万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アルケミスト      Alchemist by Jun Kojima &Rika Kita

2014-11-24 17:01:17 | 万華鏡ブログ

小嶌淳さん、喜多里加さんの万華鏡、「アルケミスト」をご紹介します。 このシリーズは筒型の基本的な形の万華鏡シリーズですが、喜多さんの手作りの筒は同じものはなく、大きさも3種類ほどあり、またミラーシステムやオブジェクトの種類(ドライ、オイル)など、いろいろなバリエーションがあります。 木製の台に載って飾られています。

喜多さんの陶器は削られた模様に釉薬や金彩が施されていて、手触りもざらざらした感じ、独特の表情が魅力的です。

アルケミストというのは錬金術師のことで、卑金属から金や銀など貴金属を生み出す技術を持った人のことです。 種々の小さな物体から、美しい模様を創りだす小嶌さんが創る作品にふさわしい名前ですね。 映像の不思議な輝きはどうしてでしょう? 特に光を当てているわけではないのですが、なぜか輝きを見せる映像展開です。

いろいろな種類がある中で、今回の作品はドライセル、3ミラーの万華鏡です。 長方形に組んだミラーシステムの1枚をミラーでないものにすることで、このようなライン状の映像になります。横に連なる模様から、「コーラスライン」と呼ばれる映像です。

長方形に組んだ3枚のミラーと1枚の反射のない素材を組み合わせると、ラインだけがくっきりと見えますが、小嶌さんのこの作品は1枚の少しだけ反射する素材を使っています。 そのためにオブジェクトの色を反射して、景色を映す水鏡のような効果があります。 とてもきれいですね。

 万華鏡の面白さと美しさを楽しむことができる作品、いろいろなものを組み合わせることで、リズムを感じさせる映像展開・・・小嶌さん、喜多さんの作品は、飾っても覗いてもその魅力を楽しめると思います。

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万華鏡展の魅力

2014-11-23 10:10:36 | 万華鏡ブログ

その名もズバリ「万華鏡展」と銘打って、東急吉祥寺店で開催中の万華鏡作品展です。
参加作家さんは、喜多里加さん/小嶌淳さん、 小林綾花さん、佐藤元洋さん、中里保子さん、松宮真理子さん。 美術工芸品を扱うフロアーでの展示は、落ち着いた雰囲気で、万華鏡の外観、内部映像ともに、アートとしてじっくりと味わえるのが素敵だなと思いました。

写真は展示作家のひとり、小林綾花さんのブログから許可を得て使わせていただいています。
どの作品も個性があふれ、1点ずつ異なるのでじっくり拝見したり、居合わせた方と万華鏡話をしているうちに数時間があっという間に過ぎてしまいます。 
覗くたびに違った映像が見える万華鏡です。 ぐるぐると展示を何回も回りながら、作品を楽しむ至福の時を楽しめました。

独特の表情のある喜多さんの陶器の中に組み込まれた小嶌さんのオブジェクト、ミラーシステムから生まれる映像は、妖しい美しさで、万華鏡の生み出す不思議を感じます。造形も筒型の作品から、据え置き型の作品まで種類も多く、お洒落で、飾ってみたくなるデザイン。 さすがのコンビネーション!と思わせられる作品の数々でした。

小林綾花さんは小ぶりな金属工芸の万華鏡です。 小さな宝物みたいな万華鏡で、そのデザインに作家さんの祈りが込められていることを感じます。 その中に展開するきらめきのある映像が魅力的です。天然石や珊瑚、真珠などをオブジェクトに使い、オイルの中で流れるように展開する映像にうっとりします。 小林さんの作品でもう一つ特徴的なのが、樹脂を使った万華鏡で、こちらも大変個性的であり、美しい万華鏡です。

佐藤元洋さんは吹きガラスの万華鏡作品です。 最近よく創られる「二重奏」という作品は、オブジェクトセルが二重になっていて(外からはわかりませんが)、ソフトな映像とクリアな映像が重なり合います。繊細で大変美しい映像に、何度見ても感動します。 ほかに「螺鈿」や銀線細工を飾った作品、小さな「ピュア」シリーズなど、美しいガラス色の作品が並びました。

中里保子さんの展示には、有田の源衛門窯の素晴らしい磁器の筒に、オリジナルな映像を組み込んだ美しい万華鏡がありました。 伝統のある有田の磁器作品と日本を代表する万華鏡作家さんの組み合わせは、それだけでも素敵な考えですが、中里さんはこの磁器工房への尊敬の念を持って映像を表現なさっているところが感じられて素晴らしいですね。
型紙シリーズもガラスをオブジェクトとするもの、天然石をオブジェクトとするものなどいくつか展示され、伊勢型紙のデザインと映像を合わせて味わう万華鏡です。 
千代田区紀尾井町にある江戸伊勢型紙美術館でも12月20日まで中里さんの「伊勢型紙の万華鏡」展をやっています。 私も先日拝見しましたが、伊勢型紙のデザインがあまりにも素敵で、江戸の文化、意匠の素晴らしさの一端を垣間見ることができました。 

