万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

中里保子さんの世界

2010-09-29 22:41:20 | 万華鏡ブログ
この万華鏡は中里保子さんの最新作「46億年の旅」です。メノウをガラスにはめ込み、大胆にアレンジしたパネルを前面に使っています。台座にはレンガと積層ガラスを組み合わせて、全体的にもすばらしい造形作品となっています。
覗き口は右上の部分です。ミラーの変わりにプリズムを使い、オブジェクトはワイヤーとダイクロイックガラスを組み合わせた斬新なもの。随所に新しさを取り入れた力作です。


オブジェクトはワイヤーを組んだ球状になっていて、回転させて映像の変化を楽しみます。手前の部分と奥の部分が別の動きをするのが面白く、また奥行きのある映像なのですが、写真では難しいです。 実際にご覧になると、この独創性にきっとびっくりなさると思います。
次の作品はやはり中里さんが作り続けている「夢のつづき」という作品。


こちらもプリズムがミラーシステムの変わりで、一部が表に見えているデザインです。積層ガラスと丸いガラス、そして金属を使った造形の素晴らしいセンスを感じます。


唯一オブジェクトセルの中のブルー系のガラスとダイクロイックガラスの輝きがこの無彩色の万華鏡の色模様を生み出しますが、プリズムに反射する映像は鏡よりも少し洒落っ気を出して私たちの目を楽しませます。

そしてやっぱりご紹介したいのが、この大作。
「Kaleidoscope History Book 2010 」  万華鏡の歴史に思いを馳せながら製作なさった、本の形の万華鏡です。 重厚なつくりの立派な本の装丁を思わせるガラスの使い方、金属の使い方、細部へのこだわりに驚くばかりです。

開いたページはミラーになっていて、角度を変えて映りこむ反射映像を楽しめる仕組みです。万華鏡の仕組みの原点です。そして上部の覗き口からはテイパードミラーシステムによる繊細で立体的な映像が見えます。中が広くて視線を動かしながら映像を見ていると、不思議な世界に迷い込んだよう。 本の右側のノブを回してオブジェクトセルを動かし、映像の変化を楽しみます。


中里さんの世界の一部でもご紹介したいと思い、撮影をさせていただきましたが、実際はもっと凄いということを書かずにはいられません。人間の目が捉える映像にはとてもかなわないなあとつくづく思ったしだいです。 「アートの庭」での個展は、10月9日まで、10月17日からは仙台の万華鏡美術館でも個展を開かれるそうですので、ぜひお越しください。

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夢・時計

2010-09-28 23:45:07 | 万華鏡ブログ
今日から10月9日まで開催中の「万華鏡作家 中里保子の世界」展に伺いました。国立駅近くの「アートの庭」です。アメリカでの万華鏡コンベンション受賞作品をはじめ、新作が並び、ますますの充実ぶりを見せていただきました。
この作品は陶芸家、辻優子さんとのコラボレーションによる「夢」シリーズの時計であり、万華鏡です。以前からこのタイプは製作なさって来ましたが、毎回、陶板の模様や大きさやデザインが違っていて、そこから中里さんは万華鏡のデザインやミラーシステムを考えます。辻さんの陶板は、土の質感を生かしながら、全面に型押しの模様が入り、一部は白い釉薬をかけた上にユニークな色模様が描かれています。斬新さと温かみがあわさった表情が魅力的です。
この作品は縦長で、後ろ側はガラスで三角柱の形をしています。


この写真に見えているオイルセルを回し、上から覗きます。
繊細で美しい映像は、驚くほど表情を変え、豊かな表現力を持っています。
万華鏡のボディーのデザインや質感から、中里さんの感覚で選ばれたオブジェクトは、独自の映像の世界を生み出しています。そしてセルを回すと同時に、色模様の美しさは際限なく移り変わっていきます。時を刻む時計の中にこんな世界が広がっているなんて、本当に凄いですね。


