万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

アンビアンス

2008-04-30 22:38:29 | 万華鏡ブログ
チャールズ・カラディモスさんの「アンビアンス」は、オブジェクトセルの背景に色の混ざり合ったガラスを使っているところが大きな特徴です。(2006年4月29日にもご紹介)
その結果、映像は薄めの色のぼかし模様のある紙に、細かくくっきりとした図柄を書き込んだような感じで、オブジェクトの色味だけでなく、背景の色で映像の雰囲気が変わるのがとてもユニークです。オブジェクトセルを回すと、背景の映りこむ部分も変わるので、ただでさえ同じものがないほどの映像の変化に、さらに面白みが加わります。セルは動かさずに筒全体を回せば、背景の色を変えずにオブジェクトの動きを楽しめます。
この背景のガラスは外側から見ると濃い色の混ざり合いのように見え、これでは映像が暗くなるのでは?と思うほどですが、自然の光だけで、こんなに明るい背景になります。
黒い背景の映像、白い背景の映像が一般的ですが、この万華鏡の味わいも素晴らしいと思うので、久しぶりに再登場です。もちろんドライセルの感触も心地よく、映像の繊細さに目を見張るカラディモスさんならではの万華鏡です。
Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蜻蛉の舞う映像

2008-04-28 12:01:22 | 万華鏡ブログ
小川文齋さん・中里保子さんの万華鏡「縄文の夢」の内部映像です。撮影が難しく、本当はもっと奥行きの感じられる深くて美しい映像です。テーマの蜻蛉がミラーシステムの中に組み込まれているのがお分かりになると思います。蜻蛉の部分にもミラーを使い、オブジェクトの反射映像が映し出されています。深みのある空間を蜻蛉が舞うように見えるのが特徴です。
万華鏡の仕組みとしてはガラスのトレイにさまざまなガラスオブジェクトやボールチェーンなどを並べたホイールタイプで、電動モーターにより、回転しています。
映りこむ映像を考えながら、ひとつひとつオブジェクトの配置を考えたそうです。きっとわくわくしながら製作なさったのだろうなあと思われる、素敵なホイールでした。LEDによる光源が明るさときらめきを生み出し、偏光板の使用という工夫を加えて、映像の面白みが増しました。この3ミラー(5ポイント)と2ミラー(7ポイント)のふたつのミラーシステムによる映像が楽しめます。外観の陶器とは対照的なガラスの世界ですが、蜻蛉の舞うイメージと、真鍮の細工がふたつの素材を結びつけ、このコラボレーションによるアート万華鏡の大作が実現されました。土に命を吹き込み、その陶器の作品に命を吹き込み、万華鏡に蜻蛉が舞っている…そんな蜻蛉の万華鏡で夢を感じてもらいたいと中里さんは願っていらっしゃいます。
山見浩司さんの作品はまだ拝見していませんが、いつか京都で拝見させていただくのを楽しみにしています。皆様もぜひ。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蜻蛉のアイホール

2008-04-26 17:50:52 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介の「縄文の夢」という万華鏡のもうひとつのテーマは「蜻蛉」です。小川文齋さんの作品に使われる「蜻蛉文」に作家さんの特別の思い入れがあることを知り、そのお話に強い印象を受けた中里さんは、万華鏡のテーマに「蜻蛉」を選んだそうです。打ち出しの真鍮の板と蜻蛉をあしらい、ガラスナゲットをアクセントにした万華鏡の覗き口は、花器の大きな開口部に見事に収まり、花器の趣を壊すことなく、また、土との相性もよくデザインされています。中里さんは日ごろからガラスだけでなく、金属素材をデザインに取り入れた作品をよく作られていますが、真鍮という素材も好きな素材だとおっしゃっていました。大変素敵なデザインであると同時に、チラッと見える輝きに大きな期待を抱きます。
というのは、この蜻蛉の羽と頭から胸に当たる部分がくり抜かれて、それぞれ異なる覗き口になっており、内部には2種類のミラーシステムが組み込まれているのです。内部に光源を持ち、この万華鏡は外観からは想像できない深みのある美しい映像を見せています。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