松宮真理子さんはステンドガラスの万華鏡です。 ガラスで表現する豊かな世界を見せてくれる作家さんです。 外観、内部映像にも独自のこだわりがあり、それぞれの作品でテーマをしっかりと表現なさっています。  天体観測シリーズは漆黒の宇宙に展開する神秘的な光を見るような作品で、今回は金属造形作家、手銭吾郎さんとのコラボレーションの大型作品も展示され、その世界を表現なさっています。 金箔を使った「ジパング」、独自の絵付けの技術を取り入れたヨーロッパの香りを感じる作品、ガラスを質感や色合いを生み出してデザインする作品など、広がりのある作品群です。

この「万華鏡展」は、東京武蔵野市吉祥寺の東急吉祥寺店 8階美術工芸品売り場で開催中です。
会期  11月20日から12月3日まで 10時から20時(最終日は17時閉場)

 

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金属工芸に万華鏡の命を吹き込んで

2014-11-17 22:35:54 | 万華鏡ブログ

東京、日本橋の高島屋で開催中の 「‐万華鏡‐ 関井一夫展」に伺いました。 関井さんは鍛金や彫金など金属工芸の大家で、金属造形の粋を見せていただける万華鏡展です。

上の写真は「アルテミス」という作品で、ギリシャ神話の神だそうですが、頭部を持ってそっと引き上げると、万華鏡の筒が現れます。 一見しただけでは万華鏡に見えない作品です。

金属工芸の鎚起という技法で生まれた鳥や動物にはそれぞれ表情があり、可愛らしさが感じられます。 ガラスの台からペンギンをそっと抜くと、これも万華鏡です。 オブジェクトセルは2層になっていて、手前が氷の層、そして奥が水の層を表現しています。 ペンギンのいる北の海を思わせる映像です。

「川蝉」は関井さんがよく創られるテーマです。 金属造形に青や紫の色彩を施して、鳥の凛とした姿です。 ガラスの台からそっと抜くようにこの鳥を引き出すと、万華鏡の筒が現れます。 

下から覗くと輝く青の映像が見えてきます。

関井さんは万華鏡の筒にスタンドを付けて、自立する作品を創られます。 また覗き口に被せる蓋も用意されています。 筒に繊細な模様を彫り込んだり、膨らみを入れたり、自由自在に生み出される作品は、金属工芸の作品であり、実は万華鏡でもあるというスタイルです。

万華鏡映像の流れ、変化、色彩というものが、金属の造形作品に加わることで、別の味が加わったことを、楽しんで製作なさっているように感じます。

左側の作品「游」では紫色のガラス細工が浮かんでいます。 底には黄色いオブジェクトが見えています。 浮かんでいるオブジェクトは、透明なものでくるまれているようで、他のオブジェクトと混ざり合うことがありません。

形もユニークで、不思議な浮遊物体という感じです。 アイホールから覗いて見ると、紫色の花が咲くような映像です。 ガラスの作家さんとのコラボレーションと伺いました。

万華鏡としての面白さも追求なさりながら、美術品の展示コーナーでの催事で、今回も工芸の粋を極めた作品をたくさん見せてくださいました。 

 

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K-Pod 2  

2014-11-15 21:44:06 | 万華鏡ブログ

昨日に続いて、チャールズ・カラディモスさんの最新作から 「K-Pod 2」(Kポッド2) をご紹介します。今年のブリュースター・カレイドスコープソサエティのコンベンションで少し小ぶりなサイズの作品が発表され、そのうちのひとつがK-Pod でした。 今回は同じコンセプトながら、新バージョンです。

背景は光を通すけれど、中は見えないぐらいの白いガラスです。 K-Podと違うのは横向きに置けるように、底面にあたる方に小さな突起があります。 もちろん上の写真のように立てて置くことも可能です。長さ14.5cmほどの大きさで、手に取りやすい作品です。

外観のガラスはいろいろ種類があり、そのガラスの色に合わせて、オブジェクトセルの色合いを決めています。 この作品は白に赤紫やグリーンなどがミックスされた表情の美しいガラスです。中の映像はどんな感じでしょう?