次の時計も万華鏡です。 上に載っている羽のついたような筒をそっと持ち上げてみると、これが万華鏡なのです。


時計を見るたびに万華鏡に手をのばしたくなりそうです。
こちらは2ミラーの映像です


こんな万華鏡を部屋に飾り、実用と楽しみを享受できたら最高ですね。 
明日はまた、違った魅力の作品をご紹介します。

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蝶の世界を描く万華鏡

2010-09-25 23:02:33 | 万華鏡ブログ
蝶の舞うガラスの万華鏡は、豊田万里さんの作品「アレクサンドラトリバネアゲハ」です。学名(?)がタイトルになるくらい詳細で正確な蝶の姿を描きながら、美しいデザインがひときわ目を惹きます。 先日の「山見浩司となかまたち展」での出品作のひとつです。


銀色のガラスに見える独特の表現は、透明なガラスに絵を描いてから、銀をのせ、焼き付けて生まれたもの 細部にあしらわれたメタルワークとの相性も抜群ですね。

 
黄色やグリーンで描かれた蝶の色に合わせたオブジェクトは、外から見ても美しい色合いですが、内部には視野いっぱいに、こんな風に映像が広がります。ここにもメタルワークが使われ、映像の周囲を飾る、黒いレースのような縁取りとなっています。
もう1点は「オオゴマダラ」という作品です。


こちらの作品は、セルから出ている2本のチェーンを引いたり緩めたりしてオブジェクトを動かし、上から覗いて、映像の変化を楽しみます。チェーンに繋がったオブジェクトピースを動かすユニークなアイディアです。
この万華鏡は覗き口が3か所もあり、それぞれに異なったミラーシステムが付いています。そしてその映像も、虫や蝶の世界のよう・・・ オーソドックスな2ミラー映像のほかに、こんな不思議で妖しげな映像も見えます。


別の覗き口からは同じオブジェクトながら、まったく感じの違う映像も見えて、楽しく不思議です。

 
豊田さんのよく使われるサークルミラーのぐるぐる模様を見るのぞぎ口もありました。
毎回新しいアイディアを美しい形にして、私たちを驚かせてくれる作家さんです。


 

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陶の味わい×ガラスの味わい

2010-09-22 16:45:07 | 万華鏡ブログ
中里保子さんと陶芸家、辻優子さんのコラボレーション作品「夢」シリーズは、陶芸の味わいと万華鏡の味わいがマッチした、素敵なアート作品です。
今回ご紹介するのは片手で握れるくらいの小型の万華鏡ですが、ほかにもさまざまなサイズ、形、意匠でお二人の「創造力×想像力」の際限ない「広がり×組み合わせ」で、次々と作品が生み出されていきます。おふたりともそれぞれの分野で大変お忙しい作家さんですが、共同での作品製作は、いつもとても楽しみです。
陶器の筒は型押しの模様をつけてから筒にして焼き、さらに釉薬をかけ、絵付けのあともう一度焼きます。土の質感、柔らかさを感じる造りに、覗き口は渋い色に仕上げた装飾ハンダ、オイルセルはガラス球を組み合わせています。
辻さんの描く模様は、素朴で不思議です。


筒の中央にいる2羽の黄色い小鳥からのイメージでしょうか、中里さんは黄色を中心としたガラスでオブジェクトセルを演出しました。 辻さんの描く模様の赤や緑もアクセントに使っています。

中里さんは9月28日から10月9日まで、国立駅近くの「アートの庭」で個展を開かれます。辻さんとのコラボレーション作品のほかにも、いろいろな作品が並びそうです。
今年アメリカで、ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションに参加なさり、参加者の投票による最優秀賞を受賞した「Kaleidoscope History Book」も出品予定です。

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ガラスの天使

2010-09-21 23:26:57 | 万華鏡ブログ
この可愛らしいガラスの天使は依田満さん・百合子さんの万華鏡です。ドレープのかかった裾のライン、背中の羽、ブルーとグリーンの爽やかな内部模様が展開する万華鏡・・・思わず手に取りたくなる愛らしさです。

中を覗くと、透明感あふれる美しいガラスの色模様が展開し、その色調の重なり合いにより、さらに色を深めます。


正三角形に組んだ3ミラーシステムは視野いっぱいに広がる映像を見せていますが、まるで森林浴をしているみたいに、深く息を吸い込みたくなるような清涼感にあふれた万華鏡です。

