IKA 国際万華鏡協会展(銀座 ギャルリー・ヴィヴァンさんで開催中)に伺いました。 今年で12回を迎える公募展です。
今回のテーマは「光」。いろいろな形で光を表現した力作が並びました。
最優秀賞に選ばれたのは清野一郎さんの「導く光」という大作です。 荘厳なカテドラルを描いた大きな陶の皿は私たちをもう一つの世界に案内します。 描かれた薔薇窓に吸い込まれるようにその奥を覗くと、そこにはまばゆい光にあふれた万華鏡の薔薇窓が美しいガラス色を見せています。
本当に教会のステンドガラスの窓を見ているようですね。 伝統のあるカソリックの教会に足を踏み入れると、薄暗い中、ステンドガラスを通して見える光の美しさ、神々しさに感動します。 そんな体験をこの万華鏡はさせてくれるようです。
この大皿の奥にはミラーシステムと2枚のホイールを内蔵した万華鏡が金属の箱に収められています。 色とりどりのガラスを飾ったホイールとステンドガラスのラインとなる模様がついたホイールがあり、手で回します。 それぞれの組み合わせによって、荘厳な教会の薔薇窓の映像が生み出されています。
「陶芸家として、美しい万華鏡との融合を、オーソドックスな作品で高い次元に引き上げたかった」とおっしゃる清野さん。大成功ですね。陶器の質感と教会の建物の雰囲気がぴったりで、自然と奥へ誘うその表現が素敵だと思いました。
次は優秀賞を受賞なさった羽石茂さん・泉さんご夫妻の作品Across The Universe です。 大変美しいステンドガラス万華鏡と、その先にはスピーカーが備えられた、音と光の饗宴を楽しむ作品です。
でもこれが普通の音楽とちょっと違うところが魅力的なんです。
クリスタルボウルによる不思議な響きと宇宙の輝きを思わせる映像が組み合わされ、その前に立つ私たちは宇宙の中に放り出され、大きな世界に包まれたような、不思議な気持ちになります。
静かなところで身をゆだねるように、じっくりと味わいたい作品です。
(クリスタルボウルというのは、砕いた水晶を高温で焼成した鉢型の楽器だそうです。空気を震わすような不思議な音色は聞くというより、感じるものという印象を受けました)
暗い中にきれいに浮かび上がる映像はとても神秘的な雰囲気。 いくつかのスイッチが用意され、内部の照明を変化させながら楽しみます。
テーマ賞を受賞なさったのは、桐林恭子さん・亨さんご夫妻の「Brilliant Blue」です。いつもアクリルで独創的な作品を製作なさる作家さんで、今回は鉄のトライアングルと組み合わせたデザインになっています。「アクリルのブルーの輝きと鉄に反射したブルーを楽しんでください」とのメッセージがありました。
何と現代的で、かっこいい万華鏡でしょう。 素材の魅力を味わえますね。
オブジェクトはブルーに輝く星をイメージしたそうです。 とてもきれいです。
さまざまな素材を生かし、外観のデザインと内部の映像表現に工夫を凝らした万華鏡。いずれも素晴らしい作品でした。 続きは次の機会に。