万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

冷たくてキラキラ・・・Frosty

2015-12-23 17:15:50 | 万華鏡ブログ

冷たくてキラキラした映像が素敵な、デュレット夫妻の「フロスティー」コスモが届きました。
ボディのつくりは「コスモ」シリーズと同様に、数種類の木材を組み合わせて作られています。

センターの飾りの部分が雪の結晶模様になっているところが 「フロスティー」の特徴です。
この模様は彼らの以前の作品、「スノーフレーク」Snowflake と 「ウィンターソング」Wintersong から実際に撮影した内部映像を木材にプリントしています。

もう一つの特徴は、セルの背景も、以前の冬バージョンの作品と同様に“フロスティー”な冷たい感じに仕上げていて、映像にブルー/パープル系の色味を加えています。 そしてオブジェクトセルには、これらの作品に数多く使われていた、キラキラとしたビーズなどのオブジェクトが入っています。

雪の結晶や霜をモチーフとしたデュレット夫妻のカレイドスコープはとても人気があって、過去に制作したものにはなかなかお目にかかれません。 その雰囲気をまた味わえる今回の「フロスティー」コスモなので、とても嬉しくなりました。 3ミラーシステムで、とても大きな映像展開です。

発光するようなビーズやライムストーンをちりばめたボール、金や銀の細工などデュレット夫妻ならではのオブジェクトです。

このダイナミックな感じはやっぱりアメリカンカレイドスコープだからでしょうか。
冬の美しさを楽しんでと願う、デュレットさんの想いが伝わってきます。

 

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夢の滴 

2015-12-18 11:54:46 | 万華鏡ブログ

万華鏡作家として大活躍なさったのに、なぜもう製作なさらないのだろうと思う方がシェリー・モザーさん。 その過去の作品がご縁があって私のもとに届きました。 
シェリー・モザーさんは私がカレイドスコープの世界を知るずっと前から、つまりカレイドスコープルネッサンスの初期の頃から大活躍なさっていた作家さんで、レジェンドとも呼べる方です。
のちに語り継がれるような画期的な作品をいくつも生み出してきた作家さんで、今となってはあまり作品を見ることができないのが残念でした。 
彼女は今でもBKSの会員として毎年コンベンションでお目にかかります。 みんなが彼女の作品をまた創って欲しいとお願いするのですが、実現に至ってはいません。 でも素晴らしいガラスの技術、表現力を活かして、それはきれいなガラスジュエリーの作家さんになっています。

今日ご紹介するのは1990年から製作していた「Dreamdrops ドリームドロップス」という限定版の作品です。 この頃タイトルに「Dream」をつけた作品が多かったようです。 作品には名前と ’01と35/100 という数字が彫られていますので、2001年の製作ということが分かります。

ドリームドロップスというのは、夢の滴という感じでしょうか。 ベーカーさんの本でも紹介されている、あの美しいガラスオブジェクトがたくさん入っている大きなオイルセルです。 ハンダの装飾も彼女らしい表現です。

美しく仕上げられた一つ一つのオブジェクトが見えています。 ランプワークで作られたオブジェクトにペイントを施したものもあります。ダイクロイックガラスの輝きも美しいです。

こんなにきれいなオブジェクトですから映像が美しいのは想像ができますが、覗いて見てびっくりしたのは想像以上の映像表現でした。
この作品は2ミラーですが、見える映像がとても立体的なのです。 覗き口が大きく、つまりミラーシステムが大きく、両目で見られて、凄い迫力があります。 オブジェクトセルは薄いのですが、大きくて奥行きのある美しい映像です。 いつもの癖で片目で見たら気付かない発見です。
2ミラーの作品で、このような映像はめったに見ることがありません。 

カメラは両目で見る映像とは違うので、正しくお伝えできないのが残念ですが、想像力を働かせてご覧ください。

どうして立体的かというと、ミラーシステムの先端が斜めにカットされているからだそうです。

夢の滴が生み出すインパクトのある映像を、今のシェリーさんならどんなふうに作るだろうと思わずにはいられません。 

いろいろなミラーシステムが考案され、現代技術が駆使されてカレイドスコープの世界の広がりがある中で、過去の作品にもまだまだ凄い魅力があったことを教えてくれた作品です。 
ベーカーさんが最初に書いた万華鏡本を見ていても、もう見ることのない魅力的な作品が多数存在していたことに驚きますが、あらためて万華鏡の200年の歴史を思い、カレイドスコープルネッサンスの30年を思います。 そして、カレイドスコープの魅力が失せることなくいつまでも続きますようにと願っています。

