万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ドライとオイルの二重セル

2009-08-31 22:18:11 | 万華鏡ブログ

IKA国際万華鏡協会展、招待部門で展示された佐藤元洋さんの新作です。吹きガラスの万華鏡作家として活躍中の佐藤さんですが、毎年IKA展に出品なさってその新作を披露しています。今年の出品作はブルーの色合いが美しく、交差するガラスの台座もユニークなデザインの万華鏡です。
注目点はオブジェクトセルです。滑らかな回転はもちろんのこと、回転したときのガラスオブジェクトが奏でる音が素敵な佐藤さんの万華鏡。でもどこか違うのです。それは、オイルセルとドライセルが重ねられたオブジェクトセルだからです。オブジェクトはバーナーワークによるガラス細工で、手前に見える映像はくっきりと、奥に見える部分はうっすらと映りこんでいます。オイルとドライではそれぞれ全く雰囲気の違う佐藤さんの万華鏡を見てきたので、今回の映像には不思議な感覚と驚きを覚えました。

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プリズムと積層ガラスが美しい万華鏡

2009-08-29 21:07:13 | 万華鏡ブログ

「IKA 国際万華鏡協会展、招待部門」から中里保子さんの「夢のつづきII」をご紹介します。いくつかのテーマ、課題を持ち、次々に作品を発展させていく作家さんで、同じテーマでもいつも新しい何かを加えて、さらなる展開を見せてくださるところに、作家魂を感じ、とても感動します。
この作品は積層ガラスのボディーが大変美しい上に、ガラス球を突き抜けるプリズムと、セルを支え、ボディーのアクセントになっている金属のデザインが素敵な現代的なセンスの万華鏡です。ミラーの代わりにプリズムを使い、その透明な鋭さと美しさを生かしました。オブジェクトセルもミラーシステムと同様、デザインの中でそのまま中が見えるようになっており、その美しさも十分に吟味されています。色味を少なめに、透明感のあるガラス細工や細かいビーズで、光の入り方で色や輝きが出るような素材を使っています。プリズムを通してみる映像はなかなか実物どおりの撮影が難しいのですが、ガラスが生み出す透き通った、幻想的な反射映像の雰囲気だけでも伝わるといいなと思います。

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砂時計

2009-08-28 22:35:17 | 万華鏡ブログ

[IKA]国際万華鏡協会展の招待部門の展示会(Vivant Annexにて)に伺いました。過去の公募部門で受賞なさった方々、万華鏡作家として活躍中の方々の最新作を見せていただきました。どの作品も「なるほどこの作家さんの作品だな」と思える「その人らしさ」と、映像やミラーシステムへの挑戦、素材を究める挑戦など「新たな試み」を見ることができてとても興味深く、また万華鏡の進化をここでも見る思いがしました。
この作品は切敷章さんの「砂時計」という作品の映像です。形からも砂時計のイメージが浮かびますが、オブジェクトのホイールを回すと、まるで砂のように色が流れるのです! 円と直線で構成されたガラスのデザインが斬新な箱型のボディとその覗き口を見れば、誰でも覗きたくなるに違いない・・・でもその中に、こんな映像が見られるなんて! 内部に照明があるので、映し出される映像の鮮やかさも際立ち、印象的でした。

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アメリカのTV番組で紹介された万華鏡とキルト

2009-08-27 12:08:12 | 万華鏡ブログ

ニューヨークのフォークアートミュージアムで開催中の、ポーラ・ネイデルスターンさんの「カレイドスコープキルト展」については、5月2日にこのブログでもご紹介いたしましたが、アメリカのCBSの番組、Sunday Morning で8月16日放映された映像(動画)がありますので、ご紹介します。
http://www.brewstersociety.com/cbs_sundaymorning_09.html

彼女の作品にインスピレーションを与えた作家のひとり、チャールズ・カラディモスさんの工房でのインタビュー、またポーラさん自身の展覧会場でのインタビューなど興味深い内容です。英語がわかりにくいかと思いますが、万華鏡好きな方には映像だけでもきっとお楽しみいただけると思います。
(この写真はポーラさんの作品、The Great Round-Up、2003のポストカードを撮影したものです。)

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ミラーシステムを変えて・・・

2009-08-26 21:51:25 | 万華鏡ブログ


沼尻のんさんの受賞作品「万華鏡暦」の6つの万華鏡は、いろいろなミラーシステムのバリエーションから季節や自然を見せてくれます。上の写真は「星」の映像で、角度の狭い二等辺三角形に組んだミラーシステムから生まれます。また「海」はサークルミラーシステムからいろいろな色が立ち上ってくる映像。

 

「花」は春爛漫の3ミラー映像。

そして「新緑」は瑞々しい緑色の2ミラー映像。

そして、冷たい雪の結晶。

細やかで透明感のある涼しげな映像、華やかな花や紅葉の世界が目の前に展開するダイナミックな映像、静かな雪や星の映像・・・たくさんの映像美を基本的なミラーシステムできちんと、美しく表現して、誰の心にも響く作品だと思います。

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IKA国際万華鏡協会展 2009 

2009-08-25 21:10:31 | 万華鏡ブログ

銀座で開催中の[IKA]国際万華鏡協会展は、今年で9回目だそうですが、年々そのレベルも上がってきて、素晴らしい作品が展示されています。8月17日から23日まで公募部門、24日から29日までは招待部門となっていて、各作家さんが創意工夫をこらした新作の万華鏡を見ることのできます。

