万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

ソラリス  Solaris

2016-04-09 13:28:55 | 万華鏡ブログ

大きめの黒いガラスに、光の当たり具合で、きらきらしながら色を変えるダイクロイックガラスを飾った、スティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の作品、「Solaris」です。 
しっかりとした木製の台に支えられたパーラー型の万華鏡です。

両脇の支柱に支えられ、垂直になっている筒を、見る人の目の位置に合わせて傾けて、中の映像を見ます。 台座の部分はくりぬかれていて、そこには替えのオブジェクトセルが置いてあります。 この万華鏡はオブジェクトセルを簡単に着脱できるマグネット式なのです。

外観のカラフルなダイクロイックガラスのイメージをそのままに、ペギーさんが一つ一つバーナーワークで製作したガラスオブジェクトが、たっぷりと入ったオブジェクトセルです。 美しい色や輝き、透明感、さまざまな形態のオブジェクトが生み出すのはどんな映像でしょう。

直径9cmで厚みもあるオブジェクトセルはオイル入りで、その中を流れるオブジェクトの動きが、優雅に変化する7ポイントの映像を生み出します。

 セルの横から光を当てると、光沢のあるガラスオブジェクトの表面が輝き、重なり合う色の表情も豊かになります。 

もうひとつのオブジェクトセルはピンクの濃淡、白、淡いグリーンなどがきらめくダイクロイックガラスと一緒に入っています。 セルを見るだけでも美しい。

春を想わせる華やかさとみずみずしさのある映像です。

筒も大きな作品ですから、映し出される映像も大きく、その豊かさや立体感など、写真では伝わりきれず、残念です。

この「ソラリス」は、4月23日から5月15日まで、京都万華鏡ミュージアムの「海外の作家たち展」でご覧になれます。 キテルソン夫妻の最新パーラースコープの、外も中も美しい世界をご堪能いただきたいと思います。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ふらび」コレクションから #3

2016-04-04 21:50:19 | 万華鏡ブログ

どこか懐かしい感じの2本の瓶ですが、これらも万華鏡です。 作家はピーター&スキーター・ディ・マティア 夫妻です。 彼らはステンドガラス、金属(スティール)、そして様々な瓶を素材に遊び心のある作りと美しい映像が特徴の作品を多数作られた作家さんです。 大きなものから小さなアクセサリータイプまで数多くの作品が生み出されました。 最近では作家活動をなさっているのかどうか、わかりませんが、今でも変わらず見えるくっきりとした映像には、独特の魅力を感じます。

次は、万華鏡界の重鎮であり、多くの作家が尊敬するコーキー・ウィークスさんの初期の作品。重厚な雰囲気のホイール万華鏡です。

オブジェクトのホイールにはアール・ヌーボー風の金色の蜻蛉が組み込まれていて、装飾的なデザインにもなり、また映像にもアクセントとなっています。

コーキー・ウィークスさんは万華鏡の世界を広げた人と言ってもいいでしょう。 素材も、ミラーシステムも、外観のデザインも多種多様で、どれもがユニークなので、その創造性にいつも驚かされます。そして多くの作家さんたちに技術を教え、助言をを惜しげなく与えたことで、作家を育てたという意味でも世界を広げたのです。 

こちらはカレイドスコープ・ルネッサンスの初期から活躍なさったベン・アンスレイさんの作品です。 アラバスター(雪花石膏)と呼ばれる独特の石を使った作品が有名で、 石なのに光を通すという特徴を生かした万華鏡です。 最近では見ることもあまりない素材ですね。

山見浩司さんのパーラータイプの作品です。 山見さんらしい美しいホイールを、組み込まれた3種類のミラーシステムで覗きます。

中央のミラーシステムから見えるダイナミックな映像です。

三井さんのコレクションは、ここに展示されているものだけでも100点以上あります。 大変貴重な作品も含め、どれも平等に見てもらえるよう、並んでいます。 時間は必要ですが、覗いてもらうのを待っている万華鏡たちです。 展示は明日5日の午後5時までです。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ふらび」コレクションから #2