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光の贈り物 2015

2015-12-11 22:32:34 | 万華鏡ブログ

毎年この時期に待ち遠しい赤津純子さんの作品展があります。 12月9日から15日まで開催中の松屋銀座店7階、遊びのギャラリーに伺いました。

今年、初お目見えした作品は「玉箒(たまははき)」です。 酒器の片口を模した形で手のひらに載るほどの大きさです。 玉箒とは 憂いを払う箒にたとえて、お酒を意味する言葉。 みずみずしさを美しいブルー系ののガラスで表現しました。注ぎ口にあたるところが覗き口です。
斜めに組み込んだミラーシステムの先に展開するのは、赤津さんらしい、軽やかで繊細、やさしいけれどきりりとした雰囲気の映像です。

立方体を重ねた一番小さな作品は 「凸 (とつ)」です。 これも3ミラーが組み込まれています。
細いラインを描くオブジェクト、 転がるように動く小さな粒状のオブジェクト、色も厚さも薄くて、重なると色のグラデーションが生まれるオブジェクトなど、これほど小さな中に込められた、作家さんの想いが伝わってきますね。

 赤津さんのもうひとつの定番作品はフェルトの万華鏡です。 ほっこりとした、可愛らしい万華鏡ですね。 グラデーションがきれいに出た作品です。

手に取るととても軽い。 でも丈夫にできています。
そんな中からいくつかの映像をご紹介しますね。 背景が白なので明るい雰囲気。

マスキングという技法で、2ミラーの映像が繰り返されるような3ミラーの模様です。

 

2ミラーの映像も個性的です。一瞬一瞬を全部記録しておきたくなります。 

空間があるからこそのきれいさ、清々しさが赤津さんの映像の特徴なのかなと思います。 

こちらはテレイドスコープ 「とと」 です。 フェルトの色がミックスされているところが新しいです。

他にも作り続けてきた作品が展示され、在庫がなくなったものでも、注文を受けてくださるそうです。
赤津さんの丁寧な手作りの作品は、ほかにはなかなか見る機会も購入のチャンスも少ないので、興味のある方はぜひ、この機会に覗きにいらしてください。

壁面には作品の内部映像をご自身で撮った写真が飾られていましたが、それらもすごくきれいでした。 映像表現をとても大切にしている赤津さんの姿勢を感じさせる展示でした。

会期 2015年12月9日から15日 
営業時間 午前10時から午後8時まで。 12日から15日までは午後8時半まで。
       ただし、
最終日17時閉場。
松屋銀座7階 遊びのギャラリー   

 

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サウスウェスト・スピリット  Southwest Spirit

2015-12-09 16:13:45 | 万華鏡ブログ

今日はチャールズ・カラディモスさんの最新作シリーズから 「Southwest Spirit サウスウェスト・スピリット」をご紹介します。 「スピリットシリーズ」の特徴は、色模様のあるアートガラスをボディーとオブジェクトセルの背景部分に使っていることで、各8点とか、10点とかの限定版制作です。 しかも同じシリーズの中で使っているガラスは同じでも、模様の出方やボディーのラインなど、同じものはありません。

「サウスウェスト・スピリット」の特徴は、色の流れるユニーク模様のガラスと白いガラスを、細い帯状のガラスで繋ぐデザインをフュージング(ガラスを重ねて窯で焼く技法)で生み出し、さらにクリアなガラスをかぶせたうえで、スランピング(型にガラスを被せて窯で成形する技法)で半筒に焼きあげます。 ハンダで繋ぎ、ボディーが完成。 そして背景も同じ模様のあるガラスを使ったオブジェクトセルをつけます。

かなり濃い色に見えますが、これを背景にすると、映像にソフトな色合いが生まれます。

2ミラーの逆テイパードミラーシステムから、シンメトリーの美しい、9ポイントの映像です。くっきりとしたオブジェクトの背景のソフトな色模様が、このガラスから生み出されます。

オブジェクトは外からは見えませんが、とても細かいはずです。 20度に組まれたミラーの間に現れて、細かく繊細な表情を映し出すには、それに合った細かさが必要とされるからです。

透明なガラスアンプルの中に粒状のガラスを入れたオブジェクトは、この作品にも使われています。

実際の目で見ると、映像の繊細さは写真以上、驚くほどです。 経験に裏打ちされた技術の積み重ねと、オリジナルの映像へのこだわりが凝縮された映像表現です。

 

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10年前の記録  Kaleidoscope Reflections

2015-12-06 21:45:32 | 万華鏡ブログ

今日は10年前の2005年に開かれた Kaleidoscope Reflections 20周年記念万華鏡展
について当時私の書いたレポートです。

来年(2016年)は同じこの場所で、万華鏡が発明されてから200年を祝う万華鏡展が開かれます。
カレイドスコープルネッサンスの実際を見つめてきた場所であり、多くの作家にとっての“始まりの場所”ともなったこのストラスモア・・・そして私にとっても大きな意味を持った「20周年記念万華鏡展」でした。