公募部門での最優秀賞を受賞した沼尻のんさんの「万華鏡暦」という6個の万華鏡の連作をご紹介します。一年を6つに区切り、それぞれの季節感を、「雪、花、新緑、海、紅葉、星」というテーマで外観と映像のいずれにも表現しています。コーン型の筒に3色の麻紐を使って表した模様は、モダンな和のデザインで秀逸です。それらを飾る栓(木材)と障子の棚も含めて、全体のデザインも作家さんが意図したとおり、伝統的な雰囲気と落ち着きがあり、その自然さが素敵です。身近に置きたいと思うような温かみを感じる作品です。映像はまた次回に。
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ファイヤーダンス

2009-08-20 21:44:56 | 万華鏡ブログ

ルーク&サリー・デュレット夫妻の2009年新作「Firedance(ファイヤーダンス)」をご紹介します。新作ではありますが、1997年から2002年ぐらいまで製作されていた同名の作品の復刻版でもあるのです。大きさ、外観のデザイン、3ミラーシステムの追加などの変更点がありますが、コンセプトは同じです。
今回の筒の色は、最近の彼らの作品でよく見られるように、木材を染めているそうで、チェリー、ミッドナイト、ティールの3色があります。
筒の正面から光を取り込むように万華鏡を覗きます。偏光の作用を生かし、強い色調で、鮮やかな炎のダンスを演出します。先端部のセルを回転させると、オイルの中でオブジェクトはよく動き、光に反応して発色するので、黒から色彩へとダイナミックな映像展開です。2ミラー7ポイントは昔の作品と同じミラーシステムを採用しています。


そして新しく加わった3ミラーシステムは、30-60-90度の組み方です。

セルの側面にはホログラムが貼られ、虹色の光が見えていますが、これも、内部映像のより鮮やかな色の演出に効果があるようです。また、黒が多く見える時とそうでないときの差も映像の大きな変化として面白いと思います。
偏光の万華鏡にもいろいろありますが、発色の仕方、オブジェクトの形状など作家さんの個性が発揮されていますので、機会がありましたら見比べて見てくださいね。

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こだわりの白

2009-08-18 23:10:40 | 万華鏡ブログ

高林千稔(たかばやしちとし)さんの万華鏡「One Day」をご紹介します。数ヶ月前に新人作家としてご紹介したばかりですが、この作品で3作目。縦にラインの入った寄せ木の美しい万華鏡は、オブジェクトセルの回転も滑らかで、高品質な作品です。セルの外側に光沢のきれいな真鍮を貼っていますが、その内側、オブジェクトセルの背景の部分には、光を通さない白を使っています。これは大変ユニークな試みであると同時に、挑戦でもあると思います。今までの作品でも多用した白を基調としたガラスオブジェクトを、この「ワンデイ」でも高林さんは使っています。白い背景に白いオブジェクトを合わせると、光を取り込んで不思議な感覚の映像が生まれます。

バーナーワークでひとつひとつ作られたオブジェクトは形にもこだわり、少し他の色味を入れた白を数種類使い、独特の陰影、膨らみのある映像を生み出します。万華鏡の中に日常とは違った時間が流れ、不思議な景色が展開するようです。9月には渋谷のBunkamuraでの万華鏡展(ギャルリーヴィヴァンさん主催)で作品を展示されるそうですので、行かれる方はぜひ手にとって見ていただきたいと思います。作家さんにも会えるかもしれません。
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黒い背景に映える

2009-08-17 23:03:12 | 万華鏡ブログ

昨日ご紹介の佐藤元洋さんの「螺鈿」シリーズは黒い背景の万華鏡です。オブジェクトセルの底の部分、ミラーから見て正面の、オブジェクトの背景になる部分の色合いによって、映像の見え方もかなり違ってきます。黒い背景の場合、そこからは光は通さないので、オブジェクトセルの側面の透明な部分から入ってくる光によってオブジェクトに光が当たり、反射して映像を結ぶのですが、このスタイルを「サイドリット」と表現します。

このスタイルでは光を通過させるより反射させるオブジェクトのほうがよりきれいな映像効果があると言われています。そのためダイクロイックガラスやメタルオブジェクトなどが取り入れられることが多く、その輝きが映像にメリハリをつけるのです。

佐藤さんの万華鏡ではガラスオブジェクトのみ。しかも黒い背景でも透明感のあるガラスオブジェクトをかなり取り入れ、不透明や半透明のオブジェクトと組み合わせています。透明なガラスオブジェクトはその造形ラインが色づいて見え、重なり合いは線状の模様となって繊細さを表現します。不透明や半透明のオブジェクトは面となって映り込みます。面と線で構成する映像は、その割合いを変えながら、色模様を変えながら、さまざまな表情を見せて、私達を魅了します。
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しっとりとした金色の輝き

2009-08-16 22:02:38 | 万華鏡ブログ

佐藤元洋さんの「螺鈿」シリーズの一点です。細かい金箔の散った表情が美しく、まるで絹織物の着物地のような感じです。生成り色というのでしょうか、薄い色のガラスに金箔を重ねて吹いて作られた万華鏡のボディーは明るい雰囲気で、しかも光を受けて小さな金色のかけらが輝きを得て表情を変えます。しっとりとした趣のある輝きなので、決して派手にはならず、筒の形もすっきりしていて、「現代的な和のデザイン」といった印象です。
今までもこのブログでは佐藤さんの作品を数多くご紹介してきましたが、ブルー、ピンク、グリーンなどの色調で明るくきれいな「ピュア」や「アイリス」シリーズとはちょっと趣の変わった万華鏡で、なんともいえない味わいがあると思います。そして内部に展開する映像も、黒い背景を生かして、独特の輝きに満ちた展開を見せます。
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