東急吉祥寺店で開催中の「ガラスの器と万華鏡」展に伺いました。ガラスの器の作家さんとの共催ですが、このブログでは万華鏡のことを取り上げています。
松宮真理子+北斗美学という作家名で展示されている作品は、いずれも独特の趣と技術があり、一つ一つが存在感のある万華鏡ばかりで、松宮さんがあらたな万華鏡の世界を創り出して世に問うている感じがしました。
上の写真は、「イストリア(物語の意味)-鳥の声-」というタイトルで、「いつの時代のどこの国のものかわからない風合いを持ち、建物のようで景色のようで、見る人がそれぞれ何かしら物語を感じていただけたらと思いながら制作しました」との説明。銅、真鍮、七宝、緑青、ガラス、鏡で創り出した手の込んだ作品です。不思議な歴史を感じさせるような外観から、どんな映像世界が広がるのか気持ちが誘われます。
細密画のような美しい色合いの映像が展開します。
万華鏡はそもそも異素材の組み合わせ、異なる技術の組み合わせで無限の可能性を秘めたアートだと思います。そんなことを改めて感じた作品展から、拙い写真ですが、ご紹介します。これらの質感、輝き、細部にわたるデザインなどは実際にご覧いただき、感じていただきたいのですが、少しでも素晴らしさが伝わればと思います。
本体は七宝の技術で創られており、台座(万華鏡本体を差し込む部分)や蓋(右下)に金属を美しく加工して唯一無二のデザインとなっています。台のガラスの加工も美しく、全体でバランスのとれた作品となっています。内部には球体のような映像が浮かんで見えます。
次の2点は、松宮さんが以前から取り組んできた「天体観測」をテーマにした作品で、小宇宙のような世界を内部に展開します。いずれも七宝の技法で、金属のあしらいも素敵。従来のガラスの作品とは異なる趣ですね。
次の2点はアストラリウム(天文時計の意味)というタイトルで、刻々と移り変わる時をイメージしたボディーは七宝で制作されています。ガラスの台も絵画のようで、美しい組み合わせですね。一つ目は秋を表現した作品です。
もう一つは冬をイメージしています。
最後に小ぶりな、とても素敵なデザインの手持ち型の作品です。どちらも(写真はありませんが)ガラスオブジェクトの選び方に松宮さん独自の作風が表れています。繊細で透明感と落ち着きがあり、絵画もなさる作家さんらしい色遣いなのかなと感じます。
パーラータイプの大型作品、ガラスの作品も素敵でしたが、彫金七宝という技術に独自の表現力を加えた作品を中心にご紹介しました。丁寧な手作りの細部に至るまで、とても長い時間をかけて制作したそうです。12月1日まで開催中ですので、可能な方はぜひ実物をご覧になって、感じていただきたいと思います。