万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アンティーク万華鏡  Antique Kaleidoscope

2012-06-20 16:33:37 | 万華鏡ブログ

アトランタのKaleidoscope Shopで大変貴重なアンティーク万華鏡を見せていただきました。 チャールズ・ブッシュさん(1825-1900)の万華鏡です。 創られたのは1873年から1900年の間と考えられています。 
ブリュースター卿が万華鏡を発明したのが、1816年スコットランドでのことでした。 その後アメリカに移民としてやってきたブッシュ氏は、家業を継いで成功させたのち、万華鏡の製作を始めたのは1870年代前半のことでした。
黒い厚紙の筒、真鍮製の部品、木製の台、舵輪のような取っ手を回してオブジェクトセルを回転させる仕組みなどが外見の特徴です。 

彼の万華鏡のもう一つの特徴は、中に入れられたガラスオブジェクトです。 その1/3はガラスアンプルの中に色のついた液体をいれたものです。 ドライタイプなので映像がとまっても、液体の動きがあるように、考案されたものです。

液体の入ったガラスアンプルと通常のガラスオブジェクトを組み合わせたその映像は、今見ても素晴らしいバランスで、100年以上も前に作られたことが信じられないくらいです。

今のようなさまざまな素材が無かった時代に考案された映像表現ですが、万華鏡の魅力というのは十分に認められていたのでしょうね。 万華鏡アートの原点のように思います。 いくつかの部分に特許を取り、数多く生産されたということです。 ご本人はどのような思いで作られたのでしょうか。 興味を覚えます。

この作品はたぶんコージー・ベーカーさんのコレクションにあったものだと思いますが、保存状態もよく、ゆっくり覗かせていただけてラッキーでした。

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木工の万華鏡 Wood Kaleidoscopes

2012-06-16 23:25:19 | 万華鏡ブログ

今年の4月に開かれたザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションから、今日はヘンリー・バーガソンさんの作品 「Honey jar ハニージャー」という作品をご紹介します。 
25個の限定版。 大きめのパーラータイプで、広い覗き口から両目で見ることができる万華鏡です。
数種類の木材のコンビネーションと、複雑な輪郭線をもつ木工デザインはバーガソンさん独特のスタイルですが、この作品も、どの角度から見ても面白いラインを持っています。
手前に映っているのは、定番の作品の数々です。

長さのある本体の傾きの角度も台の部分で調節ができるようになっています。 
バーガソンさんは、エンジニアの職歴があり、万華鏡の機能性にもこだわりを持つ作家さんです。

この作品は、もともと、ニューヨークのフォークアートミュージアムを皮切りに、巡回展として各地で開催されたポーラ・ナーデルスターンさんの「万華鏡キルト展」で、併せて現代万華鏡の作品(5点のうちのひとつ)として出品するために製作された万華鏡です。

オブジェクトケースがとても大きくて、たっぷりと「ありとあらゆる(ご本人の説明)」オブジェクトが入っています。 タイトルが「はちみつ瓶」というのも、この太いガラス瓶のようなオブジェクトケースから名付けたのでしょう。
本体が大型の作品であるだけでなく、ダイナミックな映像展開は、いかにもバーガソンさんらしいと思いました。

 もう1点、木工の万華鏡をご紹介します。 こちらはアーニー・ウェインステインさんの作品で、「Gemini ジェミニ」という作品です。

ジェミニとは双子という意味。 ふたつの同じような万華鏡を、一つのスタンドにスマートに取り付けたデザインです。 
ひとつは2ミラーシステム12ポイントの映像が展開し、

もうひとつはテイパード4ミラーで、水平に筒状の映像が広がります。 
(写真ではわかりにくいですが)

どちらの作家さんも木材という素材の美しさを、手作りで万華鏡の筒に生かし、木工作品としてのレベルの高い外観と、さまざまなミラーシステムから生み出される内部のアートを組み合わせた、個性的な万華鏡を創り上げています。
ガラスやビーズという、木材とは異種の素材をオブジェクトとするだけに、外観からは想像できない華やかさや大胆さが、中を覗いた瞬間に展開するのが面白いですね。

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「万華鏡の世界」展から さまざまな工芸のスタイルで Variety of materials

2012-06-11 11:15:16 | 万華鏡ブログ

前回に引き続き「万華鏡の世界」展のご紹介です。
上の写真は、鍛金のアーティスト関井一夫さんの「桃源鏡 川蝉」という作品です。 川蝉の部分を持ち上げると、万華鏡の筒が現れます。美しいガラスの台に川蝉の愛らしい姿が飾られて素敵な造形作品であると同時に、 金属工芸とガラスアート、そして万華鏡が組み合わせられたユニークなアートであると言えると思います。 内部には瑠璃色の映像世界が展開します。

