万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

万華鏡に生かすというチャレンジ

2013-04-28 20:53:07 | 万華鏡ブログ

このところ体調を崩してしまい、予定していた万華鏡展にも行けず、ブログの更新もままならない状態でした。 そんな時はお気に入りの万華鏡を覗ければいいのですが、効き目の左目の具合が悪くてどうも楽しめません。 こんなこと、本当に初めてのことで、戸惑っています。 

今日は中里保子さんのKatagamiシリーズの一点をご紹介します。 
着物の染色のための伊勢型紙は、デザインの宝庫。 古典的な柄からモダンな柄までいろいろあって、万華鏡のデザインに「生かす」ことに中里さんはチャレンジしています。 
細かく可愛らしい小花の散る模様を使ったこの作品は、型紙の下にさらに和紙を置いて、切り込まれた模様から少し色味が見えています。

サイドにも花模様のような質感のあるガラスを使って、趣向をこらしています。

装飾ハンダも型紙の雰囲気に合わせて、古びた落ち着いた色にしています。 ハンダはそのままだと銀色ですが、ステンドガラスの万華鏡で、外観に合わせて色を施すことをパティーナと言います。
ここも作家さんの個性の出るところですから、万華鏡をご覧になる時にちょっと注意してみてください。

この万華鏡でさらに魅力的なのは、このオブジェクトセルです。 透明なオイルの中に浮かぶガラスオブジェクトがとてもきれいで、惹かれました。 中里さんに伺ったところ、オブジェクトに使うガラスの種類にもこだわり、ひとつひとつ丁寧に創り上げたものだそうです。 伊勢型紙を使った作品、一つ一つ違うのですが、やはり伝統的な和の雰囲気にも合わせながら、現代万華鏡としての表現というところで、チャレンジなさっているんだなあと感じます。

17ポイントという細かい映像です。

写真では分かりにくいのですが、透明感があり、いろいろな色だけでなくガラスの質感までも重なり合うことで、美しい表情を見せています。 

中里さんのそんな製作スタイルを取材した番組が5月5日 18時55分から19時 日本テレビ「わたしのLifeOn」で紹介されるそうです。 時間をかけた取材にもかかわらず、短い放映時間なのが残念。ノーカット版で見たいなあと思ってしまいます。 でも楽しみです。

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「光の贈り物」 赤津純子さんの万華鏡展 2013

2013-04-18 13:31:44 | 万華鏡ブログ

赤津純子さんから万華鏡展―光の贈り物―のご案内が届きました。 万華鏡映像をアレンジした、とても素敵な赤津さんらしいDMです。 赤津さんらしいというのは、明るさのある、繊細でやさしい感じでしょうか。 心を浮き立たせるようなご案内です。

白い背景に浮かび上がる映像は、すっきりと清々しいですね。 最近ではオブジェクトセルの背景に質感のあるガラスを使ったり、色模様のあるガラスを使うこともよくありますが、白い背景だとシンプルなだけに、オブジェクトの織りなす模様に集中できるのがよいとおっしゃる方もいます。

今日ご紹介している映像は、8ポイント。 薄い面のオブジェクトと細いガラスのオブジェクト、そして粒ガラスも映像のアクセントになっています。

DMの写真にあった4ポイントの映像にもとても魅力を感じます。

この万華鏡展は 4月20日から5月19日まで、仙台万華鏡美術館で開催されます。丁寧に創られた作品のひとつひとつ、どれも覗いてみたいです。 

 

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現代万華鏡への挑戦  Intertwined by Knapp studios

2013-04-14 23:23:33 | 万華鏡ブログ

ランディー&シェリー・ナップ夫妻の最新作 「Intertwined インタートゥワインド」です。 黒のアクリルと薄いウッドパネルを組み合わせたところが外観の特徴のひとつです。
2012年末に発表された「Second Wind series セカンドウィンドシリーズ」から試みている新しい万華鏡デザインのひとつで、何種類かの薄板と黒いアクリルを組み合わせたヴァリエーションがあります。 この作品はカーリーメープル材と組み合わせ、明るい木の色と黒とのコントラストが目を惹く作品になっています。
形も左右対称形ではなく、ユニークで現代的な作品になりました。

左右に付いているネジを緩めると、万華鏡は自由に動きますが、角度を決めてネジを締めるとパーラータイプとして安定感のある姿となっています。 シェリーさんによると、セルをまっすぐ下向きにすればタワーのように見えるし、セルを高くして斜めにするとバッタのようにも見えます。 飾るスタイルを自分で決められる万華鏡です。

写真からもわかると思いますが、セルがドーナツ型になっていて、回転方向が通常の彼らの作品とは違っています。 しかも2種類のセルは、一緒に回転させることも、別々に回転させることも可能です。

セルの回転部分の中央には、ローズエンジンという装飾用旋盤で彫り込まれた模様があり、映像の中に映り込んできます。 
赤やオレンジなど暖色系のセルは、中心部分で小さなマンダラ模様を創り、ブルー、グリーン、紫など、寒色系のセルは外側を飾ります。 ローズエンジンによる切り込みはその中間部分の模様となって映り込んできます。 それら3つの変化を組み合わせて楽しむ万華鏡です。

そしてそれら3種類の組み合わせが絡み合うという意味で、「インタートゥワインド」と名付けられています。 シェリーさんのこだわりのガラスオブジェクトが、外からよく見えるのも面白いです。 

