万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

シェリー・モザーさんの「シャンダラ」

2010-08-27 16:24:37 | 万華鏡ブログ
現代万華鏡の中でもその歴史の1ページを飾る画期的な作品のいくつかを、ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションからご紹介していますが、今日の作品はこのブルーの小さな万華鏡です。 
最近では万華鏡の製作からちょっと離れていらっしゃるシェリー・モザーさんの「シャンダラ(chandala)」という万華鏡です。 1988年に発表して以来1995年ぐらいまで、いくつかのバージョンで製作されたこのシリーズの面白さは、その映像にあります。 コージー・ベーカーさんの本でその素晴らしい映像が大きく紹介されていたので、大きな万華鏡かと思っていましたが、実際は普通の大きさの手持ち型の万華鏡でした。

オブジェクトが重なり合って立体的な映像です。そして筒を傾けると・・・


さらに飛び出すオブジェクト!

ミラーシステムの中にガラスオブジェクトが入っているのですね。そして自由に動きまわります。 ミラーの筒の先にあるオブジェクトとは違い、前後に動くことのできるオブジェクトを使って、美しくユニークな映像を映し出すためには、いろいろな工夫があると思います。焦点距離を考えてのミラーの大きさや長さ、オブジェクトの大きさとバランス、ミラーを傷つけないための工夫など、いろいろと試みたことと思います。今見てもとても魅力的な映像です。

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カレイドスコープ・ルネッサンスの予感

2010-08-26 17:33:53 | 万華鏡ブログ

万華鏡が発明されて大ブームを引き起こした後、いろいろな技術革新があり、人々の注目はほかのものに向き、万華鏡は忘れられていきました。1970年台にカレイドスコープルネッサンスとして、現代万華鏡が少しずつ復興するまでの間、万華鏡は子どものおもちゃとして存続してきました。この写真のキャンベルスープの万華鏡もそうですが、スティーブン社製の子供向けの万華鏡をクリスマスプレゼントにもらった子供たちがたくさんいたそうです。
そして、この時期に記憶すべきもうひとつの万華鏡が、この青いTrovascope です。厚い紙の筒で、まだ表面反射鏡も使われていないこの万華鏡は、当時のアーティスト、アーネスト・トローヴァが、彼のデザインのテーマであるシルエットの人型(Falling man)をオブジェクトセルに組み込んでデザインしたもので、昨日ご紹介したのと同じ、MOMAが製作し、販売しました。


白と黒を効果的に使った映像は、斬新な感覚で、子供向けではなく、大人の人にも新しいアートの形として受け入れられたのではないでしょうか? 


時折映り込むほかの色や形も、シルエットの面白さを壊すことなく、効果的に使われています。
コレクションの始まりがこの作品やカレリッツさんの作品だった人、子どもの頃スティーブン社の万華鏡を楽しんだ人・・・今、アメリカで万華鏡を楽しむ人たちの中にも、そんな人たちがきっとたくさんいることと思います。そんな土壌のもとに、万華鏡ルネッサンスが花開いたのです。

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ジュディス・カレリッツさんの偏光万華鏡

2010-08-25 23:15:41 | 万華鏡ブログ

今回のザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションは第20回の記念すべき会にあたり、過去の歴史の中で生まれてきたさまざまな万華鏡が、コレクターの方の好意により、展示されました。
その中で特に目を惹いた、歴史的な価値を持つ万華鏡のひとつが、ジュディス・カレリッツさんの万華鏡です。おそらく初めて偏光万華鏡を本格的に生み出した作家さんだと思われます。ブリュースター卿の偏光の理論を研究し、アートとして、万華鏡の中に人々を驚かすような映像表現をした作家さんで、1970年代に活躍なさり、残念ながら1987年に亡くなりました。
彼女の作品は、万華鏡としての常識を超え、斬新なデザインと美しさを持ち合わせていたので、ニューヨークのMOMA(ミュージアム・オブ・モダンアート)やワシントンのスミソニアン協会から委託され、「Karascope」というタイトルで、ミュージアムグッズとして数多く創られ、売られたといいます。
この映像を見ると、その斬新さを感じませんか?

