万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

液体入りガラスアンプル

2006-02-28 20:53:19 | 万華鏡ブログ
これらのお洒落なガラスの棒は万華鏡のオブジェクトです。細い筒状のガラスの中にさらに、色の付いた液体と気泡を閉じ込めて封印したものです。万華鏡を回した時、ドライのオブジェクトセルの中でこのアンプルの中だけに流れが見えます。アメリカの万華鏡史に残るチャールズ・ブッシュが、1870年代から作り始めた万華鏡に考案して使ったのが最初でした。彼はその液体入りアンプルに特許をとりました。それから約110年後、液体入りガラスアンプルの再現に成功したのが、ガラスアーティスト、ビル・オコナーです。アンプルのトップがミナレット(イスラム教寺院の尖塔)のように美しいデザインの液体入りアンプルが彼のトレードマークになりました。彼の作るガラスオブジェクトは色合い、形とも秀逸で、作り出された映像は繊細で透明感のある独特の曼荼羅を見せてくれます。ビル・オコナーがクレイグ・ムッサーとのコラボレーションで作った万華鏡シリーズはコレクターの垂涎の的です。どこかで本物をじっくり見てみたいと思っているのですが、まだその機会には恵まれません。ビル・オコナー、クレイグ・ムッサーともに、スミソニアンマガジンで特集された7人の万華鏡作家のうちのふたりです。(26日の記事をご参照ください。)
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ペギー・キテルソンのオブジェクト

2006-02-27 22:02:32 | 万華鏡ブログ
このきれいなガラスピースは、先日ご紹介した花の万華鏡の作家、キテルソン夫妻の万華鏡のオブジェクトセルに入っているものです。きれいですね。ペギーさんが創る美しいガラス細工はオイルの中で優雅に動き、誰もがうっとりとする内部映像が展開します。しかも彼らならではの独特の雰囲気のある映像展開は、他の人には真似できるものではありません。
万華鏡愛好家の国際的組織であるザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーのコンベンションは毎年1回、アメリカの各地で開かれます。そのプログラムの中で、ある分野に秀でた作家がその技術を披露し、質疑応答をするセッションがあります。普通だったら企業秘密で誰にも見せないのでは?と思いつつ、作家同士が意見を言い合う場は、お互いに学びあい、技術や考えを高めることのできるすごい場所なんだなあと感心させられます。お互いのアートを認め、尊重しあうことが前提となってこそ、成り立つプログラムです。そしてバーナーワークを披露したペギーさんが見せてくれたのが、この美しいガラス細工です。
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カレイドスコープルネッサンスの始まり

2006-02-26 22:36:47 | 万華鏡ブログ
万華鏡の魅力が再発見され、新しい工芸としてアメリカで発展した経緯を少しお話しましょう。アメリカでも、19世紀の初めにヨーロッパで生まれ広まった万華鏡が海を渡って伝えられました。その当時の歴史に刻まれているアメリカの作家はチャールズ・ブッシュという人で、多くの高品質の作品を作りましたが、その後特に目立った広まりはなく、子供のおもちゃとして細々と存在し続けたのでした。1970年代、ブリュースターやブッシュの万華鏡を見直し、新たに作ろうとする動きがでてきたようです。そして、1982年、スミソニアンマガジンに載った8ページにわたる万華鏡の記事はカレイドスコープ・ルネッサンスの端緒を開いたと言われます。これはその1ページです。すでにこのようなさまざまな表情を見せる個性的な作品が作られていたのですね。この記事により新たな万華鏡の可能性に興味をかきたてられた人や、子供の頃親しんだ万華鏡を思い出して懐かしく思った人などがいたそうです。万華鏡のファーストレディーと呼ばれ、その後の万華鏡界を率いることとなったコージー・ベーカーさんの万華鏡を求める旅もここから始まりました。ここに紹介された当時万華鏡を作っていた7人は、まさにパイオニアであるといえますが、そのうち今でもまだ活躍しているのはキャロリン・ベネットさんただひとりです。
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虹色の世界

2006-02-25 23:58:50 | 万華鏡ブログ
万華鏡の映像の魅力は色彩の妙・・・そんな作品をご紹介します。
シークレットガーデン工房のルーク&サリー・デュレットの「スプラッシュ」というドライタイプの万華鏡です。この映像は少し変わっていますが、お気付きになったでしょうか。 きれいなシンメトリーになっているガラスオブジェクトの創るデザインの背景の色が緑から青、紫、そしてピンク色に見えます。アーティストのこだわりの工夫のひとつです。
デュレット夫妻の万華鏡はミラーの組み方が確実で鏡のつなぎ目が映りこまないこと、オブジェクトの選び方に工夫があること、そして軽くて持ちやすく、先端部の回転がスムースで心地よいことなど、良い万華鏡の要素をたくさん備えているので、日本でもとても人気があります。有名なのはドライフラワーをオブジェクトにした万華鏡で、思いがけないところに秘密の花園を見つけたような喜びを感じさせてくれます。この映像はもうひとつのトレードマーク、ルークの創るガラスオブジェクトによる際限ない変化のほんの一瞬の表情です。
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和のテイストの万華鏡

