万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

IKA展2012  The 12th IKA Kaleidoscope Exhibit in Tokyo

2012-05-30 19:28:51 | 万華鏡ブログ

IKA 国際万華鏡協会展(銀座 ギャルリー・ヴィヴァンさんで開催中)に伺いました。 今年で12回を迎える公募展です。
今回のテーマは「光」。いろいろな形で光を表現した力作が並びました。
最優秀賞に選ばれたのは清野一郎さんの「導く光」という大作です。 荘厳なカテドラルを描いた大きな陶の皿は私たちをもう一つの世界に案内します。 描かれた薔薇窓に吸い込まれるようにその奥を覗くと、そこにはまばゆい光にあふれた万華鏡の薔薇窓が美しいガラス色を見せています。

本当に教会のステンドガラスの窓を見ているようですね。 伝統のあるカソリックの教会に足を踏み入れると、薄暗い中、ステンドガラスを通して見える光の美しさ、神々しさに感動します。 そんな体験をこの万華鏡はさせてくれるようです。

この大皿の奥にはミラーシステムと2枚のホイールを内蔵した万華鏡が金属の箱に収められています。 色とりどりのガラスを飾ったホイールとステンドガラスのラインとなる模様がついたホイールがあり、手で回します。 それぞれの組み合わせによって、荘厳な教会の薔薇窓の映像が生み出されています。

「陶芸家として、美しい万華鏡との融合を、オーソドックスな作品で高い次元に引き上げたかった」とおっしゃる清野さん。大成功ですね。陶器の質感と教会の建物の雰囲気がぴったりで、自然と奥へ誘うその表現が素敵だと思いました。 

次は優秀賞を受賞なさった羽石茂さん・泉さんご夫妻の作品Across The Universe です。 大変美しいステンドガラス万華鏡と、その先にはスピーカーが備えられた、音と光の饗宴を楽しむ作品です。
でもこれが普通の音楽とちょっと違うところが魅力的なんです。

クリスタルボウルによる不思議な響きと宇宙の輝きを思わせる映像が組み合わされ、その前に立つ私たちは宇宙の中に放り出され、大きな世界に包まれたような、不思議な気持ちになります。
静かなところで身をゆだねるように、じっくりと味わいたい作品です。 
(クリスタルボウルというのは、砕いた水晶を高温で焼成した鉢型の楽器だそうです。空気を震わすような不思議な音色は聞くというより、感じるものという印象を受けました)

暗い中にきれいに浮かび上がる映像はとても神秘的な雰囲気。 いくつかのスイッチが用意され、内部の照明を変化させながら楽しみます。

テーマ賞を受賞なさったのは、桐林恭子さん・亨さんご夫妻の「Brilliant Blue」です。いつもアクリルで独創的な作品を製作なさる作家さんで、今回は鉄のトライアングルと組み合わせたデザインになっています。「アクリルのブルーの輝きと鉄に反射したブルーを楽しんでください」とのメッセージがありました。

何と現代的で、かっこいい万華鏡でしょう。 素材の魅力を味わえますね。

オブジェクトはブルーに輝く星をイメージしたそうです。 とてもきれいです。

 さまざまな素材を生かし、外観のデザインと内部の映像表現に工夫を凝らした万華鏡。いずれも素晴らしい作品でした。 続きは次の機会に。

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ミラーを動かせる万華鏡 Squeeze Me by Steven Gray

2012-05-29 21:59:29 | 万華鏡ブログ

今年の万華鏡コンベンションで作家としての活動再開を強く印象づけたスティーブン・グレイさんの作品は4月22日の当ブログでもご紹介しましたが、今日はもう1点、とてもユニークな作品をご紹介します。
タイトルは「Squeeze Me スクィーズミー」。 彼が20年ぶりに手掛けた万華鏡作品だそうですが、革新的な作品で有名だったスティーブン・グレイさんらしさは健在でした。
最大の特徴は、2ミラーでポリアンギュラー(ミラーの角度を変えることができる)の作品であること。

