万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

麻衣花 という Cool Japan

2012-01-30 19:29:23 | 万華鏡ブログ

経済産業省による「クール・ジャパン戦略推進事業」というプロジェクトのひとつ、WAO cool Japan 工芸ルネッサンスプロジェクトに応募し、みごと審査を通過した沼尻のんさんの「麻衣花」という万華鏡をご紹介します。
モノ作り日本を応援するためのプロジェクトで、日本の工芸に取り組む多くの人から広く作品を募集し、一流アーティスト、クリエイターの審査を経て、ニューヨーク、パリでその入選作品を展示・販売するそうです。

Cool Japanを体現したモダンな万華鏡として認められたこの作品はいよいよ2月ニューヨークで展示・販売されます。 (2012年2月10日~12日  Capsule Studio 873Broadway  #204
New York にて)

追加情報 パリ 展示会 2012年3月4日~6日 Hall des Maréchaux, Les Arts decoratifs(パリ装飾美術館 マレショオホール) 107、rue de Rivoli 75001 Paris

2009年、IKA展(万華鏡の公募展)で最優秀賞を受賞し、作家としての道を歩み始めた沼尻さんですが、その時の作品が麻糸を巻いたモダンなデザインの、日本の季節を表す万華鏡の連作でした。 
万華鏡暦 と 映像

その後も素材を選びながら、現代的なデザインの作品を作りつづけていらっしゃいますが、今回の出品作は「和モダン」がテーマで シンプルな形です。 今回の「麻衣花」は、和の雰囲気を伝え、懐かしい感じがありながら、現代的な作品です。

今後の販売も視野に入れた小型の手持ち型の万華鏡で、麻糸の色とガラスオブジェクトの色合いで、一つ一つの世界を見せます。 筒全体を回して映像の変化を楽しみます。

ツートンカラーの本体は2色の麻糸を巻いていますが、 下の部分はナチュラルな色の麻糸、そして上の部分は染めた麻糸で、12色ほど用意されています。境目に金属のバンドを巻き、アクセントとしています。
日常的になじみのある麻糸がユニークな装飾となり、アート作品としての表情をしていますね。

2ミラーシステムを通して、6枚の花びらのような映像を生み出します。 一つ一つバーナーワークで創り上げ、繊細さを大切にしたガラスオブジェクト・・・ 外観の色とのコーディネートはもちろんのこと、日本人らしい繊細で優しい色味が特徴です。

 いろいろな光を当ててみると、また違った味わいの映像が生まれます。覗いている時間が癒しになるように・・・との作家さんの思いも伝わることでしょう。

日本の万華鏡を世界に発信していきたいと常々思っておりますが、このような機会があれば、さらに万華鏡とは縁のなかった多くの方にも見ていただけることでしょう。 嬉しい限りです。

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雪の結晶

2012-01-20 14:12:04 | 万華鏡ブログ

今日は初雪が降っています。そこで雪の結晶をテーマにした万華鏡映像を集めてみました。
雪の結晶はそれ自体が6ポイントのシンメトリーをなしていること、同じものがないけれど普遍であること、美しく、消えゆくものであること・・・など万華鏡の映像と共通する部分があります。 自然からのインスピレーションを得て、いろいろな作家さんが雪の結晶をテーマに作品を作っています。
誰の作品かわかりますか?(答えは最後に)

最初の作品はテーマに沿ってさまざまな万華鏡を作りだしている作家さんです。ビーズの使い方が上手ですね。

次は雪の結晶が形は同じながら色と輝きを変えて見える万華鏡です。
美しい深みのあるブルーの世界にうっとりします。

静かで透明感のある雪の世界ならこの作家さん! 手のひらに受けたとたんに消えていく淡さまでも表現しています。

色のコーディネートで季節感を出すこの作家さんは? オブジェクトのビーズと黒のマスキングが特徴です。

雪の結晶にこだわった作品ではありませんが、6ポイントの繊細で虹色のラインが踊り、煌めきながら消えていく映像が雪の結晶のようです。

白いオブジェクトを効果的に使い、スノーフレークスの世界を表現するのは?

作家さんによっていろいろな雪の結晶模様があり、それぞれの個性が表れるものですね。 

作家名は上から
ジュディス・ポール&トム・ダーデン
ルーク&サリー・デュレット
依田満&百合子
ローラ・ワイルド
細野朝士
マイケル・コリアー

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ダイクロイックガラスの魅力

2012-01-12 16:47:30 | 万華鏡ブログ

最近「ダイクロイックガラス」で検索が増えているのに気がつきました。 どうもテレビ番組の影響らしいのですが、インターネットで検索するうちに、偶然に私のブログやウェブサイトにたどりついた方がいるようです。 
そんなこともあり、今日はダイクロイックガラスをふんだんに使った万華鏡をご紹介します。
スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の「Dichro(ダイクロ) Ⅳ」という作品で、黒いガラスの上にダイクロイックガラスを配してフュージング(窯の中で焼き付けること)し、それをさらに半円筒にして、筒を作っています。

ダイクロイックガラスは光を受けて虹色に輝くような金属的な光沢を見せるガラスです。 黒地にはその輝きが効果的に見えますね。光の当たる角度により、色が変わって見える効果もあり、万華鏡の本体のデザインにも、またオブジェクトとしても使われるようになりました。

キテルソン夫妻はダイクロイックガラスの可能性を求めて、様々な使い方をしています。以前ご紹介した「ギャラクシー」「トランキリティー」なども ダイクロイックガラスの表情を生かした素晴らしい作品でした。

ダイクロイックガラスはオブジェクトとして使う場合は、やはりセルの背景が黒で、横から光を取り入れるタイプの作品でその魅力を発揮します。

オイルの中の流れの中に、光に反射する煌めきが美しい色模様となり、うっとりとする映像の世界です。
オブジェクトをバーナーワークで創るペギーさんは、そのセンスを生かして素敵なガラスジュエリーも創っています。
これらも黒いガラスにダイクロイックガラスをフュージングした作品です。

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結晶釉と万華鏡

2012-01-11 21:33:49 | 万華鏡ブログ

ルーク&サリー・デュレット夫妻の「セラミックスコープ」という美しい陶器を使った作品をご紹介します。
彼らの定番作品「コスモ」と同じ大きさ、ミラーシステムですが、筒の一面を独特の陶板で飾っています。

この模様は「結晶釉(けっしょうゆう)」といいます。 陶器の表面に釉薬をつけて焼くと、表面がガラス質になりますが、その釉薬の中の成分が、焼いている途中で大きな結晶になるのが「結晶釉」というものだそうです。

英語でも"grow crystal" と表現されていますが、まさに「結晶を育てる」陶芸です。
きらきらとした光沢を生み出すために、陶芸家の方がそれぞれに見つけた釉薬の調合と焼成方法で窯に入れますが、最終的にこの不思議な美を仕上げるのは窯の中の偶然性。 どのように現れるかは窯から出してみるまでわからないそうです。 釉薬の原料や配合の比率で現れ方も違ってくるそうで、この万華鏡のような青っぽいものだけでなく、白やシルバーのきらきらした現れ方をするものもあるようです。このような陶芸があることは知りませんでしたが、ガラスの中に咲いた花を閉じ込めたような立体感と深みがあり、万華鏡のデザインとしても素敵です。

3ミラーの方は14ポイントの大きな中心映像の周りを小さな映像が重なりながら囲みます。 使っているオブジェクトは、定番のビーズやワイヤーのほかに、陶板のイメージと重なるようなビーズを入れています。
視野いっぱいに大きく見える映像は圧巻ですね。

2ミラーの方は、9ポイントの映像が黒い背景の中に浮かび上がります。 オブジェクトの構成は3ミラーと同じで、どちらもマットな質感のブルーやモスグリーン、深い赤、パープルなどのビーズを、輝きのあるビーズで照らしているような感じです。

18cm弱の大きさで、持ちやすく、先端のオブジェクトセルを回転させて映像の変化を楽しむ万華鏡です。 

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茶の花

2012-01-06 22:15:40 | 万華鏡ブログ

黒い漆の上に白い茶の花を描いた井野文絵さんの「茶の花」です。 前回の白い磁器とはまた雰囲気の違う和風な作品です。しっとりと落ち着いた感じが素敵ですね。 
蒔絵の技法で描かれた花や葉は、渋い輝きと陰影があり、漆の光沢の上で静かな存在感を見せています。

