その名もズバリ「万華鏡展」と銘打って、東急吉祥寺店で開催中の万華鏡作品展です。
参加作家さんは、喜多里加さん/小嶌淳さん、 小林綾花さん、佐藤元洋さん、中里保子さん、松宮真理子さん。 美術工芸品を扱うフロアーでの展示は、落ち着いた雰囲気で、万華鏡の外観、内部映像ともに、アートとしてじっくりと味わえるのが素敵だなと思いました。
写真は展示作家のひとり、小林綾花さんのブログから許可を得て使わせていただいています。
どの作品も個性があふれ、1点ずつ異なるのでじっくり拝見したり、居合わせた方と万華鏡話をしているうちに数時間があっという間に過ぎてしまいます。
覗くたびに違った映像が見える万華鏡です。 ぐるぐると展示を何回も回りながら、作品を楽しむ至福の時を楽しめました。
独特の表情のある喜多さんの陶器の中に組み込まれた小嶌さんのオブジェクト、ミラーシステムから生まれる映像は、妖しい美しさで、万華鏡の生み出す不思議を感じます。造形も筒型の作品から、据え置き型の作品まで種類も多く、お洒落で、飾ってみたくなるデザイン。 さすがのコンビネーション!と思わせられる作品の数々でした。
小林綾花さんは小ぶりな金属工芸の万華鏡です。 小さな宝物みたいな万華鏡で、そのデザインに作家さんの祈りが込められていることを感じます。 その中に展開するきらめきのある映像が魅力的です。天然石や珊瑚、真珠などをオブジェクトに使い、オイルの中で流れるように展開する映像にうっとりします。 小林さんの作品でもう一つ特徴的なのが、樹脂を使った万華鏡で、こちらも大変個性的であり、美しい万華鏡です。
佐藤元洋さんは吹きガラスの万華鏡作品です。 最近よく創られる「二重奏」という作品は、オブジェクトセルが二重になっていて(外からはわかりませんが)、ソフトな映像とクリアな映像が重なり合います。繊細で大変美しい映像に、何度見ても感動します。 ほかに「螺鈿」や銀線細工を飾った作品、小さな「ピュア」シリーズなど、美しいガラス色の作品が並びました。
中里保子さんの展示には、有田の源衛門窯の素晴らしい磁器の筒に、オリジナルな映像を組み込んだ美しい万華鏡がありました。 伝統のある有田の磁器作品と日本を代表する万華鏡作家さんの組み合わせは、それだけでも素敵な考えですが、中里さんはこの磁器工房への尊敬の念を持って映像を表現なさっているところが感じられて素晴らしいですね。
型紙シリーズもガラスをオブジェクトとするもの、天然石をオブジェクトとするものなどいくつか展示され、伊勢型紙のデザインと映像を合わせて味わう万華鏡です。
千代田区紀尾井町にある江戸伊勢型紙美術館でも12月20日まで中里さんの「伊勢型紙の万華鏡」展をやっています。 私も先日拝見しましたが、伊勢型紙のデザインがあまりにも素敵で、江戸の文化、意匠の素晴らしさの一端を垣間見ることができました。
松宮真理子さんはステンドガラスの万華鏡です。 ガラスで表現する豊かな世界を見せてくれる作家さんです。 外観、内部映像にも独自のこだわりがあり、それぞれの作品でテーマをしっかりと表現なさっています。 天体観測シリーズは漆黒の宇宙に展開する神秘的な光を見るような作品で、今回は金属造形作家、手銭吾郎さんとのコラボレーションの大型作品も展示され、その世界を表現なさっています。 金箔を使った「ジパング」、独自の絵付けの技術を取り入れたヨーロッパの香りを感じる作品、ガラスを質感や色合いを生み出してデザインする作品など、広がりのある作品群です。
この「万華鏡展」は、東京武蔵野市吉祥寺の東急吉祥寺店 8階美術工芸品売り場で開催中です。
会期 11月20日から12月3日まで 10時から20時(最終日は17時閉場)