筒の横に取り付けられたスイッチのような部分を押すことで、5ポイントの映像から10ポイントの映像まで鏡を組む角度を調節することができるのです。 これがタイトルの意味でもある「私(ミラー)を押して、あるいは私(ミラー)を絞って」というわけです。
万華鏡のミラーは傷つきやすいので、ミラ―を開いたり閉じたりするのは、少し怖い気もしますが、その課題をどうやってクリアしたのでしょうか? すごいですね。

中心映像はくっきりと浮かび上がり、その周囲は水に流れるような模様になっているのも特徴です。

この万華鏡はパーラータイプとしても美しいバランスのとれた形をしていますが、台から外せるようになっており、手持ち型としても楽しめます。 SGというサインも見えますね。

この先端を台に差し込むことで、飾っても魅力的なフォルムの作品になっています。

メープル材とチェリー材の2種類の木材を使い、きれいに磨き上げているので、木目の美しさもひきたち、また触っても心地好い感触です。 木工の専門家だけに、その技術の高さが良くわかる作品です。
木工作品としても、万華鏡としても、高い技術と斬新なアイディアが込められた作品ですが、高価な限定版の作品とは違って、比較的求めやすい価格であることも嬉しいことです。 

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アトランタの万華鏡屋さん  Kaleidoscope Shop in Atlanta

2012-05-27 21:56:21 | 万華鏡ブログ

ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティー(BKS)のコンベンションは、毎年場所を変えて開かれます。 その地域の万華鏡ショップや作家さんの工房を訪ねる機会もあり、大きな楽しみの一つとなっています。アトランタでは、コンベンションの準備の中心となって活動してくれたのが、このKaleidoscope Shopの方々でした。
古くからのBKSのメンバーで、この店のオーナーのボール夫妻は、娘さんふたりの家族を巻き込んで、店舗経営をしています。
本当にたくさんの万華鏡を置いているので、アトランタに行く機会があったら、ぜひ行ってみてください。

コンベンションの合間を縫って、BKSの会員たちが訪れました。

今回はコージー・ベーカーコレクションの作品も展示されて、買い求めるコレクターもいたり、自分の昔の作品に出会って懐かしがる作家さんもいました。 

そんな中からいくつか素晴らしい作品をご紹介します。 
コーキー・ウィークさんの作品です。 下のトレイにきらきらしたきれいなオブジェクトがたくさん載っています。 ガラスと木の組み合わせのデザインがとてもお洒落ですね。
 

少し変わったミラーシステムで、きらめきのある映像は、繰り返しは分割されつつ、層になってどこまでも奥深く続いていきます。

次はドン・ドークさんの"Pandora's Box パンドラの箱"という有名な作品。 真ん中です。

広い覗き口から映像を見ると 正十二面体が浮かび上がります。

そしてコージー・ベーカーコレクションの中でも最も大きい作品のひとつが 1989年ウィリー・スティーブンソン製作の"Whatever Blows Your Skirt Up" です。 大き過ぎて写真では手前の覗き口が見えていません。 店内に所狭しと飾られていました。



電動式で、ポリアンギュラー(ミラーシステムの角度を変えられる)、オブジェクトはシルクのスカーフで、内蔵のファンでなびくのを万華鏡映像で楽しみます。音楽も聞こえてきて、とてもユニークな作品です。

ベーカーさんのコレクションだけあって、普段はなかなかお目にかかれない作品も多く、大変貴重な機会となりました。
また次の機会に、ほかの作品もご紹介したいと思います。

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素材は違っても、万華鏡の美 Kaleidoscope Quilt by Janice Chesnik

2012-05-25 22:49:51 | 万華鏡ブログ

4月にアトランタで開かれたザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションのプログラムのひとつに、万華鏡作家として活躍なさったジャニス・チェスニックさんの新しい挑戦、万華鏡キルトの展示と説明のセッションがありました。
私自身は万華鏡製作クラスに参加していたため、話を伺うことはできませんでしたが、ちょうど終わったころに会場を覗いたところ、作品を見ることができました。

ジャニス・チェスニックさんは30年以上も万華鏡作家として活躍してきました。 アメリカで最初の万華鏡ファミリーと呼ばれるのは、彼女の始めた仕事を家族ぐるみで行うようになり、大成功をおさめたことによります。