長い万華鏡作家歴のあるナップ夫妻ですが、新しいことへ挑戦する気持ちにはいつも驚かされます。 外観のスタイル、オブジェクトセルのいろいろな可能性など新鮮味を表現しながら、2ミラーシステムの映像へのこだわり、長く楽しめる万華鏡の品質など変わらない部分もしっかり。
ある程度の数を同じ品質レベルで生み出すための工程は、彼ら自身で創り上げてきた大きな力です。 
この「インタートゥワインド」は製作番号付きのオープンエディション(注文があれば数に制限なく対応できるタイプ)です。

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ハナミズキ

2013-04-11 20:50:03 | 万華鏡ブログ

横浜では春の嵐が去って桜は散ってしまいましたが、萌え出づる緑に映えて可憐に咲いているハナミズキが新たな春の喜びをもたらしてくれる気がします。 
今日は日米のハナミズキの万華鏡です。 

日本からは中里保子さんの作品。 ガラスと金属の組み合わせが絶妙で、落ち着いた優雅な感じです。
何年も前のことでしたが、六本木にあった万華鏡店で、初めて拝見した中里さんの作品で、とても印象に残りました。 その作品から何代目かになるこの万華鏡は、今でも私の心をとらえます。

映像は独特のミラーシステムで奥が深く、たくさんの花が手前に浮き出て咲いているようです。

同じテーマ、コンセプトの作品でも中里さんの経てきた時間や経験が反映されて、少しずつ違った何かを見せていることでしょう。

アメリカからはペギー&スティーブ・キテルソンさんご夫妻のハナミズキです。

彼らのフラワースコープがとても好きで、ブログでもずいぶんご紹介してきました。 その中でも白地のガラスに白いガラスの花を咲かせたこの万華鏡は清楚な美しさがあると思います。

内部の映像も4ポイントで、花の姿に似ています。 



ハナミズキは100年前に日本がアメリカ(ワシントン)に贈った桜の木の返礼として、アメリカから贈られたという話を聞きました。 
そして日米の作家さんによって万華鏡になりました。 タイプの違う2つの作品ですが、それぞれに個性があり、多彩な花模様を見せています。  

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伝統工芸と現代万華鏡 中里保子さんの世界

2013-04-06 22:05:02 | 万華鏡ブログ

中里保子さんのKATAGAMIシリーズの最新作、「明」 です。 この作品は伊勢型紙を万華鏡デザインに生かし、アイアン作家の小谷中清さんの造形作品とのコラボレーションのパーラータイプです。 これは、卓上などに本体を置いたまま、万華鏡の中を覗いて楽しめるタイプの作品で、万華鏡本体が大きかったり、重かったりしたときには、持ち上げなくても覗けることが求められるため、このように 台座に載せた作品となります。
万華鏡と言うと、筒を持って回すしぐさが一般的な表現ですが、200年前にブリュースター卿が発明した当初から、万華鏡には、台や脚のついたものがありました。

筒を回さない代わりに、この作品はオブジェクトセルが滑らかに回転するようになっています。外からは見えませんが、ベアリングを組み込んでいるそうで、構造的にも工夫が必要だろうなと思います。 
先端のオブジェクトセルを回しながら、映像を楽しみます。

オブジェクトセルの背景にも型紙を使っているので、映像に映り込んでいますね。 ミラーシステムはテイパード3ミラーで、球面状の立体的な映像になります。
オブジェクトはバーナーワークで製作したガラスオブジェクト。 オイルセルです。
中里さんの作品が、アート作品として評価されるのは、造形デザインの個性もありますが、映像の色合いもとてもアーティスティックだからだと感じます。 ガラスの色の組み合わせには、意外性もある一方で、確かに「中里さんらしさ」があり、外観とあいまって、素晴らしい作品になっていると思います。

アイアンのスタンドは「明」という字を表し、使っている型紙は、大正から昭和初期のもので「光線」というそうです。 
「伊勢型紙」は、染色用具で、江戸小紋などの型染めに用いる型紙のひとつだそうです。薄い和紙を柿渋で貼り合わせ、さまざまな手彫りの技法で、模様を彫り抜いたものです。 千年以上の歴史があると言われ、伝統工芸として熟練した職人さんの手で創られてきました。 江戸時代におおいに発展し、浮世絵とともに海外に渡って、「ジャポニズム」として西洋の文化にも影響を与えたといいます。
その型紙を探し求め、万華鏡のデザインに取り入れてみたところ、その可能性の大きさ、面白さに中里さんご自身も驚かれ、その魅力に引き込まれたそうです。 

これらは手持ち型の作品です。 和風のモダンな空間にピッタリなデザインですね。

それぞれに違った映像展開です。

一つ一つの型紙と向かい合いながら、イメージを膨らませ、合わせるガラスや重ねる和紙、形、ミラーシステム、オブジェクトなどを選んでいく過程で、自分の創りたいものを追求する中里さんは、最後まで考えつづけ、その結果気に入った作品ができると、本当に嬉しそうに苦労話を話してくださいます。

日本の伝統工芸を生かした素敵な万華鏡。 作れば作るほど面白いと中里さんはおっしゃっているので、これからもさらに広がりを見せていくと思います。 

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