1年前の6月初旬に、アリゾナ州フェニックスで開催されたブリュースター・カレイドスコープソサエティのカレイドスコープ・エキスポに参加しました。今年も6月に予定されていましたが、残念ながらCovid 19の蔓延で開催を来年に延期することになりました。昨年の写真を見ていましたら, 念願だったNellie Blyを訪問したときのことが懐かしく思い起こされました。
アリゾナ州ジェロームにある万華鏡専門店Nellie Bly は、フェニックスから車で砂漠の中を2時間ほど走った山間にあり、以前は鉱山で栄えた歴史のある古びた町です。 その雰囲気を残したままリノベーションを施したレンガ作りの建物は、万華鏡店とその倉庫、コーキー・ウィークスさんの作品を集めたプライベート・ミュージアム、万華鏡の保存と振興のために活動するスタッフの部屋、ミーティングスペースなどから成る「万華鏡館」でした。
特に店主のメアリーさんが敬愛するコーキー・ウィークスさんの作品のコレクションが素晴らしいと聞いていましたので、ぜひ拝見したいとお願いして見せて頂きました。
コーキー・ウィークスさんは万華鏡ルネッサンスの初期のころから活動してきた作家さんで、創造力にあふれ、ユニークなアイディアをたくさんの作品に創り上げた作家さんです。
こんな風にたくさんの作品が並んでいます。多種、多作で有名な作家さんですから、コレクションのし甲斐もあるというものですね。
初期の頃は真鍮製のしっかりとした作品が主流でした。小さなペンダントタイプから大きなパーラータイプまで多彩なラインナップです。一つの筒に二つのミラーシステムを組み込むアイディアは彼女が最初に考案し、ブリュースターソサエティ―での「創造的作品賞」の最初の受賞者(1986)となりました。このことは万華鏡界にとって大きな一歩前進だったとコージー・ベーカーさんも書いています。
彼女の作品で目を惹く特徴のひとつが、両目でも覗ける大きな覗き口です。オブジェクトに向かって傾きをつけたミラーシステムからは、立体的な映像が大きく展開します。
外観の素材は様々ですが、次のような形の万華鏡は、私が最初に拝見したときに、なんとお洒落なデザインだろうと思ったことを思い出します。
広い覗き口、先端に向かって狭くなっている筒(内部のミラーシステムも)、筒の先端を斜めにカットしてオブジェクトを置く形、中のオブジェクトが美しく見えるオブジェクトセル、全体の姿の美しさ。
そしてこのようなミラーの組み方、カットの仕方から見えるのが、立体的な大きな映像です。
そして、そのままでも宝箱みたいなオブジェクトセルは、取り外しも簡単で交換も可能です。
ちなみに2006年に私がこのブログを始めて3日目にご紹介したのが、コーキー・ウィークスさんのこのデザインで異素材の作品でした。 https://blog.goo.ne.jp/kaleidoscopesjapan/d/20060210
もう一つ彼女らしさが出ているのが次の作品。ガラスと木の使い方が素敵な造形作品ですね。
やはり大きめな覗き口から覗きます。 オブジェクトは回転する木製のトレイに載った色とりどり、形も様々なビーズやガラスなどで、きれいなものが大好きな作家さんらしい色模様が展開します。こちらは少しユニークなミラーシステムです。
コーキー・ウィークスさんの作品が覗ききれないほどあるコレクションルーム。 オーナーのメアリー・ウィルスさんに感謝したい気持ちと、今でも色あせない魅力をもち続けるコーキー・ウィークスさんのカレイドスコープへの感動に包まれた一日でした。