メリーランド州 ノースベセスダ、ザ・マンション・アット・ストラスモアにて開催中

2005年9月8日~10月15日

 日本でもすっかり知名度を増してきたアート万華鏡。そのアーティスティックな姿や形、素材の面白さ、同じものにはめぐり合えないという中の映像の変化と美しさ、はかなさの魅力が多くの人の目と心を奪ってきました。シンメトリーと調和の及ぼす影響でしょうか、癒しの力を持つとも言われています。
カレイドスコープルネッサンスを興した万華鏡界のファーストレディーと呼ばれるコージー・ベーカー女史は、息子さんを事故で失った後、その心の傷を埋めることが出来る美しいものを捜し求め、万華鏡に出会いました。今あるものが壊れた瞬間から次なる美しいものが生まれていく万華鏡の映像に神の意思を感じ、悲劇の中から再出発する自らの思いを重ね合わせたのです。

 

 (1985年のポスターの写真)

その彼女が今から20年前、1985年にキュレーターとして、世界で最初の万華鏡展"Through the Kaleidoscope スルー・ザ・カレイドスコープ"展を成功させました。
同じストラスモアホールアーツセンターの場で2005年9月、それからの20周年を記念する万華鏡展 "カレイドスコープリフレクションズ" が開かれています。コージー・ベーカー女史の後を継いで、ザ・ブリュースターカレイドスコープソサエティーの運営を担う3人のアーティストが中心となり、公募展という形で国内外からの作品を募集しました。

日本からの3名を含む53名の作家の作品が展示され、それらの作品はすべて、手を触れて中を覗くことができるようになっています。

 (参加アーティストたち)

 初日の9月8日の夜、20周年記念万華鏡展の開催を皆で祝う集いがありました。参加アーティスト、コレクター、万華鏡ショップの人などがホールに集まり、ベーカー女史や、シェリー・モザー、チャールズ・カラディモス、キャロリン・ベネットを中心に20年の歴史を振り返り、大きく花開いたカレイドスコープルネッサンスの現状とこれからの展開に思いを馳せました。
1985年当時参加したアーティストは40名、そのうち今でも製作を続けているのが9名、その後時代の流れを反映しながらさまざまな素材で作る作家が登場し、技術的にも進化・多様化してきました。そして今、万華鏡界はアートのひとつの形態として認知されるために更なる進化と充実を求められ、新しいアーティストの誕生を待っています。

参加部門は3種類に分かれています。

1.カレイドスコープ

2.ジュエリー(アクセサリータイプの万華鏡)

3.カレイドスコープ関連アート(キルト、刺繍、絵画、写真など)

 

公募展の審査をしたのは、トニー・グランダーというガラスアーティストです。

53名の作家の作品が入選し、ひとり1-3点の作品が展示されています。

大賞のほか、それぞれの部門でさらに授賞作品が選ばれています。一点もの、限定版の作品、オープン製作(注文に応じていくつでも作れる)の作品が混在していますが、展示作品はいずれも販売価格が提示され、購入も可能です。

受賞者

大賞 ポール&スーザン・ノックス 〝Panacea Parlor Scope″



カレイドスコープ部門
第1位 マーク・ティクル&スーザン・ランドグレン  〝Darwin″

第2位 チャールズ・カラディモス  〝Classic #7″

  
              

アクセサリー部門

第1位 デボラ&ケヴィン・ヒーリー  〝Rocket Series #7″

                     

万華鏡関連平面アート部門
第1位 アリソン・トランテルマン  〝Mandal 212″
第2位 ローラ・サンダ  〝Cross Stitch Interpretation of Fire Cone Image″



佳作

モニカ&カール・ユリッヒl 〝Jules Projekt: Karleidoskop Nr. 35″

                      

ペギー&スティーブ・キテルソン  〝Triangulations″

                                              

 
ランディー・ナップ 〝Fruit of the Forest”

               

 
シェリー・モザー       〝For Kandinsky II″

  


ジョーン・バゼル        〝Crystal Wysteria″

                        

その他のすばらしい展示作品の数々

               

                      (コーキー・ウィークス) 

                      

                            (中里保子)

                 

                        (スティーブ&ペギー・キテルソン)

                 

                          (スー・ロス)

                       

                          (ジョアンヌ・ジェイコブス)          

  

                  

                            (展覧会場の建物)

この施設は広い敷地の中に2005年にオープンしたばかりのコンサートホールと古くから保存されているザ・マンションと呼ばれるレンガ造りの建物があり、地域の文化活動の拠点として多くのボランティアにも支えられながら、さまざまな芸術活動を楽しむ場として市民に利用されています。

1985年の最初の万華鏡展からさらに4回の万華鏡展がこの場で開かれています。今回の1ヶ月以上に及ぶ万華鏡展のために、万華鏡の基本的知識を覚え、来館者のために活動するボランティアの方々の献身ぶりにもアメリカ人の国民性を見た気がしました。

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 2016年4月23日から6月5日まで開催予定の 「200年記念万華鏡展」は公募展です。
どなたでも挑戦できます。
応募要項をご希望の方は info@kaleidoscopes.jp までお問い合わせください。 2016年2月15日がオンラインエントリーの締め切りです。

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