チェスニックさんが万華鏡キルトに出会ったのは1997年のことでした。ポーラ・ナーデルスターンさんの本を見つけ、とても興味を覚えた彼女は、その本を熟読して、万華鏡キルトを作ろうと決めたのです。 そんな母の興味を知った娘のシェリル・コックさんが、ナーデルスターンさんがワークショップで万華鏡キルトを教えていることを伝えると、すぐに申し込んだそうです。

一方ナーデルスターンさんも万華鏡キルトの製作のために、いくつもの万華鏡を集めたり、生徒さんに見せたりしていましたから、当然有名な作家さんであるチェスニックさんのことは、名前を見てすぐに分かったそうです。 二人はそれから意気投合し、チェスニックさんが家族ビジネスを息子のジョンさんに任せて引退したとき、ナーデルスターンさんが勧めて、彼女はキルト作家のギルドに入り、キルトの製作にのめり込みました。

自身の万華鏡映像を写真に撮り、オリジナルのキルトパターンを考えるのが楽しいと言うチェスニックさん。 万華鏡で身に付けた色や形のバランスがきっとキルトの製作にも生かされているに違いありません。

ブリュースター卿が万華鏡を考案したときに、装飾芸術のデザインに役立つ器具になるだろうと考えたそうですが、今、万華鏡作家さんの中でも、キルトや写真など、万華鏡をほかのアートの形に生かして楽しむことを考えている人たちがいます。 これも万華鏡の世界の広がりですね。


覗いている人がいるのがなんだか嬉しくなった作品です。

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スタートはガラスアートへの興味 Bob and Grace Ade

2012-05-23 11:40:17 | 万華鏡ブログ

ボブ・エイドさん、グレース・エイドさんは万華鏡を作り始めて28年になるそうです。 ザ・ブリュースターカレイドスコープソサエティーのコンベンションにもお二人で、ほとんど毎回参加なさっている作家さんご夫婦です。
今年の新作発表の作品は、「Elements エレメンツ」。 大きな覗き口から見えるのはこんな映像です。

テイパードで3ミラー、長方形に組んだ一面を反射しない黒にしています。大きな輪が浮かび上がり迫ってきます。 ユニークな映像ですね。

エイドご夫妻は、二人ともガラスアートに興味があり、アートショーなどを見て歩いたりするうちに、自分たちも作る側になりたいと思い、ステンドガラスの教室に通うところからスタートしました。 1983年、あるギャラリーでガラスの万華鏡に出会ったことがきっかけで、万華鏡作家への道を歩むことになったそうです。 そしてザ・ブリュースターソサエティのメンバーになったことで、大きな一歩を踏み出しました。 特にコージー・ベーカーさんとの出会い、スティーブン・グレイさんの作品には大変刺激を受けたそうです。

サイレント・オークションで、「南部の春」をテーマに発表したグレース・エイドさんの「Blossoms 花盛り」 

ガラスをフュージングの技法で重ねた花が愛らしく、春の雰囲気いっぱいです。 

 オブジェクトにもミルフィオーリの花なども含まれ、外から見ても花のイメージにぴったり。
そして映像も花びらのようになっています。

エイド夫妻は偏光万華鏡、3D映像の万華鏡、ポリアンギュラーの万華鏡など、ユニークな作品も多いですが、シンプルで誰もが楽しめるステンドガラスの作品も作っています。

「Playtime プレイタイム」という万華鏡で、オブジェクトセルの片側が開くようになっていて、中のオブジェクトを入れ替えることができます。 とても楽しめますね。




 

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清々しいガラス色  MINAMO by Sato

2012-05-21 16:01:26 | 万華鏡ブログ

佐藤元洋さんの新作「MINAMO」をご紹介します。
白地に美しいパステルカラーが配された、見た目にも心地よくアピールする作品です。
小ぶりで美しい色合いと透明感のある映像で人気のある「ピュア」シリーズや「アイリス」シリーズに続いて、今年の個展で発表されたものです。

特徴的なのは、胴体部分がより丸みを帯びている点と、オブジェクトセルの形です。 つまみの付いた冠のような形のオブジェクトセルが可愛らしいですね。
オイルセルのなかのガラスオブジェクトは美しい色合いで、胴体のガラスの色模様と合わせて、魅力的な外観になっています。