関井さんのさまざまなテーマを持つ筒型の作品。 彫り込まれた模様もそれぞれに万華鏡のテーマを伝え、また台の付いたスタイルで、立ち姿のきれいな万華鏡たちです。 覗き口に被せる蓋もついています。

細野朝士さんは新作を含め、多彩な映像表現の偏光万華鏡やテレイドスコープを展示しています。 新作は先端部が回転することとオブジェクトの動きの両方で、色合いや模様が変化する偏光万華鏡です。

沼尻のんさんは、海外にも出品したCool Japanの万華鏡「麻衣花」シリーズです。
内部には花びらのような映像が、和の雰囲気でしっとりと展開します。

中村明功さん、あや子さんご夫妻は、手描きの筒がノスタルジックな「ドリーミング・ジュエルズII」などを出品されました。 丁寧な造りと美しい映像で、和の万華鏡の世界を演出します。

松宮真理子さんはステンドガラスの作品で、さまざまなガラス工芸の技術を駆使して、味わい深い表情豊かな作品を作られています。 

 

 

南満穂さんはガラスを楽しむ感じの作品。 インド、チベット、中近東などの文化からインスピレーションを受けつつ、自由な発想で万華鏡やアクセサリー、テーブルウエアなどを製作する作家さんです。
これはPema (ハス)という作品です。 下から覗きます。


透明な筒を使った作品もユニークできれいです。

金泰成さんもガラス工芸で独特の雰囲気を醸し出します。 黒地に金と銀とで描かれた蒔絵のような万華鏡です。 タイトルは「夜光万華鏡」

多くの作家さんによる多彩な表情を見せてくれた今回の万華鏡展。 万華鏡の可能性をますます感じるような展示会でした。

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「万華鏡の世界」展から ガラスアートの饗宴 Glass Art and Kaleidoscopes   

2012-06-08 21:52:34 | 万華鏡ブログ

今日も「万華鏡の世界」展から素晴らしい作品をご紹介します。 まず中里保子さんの「はなみずきの頃」です。 この作品は中里さんが限定版として折にふれて作りつづけてきたもので、たぶん今回が最後になるという万華鏡です。 スランピングしたガラスの筒に沿わせて、メタル細工のはなみずきの花が咲いているデザインがとても好きです。 金属とガラスを組み合わせる作風は中里さんならではのもので、クラシックな雰囲気からモダンなものまで、いつもオリジナリティーにあふれています。
私自身、かなり前のことですが、六本木の万華鏡店で初めて出会ったときに、なんて素敵な作品なんだろうと感動したことをよく覚えています。 最初の作品から何年かを経て、中里さん自身も経験を重ね、作品の種類も多様になってきましたが、 この「はなみずきの頃」も新たな思いを込めて創られたことでしょう。

山見浩司さんとガラス作家の小暮紀一さんとのコラボレーション作品も目を惹きました。

左側が 「KOGUYAMA モザイク」、右側が「KOGUYAMA さくら」です。 お二人の名前を合わせたネーミングなんですね。 最近積極的にコラボレーションに挑戦なさっている山見さんが、小暮さんのガラスの筒に どんな映像を生み出すか、おおいに期待して覗き、そしてやっぱり目が離せなくなりました。

透明感のあるガラスオブジェクトだけの2ミラー映像は、すっきりと清々しい映像展開で、ドライタイプの心地よさを感じさせます。

さくらの方はきれいな赤を中心に本当に美しい映像ばかりで、感動しました。 すっきりと凛として、そして華やかさもそなえた、素敵な映像表現と、外観の静かな花模様が魅力ある組み合わせになっています。

また山見さんの美しいガラスアートを駆使したホイールの万華鏡もあります。

こちらは視野いっぱいに広がる色と輝きの饗宴です。

昨年に続いて細井厚子さんの万華鏡も並びました。 繊細で心に響く作品は今年は2つのサイズで登場しました。 シンプルなステンドガラスのデザインが細井さんの万華鏡に対する思いを伝えている感じがします。 そしてテーマのある映像表現というスタイルです。

 

「草水晶」の映像です。 外から見ても繊細なガラスオブジェクトが軽やかな音とともに動き、色味を抑えた魅力的な一瞬の映像を生み出します。 

今日ご紹介した作家さんのみならず、ガラスの万華鏡作品にもいろいろな個性があり、魅力があります。 外のデザイン、内部の映像、それぞれに奥の深いものがあり、また受け止める側の心情や気分によっても見え方が違ってくる万華鏡というアートの面白さを感じますね。

