万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

印象派万華鏡?

2006-09-30 17:30:40 | 万華鏡ブログ
「モネの庭」Monet's GardenというKDスコープ工房の作品です。Kはケン、Dはドリーからとっていますが、工房名が表すように、とても仲の良いウィルホイット夫妻です。趣味で始めた万華鏡製作でしたが、家族や友人にプレゼントしてとても喜ばれたことから、より良い作品への探求と努力が始まりました。今では14年ほどの万華鏡製作の経歴があり、その後半の半分は、会社を退職して万華鏡作家として、実力をつけ、さらに活動の幅と奥行きを広げました。最初は真鍮やアルミ製のスマートなメタル万華鏡のみを創っていましたが、2005年から新たにセラミックという素材に取り組むようになり、今までとは違う可能性を探りながら、これら2種類の素材で、作品を創っています。金属の万華鏡で心地よかった、滑らかなオブジェクトセルの回転も、このセラミック万華鏡でも実現されています。
ブルーとグリーンを中心に描かれた筒の模様はクロード・モネの有名な庭をテーマにしたもので、光沢のある仕上げです。美しい映像を生み出すオブジェクトもさらに改良され、それぞれのテーマにあった映像世界を展開します。この作品の内部映像は睡蓮の花や、木々の緑、水面に映る景色などを連想する絵画のような深みがあります。セラミックの万華鏡は割合軽いので持ちやすく、滑らかなセルの回転が心地良い作品です。
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美しい形を見る道具―カレイドスコープ

2006-09-28 18:30:13 | 万華鏡ブログ
以前にもカレイドスコープという名前について書きましたが、それは「美しい」「形」を「私は見る」という意味の3つのギリシャ語を組み合わせた造語です。ブリュースター郷が万華鏡を発明した当時の知識人たちは、ラテン語やギリシャ語を学んでおり、おそらくその頃このように名前をつけるのが、ひとつのスタイルだったのでしょう。
はるか昔の古代ギリシャ時代にすでに2枚の鏡は反射により、多くの映像を映し出すこと、角度によってその数は違ってくることなどは知られていました。シンメトリーという概念も、またその様式美もすでに認識されていました。
ブリュースター郷が発明者である所以は、彼がそのシンメトリーに色や動きを加えたら美しいに違いないという発想を得て、複数の鏡を筒の中にいれ、先端に色のついたガラス片を入れたオブジェクトセルを置き、それが回る仕組みを創り上げたことです。「複数の映像が見えること」と「美しい形となって見えること、その美しい形が動くこと」との間には長い年月の隔たりがあり、ちょっとした工夫のようにも思える彼の発想が、やはりすごいことだったのだと改めて思わされます。その万華鏡の歴史は200年弱。そして現代万華鏡のルネッサンスは30年ほどが経過しました。際限のない変化を見せる「美しい形」は、これからも人々の心を惹きつけ続けるのだろうか、そんなことに思いを馳せながら、万華鏡を覗く毎日です。
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京都万華鏡ミュージアム(4) 永遠の生命

2006-09-27 18:24:57 | 万華鏡ブログ
京都万華鏡ミュージアムには日本を代表する万華鏡作家の方々の作品が展示されています。今日ご紹介する「永遠の生命」は、依田満・百合子夫妻の大型作品で、2004年ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションに出品されたものです。
「永遠の生命を求めて作られたというピラミッド、その思いに合わせて春夏秋冬を重ねて生命のつながりを表現している」(依田さんのウェブサイトから)という壮大なテーマの作品です。アクリル製の透明なピラミッドは、中の万華鏡やオブジェクトが見えるデザインが、とても斬新です。四季をイメージした見るからに美しい4つのオブジェクトセルが、スイッチを押すごとに自動的に交換され、回転します。それに合わせて季節にちなんだ音楽が流れる仕組みになっています。本当にきれいな映像に合わせて音楽が聞こえ、大変贅沢な気分になれる作品です。依田さんの作品にはさまざまなアイディアが盛り込まれていますが、それがデザインと組み合わされてみごとに機能する技術の高さは素晴らしいです。このような作品を展示し、誰もがその楽しみを共有できる機会と場所はあまり多くないので、多くの方に訪れていただきたいと思いました。
(ミュージアムでの写真がうまく撮れていなかったので、依田さんの万華鏡展で撮影した写真を載せています。)
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京都万華鏡ミュージアム(3)星くず

2006-09-25 18:06:53 | 万華鏡ブログ
昨日のStardust(星くず)の内部映像です。実際には写真よりもずっと奥行きのある、深い映像です。どんなミラーの仕組みになっているのだろうと不思議でたまりませんでした。山見さんの作品には宇宙や星をテーマにした作品が多いのですが、漆黒の奥行きの深さ、神秘的な映像、輝きなどが見事にテーマに表現されています。この星の映像を生み出すのは重なり合う2枚のホイールです。先端でずらしながら回すと、際限なく変化する色模様を見せてくれます。光の当たり具合でも輝きや色が変化し、いつまでも目を離せません。ただきれいなだけでなく、覗いた人を驚かす要素をいつも準備している作家さんなので、ぜひ直接作品を覗く楽しみを味わっていただきたいと思います。
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京都万華鏡ミュージアム(2) 虹色光沢の万華鏡

2006-09-25 17:39:14 | 万華鏡ブログ
現在展示されている作品の中に山見浩司さんのパーラー型の作品が3点ほどありましたが、いずれも外観、内部映像共に目を惹くすばらしい作品でした。この作品は「スターダスト」という作品で、内部にたくさんの星がきらめく映像を生み出します。この作品の外部に使われているガラスは玉虫の羽のように、光線の具合で緑色や紫色が浮かび上がる光沢のあるガラスで、山見さんのパーラー型作品にはよく使われます。透明度はなく、反射光によりさまざまな表状を見せるこのガラスは、1枚のガラスなのに、虹色に見える特徴があり、万華鏡のボディーに使われることが多いです。直線の中に、曲線を取り入れたデザインは高度な技術を必要とすると思いますが、バランスも良く、堂々とした安定感があります。
中を覗くと、そこは驚きの星の世界。 次回にご紹介いたします。
ザ・ブリュースターソサエティーの2001年コンベンションの受賞作品の「舞妓」も特別展示されていましたが、京都にふさわしい作品です。ダイクロイックガラスをちりばめたかんざしが、回転するオブジェクトになっていて、舞妓さんの後頭部から覗くと、鮮やかな万華鏡模様になって見える仕組みです。
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京都万華鏡ミュージアム(1) 手回し式大型万華鏡

2006-09-25 00:10:16 | 万華鏡ブログ
先日京都万華鏡ミュージアムに行って参りました。一言で言うと「万華鏡と万華鏡ファンにやさしいミュージアム」です。常時50点ほどが展示され、季節によって入れ替えているそうですが、ゆっくりと一つ一つ覗いて見るにはちょうど良い数とスペースです。全て自分で持って覗き込むことができるので、「作品に触ることのできるミュージアム」でもあります。万華鏡の展示の仕方もよく考えられていて、手にとって見るもの、そのまま覗きこむもの、それぞれちょうど良い高さに置かれています。十分な明るさがあるように照明も工夫されており、きれいな万華鏡映像を楽な姿勢で楽しむことができます。手入れが行き届いており、来館者に万華鏡の美しさを伝えたいという気持ちが伝わってきます。ボランティアの方が丁寧に扱い方や楽しみ方をを教えてくれるので、来館者の方とのコミュニケーションも弾み、とても良い雰囲気でした。
この写真は依田満・百合子ご夫妻の手回し式大型万華鏡で、手前のハンドルを回すと音楽が鳴り、オブジェクトセルが回転し、依田さんの美しい映像が大きな覗き口から見えます。見る人が自分の手で映像を動かすことを実感でき、テイパードミラーシステムの面白みを体験できるので、ミュージアムにはぴったりの作品です。
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万華鏡の中もジャパネスク

2006-09-24 00:53:31 | 万華鏡ブログ
前回ご紹介したみずあめや工房の「菊」の内部映像です。長さ9cmのオイルワンドの中には細かめのビーズなどのオブジェクトが「調合」されびっしりと入っています。オイルの中で落ちていくオブジェクトを見るタイプではなく、動きは少なく、ゆっくりだけれど、様々な色合いのオブジェクトが混じりあう様を見る万華鏡です。ワンドを水平にした状態で、手前か奥に回転させて映像の変化を楽しみます。
外からも良く見えるワンドは、丁寧な装飾はんだが施されていて、オブジェクトの色合いも筒のイメージに合うように選ばれているので、バランスも良く、外観を見て惹き付けられ、手にとって覗きたくなります。
内部の映像はオイルワンドの奥行きが感じられ、押さえた色合いながら、金色と赤が見えると、豪華な厚みのある映像は着物の帯地のようでもあるし、幾重にも重なった色合いは十二単のようにも見えます。覗き口が狭いので、なかなか写真は撮りにくいのですが、今回はうまく撮れた一瞬をご紹介します。
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「菊」の万華鏡

2006-09-22 21:04:15 | 万華鏡ブログ
秋の花、菊の万華鏡です。和のテイストの万華鏡を作っているみずあめや工房の作品で、菊の香るこの季節にご紹介したいと思いました。菊の花の咲く場面を切り取った構図は、限られた画面に広がりを感じさせます。ガラス胎七宝の技法で丁寧に焼き付けられた赤い菊の図案が大胆ながら落ち着いた印象。長さ15cmほどの作品です。中を覗くと浮かび上がる丸い映像は、思いがけず鮮やかで、さらにたくさんの菊の花が咲き誇るようです。

手作りの巾着はいつもとてもきれいに作られていて、古い布であることを感じませんが、作家さんの労力と思い入れのある立派な作品です。骨董市で探しだした着物や古裂は、丁寧に手でほどいて手洗いした上で、使えるものだけを巾着に仕立て上げるそうです。ガラス製の万華鏡を守るために綿入れのような厚みを持たせて仕立ててあります。大変な手間がかかっているのですね。その布が長い年月、歴史の中で残ってきたという重みを感じ、人を惹きつける、目に見えない力のようなものを感じ、大切に扱っていらっしゃるとのこと。みずあめやさんの作品には、古いものへの畏敬の念、伝統的な美に感動する心が込められていることが、きっと万華鏡を覗いた方たち、手にした方たちに伝わると思います。
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チャールズ・カラディモスのこだわり

2006-09-21 21:25:56 | 万華鏡ブログ
チャールズ・カラディモスの万華鏡の基本的スタイルである「クラシック・コーン」です。スランピングというガラス技法で作る、このコーン(円錐)スタイルを貫きながら、ウィングをつけたり、模様をつけたり、ポイント数を変えたりして様々なヴァリエーションを提供してきました。そしてオブジェクトセルのこだわりは2ミラーシステムを通して見るドライセル。このクラシック・コーンは、12ポイントの複雑で繊細な曼荼羅映像を生み出します。
彼の作品は部品からすべて一人で創り上げるスタイルで、時には工具までも工夫して作り、数多くのステンドガラス製の万華鏡作品を創ってきました。
どうやってオブジェクトを選ぶのか、彼はこう語っています。「私が作るものは、その瞬間の私が感じる印象を表現しています。もしその時クラシック音楽を聴いていたら、創るものの色合いも、その音楽への印象を表現するものになるでしょう。」
そしてドライセルにこだわる理由は、「映像をコントロールしたいからです。オイルセルならセルの回転を止めても映像はさらに変化して動き、コントロールできませんからね。」
そしてオブジェクトの動いてぶつかり合う音が好きだから・・というのも理由のひとつ。
「自分の回す速度によって、映像を大きく動かすことも、少し動かすことも調節できるのが良いですね。」
本当に自分を喜ばす作品しか創らない彼のスタイルがよくわかる言葉です。そんな妥協のない作品は、完璧なシンメトリーと2度と繰り返さないであろう美しい色模様で、私たちを魅了します。
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万華鏡に喩えられるもの

2006-09-20 21:44:54 | 万華鏡ブログ
多くの皆さんがきっと経験なさっていると思いますが、「万華鏡」という言葉をインターネットで検索して見ると私たちの探したい万華鏡以外のものがたくさん出てきます。万華鏡という言葉は、隠喩としてよく使われるということでしょうか。様々な事柄や状況が、万華鏡という言葉に喩えられるのは、万華鏡の持つ面白さ、変化の妙、精神に与える影響、神秘性などなど、一言では表現しきれない万華鏡の奥行きのある魅力によるものが大きいのでしょう。
カレイドスコープルネッサンスの先導的な役割を果たされたコージー・ベーカーさんは、1983年に万華鏡に出会い、とても感動したと同時に興味を持ちました。情報を集めるために、友人のつてで連邦議会の図書館に行き、万華鏡に関する記事や本を求めて探しました。タイトルにカレイドスコープという言葉が使われた本は18冊ありましたが、どれひとつとして万華鏡について書いた本はなかったそうです。そして自分の情熱を注いでみたい分野に本がないのは幸運だと思ったそうです。まだあまり知らない万華鏡にもかかわらず、本を書こうと思ったベーカーさんは、そこから、万華鏡やその作家、情報を求める旅を始め、作家や愛好家との出会いが新たな出会いを生み、そのネットワークがやがて大きな組織となっていったのです。「小さなかけらが組み合わさって機能し、思いがけない美しい模様となる万華鏡そのものである。」と、彼女はこの愛好家の組織、ザ・ブリュースターソサエティーをそのような言葉で表現しています。
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