この写真の赤やグレイの筒が、それらの作品です。


先端部を回転させると模様が変わり、筒全体を回転させると色合いが変わります。
次の作品も、偏光万華鏡ですが、3ミラーシステムです。反射しながら、色が変わっているのが面白いですね。そして何とも言えないその色合い・・・もちろん変化するのですが。


MOMAのミュージアムグッズと言えば、多岐にわたり、日常生活にも取り入れられる機能性のあるものだったり、デザインが現代的でお洒落で、ちょっと普通とは違ったアーティスティックな味わいが素敵だったりしますが、1970年代に、とても人気があったというKarascopeが、もし今でも販売されていたら、やっぱり欲しくなるにちがいありません。

 

Comments (2)
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コスミック・カレイドスコープ

2010-08-23 22:19:15 | 万華鏡ブログ
このユニークな外観の万華鏡は、トム&キャロル・パレッティー夫妻の新作「コスミック・カレイドスコープ」シリーズのひとつです。キャンバス地にアクリル絵の具をたらし、自由な流れと意図的な操作のバランスを取りながら、このような図案を生み出します。そしてそのキャンバス地を筒に巻いているのです。アクリル絵の具特有の鮮やかさ、マットな風合い、艶やかな表面と、彼ら特有の美しく加工された木部、艶消しの真鍮が組み合わされた独特の姿の万華鏡です。この作品はターコイズや赤紫、白などが組み合わされていますが、テーマごとに色合いや雰囲気に共通性はあるものの、同じ模様はまずないとのこと。キャロルさんによると、この万華鏡のインスピレーションを得たのは、ジャクソン・ポロックのアートからだそうです。絵の具を注ぎこむようにして抽象的な現代絵画を描いた20世紀前半のアメリカのアーティストです。キャロルさんは色や彩度に興味があり、この作品でも色と形のバランスを求めています。また、万華鏡を見る人が、そこにある色あいに何かを感じてもらいたいと思っています。


明るい光の下で見ると、ダイクロイックガラスの色合いが幻想的に見えています。


大胆にヴィヴィッドな色合い、独特の感性ですね。

ミラーの第三面には加工した木を使っていますが、そこもガラスの色を映し出す色合いに変化してマンダラ模様を囲みます。
オイルセルだからこそのオブジェクトの使い方があり、しかもそこに個性を映し出す表現力を感じて、さすがだなあと思わせるパレッティーさんです。

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キテルソン夫妻の万華鏡教室

2010-08-21 22:45:28 | 万華鏡ブログ
2010年6月に開催されたザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションのプログラムには、作家さんが考案なさった材料を使って、万華鏡の製作を教えてくれるクラスがいくつかありました。そのうちキテルソン夫妻のクラスに参加する友人について行き、見学させていただいたので、その様子をご紹介します。
上の写真はスティーブさんがホットグルーを使ってミラーシステムを作るデモンストレーションの場面です。真剣なまなざしの参加者の皆さん。
最初に配られたのは、こんなキットです。彼らには珍しく、金属製の筒です。


中に入れるオブジェクトはペギーさんのバーナーワークによる色とりどりのガラス片や天然石、貝殻、パールなど、好きなものを選びます。一番楽しい部分かもしれませんね。 ペギーさん(写真中央)も相談にのり、よさそうなオブジェクトを選び、工夫のしどころを教えてくれます。

 


入れすぎないよう、少なすぎて映り込まない部分が増えないよう、何度も試し用のミラーシステムを覗きながら、調整していきます。

これで決まり!こんな風にオブジェクトを入れてみます。

 

このクラスではミラーのカットも自分で行います。スティーブさんにおそわったとおりに一気に、同じ力でスーッとカッターを引きます。

とても緊張するところです。途中で割れてしまう人もいましたが、何回かトライして、無事皆さんミラーシステムを作り上げました。

そして出来上がった万華鏡は、コンベンションのロゴ入り。覗くたびに自分で創ったときの緊張感を思い出すことでしょう。

オイル入り、2ミラー7ポイントの映像です。


ミラーカッターなど工房から持ち込んで、普段の製作のとおりのやり方を見せてくれたスティーブさんやペギーさん、どんな質問にも丁寧に答えてくれて、細かく指導してくれて、とても充実した時間でした。どんなレベルの人でもOKというこのクラスでしたが、参加者の中には年数の浅い作家さんもいて、熱心に学ぼうとなさっていたのが印象的でした。

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これもテレイドスコープ!

