万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

種 Seed

2017-06-30 17:27:26 | 万華鏡ブログ

透き通ったガラスは重なって緑を帯び、美しい塊になっています。佐藤元洋さんが「種」と名付けた作品です。「フロートガラスの光のグラデーションが特徴」と作家さんご自身の説明がありました。 積層という技法で重なっているのに、どこまでも澄み切った感があり、透明度という言葉を使いたくなるような、美しいガラス造形のボディーです。いつもの吹きガラスの万華鏡ではなく、また、スタンドも金属製で新鮮な印象です。

オブジェクトはバーナーワークで作られたガラス。背景が黒のオブジェクトケースと背景が透明なオブジェクトケースの2種類があり、交換して楽しめます。

透明な種の想いをイメージして創ったというこの作品、色とりどりの夢の華を咲かせます。いつもながら繊細で美しい色模様が展開し、目が離せません。

これらの写真は黒い背景のオブジェクトケースを取り付けたときの映像です。透明な本体の美しさにまず目を惹かれ、中を覗いて、そこに展開する色模様にまた感動をもらい、作者の想いが伝わってくる気がしました。
この作品はピープルズ・チョイス・アワードを受賞しました。佐藤さんは3回目の受賞となります。素晴らしいですね。

流山市の万華鏡ギャラリー見世蔵の「万華鏡世界大会2017 出品作家展」で展示中です。7月9日まで。

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シャンデリア

2017-06-26 21:47:53 | 万華鏡ブログ

引き続き 万華鏡ギャラリー見世蔵さんの作品展から、北村幸信さんの「シャンデリア」をご紹介します。LEDライトが組み込まれていて、このように全体が輝いています。本体はCDがカットされ、うねりのある重なりになるようにデザインされています。この素材の特徴から虹色を生み出すホログラム効果があります。

ホイールのオブジェクトもCDを使い、様々な素材を飾り付けています。中からもライトが当たるので、光を受けて光沢のある映像を見せます。この作品の最もユニークで、北村さんらしい発想が見える特徴は、このホイールの回転にあります。 このホイールは水平方向だけに回転するだけでなく、傾きを変えながら回転できるのです。取り付けたマグネットの形と傾きのある万華鏡本体がポイントで、遊びのある動きを可能にしています。百聞は一見に如かず! です。

 

CDやDVD を素材にユニークな作品を生み出してきた北村さんは、動きや仕組み、仕掛けの面白さを追求する作家さんです。私に作品を説明してくださるときも、写真入りの説明書を用意してくださいます。おかげでどれほどの工夫が詰め込まれているかわかります。

回転を止めてオブジェクトホイールを傾けてみると、輝きや表情、色合いまでもが変わってくるのがすごく面白いです。そしてこのホイールはマグネットで簡単に着脱ができるので、交換して変化にとんだ模様を楽しめます。

まるで西陣織の模様を見ているようです。京都での新作発表への工夫の一つに違いありません。写真では豊かな表情をお見せしきれず残念です。

 

 是非実物を体験していただきたい、素晴らしい作品です。

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ジャポニカ

2017-06-25 23:13:09 | 万華鏡ブログ

京都で開かれた万華鏡世界大会で新作発表をした作家さん15人の作品展が、流山市の万華鏡ギャラリー「見世蔵」で開催中です。世界大会のために意匠を凝らして制作されたものばかりで、大変見ごたえのある作品展になっています。

今日はその中から松田晃江さんの「ジャポニカ」をご紹介します。 名前の由来は白いモダンなタイルです。

どれも伝統的な和のデザインが施されていて、これを生かした万華鏡を創ろうと考えたそうです。全体の丸い形も可愛らしいですね。 この写真では写っていませんが。台座部分は月を掲げるうさぎのデザインになっています。

松田さんの作品はどれも繊細な映像が素敵です。和のイメージで選んだガラスオブジェクトは透明感があり、オブジェクトセルを回すたびに重なりの表情が変わりますが、これは白い背景だからこそ美しく映えるのですね。

