この重厚な雰囲気の万華鏡は1992-3年ごろ製作されたアレン・クランデルさんの「メルローズ・ウィンドウ」という作品です。大変細かいガラス片をハンダで繋いだ大きな2枚のホイール、黒っぽい手の込んだ装飾ハンダ、魔法使いやドラゴンの像、半貴石などをハンダに組み込んだ造りが特徴的です。ゴシック建築を思わせる壮大さと大聖堂の薔薇窓を思わせるホイールを持った作品として、コージー・ベーカーさんの本でも紹介されています。すごく雰囲気のある万華鏡だなあと本を見たときに印象に残った作品でしたが、その当時、クランデル夫妻が製作していた時期も短く、数もあまり多くないようなので、貴重な作品だと思います。アメリカのコレクターさんのお宅で拝見して嬉しくなり、写真を撮らせていただいた次第です。(中はうまく撮れませんでした・・・・)
この重厚な雰囲気の万華鏡は1992-3年ごろ製作されたアレン・クランデルさんの「メルローズ・ウィンドウ」という作品です。大変細かいガラス片をハンダで繋いだ大きな2枚のホイール、黒っぽい手の込んだ装飾ハンダ、魔法使いやドラゴンの像、半貴石などをハンダに組み込んだ造りが特徴的です。ゴシック建築を思わせる壮大さと大聖堂の薔薇窓を思わせるホイールを持った作品として、コージー・ベーカーさんの本でも紹介されています。すごく雰囲気のある万華鏡だなあと本を見たときに印象に残った作品でしたが、その当時、クランデル夫妻が製作していた時期も短く、数もあまり多くないようなので、貴重な作品だと思います。アメリカのコレクターさんのお宅で拝見して嬉しくなり、写真を撮らせていただいた次第です。(中はうまく撮れませんでした・・・・)
細野朝士さんの偏光の万華鏡は、シンプルなステンレスの筒の中にいろいろな世界を演出するミラーシステムと独自のオブジェクトセルが用意されています。これはR.sp.T というドライタイプの偏光万華鏡です。大きな球面が細かい三角形で構成されています。
もうひとつはR.sp.Fというドライタイプの偏光万華鏡です。こちらは球面に細かい長方形で構成された映像です。どちらも球面上の模様であるところがユニークな万華鏡です。それに加えて、偏光の万華鏡だからこその色の出方も面白いと思いませんか?そしてそれが一瞬にして変わるところがまた面白い・・・明るい方に斜め上に向けて覗くと一番きれいだそうです。オブジェクトは透明なフィルムですが、光と遊ぶ万華鏡ですね。
ステンドガラスの万華鏡にハンダは欠かせず、作家さんは、装飾的にも美しい仕上げを心掛けています。そのあたりにも、作家さんの個性が発揮されるところです。
今日は極め付きの装飾ハンダを見ていただきましょう。
この写真は、アメリカのコレクターの方に見せていただいた1980年代の作品と推測されるマーブルスコープです。ハワイのKaimana Art Glass 工房(のちにカリフォルニアに移転)の作品で、作家は吹きガラスのアーティスト、シャンティデヴィさんとデザイナー/万華鏡作家のリタマさん。数年間にわたって、このようなマーブルと、貝やパール、水晶などを組み込んだ装飾ハンダの飾りが美しい作品をコラボレーションで創りました。貝殻やパールを使うところは、ハワイを思わせるロマンチックな魅力がありますが、それ以上に強い印象を受けるのは、今この作品を見かけてもレトロな魅力だけでないオーラを感じるからだと思います。
チャールズ・カラディモスさんのパーラータイプの最新作「Odyssey(オデッセー)」です。5個の限定版で黒を3点、白を2点製作なさったそうです。黒いガラスにはダイクロイックガラスをフュージングしたアクセントがあり、白いガラスには裏からペイントして表情を出しています。カラディモスさんの大型の作品は、黒と白のものが圧倒的に多く、これも作家さんの個性なのでしょう。オブジェクトセルは大きく、ベアリングを取り入れているので回転が大変滑らかです。小さな作品でも大きな作品でも映像のシンメトリーと繊細さにこだわる作家さんですが、やはり大きな作品は、見ごたえがあります。 白い作品のひとつは、ニューヨークの万華鏡キルト展に出品していました。きっとたくさんの人の記憶に残る万華鏡となったことと思います。
真っ白なガラスの筒。覗くとふわっと包まれるような感じを受ける、優しい雰囲気の万華鏡です。その名も「心あかり」という素敵な作品は依田満・百合子ご夫妻の「あかり」シリーズのひとつです。この作品はちょっと珍しく4ポイントの映像です。 ミラーシステムを閉じていないオープン2ミラーなので、筒のガラスの白を映し込んで、淡い色の重なり合う映像を白く包みます。このようなソフトなイメージの作品はやっぱり日本人らしいと思います。何がそう思わせるのか考えてみたら、障子を通して取り込むやわらかい日差しのような感じかなと思いました。皆さんはどう思われますか?
