覗き口は右上の部分です。ミラーの変わりにプリズムを使い、オブジェクトはワイヤーとダイクロイックガラスを組み合わせた斬新なもの。随所に新しさを取り入れた力作です。
オブジェクトはワイヤーを組んだ球状になっていて、回転させて映像の変化を楽しみます。手前の部分と奥の部分が別の動きをするのが面白く、また奥行きのある映像なのですが、写真では難しいです。 実際にご覧になると、この独創性にきっとびっくりなさると思います。
次の作品はやはり中里さんが作り続けている「夢のつづき」という作品。
こちらもプリズムがミラーシステムの変わりで、一部が表に見えているデザインです。積層ガラスと丸いガラス、そして金属を使った造形の素晴らしいセンスを感じます。
唯一オブジェクトセルの中のブルー系のガラスとダイクロイックガラスの輝きがこの無彩色の万華鏡の色模様を生み出しますが、プリズムに反射する映像は鏡よりも少し洒落っ気を出して私たちの目を楽しませます。
そしてやっぱりご紹介したいのが、この大作。
「Kaleidoscope History Book 2010 」 万華鏡の歴史に思いを馳せながら製作なさった、本の形の万華鏡です。 重厚なつくりの立派な本の装丁を思わせるガラスの使い方、金属の使い方、細部へのこだわりに驚くばかりです。
開いたページはミラーになっていて、角度を変えて映りこむ反射映像を楽しめる仕組みです。万華鏡の仕組みの原点です。そして上部の覗き口からはテイパードミラーシステムによる繊細で立体的な映像が見えます。中が広くて視線を動かしながら映像を見ていると、不思議な世界に迷い込んだよう。 本の右側のノブを回してオブジェクトセルを動かし、映像の変化を楽しみます。
中里さんの世界の一部でもご紹介したいと思い、撮影をさせていただきましたが、実際はもっと凄いということを書かずにはいられません。人間の目が捉える映像にはとてもかなわないなあとつくづく思ったしだいです。 「アートの庭」での個展は、10月9日まで、10月17日からは仙台の万華鏡美術館でも個展を開かれるそうですので、ぜひお越しください。