白い背景というのは、和紙を使っているからです。光を通しながら、後ろの景色は映り込まないので、すっきりとした見え方です。二つのミラーシステム(2ミラーと3ミラー)が組み込まれています。

外観は白と黒でまとめた和モダンのパーラースタイル、中を覗くと優しく繊細なガラス色が展開して目を楽しませてくれます。

 この作品展は7月9日まで流山市の万華鏡ギャラリー見世蔵で開催中です。
10時~17時 月、火休館 電話 04-7190-5100

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カラディモスさんの初めての試み

2017-06-14 21:57:03 | 万華鏡ブログ

BKS万華鏡世界大会で来日したチャールズ・カラディモスさんの新作です。ガラスを窯で成形し、2つのパーツを合わせて筒にするのが彼の定番スタイルでしたが、今回発表したのは、ガラス製ではありません。 なんと3Dプリンターによって成形した筒の作品で、プロトタイプ第1号です。 まだ正式なタイトルもありません。高さが約24㎝あり、プリントするのに60時間かかったそうです。コンピューターから生まれる立体作品をどのように形容したらいいのか、私には正直なところよくわかりませんが、結構複雑な形です。

写真はいずれもご本人から提供されたものです。

2ミラー9ポイントの美しいシンメトリーは、さすがカラディモスさんならではのもの。 オブジェクトはランプワークを施したガラスやドライアンプルで、魅力的な映像を生み出します。 

オブジェクトセルは簡単に開閉ができ、中のオブジェクトを交換できるという点も彼の作品にはなかったタイプです。
3Dプリンターの可能性に注目し、第1号に手ごたえを感じたカラディモスさんは、今後も挑戦していくとおっしゃっています。

今日でこのブログの1700回目の投稿になります。 これからも作家さんの創る素敵な万華鏡をご紹介していきたいと思いますのでお付き合いいただければ幸いです。

 

Comments (2)
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久保田一竹の着物に魅せられて  Homage to "Landscape Kimono" by Itchiku Kubota

2017-06-05 22:36:58 | 万華鏡ブログ

今日ご紹介するのは、スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の作品、「夕暮れの光景」 Reflections Before Nightfall です。
外観から着物がデザインされているのがわかりますか? ダイクロイックガラスを重ねて微妙な色模様を演出しています。
木製の支えは、着物がかけられている衣桁を思わせます。日本のコンベンションでの発表に至るまで、この万華鏡が生み出されるまでのストーリーがあります。

1990年代後半ペギー・キテルソンさんとシェリー・モザーさん(万華鏡作家)がコージー・ベーカーさんを訪問した際、自然史博物館で開催されていた久保田一竹の着物の展覧会に誘われました。何の予備知識もなく訪れたその展覧会で、ふたりは「風景を描いた着物の連作」に衝撃をうけ、言葉では言い尽くせないほどの感動を覚えたそうです。そしていつか日本を訪れて、久保田一竹美術館を訪ねたいと私たちにも語っていました。
(コージー・ベーカーさんはブリュースター・カレイドスコープソサエティの創立者であり、作家を育て、現代万華鏡のアートを広めることに多大な貢献をなさった方です)

その久保田一竹へのオマージュとなる万華鏡を、ガラスを素材として作りたいと考えたのです。 「風景を描いた着物の連作」の最初のシリーズは「夕暮れの光景」と題しました。 限定版でいくつかずつ制作していく予定です。 ダイクロイックガラスを使い、着物の絹の光沢や質感の違いを表現して風景を演出しています。

7ポイント2ミラーの映像の周囲にオーラのごとく輝くのは、ミラーの第3面にダイクロイックガラスを貼っているからです。オブジェクトセルの横から入る光とオブジェクトの色を映して、輝きながら、色鮮やかに変化します。