下の木部が二重になっているようにみえますが、オブジェクトセルを包み込む部分で、先端が回転する仕組みになっています。
背景が半透明で、先端部から光を取り込みます。 重なり合うガラスの陰影が独特の色合いを生み出します。

赤やオレンジ、グリーン、パープル、それぞれのガラスの表情が違うので、映像としても表現の幅が広くなっている気がします。

落ち着いたピンクとグリーンを中心に豊かな色の組み合わせで優雅な雰囲気に。 オブジェクトのガラスに色の濃淡をつけることで、映像の中にも色をぼかしたような面白さを生み出します。

リボンで飾ったような可愛らしい映像も見えました。

 高さ14cmほどの作品で、オブジェクトセルの大きさもそんなに大きくないのですが、ドライタイプならではの小気味よい感覚で、多彩な映像の変化を楽しめます。 
優雅で高品質な漆の万華鏡は、インテリアのアクセントにもふさわしい存在感があり、美しい姿が目を惹くことでしょう。 そして 内部に展開する千変万“華”の世界に驚かれることでしょう。

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なでしこ

2012-01-05 15:23:18 | 万華鏡ブログ

昨年はなでしこジャパンに元気をもらいました。 今年もさらにその存在感をアピールしてほしいなと応援も込めてご紹介します。 日本人だからこそのプレイスタイル、欧米のチームとは違った持ち味を見せた彼女たちと同様、日本人の作家さんだからできた万華鏡。
井野文絵さんの白い磁器の万華鏡「なでしこ」です。
淡いピンクで優しげに揺れている野の花の風情が素敵ですね。

映像も和の雰囲気。 淡いピンクの花を感じさせる映像ですが、実はさまざまな色が組み合わされていて多彩な変化が特徴です。 ガラスオブジェクトの一つ一つにも表情があり、それらが重なり合う面白さを楽しめます。

筒を回して映像の変化を楽しむ万華鏡なので、回す時々のミラーシステム(二等辺三角形)の向きで、オブジェクトが集まって見えたり、全体に広がったりします。 ミラーの組み合わさったVの字の頂点が下側にあると、オブジェクトが中央にまとまる感じになるのですね。 そして、この映像では背景のおうとつのあるガラスの表情が周りにそのまま見えています。

オブジェクトが全体に広がって見える映像はこんな感じです。背景のガラスの模様はあまり見えませんが、前方からの光を通す役割は果たしていて、オブジェクトのガラスの表情を映し出しています。

先端のオブジェクトセルが回転する仕組みはなくても、手の中で包み込むように、慈しむように回す万華鏡も良いものだなあと思います。

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進化する美しいシンメトリー

2012-01-03 16:26:27 | 万華鏡ブログ

2012年最初の2枚の写真はチャールズ・カラディモスさんご自身による万華鏡映像のカレンダーです。
作家さんとしても、一人の人間としても尊敬するカラディモスさんの作品は、新年のスタートにふさわしい気がします。
万華鏡の基本を追求し続ける作風で、最近では2ミラードライセルにほぼ的を絞って、その完璧なシンメトリーや美しいバランスの映像を生み出すオブジェクトの構成などを追求しながら、次々にクラシックなスタイルの、新しい作品を生み出してきました。

同じ映像にはほぼ巡りあわないだろうと思われる小気味よい映像変化の多彩さ、多様さは、大きめのオブジェクトセルと、組み合わされるオブジェクトの形、色などの工夫によるものです。

そして、それらの構成要素はやはり、昔とは同じではなく、年々、あらたな映像表現も生み出していると感じます。 
また、逆テイパードと呼ばれるミラーの組み方で、映像の中心がぴたりと決まり、細部まで映し出されたきれいな円は、見る人に完結した潔い模様となって受け止められます。

カラディモスさんは、ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのリーダーのひとりとして、アート万華鏡の世界が広がり、多くの方に知ってもらうための努力を惜しまず、協力しています。
一方で万華鏡の製作にも常に進歩することを自らに課す、頼りがいのある万華鏡界のリーダー的散在の作家さんです。 
これから、この基本路線をさらに追求していくのか、それとも新しいスタイルを生み出すのか、
2012年にどんな万華鏡を創りだしてくれるのか、とても楽しみです。 

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