アイディアがとてもユニークで、しかも万華鏡としてとても楽しめる高品質な作品をいくつも創り出してきたトム&キャロル・パレッティー夫妻の「バブリシャス」という万華鏡です。
革を巻いた筒、きれいに仕上げられた木部と金色に輝く真鍮を組み合わせた造りはお馴染みですが、オブジェクトがとてもユニークです。
よく見るとオブジェクトセルはオイル入りです。パレッティー夫妻にしては珍しいですね。しかもとても大きい!
そして2段になっています。
カラフルなオブジェクトの入った部分は下の段です。背景が透明なので、光を通して美しいダイクロイックガラスを中心に色鮮やかな組み合わせです。
上の段に入っているのはシリコンオイルだけです。 透明なセルの中にめぐらせた「ネットワーク」(透明な仕切りによってたくさんの袋小路のようになっています)によって、オイルが動くと泡が生まれるのです。 そしてその泡の作り出す無色のライン模様とダイクロイックガラスの生み出す色模様が重なって、なめらかな動きのある美しい色の競演が目の前に展開します。
セルの大きさがかなりあり、オブジェクトも多種類含まれるため、ミラーの向こうに映りこむ部分によってまったく違う色模様になるのです。 その上に重なるオイルの模様も、粒のような泡だったり、大きな泡だったりで、映りこみ方が違うのも面白いです。 すごいアイディアです。
泡の効果を高める見方は、オブジェクトセルを180度回したところで、止めて流れにまかせて見ると良いそうです。
映像の周りがスカラップ状になり、ミラーシステムの第3面の溝を彫った木目が広がるように見えるのは彼らの作品の特徴です。
滑らかなオブジェクトセルの回転、クリアな映像、きれいな造りなど変わらない部分と、アイディアの新しさと、映像のきれいさ、ユニークさを兼ね備えた万華鏡として、多くの方に見てもらいたいなあと思います。
以前に「バブレッセンス」という作品をご紹介しましたが、この「バブリシャス」は、それと対を成す作品です。違うのはオブジェクトセルの背景が黒であるか、透明であるかというところで、それによって中に入れられたオブジェクトも異なっています。
どちらも「バブル」をオブジェクトにしたバブリーな作品です。