ガラスの表情が美しいチャールズ・カラディモスさんの最新作「ダイクロ II」は、定番のコーン型の万華鏡をダイクロイックガラスを使って製作したものです。ダイクロイックガラスは表面に金属を蒸着させたガラスで、光によって表情を変える面白さがあり、多くの作家さんが万華鏡に取り入れています。カラディモスさんのこの作品や先に発表された「ダイクロミニ」は筒全体をこのガラスをスランピングして製作しました。特に「ダイクロII」ではダイクロイックガラスと透明なガラスをフュージングで重ねているので、表面がすべすべして光沢のある表情です。
この万華鏡はガラスの奥深くから青や緑や紫が浮かび上がって模様となっているような表情が魅力的です。 見る場所、明るさなどによっても模様の浮かび上がり方が違ってきて、不思議な雰囲気を漂わせます。
オブジェクトもセルの背景もダイクロイックガラスを多用している作品ですが、映像を引き締めるのは、トレードマークの黒いオブジェクトです。ガラスアンプルの中に黒いガラスビーズを閉じ込めた「ドライアンプル」も見えています。この黒によって、カラディモスさんの映像のみごとさがよくわかりますね。大きく、完璧なシンメトリーの映像を生み出すテイパード2ミラーは、小さな欠点があれば、それをも大きく映し出すミラーシステムです。 十分な技術と自信を持って作られた作品には違いないものの、カラディモスさんは常に「どうしたらより良い万華鏡を創れるだろうか?」と自分自身に問いかけながら製作なさっていると伺い、その謙虚さに感銘をうけました。
ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーの地域ミーティングの場で披露されたワイリー・ジョウブさんの万華鏡です。彼は木工でポリアンギュラー(ミラーの角度を調節できる)の万華鏡を作り続けてきた作家さんで、このパーラータイプの作品はできたばかりの新作だそうです。オブジェクトが大変ユニークで、ホイール状の薄いオブジェクトセルの中で動くのは、ごく薄いセルロイドにガラスオブジェクトなどの絵が描かれたものなのです。
覗き口の周りの金具を調節してミラーを組む角度を変え、先端のオブジェクトホイールを回して映像の変化を楽しみます。 例えば4ポイントの映像はこんな感じ。描かれた細い線がきれいに映りこんでいますね。
今度は6ポイントに変わる、その途中の映像です。もう少し角度を開くときちんとした6ポイントになりそうなところ・・・まだ一番下の部分がずれています。
ワイリーさんは、イラストを書くのも得意で、ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのニュースレターの挿絵で、いつもユーモアのある温かいイラストで私達を楽しませてくれます。
渋谷のBunkamuraで今月末まで開催中の万華鏡展から、今日は傍嶋飛龍さんの作品からご紹介いたします。万華鏡の製作は2年ほど前からなさっているようですが、もともと現代アートの美術家として多くの受賞歴と実績のあるアーティストです。絵画の枠を超えた表現の場としての万華鏡が傍嶋さんにとって魅力あるものだったのでしょう。この作品は初めて拝見するパーラータイプです。映像はもとより台座にも筒にも傍嶋さんらしい表現があり、とてもユニークです。 今回は特別展示のスペースで、たくさんの「龍夢」万華鏡が展示されていました。映像の表現にチャレンジし続けている作家さんだけに、ミラーシステムやオブジェクトに工夫をしながら、万華鏡の表現世界を広げているようです。
渋谷のBunkamuraで開催中の万華鏡展(ギャラリーヴィヴァンさん主催)では、毎年、特別展示のコーナーを設け、特定の作家さんを取り上げて、作家さんの世界を展開する場所があります。一人の作家さんの作品をいろいろな角度から取り上げるのは、見る方にとっても興味深く、またその作家さんの作品を良く知る機会にもなります。昨日までご紹介しました山見浩司さんのコーナーもそのひとつですが、今日ご紹介するのは新人作家、高林千稔さんのコーナーです。木工の万華鏡を飾るのにとても素敵な演出ですね。高林さんご自身によるものだそうです。そういえば、この革のカバンに万華鏡を入れて運んでいましたっけ・・・今回初めて拝見する万華鏡もあり、この夏のデビューからさらに作品の幅を広げつつあることを見せてくれる展示であると同時に、万華鏡の向こうに作家さんの想いや人となりを感じ取れる展示だと思いました。