ガラス色の幸せを呼んでくれるかな? 天使の万華鏡。

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天使の蝶

2010-09-20 22:37:30 | 万華鏡ブログ

「山見浩司となかまたち展」には山見さんの教室で万華鏡製作を学ばれた方が出品なさっていますが、長い間教え続けていらっしゃった山見さんですので、その数も多く、その中にはすでに作家さんとして独自の作品を製作し、活躍なさっていらっしゃる方も多いのです。
中村明功さん・あや子さんは、今回この「天使の蝶」(改)という作品を出品なさいました。一つ一つにあや子さんの手描きの模様のある箱を積み重ねたデザインの万華鏡です。光沢の異なるガラスの組み合わせで本体の大きな筒にしています。先端部に回転するオブジェクトセルが付いています。


中を覗くと、外のガラスとの調和を感じる美しい映像が展開します。オブジェクトを回転させると映り込み方が変わっていく不思議な映像展開なのですが、中村さんの考案なさるユニークなミラーシステムは、いつもその仕組みがなかなかわかりません。
わからないということを楽しみながら見ています。 



今年6月に開かれた、「第一回日本万華鏡作家展」には、同名で異なったデザインの作品を出品なさいました。その時も中を覗いて「???」と思ったことを思い出しました。
それは花が咲いたような赤い万華鏡で、やはり美しい手描きの模様を取り入れた外部のデザインと、中の映像表現に、作家さんの込めた想いを感じる素晴らしい万華鏡でした。

 

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複数のアイホールから覗く万華鏡

2010-09-18 22:23:01 | 万華鏡ブログ

東京、渋谷のBunkamuraギャラリーで開催中の万華鏡展で、立体空間の映像が特徴の冨澤哲夫さんの万華鏡が並んでいました。 
この作品は最新作の「南の海」という万華鏡で、全体をブルーにまとめています。いくつものアイホール(覗き口)から、それぞれの位置から一つの立体空間をとらえた映像を見ることができます。
覗き口のひとつから見た、魚も泳いでいる不思議な映像です。

もう一点、タイトルはわかりませんが、やはりのぞぎ口が並んでいる万華鏡をご紹介します。オブジェクトとなる太いワンドがボディー、そして中のミラーシステムを貫通する形になっています。


中に広がる空間を一つの覗き口から見ると、こんなすごい映像が見えています。貫通したワンドが、リングになって見えているのが面白いですね。 中央の柱やドーム状の天井も美しく浮かび上がり、その中に身を置いて幻想的な雰囲気に包まれているような感じがします。


ほかにも数点、立体映像のユニークな万華鏡が並んでいましたが、一度にこんなにたくさん見ることができる機会はあまりないと思われます。 

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見事なステンドガラス万華鏡

2010-09-17 22:31:47 | 万華鏡ブログ

昨日に続いて「山見浩司となかまたち展」から。
見事なステンドガラスの万華鏡作品は、加藤瑞枝さんの「アリス」です。1000ピース以上からなる作品だそうで、存在感のある堂々とした姿、手の込んだ美しいデザインに目を見張りました。大きな万華鏡を支えるために特注なさったというアイアンのスタンドも台座の飾りも調和して、どの角度から見ても美しい姿になっています。


オブジェクトは2枚のホイールです。さまざまな色、質感のガラスを細かくいろいろな形に切って組み合わせています。 2枚のホイールをずらしながら回転させて、映り込む映像に色の深さ、輝き、立体感などの変化を演出しています。手の込んだ大きなガラス細工のホイールは、飾りとしても目を惹く美しさですが、さらに万華鏡映像として、違ったアートを見せてくれるのですから、贅沢な気分になりますね。 二つのミラーシステムが組み込まれています。




加藤さんの万華鏡はしっかりとしたステンドガラスの技術に裏打ちされた美しさと華やかさがあり、作品全体からその場の雰囲気まで作り上げてしまうような存在感があるといつも思います。

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山見浩司となかまたち展2010

2010-09-16 15:10:16 | 万華鏡ブログ

9月14日から19日まで東京、表参道近くのアートスペース・リビーナで開催中の「山見浩司となかまたち展」に伺いました。日本を代表する万華鏡作家のひとりである山見さんは、長い間、ご自分の万華鏡教室でたくさんの方に万華鏡製作の楽しみを伝えていらっしゃいますが、そのことが直に感じられる温かみのある素敵な万華鏡展です。

