万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

梅の花の季節に

2007-01-26 10:55:03 | 万華鏡ブログ
早咲きの梅が見ごろだと新聞で読みました。梅の花の奥ゆかしい美しさを感じるこの作品は、中村明功さん、あや子さんご夫妻の作品です。手のひらサイズの作品を見ると愛着を感じ、心惹かれていつの間にか小さなコレクションになりました。日本の作家さんは、季節感を表現するのが上手ですね。器や飾り物など何気なく季節によって置き換えて楽しむ、そんな場所に万華鏡も置かれていたら素敵だなあと思います。たとえば梅の花の一枝を添えて。
和紙に描かれた梅の花の色合いに合わせて選ばれたガラスオブジェクトは外部デザインとしての重要な部分で、赤、白を中心に、万華鏡全体に統一感を感じさせるものですが、真っ白なオブジェクトというのが新鮮な印象でした。細くてくねくねと曲がっているバーナーワークによるオブジェクトも絡み合いそうでありながら、オイルの中を緩やかに動き、2ミラーシステムを通して見ると大きな曼荼羅映像となって変化します。光をたくさん通し、明るくやわらかい印象の映像です。
装飾はんだも細かく、その色も古風な感じに仕上げられているので、春の和歌を思いました。東風吹かば匂ひおこせよ梅の花・・・・万華鏡を覗いたときに思うことは人さまざま。作家さんの思い、見る人の思い、その時々の思い・・・いずれにしても心に響き、精神に働きかける万華鏡、優しい気持ちにしてくれる万華鏡などみんなに見てもらいたい、感じてもらいたいとますます強く感じるこの頃です。
このブログを書き始めてもうじき1年になります。読んで下さっている方々、応援してくださっている方々、ありがとうございました。
2月の初旬までしばらくお休みいたします。

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大槻敏男さんの万華鏡「ファンタジア」

2007-01-25 07:02:43 | 万華鏡ブログ
静岡、駿府匠宿での万華鏡展から大槻敏男さんの「ファンタジア」をご紹介します。ガラスに金箔を施し、木部を黒と赤の漆で仕上げた和風のテイストを表現する作品です。万華鏡制作歴5年だそうですが、IKA展や日本万華鏡大賞展など公募展での受賞暦があり、いろいろなテーマに挑戦なさりながら、その技術を磨き、独自の世界を築いていらっしゃいます。2005年受賞作「青の洞窟」という作品を発展させたものがこの「ファンタジア」だと思いますが、大変しっかりした造りで、ガラスの筒がオブジェクトセルとともに滑らかに回転します。ミラーシステムと外の青い筒との間も視界に入ってオブジェクトセルが見えるところも面白い造りだと思いました。ミラーシステムは完全に閉じていないので、周囲の青いガラスを取り込んで、9ポイントの曼荼羅映像を中心に、美しくユニークな映像を展開します。
昨年のIKA展では「プラネット」という作品を拝見しましたが、こちらもダイなミックで深みのある美しい映像展開が印象的でした。
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雪うさぎの万華鏡

2007-01-23 17:57:55 | 万華鏡ブログ
手作りのぬくもりのある「みずあめや」さんの「雪うさぎ」という小型万華鏡です。見つけたら手に取りたくなるような可愛らしい雰囲気を伝えている万華鏡ですね。手のひらに載るほどの小さな作品ですが、バッグにしのばせてどこにでも持っていける大きさ、しかもしっかりと守ってくれる着物地の巾着に入っているので安心です。
みずあめやさんのご姉妹は、和をテーマにいろいろな図案でデザインなさっていますが、定番として安定して作れるようになるためには、多くの試行錯誤を経てやっと一つの作品として実現すると伺いました。ガラスは色や種類により加工にふさわしい温度が違うため組み合わせ方に工夫が必要なこと、色を重ねる段階でもガラスとガラスの相性があり、デザインにふさわしい思ったような色を出すまでに何度も実験をしていること、ガラスの粉で描いて熱で融かしつける技法だとまっすぐな線が出しにくいことなど、いろいろ困難なところがあるようですが、一つずつ解決しながら、このような細かい表現を小さな作品の上で実現しています。
オブジェクトセルの中にはオイルと、細かいビーズやガラス片がぎっしり。生み出される映像は、赤を中心にピンク、白、ブルー、グリーンなどが入り混じり、やさしい雰囲気の色模様を展開します。ワンドを水平にしたまま、回したり左右に動かしたりして映像の変化を楽しむ作品です。
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黒と白の万華鏡映像

