万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

19世紀の万華鏡

2009-07-31 21:00:29 | 万華鏡ブログ

「ふらのやまべ美ゅーじあむ」の代表、三井郁弥さんは万華鏡コレクターとして国内外の様々な作品を収集してきましたが、このミュージアムにはそれらを展示する場所があります。見せていただいた貴重な作品の中から、今日ご紹介するのは、アメリカで1870年代に製作されたチャールズ・G・ブッシュのパーラースコープです。彼は、プロシア(ドイツ)からの移民としてアメリカに渡り、アメリカの万華鏡史の初期を代表する万華鏡デザイナーでした。 彼の会社はその当時としては驚くほど品質を保った万華鏡を数多く製作、販売したそうです。数種類のパーラー型の万華鏡が今でも残っているようですが、これもそのひとつで、それらに共通するのは、黒い厚紙の筒、真鍮製の船の舵輪のような持ち手のついた回転するオブジェクトセル、木製のスタンドです。古い作品ですからミラーの部分は完ぺきとはいえませんが、こんな映像を取ることができました。

オブジェクトで有名なのは彼が考案し、特許を取った「液体入りガラスアンプル」で、ドライセルの中で、回転を止めても液体の流れが映像に動きを残すという斬新なアイディアでした。技術的にもこのアンプルの製作は簡単ではないようですが、カレイドスコープルネッサンスのごく初期から、その技術を再現して磨き、自らの作品に取り入れてきた作家さんも何人かいるようです。この万華鏡は構造、品質、デザイン全てにおいて、100年以上前のものでありながら、完成度の高いものであったし、原点の作品としてレプリカも製作されました。今となってはそれも貴重な作品です。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シンボルは「はるにれの木」

2009-07-30 22:49:00 | 万華鏡ブログ

「ふらのやまべ美ゅーじあむ」のご紹介で、今まで依田満さん・百合子さんご夫妻の投影式万華鏡「映華鏡」をご紹介してきましたが、依田さんはそのほかにもたくさんの作品をこのミュージアムのために製作してくださいました。ミュージアムを立ち上げた三井郁弥さんの想いを理解し、また子どもの創造力を育てる場になって欲しいというご自身の願いを込めて、“覗いて、見て、触って、感じる”さまざまな作品を用意なさいました。
これは「はるにれの四季」と題した巨大遠華鏡(テレイドスコープ)で理科室に設置されています。窓からは校庭の樹齢150年を越すはるにれの木が見え、その周りの景色をテレイドスコープで見たり、向こう側に立っている人の姿を見たりして楽しみます。四季折々のふらのの風景が,肉眼で見るのとは違った新しい美しさとして生まれ出ることを伝えています。ハンドルを回せば鏡の筒が中で回転する仕組みになっていて、映像の変化を楽しめます。98年間子ども達を見守ってきたはるにれの木は、今度は遠華鏡を通してみんなに見られるのですね。


空が青かったら・・・花が咲いていたら・・・子どもが遊んでいたら・・・いろいろのものを映しこんで、この映像も変化し続けることでしょう。でもいつもそこには「はるにれの木」があります。

 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

音楽室

2009-07-29 22:09:13 | 万華鏡ブログ


ふらのやまべ美ゅーじあむ、「ふらび」では、展示テーマのひとつとして、依田満さん・百合子さんの投影式万華鏡による映像世界を展開していますが、今回は「音楽室」です。音楽室の空間では、投影式の面白さを生かした展示が数種類なされていて、これもそのひとつ。ピアノの鍵盤と楽譜に万華鏡模様が映し出され、変化しています。このピアノは誰でも演奏してよいので、時々ピアノのメロディーが聞こえてきます。きっと良い気持ちでしょうね。

そして部屋の片隅にあるストーブの煙突からはこんなモビールが下がっています。実はこの煙突に、つい最近まで鳥が巣を作っていたため、取り外さずにこのような仕掛けを思いついたとのこと。 小鳥が森の中で、喜んでさえずっているのが聞こえてくるようです。
依田さんの生み出す美しく繊細な映像にピアノの音や音楽、また、モビールの動きが加わって、ユニークな映像体験です。 
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映華鏡の新しい世界