 

ミラーシステムは2ミラー、8ポイントです。 相変わらず、均整のとれた、完結した映像表現です。 黒や赤のとても細長いオブジェクトが見えています。 色模様の上に、これらの線で描いたような映像を生み出します。
セルを回すとその色模様がさっと消えて、黒いラインが主役の映像になりました。 

そしてもう一度回せば、また色の世界が戻ってきました。

色のピースを繋ぎながら、細いラインが紡ぎ出してゆく模様が、今回の作品の見どころでしょうか。 オブジェクトセルの中を動くガラスオブジェクトの軽やかな音を聞きながら、小気味よい映像の変化を楽しみます。

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合わせ技の光る万華鏡

2014-11-14 21:40:17 | 万華鏡ブログ

チャールズ・カラディモスさんの最新作 「Ambient Spirit アンビエント・スピリット」をご紹介します。 この作品、ボディーは黒いガラスのタイプと白いガラスのタイプがあります。 今日ご紹介の作品は黒いガラスで、筒の下の方、前後にピンク系のアートガラスをはめ込んでいます。 このガラスは以前、「Spirit スピリット」 というシリーズで使っていたものと同じで、「スピリット」ではボディー全体に使われていましたが、今回は黒と合わせることで、外観の魅力的なアクセントになっています。 

テイパードミラーシステムを組み込んだカラディモスさんの万華鏡は、コーン型が多いのですが、最近のコーン型は均一性を避けて、あえて、少しへこみやふくらみのあるボトルのような形になっていて、手にも馴染みやすくなっています。
そして、はめ込んだアートガラスをオブジェクトセルの背景にも使っているのがこのシリーズの特徴です。

ガラスの模様は背景の色となってソフトに映像に反映します。 オブジェクトセルを回転させることで、映り込む色も変わり、映像の変化にさらに奥行きが出ます。 このガラスは、オブジェクトの色合いなどにも反映され、外観との統一感を持たせています。

ミラーシステムは2ミラー9ポイント。 背景の色がうっすらと映り込み、その上にガラスオブジェクトが生み出すくっきりと、繊細な模様が見えています。 合わせ技の映像表現です。
定番シリーズの「Ambiance アンビアンス」でも色ガラスをオブジェクトセルの背景に置き、独特の色模様を生み出しましたが、この作品もその手法を取り込んでいます。

この手法は、映像の雰囲気を変える効果がありますね。 オブジェクトの形や大きさもいろいろな工夫があり、鏡の筒を通して、変化のある面白い映像になるように考えられています。

2ミラー、ドライセルの万華鏡というスタイルにこだわり続けている作家さんですが、生み出される新作ごとに、何か違ったものを表現していると思います。 「ちょうど良い光があれば、長い時間覗いていたい万華鏡だ」と作家さんご自身がおっしゃる通り、この作品の映像にはとても惹かれます。

シンメトリーの美しさ、黒い中に浮かび上がる調和のとれた色模様・・・・心地よい喜びと興奮を味わえる万華鏡です。

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花開く万華鏡展

2014-11-04 21:27:08 | 万華鏡ブログ

今日から11月9日まで開催中の「山見浩司となかまたち展」。 この万華鏡展は2年に1回開催され、今年で5回目だそうですから、すでに10年の歴史があります。 毎回作品を拝見させていただくたびに、新しい作家さんの名前を知るのが楽しみで、またその方たちの作品が自分らしさを加えて、確かに変わっていくのを見るのも嬉しいことです。 
今年の出品作家さんの数はなんと51名! 山見浩司さんの教室で学んだ、そして学んでいる作家さんがこんなに生まれているなんて! 素晴らしいことですね。

個展やグループ展などいろいろな形の万華鏡展がありますが、 この「なかまたち展」のような「つながり」と「広がり」のある展覧会は、類を見ないと思います。 

少し時代と状況は違いますが、アメリカで現代の万華鏡が創られ始めたころ、コージー・ベーカーさんがアメリカ各地で探し出した作家さんたちは、ベーカーさんが企画した世界で初めての万華鏡展に参加してみて初めて、自分のほかに万華鏡を作る人がこんなにいたんだ!と知ったそうです。 そしてその集まりが、ブリュースター・カレイドスコープソサエティーとなって万華鏡を愛する人たちのネットワークとなり、現代万華鏡の発展に寄与しました。



山見さんのお弟子さんたちが、先輩も後輩も一堂に会する機会として、この作品展は、似たような意味を持つのではないでしょうか。 繋がって、広がっていく力を感じ、おおいに勇気をもらいました。



ステンドグラスの作品だけでなく、陶器やアクリル、金属、ダンボール、紙など、素材にも個性があり、とても楽しみました。 またステンドグラスの作品にも、個性的な意匠をこらし、独自の世界を展開する人もいて、素晴らしいなと思いました。 日本の万華鏡界で、あちこちに花開く素敵な万華鏡作品を多くの方にご覧いただきたいと思っています。

この作品展は11月4日から9日まで開催中です。
(肝心の山見さんの作品スペースの写真がご紹介できずすみません。師匠の素晴らしい作品も並んでいます)

場所 アートスペース リピーナ
    港区 北青山 3-5-25  表参道ビル4階  
    03-3401-2242 (地下鉄表参道駅 A3出口 からすぐ)
時間  11:00~18:00 (最終日17:00まで)



 

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