2007-01-22 21:53:51 | 万華鏡ブログ
今日は万華鏡としては珍しい白と黒の映像です。白黒写真ではありません。コーキー・ウィークスの「バラエティー」という作品(2006年6月15日にご紹介)で、オイルタイプのワンドオブジェクト3本を交換して楽しむ万華鏡ですが、1本のワンドが半分に区切られていて、全く異なる色合い、形、素材のオブジェクトが中に入っているので、映像展開も全く雰囲気が違ってきます。そのひとつがモノトーンに徹したオブジェクトを選んだものです。どこで探してくるのかと思うような黒と白を組み合わせた小さな造形の数々ですが、縞模様、ドット模様などいずれも映像となって映りこむと本当に面白く、美しい見え方をします。コーキーさんの万華鏡は、さすが先駆者だけあって、いろいろと新しいスタイルを生み出してきました。それぞれ見どころや工夫があり、お手本となるような作品も多いのですが、オブジェクトの選び方も大きなポイントです。学ぶところが大変多いと思います。実はこのオブジェクトセルは黒と白と銀の色で構成されているのですが、ひとつだけ赤いガラスオブジェクトが入っています。黒と白の世界に時折見え隠れする赤というのも面白い効果です。
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明るくきらびやかなダズル万華鏡の映像

2007-01-21 22:22:00 | 万華鏡ブログ
しばらく日本人作家さんの万華鏡をご紹介してきましたが、今日はシークレットガーデン工房のデュレット夫妻のダズル(2ミラー)の映像です。 このダズルはオープンエディション(限定版や1点ものでなく、いくつまで作るか決めない製作のスタイル)で、もう終わりにするかもしれないと作家さんが言っていたにもかかわらず、人気があるために、まだ製作が続いている万華鏡です。
ダズルには、2ミラーシステム、3ミラーシステム、リピートサークルイメージ(2006年4月11日紹介)という3種類の見え方がありますが、いずれもきらめきと輝きと深い色合いの映像が魅力的です。特に、オイルセルの中の発光するガラスビーズと、バーナーワークによるダイクロイックガラスのピースの組み合わせがこの映像のポイントです。アメリカ人らしい映像かなと私が思うのは、彼らの万華鏡を見て感じる、この底抜けの明るさ、華やかさ、きらきら感です。
ボディーは旋盤で形作られたカーリー・メープル材を使っています。地元ワシントン州オリンピアの森林から倒木を使い、自然のままの色合いで仕上げたもの、染料で染めたものなどシンプルな形状ながらいくつかの色合いのバリエーションがあります。動詞なら、目を奪う、目を眩ませるという意味もある「ダズル」万華鏡を覗いて幻惑させられてみてはいかがですか?心を引き立て、元気にするような映像です。
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漆の美しい万華鏡

2007-01-20 22:32:21 | 万華鏡ブログ
日本の伝統工芸である漆芸と螺鈿細工による溝口好晴さんの万華鏡をご紹介します。漆の表情、螺鈿の模様がとてもきれいです。最初にこのような作品を拝見したのは2005年仙台万華鏡美術館主催の3センス万華鏡展でした。木部の覗き口には、香木を使い、内部で鈴の音がする作品でしたが、「和」を強く意識した作品が印象的でした。
この作品は特殊な3ミラーシステムで、内部に満開の桜の花の映像が展開します。
この姿を見て万華鏡と分かる人はいないかもしれませんが、鼓の形が美しいですね。溝口さんの作品は、オブジェクトセルやアイピースなどの部品の選び方、組み込み方が自然ですっきりとした姿になっています。中央がくびれているので中を覗くときに持ちやすいですが、万華鏡に創り上げるのは難しそうに思えます。
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若林寛さんのオルゴール万華鏡