厚みのあるオブジェクトセルの中で、透明なガラスオブジェクトと半透明なガラスオブジェクトが前後しながら動くので、奥行きの感じられる魅力的な映像展開です。

そして佐藤さんの3ミラーでは珍しい5ポイントの中心映像の周りに広がる色模様が見られます。
覗き口からすべてを撮影はできませんでしたが、筒全体を回して、奥行きと広がりのある映像の流れを楽しんでいただきたいです。

先のアメリカでの万華鏡コンベンションで People's Choice Awardを受賞なさった佐藤さんですが、美しい映像を生み出すために研究を重ねてきて、認められたことを心からお祝いしたいし、これからの作品にもますます期待したいと思います。

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ガラスの花 ワイルドアイリス  Wild Iris

2012-05-19 22:59:56 | 万華鏡ブログ

スティーブ &ペギー・キテルソン夫妻のフラワースコープから、新作の「Wild Iris ワイルドアイリス」です。 4月のコンベンションで「最近できたばかりの作品を持ってきたよ」と言われて覗いたのがこれでした。 ナンバーを見ると、25本の限定版でNo.1です。

花の紫、葉の緑のそれぞれの色合いに深みがあり、白いガラスに映えています。

以前からご紹介している「アイリス」は コーラスラインと呼ばれる横に長いリボンのような映像でしたが、今回は2ミラーシステム8ポイントの映像です。

紫の濃淡を中心に、ブルーやグリーンの色合いが、外観のデザインとも良く合い、筒の中にも大きな花を咲かせています。

フラワーシリーズでは、オブジェクトの中にテーマとなった花が入っています。 バーナーワークで、ガラスの棒から創りだす、ガラスの花です。 オブジェクトセルの中を横から覗いてみると、確かに紫色の花が見えています。

ペギーさんの生み出すガラスオブジェクトがオイルの中をさまよい流れる映像は、いつもながらうっとりするほど美しく、その移り変わりを見ているだけで幸せな気分です。 

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中世の雰囲気を醸し出すガラスの魅力  Antique Stained Glass Technique

2012-05-18 17:23:53 | 万華鏡ブログ

東京、世田谷の「ギャルリ・ド・ぽえむ」さんで開催中の松宮真理子さんの個展に伺いました。 
松宮さんは中世ゴシックの大聖堂時代に人々に「神」を受け入れやすくする手段として発達したというステンドガラスの古典技法、焼き絵付けを行ってパネルや、それを生かした万華鏡を製作なさっている希少な作家さんです。

主にフランスやドイツで昔ながらの手法で作られたアンティークガラスを使い、グリザイユ、エマイユといった顔料を使用して、陰影をつけたり、絵を描いたりなさるそうです。 ひとつの作業をするたびに焼成をし、着色の状況を確認しながら、6回の焼成を繰り返します。 ひとつの絵を完成させるのに非常に手間と時間がかかりますが、中世そのものの質感や本物感は他では出せない味わいがあり、太陽光によって毎回色や表情が違って見える魅力があります。(ご本人の説明を参考にさせていただきました。) 下の写真も、この技法で描かれたパネル作品です。

今回の個展では、パネルの作品と万華鏡が居心地の良い部屋を飾るように展示され、とても良い雰囲気で、ゆったりと作品を楽しむことができました。

トップの写真は新作の「Musica-mundana」で、リリーとヴィオラです。 この2枚のパネルに絵付けの技法で花を描き、アレンジを加えた味わいのある表情です。 とってもお洒落ですね。
オブジェクトセルも外から見ても美しく、繊細なガラスや金属などが入っています。

ヴィオラの映像。光の下、輝くような色が美しいです。

 

そしてリリーの映像です。 繊細なオブジェクトの組み合わせが素敵です。

強い光の下では、ゴールドに輝くように見えますし、柔らかい光の下ではしっとりとした落ち着いた色合いの映像になり、表情を変えるのが面白いです。

絵付けの作品以外にも、ガラスのさまざまな技法を使った作品がありました。

これらは「神楽」というタイトルのシリーズです。 正倉院のタペストリーのデザインの一部をサンドブラストでガラスに刻みこみました。 
青いガラスの作品の映像は、こんな感じです。 

