中里保子さんの「蝶文様」です。 橙色のガラスがユニークで和風の雰囲気ですが、お尋ねしましたら、ドイツのランバーツ社の手吹きアートガラスだそうです。 被せガラスをサンドブラストして、蝶文様を刻んでいます。温かみと深みのある色合いに,上品な輝きが美しい蝶が飛びます。
ガラスをオーバルなボディーになるように焼いて、前面にオリジナルデザインを施したシリーズ作品を数種類制作なさっていますが、これもその一つ。 ボディーのガラス、オブジェクトの色合いなど一つ一つ異なっています。
特徴の一つが、オリジナルのオイル入りのセルです。 セルを偏光フィルターで緩やかに二分し、一方にはバーナーワークによるガラスオブジェクト、もう一方には、無色透明な偏光素材のオブジェクトが入っています。
筒の中には狭い角度に組んだ二等辺三角形のミラーシステムが入っていますが、その先でこのセルを回転させると、二つの種類が重なりあい、影響しあうので、雰囲気の違う映像が次々に現れては消えていきます。
虹色の色模様。 無色透明な偏光素材のオブジェクトは、入ってくる光によって色付き、色を変化させます。
透明さを増すこともあります。
大きな10ポイントの中心映像は 鏡を18度という狭い角度に組むことで生まれます。 きれいな映像にはミラー組みの精度が要求されますね。
ガラスオブジェクトをメインに見ているときは、こんな風に花が咲いたような映像になります。 飾っても美しい蝶文様に加えて、中を覗けば、色合い豊かな世界を楽しめる作品です。光と鏡とオブジェクトが組み合わさってこその色模様は、偶然性に満ちながらも万華鏡の醍醐味であり、作家さんの個性の見せどころです。
中里保子さんのウェブサイトがリニューアルされ、素晴らしい数々の作品の写真を見ることができます。また、教室や、積極的に万華鏡の魅力を伝える活動にも参加なさっている様子なども紹介されています。ぜひご覧ください。
万華鏡作家 中里保子 GLASS-STATION
https://www.glass-station.com/