2010-08-20 22:57:37 | 万華鏡ブログ
ジュディス・ポールさんのコレクションに、どなたの作品かわかりませんが、大きめな(たぶん30cmぐらい)のテレイドスコープがありました。覗いてみたら、こんな映像が見えたのです。少し離れた高台にある家がジュディスさんの家の窓から見えているのですが、一軒の家が連なって、湖に面した大邸宅のように見えますね。テレイドスコープでは、珍しいミラーシステムです。
そして、もう一つのテレイドスコープでは同じ家が、こんな風に見えました。これも珍しいですね。

ジュディスさんの万華鏡のコレクションの中には、小型のペンダントタイプの万華鏡もたくさんあります。これでも半分ぐらいです。


万華鏡ではありませんが、貝殻のコレクションもみごとでした! 

 
コレクションしたものは、こうやって飾って楽しまなくちゃ・・・ということを教えてくれるようなジュディスさんの家でした。

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シャンティデヴィさんの有名な作品も・・・

2010-08-18 00:02:05 | 万華鏡ブログ
コージー・ベーカーさんは、万華鏡ルネッサンスの立役者として、いろいろな活動をなさってきましたが、万華鏡に関する書籍も何冊か出版しました。それらの本を見ていると、初期の頃に創られた作品の中で、もう作家さんが創っていないとか、亡くなってしまったとかという理由で直接目に触れる機会がないけれど、とても素晴らしい作品が紹介されています。ジュディス・ポールさんのコレクション歴はとても長いので、そのような作品もいくつもあって驚きました。
今日はそのひとつ、シャンティデヴィさんの「Let the Dreamers Wake the Nation」という作品です。1992年にスギトさんとコラボレーションで創り上げた限定版で、彼女の作品の魅力を十分に楽しむことができます。
シャンティデヴィさんはホットガラスアートの世界で活躍していて、1982年から万華鏡の製作も行っていましたが、その後万華鏡からは離れてしまったと聞いています。彼女の創るマーブルは特に人気がありますが、この万華鏡では、そのマーブル(3インチ)が3個とオブジェクトセルが一つデザインの中に組み込まれています。三角形がデザインのポイントになっていて、三角形のステンドガラスの台の3つの頂点にガラスマーブルやオブジェクトセルを置き、三角形を構成するガラス棒のスタンドで、万華鏡が支えられています。

ホットガラスで新しい技法を開発し、マーブルの世界でも高い評価を得ているシャンティデヴィさんの美しいマーブルを作品に取り入れた万華鏡作家さんも何人かいるそうです。


ドライセルには、リキッド入りアンプルが入っています。アンプルの中に、ガラスビーズや液体を入れて閉じてあり、オブジェクトの動きが止まっても液体の中のビーズなどが動く効果があります。 1800年代後半のブッシュ万華鏡の頃からあるオブジェクトのタイプですが、技術的にも難しいようで、万華鏡に取り入れている作家さんは数えるほどです。このセルは万華鏡の先端にセットできるようになっていますが、装飾はんだも美しく、その形状も中に見えるオブジェクトも、全体的なデザインの中に組み込まれています。


白いイリデッセントガラスにきれいに映えますね。そしてその映像は、たとえばこんな風に見えます。


外も中もしっかりと構成されていることが感じられ、いまだに感覚的に新しさを感じさせる素敵な万華鏡でした。

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ザ・モネ・ギャラリー

2010-08-16 22:09:15 | 万華鏡ブログ
ジュディス・ポールさんのコレクションから、ジュディスさんとシェリー・モザーさんのコラボレーション作品として有名な「The Monet Gallery」です。1995年のザ・ブリュースター・ソサエティーのコンベンションで、参加者の投票による優秀賞と、ブリュースターソサエティーから創造的作品賞をダブル受賞した万華鏡です。モネへのオマージュとして、ジュディスさんの描いた睡蓮と橋の絵に、シェリーさんが、ステンドガラスと装飾はんだで額縁のように仕立て、フレームスタンドに載せてあります。万華鏡の本では拝見したことがあったものの、実物をじっくりと見たのは初めてで、その素晴らしさに感激しました。

ミラーシステムは2ポイントの映像を生み出し、周囲を覆うマスキングの手法で、フレームのように映像を取り囲む効果を見せています。お洒落ですね。


オイルセルの中には睡蓮の花や橋を模したオブジェクトも含まれ、シェリーさんらしいガラスオブジェクトとともに、美しい色合いの映像を生み出します。刻々と変わる光とともに描かれたモネの「睡蓮」の連作を思わせる、魅力的な映像展開です。