2006-02-24 23:58:54 | 万華鏡ブログ
1970年ごろからアメリカで作られていたというアート万華鏡が最初に日本にもたらされたのは1990年ごろのことと聞いています。昔懐かしい千代紙を巻いた万華鏡しか知らなかった日本の人々にとって、現代のアート万華鏡との出会いは衝撃的で、大きな驚きと喜びをもたらしました。それから15年ほど経って、新しいアートとしての万華鏡の存在はかなり知られるようになり、日本でも作家が生まれ、独自の日本人らしい作品も作られるようになりました。アメリカの作家が主流であるザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーにも会員として活躍なさっている日本人作家もいます。国境を越えて万華鏡が愛されていることが良く分かります。
ここにご紹介するのは「万華鏡工房みずあめや」さんの作品で、和のテイストを大切に作られた作品です。 アメリカでも紹介され、早速コレクターの方たちの目に留まったと聞いています。ガラス胎七宝という技法で、一つ一つ日本らしいテーマを押し付けがましくなく、きれいに表現したところに好感を覚えます。そしてそれぞれに手作りの着物地の巾着が付いていて、これがまた素敵です。日本で作られる万華鏡にも注目が集まってきた今、世界に向けてその情報を発信したいと思っています。
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9ポイントの映像

2006-02-23 20:28:55 | 万華鏡ブログ
昨日お約束したウッドランドデザインズ工房のカラーリリーの内部映像です。でも1枚の写真で内部映像の魅力をお伝えしようとするのは無謀な試みでした。なぜならオイルタイプの万華鏡の特徴はセルを回すとオブジェクトが流れるような動きを見せ、そして回転を止めてもその余韻を楽しむかのように映像は変化し続けるからです。(とても1枚の写真では無理でした・・・・)その優美な動きがオイルタイプの魅力であり、しばし現実を忘れるほど引き込まれるところです。二人してさまざまなガラス加工技術を学び、それを独自の万華鏡に創り上げてきたキテルソン夫妻の目標は「見て美しく、触って、持って心地よい、ユニークで他とは違った万華鏡を創造すること」だそうです。スティーブさんはいつも優しいまなざしの、穏やかで大きくて暖かい人です。ペギーさんはいつも素敵な色合いの洋服やジュエリーを身に着けていて、その色彩のセンスに感心します。「素敵ですね」と言うと、「自分で作ったの」とうれしそうに教えてくれました。彼女は歌も大変上手で作家さん仲間でよく歌っています。閑話休題。さてこの万華鏡のミラーシステムは、2ミラーシステムです。2枚のV字型に組んだ鏡の角度を20度にすると、反射に反射を重ねて18に分割された映像が円状に見えるのです。そしてそのうちの隣り合う2つずつが中心線を境に左右対称の模様となり、ひとつのまとまりとして目に映ります。そのまとまりが9個あるのがこの映像です。このような映像を9ポイントの映像と呼びます。鏡の角度でポイント数が変わってきますが、あなたの好きな映像は何ポイントでしょうか。
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ガラスの花の万華鏡

2006-02-22 21:59:20 | 万華鏡ブログ
ここにご紹介するのはアメリカのウッドランドデザインズ工房のペギー&スティーブ・キテルソン夫妻の限定版作品です。黒いガラス本体に白いカラーリリーの姿が美しく浮き上がり、しっとりとした落ち着きと優雅さを感じます。ガラスのフュージングという技法で、黒のステンドガラスに白い花と緑の葉や茎が焼き付けられ、スランピングという技法で2つの半円の筒に形作られます。600度以上の高温で焼き、ゆっくりと冷まします。それを合わせて万華鏡の筒が作られます。オブジェクトセルの中のガラス細工はペギーがバーナーワークで一つ一つ作り上げたものでその美しさには定評があります。(前に書いた三本の指に入る一人です。)どの過程も大変手間と時間のかかるものですが、その結果できた作品は思わず手に取り中を覗いてみたくなる暖かさに満ちた作品ばかりです。そしてその中の美しさ・・・その一瞬を次回ご紹介する予定です。いろいろなアートガラスの筒、2ミラーシステム、オイルの中にガラス細工が浮かぶセル、ゆったりと動き続ける映像が彼らの基本スタイルで大きな変化はありませんが、ガラスの色の違いで飽きることのないバラエティーが楽しめます。どれも魅力的で甲乙付け難く、お気に入りの色を選ぶのも大変です。この花シリーズはこのほか、ローズ、マグノリア、チューリップ、デイジー、ダリア、朝顔などがあり、それぞれ内部、外部ともに素敵な花を咲かせています。
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静かな万華鏡映像