オブジェクトセルは交換して楽しめます。 マグネットで着脱が簡単です。ひとつひとつがガラス造形のようなオブジェクトで美しいです。ペギーさんの技術とセンスを凝縮したセルは、そのまま見ても本当にきれいですが、ミラーシステムを通して見る映像はまた新たなアートを生み出します。

 このコンベンションの後、ペギーさんたちは念願の久保田一竹美術館に行くことができたと聞いています。次の作品にその印象が表現されることでしょう。

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紅花流水紋 A Red Flower on flowing Water

2017-06-04 21:42:24 | 万華鏡ブログ

今回のBKS万華鏡世界大会で運営委員の一人としてご尽力いただいた中里保子さんの作品をご紹介します。タイトルは「紅花流水紋」です。この作品は参加会員の投票によって選ばれる「ピープルズチョイスアワード」を受賞しました。
流水紋のあるガラスは京都にもゆかりの深い「琳派」の雰囲気を見せています。ただ中里さんの意図は、琳派の芸術をそのままガラスで表現するのではなく、400年も前のアートに見られた斬新な切り口を万華鏡のデザインに取り入れたところにあります。流水と花は古典的なテーマですが、このデザインは確かに現代的ですね。

とても印象的な外観の紅い梅の花と連動するように、内部にも花が咲きます。二つの覗き口の一つからは2ミラーシステム5ポイントの映像です。

そしてもう一つはとても大きな開口部から見える奥行きの広がる映像です。 テイパード4ミラーシステムです。

とても広がりのある映像なので、1枚の写真では取り切れないほどです。これらの映像を生み出すオブジェクトは2つあり、ガラス製のホィールとオイルワンドです。金色も配して琳派のような華麗さも表現しています。

ホィールが本体の下に少し見えていますが、鮮やかな色合いが分かりますね。 本体の色が抑えられている分、この鮮やかさが映像に意外性を感じさせて、思わず見入ってしまいました。

台座は積層ガラスとステンドガラスで構成してあるそうです。全体のデザイン性を高め、ガラスの美しさを見せてくれる演出ですね。ギリギリまで試行錯誤を重ねていることは伺っていましたが、その結果の作品を拝見して、完成度の高さに感銘を受けました。

中里さんのこの作品も含めた、「万華鏡世界大会in京都2017」出品作家展が6月21日~7月9日まで、流山市の万華鏡ギャラリー寺田屋茶舗 見世蔵 で開催されます。 東京近辺の方も世界大会出品作品をお楽しみいただける機会ですので、どうぞお楽しみに。 

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カメレオン星雲 Chameleon Nebula

2017-06-01 20:54:38 | 万華鏡ブログ

この美しい色の重なる映像を生み出すのは、マーク・ティクルさんです。万華鏡世界大会in京都での新作発表作品で、見事ピープルズチョイスアワードを獲得しました。マークさんと言えば、3D映像のミラーマジックとバーナーワークのガラスオブジェクトが有名ですが、これは一味違った作品です。

ピープルズチョイスアワードとは、BKSコンベンション(世界大会)の参加会員が新作発表した作品の中から3点を選び、その集計結果のうち評価の高かった3人の作家さんに賞を授与します。順位はありません。今年は同数の獲得者も含め4人が受賞しました。

これがテレイドスコープの映像とは!と驚いた人も多いことでしょう。テレイドスコープに斬新なアイディアを取り入れて、このような映像を生み出したところが評価されたと思います。名前は「カメレオン星雲」。最新作のカメレオンシリーズのうちのテレイドスコープです。何度も試作を重ねて、やっと思い通りの映像が表現できたと言います。

筒の先端には、高品質で大きな水晶球があります。 ミラーシステムは、4ミラーと2枚のダイクロイックミラーフィルター、つまり6枚のミラーが生み出す映像です。そして3つの窓が大きな影響を与えます。

それぞれから入る光により、またその角度により色が変わることから、カメレオンと名付けたそうです。

一番シンプルなつくりのテレイドスコープにこんな新しい展開があることを教えてくれました。 すごいですね。

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