2016-04-03 16:34:05 | 万華鏡ブログ

「ふらび」のコレクションは、カレイドスコープルネッサンスの初期のころの作品から現在も活躍する作家さんの作品までが多いのですが、その中で,それより100年も前、1870年代にアメリカで生産された万華鏡、「ブッシュスコープ」という貴重な品も展示されています。上の写真の右側です。 
その左側にあるのは、マーク・ティクルさんの作品です。 ティクルさんは現在も活躍中の作家さんですが、初期のころの作品がほかにも展示されています。

どちらも立体的な映像展開で、現在の作品につながる彼らしさを見せています。
左の作品の映像は、6ポイントの星のような映像が奥深くまで、繰り返すもの。

右側の作品の映像は外観の波打つラインと映像の関係、側面の模様がユニークです。

万華鏡界に大きな影響を与え、数々のアイディアを生み出した作家、ダグ・ジョンソンさんの作品です。 ボディーに透明な面取りガラスを使うのが特徴で、ミラーシステムと重なってボディーも鏡のように見えています。 映像にこだわり、最初に表面反射鏡を使った一人と言われています。 コージー・ベーカーさんを、万華鏡の世界に引き込んだのは、彼の作品でした。

次はウィリー・スティーブンソンさんが「スピリット・スコープス」という名前で生産した銅製の作品です。彼は、手ごろな価格帯の2ミラーの手持ち型万華鏡を生産した最初の作家と言われています。
非常にシンプルな作りですが、金属の表情は同じものはなく、また映像も大変きれいです。

この作品にとどまらず、ウィリー・スティーブンソンさんは、その後は大掛かりな作品でも、素晴らしいアイディアを形にし、ベーカーさんのコレクションにも、何点か見ることができました。

2枚のホイールを使った万華鏡と言えば、チェスニック・ファミリーが有名です。そのひとり、ロリ・ライリーさんは、現在は小さなアクセサリータイプの作品を作っていますが、初期のころは、木製のホイールスコープを制作なさっていました。

覗くとダイナミックな映像が目に飛び込んできます。

どの作品も、万華鏡ルネッサンスの歴史を物語りながら、今でも斬新さを見せていて、万華鏡の奥深さを感じます。 多彩な色の世界、多様な個性を、ぜひご覧いただきたいです。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ふらび」コレクションから 

2016-04-02 23:25:49 | 万華鏡ブログ

渋谷の東急本店で開催中の万華鏡200年を記念する三井郁弥さんの万華鏡コレクション展は、たくさんの作品がゆったりと飾られていて、万華鏡を味わう素敵な場所になっていました。
このコレクションでは、どちらかというと最新の作品というより、万華鏡ルネッサンスを作り上げてきた歴史を思わせる作品がたくさん見られます。

たとえば今日ご紹介したのは、グレン・ストローブさんの2000年の作品で、S.F.パーラースコープシリーズ#204です。 木工のグレン・ストローブさんと映像を担当する息子のベン・ストローブさんがコラボレーションで制作した、完成度の高い万華鏡です。

先が広がるテイパード2ミラーシステムで、映像の中心がきちんと正面に来ているので美しいシンメトリーの映像です。 特徴的なのは、このオブジェクトセルには、バーナーワークによるガラスオブジェクト、液体入りガラスアンプル、アンティークの時計部品を入れていることです。 写真ではわかりませんが、ドライの映像の中で液体の流れが見えるのが、とてもユニークです。 写真の濃い赤や青の部分が液体です。

以前、富良野で拝見した時にも大感激したこの万華鏡、その時の写真に比べると木材の色が薄くなっています。 日当たりのよい窓辺で覗くのがきれいだからと展示してあったそうで、渋い濃い目の色合いが変わってしまっていました。 万華鏡映像は光があってこその美しさですが、一方で直射日光に当たらないところで保存してくださいとお願いすることも多いのです。難しいところですね。

それでも内部映像の繊細さ、すがすがしさ、鮮やかさは変わることなく、やっぱり素晴らしい作品だなあと再確認しました。 

もうひとつ、手持ち型の作品です。

こちらは3ミラーシステムで、特徴は、ハニカム(ハチの巣)という六角形の模様に重ねて、オブジェクトが模様を作るところです。

白い背景にこちらも透明感のある色の重なりや、時計の部品などがきれいに見える、気持ちの良い映像が展開します。

時を経ても魅力を失わない作品を伝えていくこと、たくさんの万華鏡を実際に見て感じてもらうこと、それが三井さんの想いであり、この万華鏡展への期待だと思います。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする