万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

創る人も見る人もきっと「楽しい」万華鏡

2014-04-24 17:00:01 | 万華鏡ブログ

今日はランディー・ナップさん、シェリー・ナップさんご夫妻の作品です。 「Tanoshii」 (楽しい)と名付けられた、番号入りのシリーズで、ランディーさんが選んださまざまな木材をくり抜いて、美しく加工した万華鏡です。

今回ご紹介するのはとても濃い色のウェンジ材(アフリカ産らしいです)で、明るくくっきりした色合いのオブジェクトが組み合わされています。

オイルセルの回転は滑らかで、回転部分を回しやすい形状に加工する気配りもあり、とても扱いやすい万華鏡です。

シェリーさんのガラスオブジェクトはガラスの質感、表情、形、大きさなどの組み合わせが絶妙で、また見え方もくっきりと鮮やかに見えるのが特徴です。

遊び心も感じられて、本当に楽しい気持ちになります。

ダイクロイックガラスや透明感のあるガラスなど、オブジェクトがお互いに影響し合っています。 オイルの中を流れるオブジェクトの動きに任せて覗いていると、その変化の美しさに目を奪われるようです。

大胆な色の組み合わせからダイナミックな色の饗宴となり、思いがけない模様を見せてくれるのが、シェリーさんの持ち味ですね。 

ランディーさんの作るボディーは、それぞれの木材の味を生かして作られているだけでなく、形や大きさにもこだわりがあるように思います。 手になじむ大きさと形、質感が良いです。 アイホールやオイルセルのアクリル製の部品も丁寧な加工で、木材と雰囲気が合い、万華鏡のアクセントとなっています。 

アイホールがくぼんだ所に作られているのも、彼らの万華鏡の特徴の一つです。 こうなっているとしっかりと目をボディーに合わせることができ、余分な光が入り込まないので、とても良い状態で映像を楽しむことができるのです。

落ち着いた外観からはちょっと分からない、ヴィヴィッドで思いがけない色模様の展開を楽しめるところが魅力でしょうか? ナップさんご夫妻の作品はとても高品質で長い間楽しめる作品として、コレクションに加える方が多いと聞いています。

 

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寺照らす生命(いのち)万華鏡

2014-04-13 21:56:34 | 万華鏡ブログ

京都、東山の高台寺では、春の夜間特別拝観に合わせ、ライトアップされた建物や庭を見ることができます。 そして、その庭に万華鏡映像が映し出されています。 
どんなものだろうとわくわくしながら暗くなりかけた参道を進みました。
八坂の塔がシルエットになって浮かびあがります。



高台寺の波心庭にはみごとなしだれ桜があり、時間をおいて数十秒ライトアップされます。 その前に映し出される万華鏡映像と、ライトアップされた桜の花の饗宴です。

映し出される映像は3か所。 中央は庭から奥の壁に万華鏡の色模様が展開します。 

そしてライトアップされた石の並ぶ景色の前にも、万華鏡映像が色や姿を変え、展開します。 
日本の代表的な万華鏡作家である依田満さん・百合子さんご夫妻、山見浩司さん、中里保子さんらの万華鏡映像はとても美しく、このような広い空間でその美しさを大きく展開しながら堪能できるなんて感動的でした。

覗いて楽しむのが万華鏡ですし、個人的な体験に終わってしまいがちですが、こうやって投影され、変わっていくアートにふれる時間をその場にいて共有できるのは、また違った楽しみとなりますね。
お寺の庭という静かな空間が万華鏡の世界に変わったり、寺院そのものがコンサートの会場になったり、現代的なアート表現は時に古い常識を超える感がありますが、この試みは、幻想的なライトアップされた景色とともに強く印象に残りました。
京都万華鏡ミュージアム館長の伊藤知子さんがプロデュースなさったものですが、京都ならではの企画で、多くの方に楽しんでいただけたらと思います。

5月6日まで(火曜休み) ライトアップは日没から午後10時まで(午後9時半受付終了)

動画もご覧ください。

 http://youtu.be/gQTrJOmqgwc

 このブログも今日で1500回目の投稿になりました。 見に来てくださってありがとうございます!