奥に見えているシンプルな青い半筒の作品、「海を見上げる」も、底の一面に光を通すガラスを使い、ミラーシステムに反映させているので、こんなユニークな輝きの映像を見せています。

外観の個性的なガラスによる多彩な表現、自由な発想のオブジェクト選びとともに、ミラーシステムもいろいろな試みにチャレンジし、魅力的な作品が揃いました。 

5月14日から20日 、11:00~18:00 最終日は17:00まで。

世田谷区松原3-9-18  ギャルリ・ド・ぽえむ    03-3325-3403

 

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鏡のイリュージョン Shadow Box / Kaleidoscope

2012-05-17 16:38:27 | 万華鏡ブログ

マーク・ティクルさんの新作 「Ella-Rose エラ・ローズ」をご紹介します。
構想を練ってから長い時間をかけて創られたこの作品は、一見してガラスの置物ですが、ふたつのミラーシステムが組み込まれています。
ひとつは正面から見えるミラーシステムで、鏡を使って3D効果を生み出し、遠くからでも中に浮かんでいるような球が見えています。

もうひとつの、先端部のオブジェクトセルを覗くミラーシステムは、一体どこに隠されているのでしょうか?
広がりのあるように見える内部空間は、実はその1/8しかなく、残りの7/8は鏡の向こう側に存在しているように見えるイリュージョンです。 そこに隠されたミラーシステムがあるのです。

写真上部に見えるオブジェクトセルはオイル入り。そのセルを回しながら、7ポイントの映像の変化を楽しみます。

背景が光を通すガラスなので、光の色、明るさで見え方も違ってきます。

マークさんはランプワークの腕前も定評があり、オイルセルの中には、手作りのガラスオブジェクトの数々、小さなガラス球、金箔、ダイクロイックガラスなどが入っています。

次は今回のコンベンションの新作発表の場で紹介された作品「Odonata( トンボ類)」という万華鏡です。 わかりづらいのですが、外から見るとガラス張りの丸い筒で、空間にトンボが飛んでいる様子が見えます。これもミラーを使ったシャドウボックスであり、万華鏡でもあるのです。

覗き口は右の万華鏡で見えているところです。 ここから覗くと色鮮やかな5ポイントのマンダラ映像が見えます。 ミラーシステムはやはり隠されているのですね。 筒いっぱいに空間が広がっているように見えるので、とてもミラーシステムがあるようには見えないのが、印象的です。

外観よりも広い世界が中に広がるマークさんの独特の世界と、彩り豊かな映像の変化を楽しんでいただきたいと思います。

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セレンディピティー Serendipity

2012-05-16 13:28:28 | 万華鏡ブログ

覗いたとたん、このブルーグリーンの輝きに引き込まれました。 スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の「Serendipity セレンディピティー」という新作です。

筒は深いブルーとグリーンが混じり合ったうねりのあるアートガラスで、彼らの定番の形とサイズです。
オブジェクトはペギーさんのランプワークによる美しいガラス細工。 これも彼らの定番です。

この万華鏡の特徴は、このオーラを発するような映像です。 8ポイントの映像の周りに映り込むのは、オブジェクトの色を映しこんで反射するダイクロイックガラスの色。 ミラーシステムの第3面にダイクロイックガラスを入れることで、このような映像表現になっています。

オイルの中で揺れ動くガラスオブジェクトが周囲に微妙に変化する色の反射を生み出し、中心映像の流れるような動きに、さらに彩りと輝きを添えます。

キテルソン夫妻は、自分たちのスタイルを保ちながら、常に新しい何かを付け加えてくれるところが素晴らしいなあと思います。 

ご夫妻に伺ったところ、万華鏡のタイトルをつけるときは、深い意味を考える訳ではなく、雰囲気や感性でつけるそうですが、私としては「セレンディピティー」という素敵な名前にも惹かれる作品です。 以前に見た、そういうタイトルのロマンチックな映画も良かったし、「ふとした偶然に何かを発見することのできる能力」という言葉の意味もなかなか良いではないですか。

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