縄文の夢

2008-04-25 20:45:36 | 万華鏡ブログ
京都万華鏡ミュージアムでは、京焼の陶芸家小川文齋さん(京焼文齋窯5代目)と万華鏡作家とのコラボレーション作品を明日(4月26日)から展示します。「京都らしい万華鏡を…」と望んでいたミュージアムスタッフの熱意に応えて小川先生が京焼の大きな作品を2点提供してくださり、山見浩司さんと中里保子さんがそれぞれ万華鏡に仕上げたものです。
先日中里さんの工房で完成した作品を見せていただく機会がありましたので、ブログでご紹介したいと思います。
それは、高さ70~80cmほどでしょうか、縦長の大きな土肌のごつごつした花器でした。その大きさと質感は、私のイメージしていた京焼とはかなり違っていて、少しびっくりしました。中里さんは小川先生から陶芸家になられるまでのいろいろなお話を伺い、万華鏡のイメージを膨らませ、最後まで試行錯誤を繰り返しながら完成に至ったそうです。二人の作家さんがそれぞれの思いを込めて創り上げた作品であることが伝わってきて、風格というか、力強さを感じました。
出来上がった万華鏡のタイトルは「縄文の夢」です。この陶器の中に組み込まれた素晴らしい万華鏡についてはまた次回に。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

和風の色合いに透明感をプラス

2008-04-24 15:41:05 | 万華鏡ブログ
昨日ご紹介しました和紙の使った万華鏡では、キャロリン・ベネットさんが、ガラス球、アクリルビーズ、天然石などで和紙の柄から色を選びながら、オブジェクトセルを作っています。黄色からオレンジへ、そして渋いグリーンや赤へと変化していく様子は、和紙のイメージそのものでありながら、また別の世界を演出します。それは透明感と光との饗宴。大きなオイルセルは奥行きがあり、その分オブジェクトもたくさん動くし、光をたくさん取り入れるので、明るく透明感のあるきれいな映像を見ることができます。時々映りこむ泡もオブジェクトのひとつ。
オイルの中で浮くもの、沈むもの、大きなもの、小さなもの、丸いもの、線状のものなど色だけでなく、形や質感を考えて混ぜ、しかも置いてある状態できれいな外観も楽しめるようになっています。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

和紙を生かしたアメリカ製万華鏡

2008-04-23 21:04:42 | 万華鏡ブログ
キャロリン・ベネットさんのリキッドサスペンションシリーズの作品は、いろいろな図案やテーマの図柄を筒に使い、大きくてよく見えるオイル入りセルが美しく、スマートな造りのアクリル製万華鏡です。このブログでも何点かご紹介してきました。
今日ご紹介するのは、個人的にお願いして、和紙を使って万華鏡に仕立てていただいたものです。雰囲気によくあったオブジェクトを選び、きれいな万華鏡になりました。日本の和紙を使って、アメリカの作家さんが作るとどんな風になるかなと楽しみにしておりましたが、期待を裏切らず、素敵な万華鏡に仕立ててくれました。
リキッドサスペンションが、こんな風にいろいろな可能性を秘めた万華鏡であることを再認識し、嬉しくなりました。内部映像は次回に。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

