今年は寒さが長引いたせいか、花の便りも遅めでしたが、やっと咲いてきましたね。 梅、桃、桜・・・心がうきうきしてきます。
今日は桜をテーマに万華鏡の映像を選んでみました。
上の映像は中村和正さんの作品です。 菱形に組んだミラーシステムにより、ふたつの映像が並び、呼応しながら変化する万華鏡です。 ふたつの映像が視野に無理なく映り込み、周りの色の流れまできれいに見えているのは、ミラーの角度や大きさが決め手です。 オブジェクトは角を削ったガラスピースで、少しオイルを入れたオブジェクトセルです。
次は清野一郎さんの桜です。 陶器の筒に桜の絵が描いてあるもので、映像も和の万華鏡らしい色合いの穏やかな桜模様ですね。 和の万華鏡展で見せていただいたものです。 清野さんは桜をテーマにたくさんの作品を創られていると思いますが、それぞれに違ったミラーシステムで、いろいろな映像があります。
静かな映像と言えば、細井厚子さん。 吸い込まれるような世界で花びらの舞う様子を見せてくれます。 言葉も音もなくはらはらと舞う桜に包まれて、しばし静寂の中にいる自分に気づくことでしょう。
何年か前の個展で拝見した作品です。
春色のガラスの筒の万華鏡は堀越順子さん。 映像もピンクに包まれています。 金色のオブジェクトがアクセントになって、可愛らしい印象です。
2ミラーの映像は、井野文絵さんから。 白い磁器の筒に桜の模様、こぶりで清楚な雰囲気が日本人女性らしい作品です。 井野さんの作品は外観もそうだけれど、中に展開する映像の色合いが和風なんですね。 繊細で落ち着いた色の組み合わせが独自の世界を見せています。
柔らかくてはかなくて、美しい映像は依田さんご夫妻の万華鏡です。 桜をテーマに何種類かありますが、どれも桜のイメージを優しく表現しています。 筒の色を取り込んで白い世界の中に桜の花が姿を変えながら咲き続けます。 依田さんの大切になさっている「一期一会」の楽しみを味わっていただけると思います。
6ポイントなのがちょっと気になるのは、マイケル・コリアさんの「チェリーブロッサム」です。
淡いピンクの筒にも桜の模様が「アメリカ的」にデザインされた作品です。 いつものように大きくてはっきりした映像ですが、大きめのセルと多様なオブジェクトの組み合わせによって、魅力的で楽しい映像を生み出します。
最後はスティーブ&ペギー・キテルソンご夫妻の「チェリーブロッサム」です。 ガラスの筒に桜の枝を焼き付けたフラワーシリーズのひとつです。 オブジェクトを創るのはペギーさん。 その美しさは個性的でありながら、多くの人を引き付ける魅力的な映像です。 日本の着物や文化に興味があるとおっしゃるだけあって、日本人の心にも響く色遣い、流れの中で楽しむ美しさを見せています。
まだまだご紹介しきれない気もしますが、いろいろな桜への想いを感じていただけたでしょうか?
万華鏡の嬉しいところは、これらにとどまらずに、姿を変えて素敵な映像を生み出してくれることです。
名古屋にある万華鏡ギャラリー「プリズム」さんでは、「花の万華鏡展」を開催中です。お近くの方はぜひ見に行ってください。