。

「オイルタイプであることで時の流れや物語を感じる作品にしたい」という思いを込めて製作なさったそうです。 「映像が変化する様子を心が精密にたどっていける速さになるように、オイルの濃さもそれぞれ確認している」とも。

「空華」とはもともと仏教の言葉ですが、空中に舞う花々のイメージと変化する幻のような華を重ねてタイトルにしたそうです。「美しい万華鏡の映像も幻であり、現実の世界もまた常に変化する幻。 幻は幻のまま真実でもあって、日常の分別心をひととき脇に置いて、ありのままの映像に心を休ませるのもいいなあ」と自分と覗く人に思いを馳せながら製作なさいました。

オイルセルなので、動きこそが肝心なわけですが、細かいパーツで余白のある映像を目指し、いろいろ試行錯誤なさってセルの大きさ、オイルの濃さの選び方に苦心なさったそうです。 オブジェクトが繊細で小さいので、オイルの抵抗を量りながらパーツを決めるのに時間もかけました。背景や光の入り具合などを考え、オイルセルならではのパーツの組みあわせにも配慮して制作しました。

オイルセル製作の技術は中里保子さんや細井厚子さん、佐藤元洋さんから教えていていただいたとのこと。 万華鏡は多種類の素材や技法が組み合わされて作品となりますが、新しいことへの挑戦や可能性がその分あるわけで、作品の形になるまでに時間をかけてその土台作りをすることになります。 そして多くの作家さん同士、教えたり教えられたりしながら技術や経験を蓄えていくことが結構あります。 そんな様子を見聞きすると、私としては嬉しく、またうらやましく思うことが多いです。

このような経緯で生まれてきたこの作品、赤津さんはオイルタイプ挑戦のスタートとして納得のできる一つの答えを出されたとおっしゃっています。 こだわった時間の流れはこのブログではご覧いただけないので、ぜひ足を運んでご覧になっていただきたいと思います。

赤津純子作品展
2017年12月13日(水)~19日(火) (最終日は午後7時まで)
松屋銀座7階 和の座ステージ
会期中の営業時間 午前10時~午後8時  12/15~24は午後8時半まで。
電話 03-3567-1211(大代表)

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