筒の中の絵

2008-04-18 11:07:26 | 万華鏡ブログ
前回は細野さんの3ミラーシステムで四角いパターンの映像をご紹介しましたが、今日は2ミラーシステムで四角いパターンの映像です。4ポイントの映像は、2枚のミラーの角度を360度の1/8、つまり45度に組むと見える映像パターンになります。
この万華鏡は依田満・百合子夫妻の作品展で見つけた10cmほどの小さな作品で、その中に信じられないくらい豊かな色彩世界を見せてくれます。外観は濃い紫系の透明なガラスの筒で、かなり地味な印象。目を近づけてよく見ると流れるようなガラスの模様がやっと見えるくらいなのですが、中を覗くとそのガラスを通して入ってくる光が、絵を描くようにいろいろな模様を創り出すのです。光でパレットに色を作っているみたいです。依田さんご夫妻はミラーシステムに筒の模様が映りこむ万華鏡をよく作られますが、その色と光がガラスオブジェクトにも反映して、豊かな色合いになるのですね。ハートも見えてロマンチック!です。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

色の魔術師

2008-04-16 17:43:25 | 万華鏡ブログ
現代的なデザイン画のような図柄ですが、これも万華鏡のミラーシステムを通してみた画像です。細野朝士さんの偏光オイルタイプ、3ミラーシステムの作品MKは、シンプルなステンレススティールの筒の中に、こんな色鮮やかな世界が展開します。
偏光素材の面白さで、模様は繰り返しても、ひとつひとつの模様は色が微妙に違っているので、不思議な印象を受けます。筒を回せば、オイルの中でオブジェクトが動き、重なり合いが変わり、光の通し方しだいでこのピンク系の画像が一瞬にしてグリーン系の画像に変化したりするので、いつまでも見飽きることがありません。
細野さんの作品には、素材は同じでもさまざまなミラーシステムやポイント数の万華鏡とテレイドスコープがあり、多様な魅力ある映像を見せてくれます。
そのものは色のない素材から、こんなにきれいな色と模様を生み出す不思議! 「色の魔術師」と呼びたい作家さんです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歴史のある教会の窓に似て

2008-04-15 22:00:01 | 万華鏡ブログ
昨日スー・リオさんのスモールバタフライをご紹介し、その映像を教会のステンドガラスの窓のようだと書きましたが、いかがでしょうか。ヨーロッパの古めかしい教会で、昼間でも蝋燭やランプの灯が灯されるぐらいの薄暗い中、教会堂の奥に、また振り返ったパイプオルガンの先に見えるステンドガラスの窓の美しさに感動し、驚く人は多いと思います。、ガラスに色をつけ、図案を描き、太陽の光を通して見た美しさは、昔から人々の心に訴える力を持っていたのだと思います。結構素朴な表現でしたが、大きな感動でした。その日の天候により、また一日の中でも時間の移ろいにより、見え方も違ってくるといいます。万華鏡にもそんなところがあるのではないかと、この作品を見て思いました。
きっとそのようなことも作りながら感じつつ、万華鏡の外も中も同じくらい大切に表現し、創り上げる作家さんです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガラスの蝶

2008-04-14 19:10:02 | 万華鏡ブログ
久しぶりにスー・リオさんの作品です。「スモール・バタフライ」というタイトルで、ダイクロイックガラスの蝶の羽が両面にあしらわれています。幼い頃から自然の豊かな土地で育ったスー・リオさんは、蝶、鳥、花、海などのテーマを外部のデザインやオブジェクトに表現した作品を創り上げます。この作品は少し小型で、2ミラーシステムを内蔵し、8ポイントの映像を見せます。
渋い虹色の輝きを放つ本体のイリデッセントガラスと、蝶の羽にグラデーションを見せるダイクロイックガラスを組み合わせ、しかもオブジェクトシリンダーには色とりどりのガラスジュエルがふんだんに使われています。ガラスの美しさを表現し続けてきた作家さんならではの作品です。光の当たり方で色が変化して見える面白みのある素材を使い、存在感のある万華鏡に創り上げました。
ガラスを繋ぐ装飾はんだの色も渋い色合いにおさえることで、全体的に見て落ち着いた雰囲気のガラス造形作品となっていますが、大きなのぞぎ口から見える内部映像は暗い教会の中でその美しさに目を見張るステンドガラスの窓のようです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする