ナップ夫妻のマンダラシリーズは、手持ち型の高品質な万華鏡です。 二人合わせて五十数年の実績がある彼らの素晴らしいクラフトマンシップを見せてくれます。
今回ご紹介するのは、2018年新作「Believe On」(ビリーブ・オン)です。何よりも映像の迫力があるので、映像から紹介しましょう。
ナップ夫妻の作品で4ポイントというのは、初めてではないでしょうか? 今までは、5ポイント、6ポイントがとても多く、小さな作品では3ミラーもありますが、今回は2ミラー、4ポイントです。
そしてもう一つ、新しいのはオブジェクトの色合いです。 今まではジュエルトーンとブライトトーンという2種類を作ってきたシェリーさんですが、今回は一つにまとめています。 新しい試みです。ここでご紹介する映像は、すべて一つの万華鏡のものとは思えないくらい変化します。
映像の色合いの変化に大きな影響を与えるのが、オブジェクトセルの側面のダイクロイックフィルターです。このフィルターを通して光の色が変わり、映像に色を添えます。
ポイント数が少ない分、オブジェクトの形や質感がよりはっきり見えます。バーナーワークで作るオブジェクトは、ガラス棒をひねったり、つぶしたりという細工はもちろん、ダイクロイックガラスや彼女のオリジナル「ルチーニ」と呼ばれるガラス細工が含まれ、多様な模様を映し出します。
これらの迫力のある映像の変化を見せてくれるのが、この万華鏡です。先端部がとてもなめらかに回り、覗きやすい構造になっています。アクリルのオブジェクトセルのきれいな形状、回転部分の回しやすい細工、眼のぶつからないアイホールのくぼみなど、ランディさんのこだわりの機能美は、何気ないけれど良い万華鏡の証拠です。
オイルの中で流れるような映像変化は現代万華鏡ならではのもの。そしてこの迫力、インパクトの強さはアメリカの作家さんならではと思います。何よりもナップ夫妻の伝えたい想いが感じられ、覗けば別世界へ誘われる万華鏡です。