2007-01-18 18:33:18 | 万華鏡ブログ
駿府匠宿の万華鏡展で拝見した若林寛さんの「オルゴール万華鏡」です。素材の使い方がとても斬新で印象的でした。貝殻の美しい光沢が、渋い色合いの金属にとても映えます。若林さんの作品は以前(2006年8月6日)にもご紹介しましたが、大型で、面白い仕組みやからくりの万華鏡を製作なさっています。今回の作品はそれに比べると小さな作品ですが独特の雰囲気がありますね。筒の先のトレイを回すとオルゴールのねじを回した状態になり、その回転が戻る動きでオルゴールを鳴らしオブジェクトのトレイを回転させます。それを万華鏡を通して覗くのですが、オルゴールの音と万華鏡映像は不思議と合うのです。
若林さんは大学時代に機械と美術を学び、その後、ご自分の工房でおもちゃや科学博物館の機構原型、テーマパークのキャラクターの原型などを作る傍ら、万華鏡に出会い、さまざまな技術を駆使し、造形や仕組みを考案しながら、独自の世界を展開なさっています。「万華鏡は覗くということがポイント。能動的な癒しです。」とおっしゃっていますが、見る人を巻き込んでいくようなエネルギーを感じる作品が多いと思います。軽井沢のワールドトーイミュージアムの万華鏡コーナーにも作品が展示され、万華鏡の面白さを紹介なさっているそうです。
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染め木万華鏡

2007-01-16 19:19:48 | 万華鏡ブログ
豊田万里さんの個展で、コラボレーション作品として展示されていた「染め木」の万華鏡です。木製の万華鏡はいろいろあり、作家さんの個性が表現されるところですが、この染め木というアートが万華鏡のボディーに趣のある新鮮なデザインとして印象的でした。染め木とは楠や桐、ケヤキなどで造形した作品を、草木を煮出して得られる染液で染め上げる技法だそうです。木材の種類により違った色合いになります。自然の草花を表現する絵柄は樹木(ハゼノキ)から得られる蝋を使い、ロウケツ染めの手法で表現します。長い年月のうちに、人の手に触れられることによって、色や艶などに変化があるとのこと。そんな味わいを楽しみながら万華鏡を覗いてみると、内部は少し変わった3ミラーシステムが生み出す曼荼羅映像の重なる景色が見えます。新しい試みだけに内部映像にも何か新鮮さを表現しようとする作家さんの意図が見える作品です。
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豊田万里さんの万華鏡展から・・内部映像

2007-01-14 18:25:11 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介した豊田万里さんの作品の内部映像です。もともと身につける万華鏡に興味があり、オリジナルのデザインで製作なさっていましたので、その小さなオブジェクトセルの中に、きれいで他とは違う万華鏡映像を生み出す工夫をしていました。この写真は手持ち型の作品の映像で、変化するほんの一瞬を切取ったものですが、とても魅力的な映像展開でした。アクセサリータイプとは違う大きなセルを活かすためのオブジェクト創りのさまざまな工夫があり、イメージを演出するために果敢にトライする若々しさ、瑞々しさを感じます。バーナーワークによるガラス細工、ガラスビーズを繋いだもの、細い金属のワイヤー細工、繊維、ホログラフィック素材というのでしょうか、表面がきらきらと変化する素材などなど、うまく混ざり合うように、あるいは混ざり過ぎないようにバランスを考えてオブジェクトセルを構成なさっています。外から良く見えるオブジェクトなので、セルの両脇に飾りについたダイクロイックガラスと合わせて、色のイメージは浮かぶのですが、素材の面白さから思いがけない映像となって見えるのが楽しいです。昨日書き忘れましたが、この作品展は国立駅から徒歩3分の「アートの庭」で1月21日まで開催中です。電話 042-573-7555 
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豊田万里さんの万華鏡Jewels

2007-01-13 22:26:03 | 万華鏡ブログ
「豊田万里の世界 万華鏡Jewels」は豊田さんの初個展だそうで、どんな作品を拝見できるか、楽しみにお邪魔しました。“万華鏡を、アート感覚で楽しむアクセサリーとして創作する作家”というご案内でしたが、ネックレス、チョーカー、ブレスレット、リングというさまざまなアクセサリータイプだけでなく、手持ち型の万華鏡や2006年アメリカのザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティー・コンベンションに出品なさった「コクーン」という作品、3センス万華鏡コンテスト出品作品なども展示され、また彫金の作家さんや染め木の作家さんとのコラボレーション作品など、着実にその世界を広げていることを見せてくれる個展でした。
この写真の作品は手持ち型の新作で「蝶」をモチーフとしています。渦巻き模様の細工はお得意とするところですが、手前の方にあしらわれている蝶のデザインがお分かりになるでしょうか?ステンレスを素材としながら、しなやかな曲線で草木や蝶などの自然を表現しているところが、アールヌーボーの世界にも通じるような気がしました。その内部映像はまた次回にご紹介します。
Comments (2)
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