今日ご紹介するのは、松本よしこ&たけお さんご夫妻の「Dimple」という作品です。
ステンドガラスの作品を作ってきた作家さんですが、パイレックスガラスとボロシリケイトガラスという素材を使って新しいシリーズに取り組んでいらっしゃいます。
上の写真で見ると、まるで金属のように見えますが、パイレックスガラスにえくぼのような窪みを付け、内面に吹き付け塗装で金属のような光沢をグラデーションで表現しています。 試行錯誤を経て塗装の技法を学ばれたそうです。よく見ると表面にきらきらと光るものがあり、光の当たり方で色の変化に光沢や陰影ができて、魅力的な外観となっています。
パイレックスガラスは軽量で丈夫なので、万華鏡の素材として最近使われるようになってきましたが、工業製品とは異なる表現をするために作家さんたちはそれぞれに工夫をなさっています。
このシリーズには「琥珀」「青の洞窟」「アイスパープル」の3種類があり、オブジェクトに使用するボロシリケイトガラスの特性を生かして映像を表現しています。
「琥珀」は琥珀色とブルーが透明感と揺らぎのある映像を生み出します。
「青の洞窟」ではブルーの陰影のある世界を表現し、深く吸い込まれそうな映像表現です。
「アイス・パープル」は淡いパープルの繊細なオブジェクトが輝きながら、氷のような表情を見せています。
ボロシリケイトガラスは微妙で繊細な色の変化をするので、それをできるだけ鮮明に表現するためにシリコーンオイルを使っているそうです。
このシリーズはほかにもオブジェクトセルが透明な球体のタイプがあり、それぞれにミニタイプもあります。
これまでいろいろな作品を見せていただきましたが、確実に創作の世界を広げている作家さんだなあと感服しています。