今日もジュディスさんの家の素敵なシーンを一枚。
部屋の一隅に絵画やお気に入りのアートと一緒に、自然な感じで飾られている万華鏡。 ちょっと真似してみたいと思いました。

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ジュディスさんはコレクター 

2010-08-15 22:26:35 | 万華鏡ブログ
ジュディス・ポールさんは、万華鏡作家として活躍中ですが、万華鏡のコレクターとしても有名です。今年の6月にザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションの終了後、比較的近い場所にあるジュディスさんとトムさんご夫妻のご自宅兼工房をオープン・ハウスとして、会員の人たちがお招きを受けました。すぐ近くに湖のある、自然豊かな丘の途中に建つ家は、そのあちこちに、ご自分の多彩なアートを取り入れた、明るくて素敵な家でした。
その広い居間には数えきれないほどの万華鏡のコレクションが飾られ、もちろん貴重な作品も含めて、いくつか手にとって拝見させていただきました。 あまりにも貴重な作品は、触るのもちょっとためらってしまいましたが・・・
この写真の作品はルーク&サリー・デュレット夫妻の「レインソング」という万華鏡です。以前はこのようにいろいろな木材を素材として、デザインされた筒の作品が多かったことをあらためて思い出しました。(また創って欲しいなといつも思います。)1998-2000年ぐらいに製作された万華鏡ですが、手にとって見てその映像のきれいさにびっくり。


オブジェクトは赤紫や紫、ブルー、グリーンのガラスオブジェクトのみで、先端部から光を取り入れるタイプなので、ガラスの透明感や重なりの美しさが際立っています。特別な仕掛けがあるわけではない、基本的な作品ですが、やはりルークさんのオブジェクトのきれいさと、最近の作品では少なくなった、ガラスオブジェクトのみのドライタイプ、白い背景での映像の新鮮さに、思わず「このタイプもまた創って欲しい」とその場にいらしたサリーさんにお願いしてしまったほどです。


 最後にジュディスさんの家を飾る、こんな素敵な手作りインテリアを。


中2階に位置する玄関から階段を上がりきったところ、玄関を見下ろす手摺の上にこんな飾りがありました。 いろんなガラス球をぶら下げています。軽やかで楽しいでしょう?

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キテルソン夫妻の新しい試み

2010-08-11 20:47:37 | 万華鏡ブログ
今年のザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションで登場したスティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の木製の万華鏡です。彼らの工房の作品は、ガラスの筒の作品が圧倒的に多いのですが、スティーブさんは少しずつ、木を素材とし旋盤で形作る万華鏡も創ってきました。
今回の木の筒は、形や表面の仕上げなどに今までとは違うものを織り込んでいます。この写真の作品も筒に竹の節のような起伏をもたせ、アイホールのある面もカーブがついています。スムーズな回転をする金属の部分は、彼らの定番のスタイルでオブジェクトセルとのきれいな繋がりを演出します。
手前の作品は、オーク材に銅や銀の箔をあしらって、表面を仕上げています。木目の上に重なる渋い輝きが独特の表情を見せています。


木製の筒の場合、ガラスの筒に比べて中の映像で使われる色の組み合わせに自由度が高くなります。その自由さの中で、ペギーさんが選んだオブジェクトはどんなものだろうかと、覗く前から興味津々でした。そして生まれてくる映像は期待を裏切らない展開で、やっぱり美しい!とため息が出ます。


ペギーさんが大切に考えていることは、カラーバランス(ハーモニー)、素材の表情(テクスチャー)、そして奥行きや広がりだそうです。オイルの中をゆっくりと流れるように姿を変えるその展開のどの瞬間にも、ハッとさせられる美しさがあり、完璧だ!と思う一瞬があり、また思いがけない驚きがあり、彼女の言葉に納得です。

奥の作品は木材の美しい木目を生かした筒です。この作品にペギーさんは3ポイントの映像を組み合わせました。 彼女は3ポイントが結構好きなのだそうですが、フラワーシリーズで使っているだけなので、木の万華鏡にも使ってみたとのこと。わざわざ手にとって薦めてくれた万華鏡です。


単純になりがちな3ポイントですが、色、形、質感すべてに独自の感性で表現するペギーさんならではの優雅で、流れに音楽を感じるような展開です。


ペギーさんの創るガラスオブジェクトにも新しさが加わったかなと思わせる新鮮な感動をもらいました。

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