Comments (2)
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神楽

2014-04-07 17:28:43 | 万華鏡ブログ

松宮真理子さんの作品「神楽 KAGURA」という作品をご紹介します。 
この美しいオブジェクトケースをご覧ください。 オブジェクトがどんなものであれ、ミラーの筒を通してできる映像が魅力的であることが万華鏡の面白さではあるのですが、オブジェクトケースの中に浮かぶあれこれが見た目にもこれほどきれいで魅力的だと、どれほど映像もきれいだろうとわくわくします。

筒のガラスはサンドブラストの技法で正倉院の宝物に見られる図案を描いたもので、シリーズとして何作か拝見したことがありますが、それぞれが1点ものの個性的な作品になっています。
表面の琥珀色のガラスはなだらかな曲面になっていて、金属のブレードで飾られています。曲面と平面と合わせて不均等な独特の筒の形もユニークですが、松宮さんの作品にはよく見られる例です。 

アシンメトリーな筒と映像のシンメトリーが組み合わさる面白さですね。
このボディーの中に、頂点が狭い角度の二等辺三角形のミラーシステムが入っています。 とても華やかで、繊細な模様が展開します。

細い金属や細長く引いたガラス細工など、横長のオブジェクトケースに合うオブジェクトを選び、色合いもガラスのボディーに合わせて、赤、琥珀色、黄色、ゴールドなどを中心に選んでいます。

一つの青いオブジェクトが現れ、点線を描きます。花火のようですね。

透明感のあるオブジェクトは、重なり合うことで濃さを増したりします。

松宮さんの万華鏡はヨーロッパの香りを感じるお洒落な作品も多いのですが、この作品はシルクロードを経て伝えられたという正倉院の宝物のデザインをイメージして創り、エキゾチックでもあり和風でもある万華鏡になっています。                                                                                                                                                          

ガラスの表情を生かし、ガラス工芸の技術を生かして、様々なイメージを万華鏡の形に映し出す作家さんです。

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瞑想

2014-04-04 22:56:16 | 万華鏡ブログ

野田麻里さんの「Meditation(瞑想)」という万華鏡をご紹介します。 野田さんは、色味のきれいなガラスをテーマによって選び、明るくきれいな作品が多いイメージですが、今回はクラシックな感じが素敵です。 黒いガラスに金色で絵付けをし、スランピングという技法で半筒型に焼き、合わせて筒にしています。 半田部分は金色に合わせて胴色にしてあり、全体の雰囲気を高めています。

オブジェクトセルの周りにもちょっとした装飾を施しています。 オイルセルにはガラスやビーズなどが入っていて、この万華鏡の雰囲気に合わせた映像表現です。 アンティークのような古びた味わいにピッタリの模様が、流れるように展開します。

コージー・ベーカーさんは著書の中で、万華鏡の映像に集中することは、瞑想するのと同じようだと書いています。 私たちは美しい映像を筒の中に見つけた時、感覚的に美しいと思います。 映えず変化し続ける美を追ううちに、万華鏡の映像は感覚にとどまらず、私たちの心にまで何かしら影響を与える気がします。 調和のとれた美しい形を見つめることで、心が安らぐ経験はありませんか。

野田さんはラファエロ展で感動した経験から、イタリアルネッサンスから得たインスピレーションをこの万華鏡に表現なさったそうです。 ラファエロの聖母子像など見ていると心が落ち着く気がして、そのような万華鏡を目指したと伺いました。 

落ち着いた華やかさがあり、随所に可愛らしさを感じる万華鏡映像です。 

この作品を手にとって、《瞑想》してみてはいかがでしょうか。

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