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万華鏡の世界展から 小林綾花さんの新作 New design by Ayaka Kobayashi

2012-06-07 22:22:27 | 万華鏡ブログ

6月6日から14日まで銀座の「ギャラリー田中」さんで開催中の「万華鏡の世界」展に伺いました。
11名(組)の作家さんによる最新の作品が並び、それぞれの個性が光る展示会となりました。
今日は小林綾花さんが在廊で、いろいろお話を伺うことができました。

小林さんの最新作「Shambhala シャンバラ」 は今までの作品とは一味違って、色鮮やかさが目を惹きます。

製作過程はとても手が込んでいて、この作品が出来上がるのにどれほど手間と時間とエネルギーがかけられたことかと驚くばかりです。
ターコイズ、コーラル、ラピスラズリーの色のプレートから小さなかけらを切り出し、削ります。 それらをモザイクのように埋めていく作業があり、チベットの文字も金属を切り出して埋めていく作業があります。それから表面がスムーズになるように、磨きこむそうです。 筒のトップの部分も同じように切り出し、埋めて、削るという作業により、筒全体が統一感のある美しいデザインになっています。

中の映像もいつもながら大変魅力的で、天然石や宝石を入れたオイルセルは流れのある動きを見せ、煌めきや彩りに目を奪われる展開です。 

金属の筒に美しいグラデーションを施した「Twilight トワイライト」シリーズも新登場です。
金属を酸化させて色の変化を生み出すそうですが、何層にもなった繊細なグラデーションがとても素敵なデザインとなっています。 黄昏時の微妙な色合いを思わせて、絶妙なタイトルだと思います。 
細長いこの作品は「Twilight Jewel トワイライト・ジュエル」です。細かい宝石がたくさん入っていることから、そう名付けられたとのこと。 細かい3ミラーの映像が視野いっぱいに広がります。


次は「Twilight Mini トワイライトミニ」でペンダントタイプの万華鏡です。

そして「Twilight Star トワイライトスター」 (写真右側)は 定番の「Twinkle 星の海」(写真左側)よりも少し大きな作品。 

グラデーションの色も1点ずつ同じものはなく、独特の表情を持っています。 先端部分とアイホールの部品には文字が彫り込まれています。 

タイトルからもわかるように、夜空に光る一番星をイメージしています。 

会場には順番で作家さんがいらっしゃるそうですから、お話を伺うのも楽しいですね。 

ギャラリー田中
中央区銀座7-2-22  同和ビル1F

「万華鏡の世界」展  6月6日~14日
日曜は休廊。 12時~19時まで(最終日は17時まで)
03-3289-2495

 

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アイホールの向こうはもう一つの世界  Another world in the kaleidoscopes

2012-06-04 16:04:08 | 万華鏡ブログ

東京・銀座 ギャルリー・ヴィヴァンさんで開催中のIKA展からもう少しご紹介します。 この作品は国際万華鏡協会賞を受賞した武山孝行さんの「ネビュラ(星雲)」という作品です。 黒檀で作られた本体は漆黒の宇宙空間を、土台部分は星雲のイメージを表しているそうです。 どっしりと落ち着いた雰囲気の中に広がりを感じさせる作品です。

大きなアイホール(覗き口)から見えるのは新しい恒星の誕生をイメージした映像です。ダイナミックですね。

次にご紹介するのは高瀬義夫さんの万華鏡です。大きな筒に5種類のミラーシステムを組み入れ、内部に照明を持つ作品です。 5種類の魅力的な映像を楽しめます。 シンプルな外観からは想像しにくい、たくさんの映像世界を持つ作品です。

 

電動式でオブジェクトが動くものは映像の撮影が難しく、少しぶれてしまいましたが、映像の面白さが伝わると思います。

次は、IKA展で昨年初めて作品を拝見した鈴木義夫さん、吉見秀子さん、吉見康博さんの大きな万華鏡です。 今年のコラボレーションの作品「胡蝶の夢」は、一面に藪手毬の花を彫ったみごとな木工の本体です。 

大きな覗き口から見えるのは球状の映像に透明な蝶が舞うもの。写真ではきれいに撮れていませんが、蝶のひらひら舞う様子が映し出され、タイトルの意味が伝わる映像です。 内部に照明を持ち青く輝く映像は、外観の印象とはまた違って、覗いた人を驚かせることでしょう。

大きな覗き口の両脇に配された2羽の蝶も覗き口になっていて、そこから覗くと、別のミラーシステムを通して、とてもユニークな美しい映像が見えています。

これらも見事に蝶の舞をイメージしていますね。

 

 

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