2006-02-21 20:48:44 | 万華鏡ブログ
万華鏡の内部映像のことを英語ではImage(イメージ)ということばで表現します。ぜひ覚えておいてくださいね。日本語で使われている「イメージ」は心象という意味で使われることが多いと思うので少し違いますね。
ところで内部映像の魅力を言葉で表そうとする時、「色の饗宴」とか「色鮮やかな」という表現からわかるようにたくさんの色合いの織り成す思いがけない美しさが大きな要素のひとつになっています。 ところが、今日ご紹介する映像はできるだけ余分な色を使わず、しかも大変美しい映像です。ステンドガラスの万華鏡作家、細井厚子さんの万華鏡「Bridal Rose」のイメージをご紹介します。彼女は万華鏡本体のデザインもとてもシンプルですが、一つ一つの万華鏡にテーマがあり、余分な装飾を避けて、静かなイメージを鏡の向こうに表現しようとしているのです。この繊細さ、優しさに満ちた映像は、やはり日本人だからこそ生まれるような気がしてなりません。最後に彼女のメッセージをお伝えしたいと思います。
「流れていく時間、聞こえない音楽、言葉にならない想い、静かに癒されていく悲しみ…、
 それら、目に見えない、愛おしく懐かしいものたちに小さな形を与えること。
 それが私のしたいことです。
 そして、それを助けてくれるのが、私にとっての万華鏡です。」
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チェスはいかがですか

2006-02-20 20:13:51 | 万華鏡ブログ
今日ご紹介するのはガラス製のチェスです。そしてこれも万華鏡です。チェスの盛んな欧米では、様々な素材のデザイン性豊かなチェスの駒がありますが、万華鏡のオブジェクトセルをチェスの駒にデザインしたのは、ファンタジーグラス工房のジョアンヌ&マイク・ジェイコブズ夫妻です。オイルの中にきらびやかなガラスやビーズなどのオブジェクトの浮かぶセルは彼らのトレードマーク。装飾はんだで各駒の特徴を出しています。中央に見える白い筒と黒い筒がそれぞれ異なったミラーシステムを内包する万華鏡本体で、先端部に駒のオブジェクトセルを付けて回し、映像を楽しみます。これだけの駒があると、全部見るのはちょっと大変かもしれませんね。これは大掛かりな万華鏡セットですが、通常の彼らの作品は様々なテーマに沿った色彩豊かなステンドガラス製の万華鏡です。ミュージシャンとして活躍していたこともあるジョアンヌは音楽をテーマにした作品も数多く創っています。マイクは自分の仕事の傍ら、万華鏡製作を学び、今ではジョアンヌを支える大きな力となっています。ジョアンヌは日本に滞在したこともある日本びいきの作家さんでジャポニズムをテーマとした作品もいくつかあります。
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シェリー・モザーの万華鏡

2006-02-19 22:19:48 | 万華鏡ブログ
「フォー・カンディンスキー」というタイトルのついたこの作品は抽象画の巨匠ワシリー・カンディンスキーの作品をイメージしたもので、シェリー・モザーの最新シリーズのひとつです。キャンバスに表現されたカンディンスキーの色彩世界がなんと万華鏡で表現されているのです。
白とパステルカラーのエポキシ樹脂、それを囲むスターリングシルバーを効果的に使ったこの作品は今までの黒っぽいガラスを素材とした作品とは違った雰囲気で、明るく、音楽を感じるような作品です。
シェリー・モザーはもと小児癌患者を担当する看護婦でした。ストレスの多い職場で自らの精神的な安定が求められましたが、そんな時出会った万華鏡が緊張とストレスを和らげ、穏やかな静けさを与えてくれることに感動しました。1985年からステンドガラスの技術を活かして万華鏡の製作を始め、1992年には「ジャーニー」という万華鏡でザ・ブリュースターソサエティーの創造的作品賞を受賞しました。評価されたのはミラーにサンドブラストという技法で星の模様を刻み、それがオブジェクトと共に映像に組み込まれるという、当時では大変斬新なアイディアでした。それ以来、彼女の万華鏡にはいつも何か新しい要素が加えられ評価されてきました。また彼女の作るガラスオブジェクトの美しさは3本の指に入ると私は思っています。
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