今日は“師匠”山見さんの素晴らしい新作をご紹介します。


アール・デコのスタイルで製作なさったというこの作品は、写真ではわかりにくいかもしれませんが、使われているガラスがとても美しいものです。そんな数種類のガラスを組み合わせた造形デザインも、カットされた宝石のように、精緻でシャープで、面によって違った輝きを見せています。


オブジェクトセルも外から見て、透明感に満ちたガラスオブジェクトがオイルの中で美しくきらめいていました。山見さんの作品には、美しい煌めきに満ちた万華鏡が本当に多いのですが、ここでもまたため息の出るほどの別世界を見せてくれました。少ししか魅力が伝わらないのが残念ですが、映像の写真です。 


そのほかにも山見さんの力作が並び、見ごたえのあるスペースになっています。 今年アメリカで発表された「東京タワー」、過去の受賞作品「舞子」、ホイールの美しいパーラータイプの大作など、山見ワールドを堪能できます。

昨年製作された「King」 はダブルホイールの作品でミラーを組む角度を変えることができる「ポリアンギュラー」という難しいミラーシステムです。映像のポイントを、6~12ポイントまで変えられるそうです。

対をなす「Queen」は2枚の美しいホイールが重なっています。一つの覗き口から仕切られたように2つのミラーシステムを通して、2種類の映像(2ミラー、3ミラー)が見られます。 (この2点は2009年9月19日のブログでご紹介しました)



左右の角のスペースには大きなオープンミラーシステムから花のタワーが見えています。たくさんの花を演出するミラーのマジックだとわかっていても、そこにある花に手を伸ばしたくなります。

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華瞑想

2010-09-14 21:46:09 | 万華鏡ブログ
9月11日から23日まで東京、渋谷のBunkamura Galleryで開催中の「万華鏡展 ―変幻する美の結晶―」に伺いました。恒例の万華鏡展ですが、広いスペースにゆったりと並べられた作家ものの万華鏡の数々は、どれも個性的で、それぞれの美を競い合うかのごとく、私たちの目を惹きつけます。
今日はその特別展示の万華鏡の中から、羽石茂さん・泉さんご夫妻の作品「華瞑想」をご紹介します。羽石さんは今年の国際万華鏡協会公募展で最優秀賞を受賞なさった作家さんで、今回、さらに発展した美しい映像世界を見せてくれました。


この万華鏡には替えのセルが5個もついていて、いろいろな映像を楽しめます。筒の内部にLEDの照明がセルに光を当てるように取り付けられているので、明るく、繊細な模様が浮かび上がり、その周りにはその輝きを映し出すオーラが見えます。


この万華鏡のタイトルは「華瞑想」といいますが、現代万華鏡の素晴らしさを説いたコージー・ベーカーさんの文章の中にも万華鏡と瞑想(Meditation)のことが述べられていたことを思い出しました。万華鏡を覗き、その映像変化に心と目を預け、そこから感じられる音楽を聴こうとすることは、「瞑想」に通じるものであり、自分の心を覗く行為であること、そして、いつの間にかプラスの思考へと導かれていく・・・

万華鏡の映像が表すものは、無秩序や混沌や行き詰った夢から生まれる、いくつもの可能性、いくつもの機会、新しい地平線であること。 もう一方で精神を落ち着かせる効果があること。万華鏡を覗いてネガティブな感情を持つ人は、まずいないことからも、瞑想の手段としての万華鏡の素晴らしさ、価値をベーカーさんは早くから説いていました。
羽石さんの美しい映像を見ながら思い出した次第です。 
この美しい映像を生み出すオブジェクトセルの一つの特徴は、質感の異なる美しい布地を背景に置き、さまざまなオブジェクトピースを配していることです。内部照明により、必要な光を十分当てて、布とオブジェクトピースの美しさを十分に引き出しています。
ほかにも味わいのあるネーミングの作品が数点展示されていますが、いずれも完成度の高いステンドガラスの造形作品である上に、この斬新なセルの作り方、生み出される映像におおいに驚き、感動しました。

展示されている会場の一部です。

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