2009-07-28 16:43:56 | 万華鏡ブログ

「ふらのやまべ美ゅーじあむ」は小学校をそのままの形で万華鏡を楽しむ空間にしています。
ここは図書室。部屋の一面いっぱいに見えているのは、依田満さん百合子さんご夫妻と、工房のスタッフによる影絵+映華鏡の世界です。「ふらのの原っぱで風と戯れている女の子、小さな動物たち、そよぐ草花の風景」をイメージしたと説明されていますが、本当に富良野ではこんな景色がすぐそこにあります。
京都万華鏡ミュージアムや長野の「ギャルリ蓮」さんでの投影万華鏡のイベントをこのブログでもご紹介しましたが、今度はこの場に、ここだからこその、さわやかで心温まる新たな世界を演出しました。シャボン玉やたんぽぽの綿毛がふわりと画面を舞うのも新しい意匠です。この写真ではわかりませんが、小さな虫や動物まで丁寧に描かれているんです。そしてそれらをいち早く見つけ出すのはお子さん達たちだそうです。
この投影式万華鏡は、ひとつが手のひらに載るほどの大きさにもかかわらず、大きくクリアーな映像を映し出します。極小のガラスオブジェクトのひとつひとつは、これほど大きく拡大されてその表情を見せ、透明感と重なりの美しさと変化の面白さを目の前で展開します。
本箱の残る図書室は、きっと以前は子ども達が本の世界に遊んだ場所。その雰囲気を残したまま、依田さんたちが作り上げた映華鏡の世界に身をゆだねると本当に心地良いです。
依田さんがずっと高い目標を持って改良を重ねてきた投影式万華鏡は、本当に素晴らしい作品で、影絵と組み合わされて素敵な空間を生み出し、きっと多くの人にたくさんの喜びや感動を伝えていくだろうなあと心から思いました。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ふらび

2009-07-27 23:18:39 | 万華鏡ブログ

2009年6月に富良野市にオープンした「ふらのやまべ美ゅーじあむ」です。
98年の歴史を刻んで昨年閉校した富良野市立 山部第一小学校の校舎をそのまま使って、万華鏡ミュージアムとして生まれ変わりました。
図書室や体育館、音楽室、理科室、職員室など一歩足を踏み入れれば、誰もが懐かしさを感じる空間、子供達の声が飛び交っていた空間・・・そこに万華鏡の場所がたくさんできました。
建物は歴史とぬくもりを感じる木造の校舎で、とても古いけれど懐かしく、万華鏡ミュージアムとしてはとっても新しい場所です。
子供達に美しいもの、驚きに満ちたものをたくさん見て欲しい、体験して欲しい。優しい心にきっとなれるから・・・と三井郁弥さんの想いがたくさんつまったプライベートなミュージアムですが、想いを分かち合う仲間に支えられて、居心地の良い、温かい場所が生まれたと思います。大人も万華鏡という世界を通して美しいものに心惹かれ、優しい想いを感じる自分を発見するのではないでしょうか。
日本を代表する万華鏡作家、依田満さん・百合子さんの心のこもった素晴らしい作品をはじめ、たくさんのいろいろな万華鏡を体全体で楽しみながら、本当にゆったりと心を遊ばせる時間を過ごすことができます。
まだまだ一歩を踏み出したばかりのミュージアムですが、コンサートや絵画展の企画もあり、楽しみです。万華鏡の好きなみんなで応援していきましょう!
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

素敵な万華鏡展のご案内

2009-07-24 10:04:12 | 万華鏡ブログ

昨日、こんなにきれいな万華鏡展のご案内をいただきました。
舞い飛ぶ蝶の模様が全部万華鏡の映像なのです。とても素敵なのでご案内も兼ねてご紹介します。
「おとなも楽しむ万華鏡 2009」
8月4日から10日まで、そごう横浜店 6階 美術館通り特設会場
午前10時から午後8時まで。(最終日は午後7時まで)
出展予定の作家さんは、山見浩司さん、角敏郎さん、木村えみ子さん、喜多里加さん、小嶌淳さん、佐藤元洋さん、田村慎一さん、豊田万里さん、中里保子さん、細井厚子さん、細野朝士さん、中村明功さん、あや子さん です。

この頃特に充実してきた日本の万華鏡作家さん達ですが、この展示会も回を重ね、着実に活動を続けてきた作家さんたちの作品を集めた、作家さんによる運営の展示会です。
楽しみですね。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガラスで宝石コレクション!

2009-07-23 23:10:30 | 万華鏡ブログ

スー・リオさんの小型万華鏡シリーズの新作、「ジェムストーン・コレクション」からご紹介します。全長約15cmほどですが、大きめのオイルセルと、それを挟んでダイクロイックガラスを大胆に見せるデザインで、なかなか存在感があります。
左から、サファイア(ブルー)、アクアマリン(ティール)、ムーンストーン(ホワイト)という風に、外のガラスの色でそれぞれ宝石を表しています。全部で6色あり、あと3色は、ルビー(レッド)、オニキス(ブラック)、シトリーン(イエロー)です。オブジェクトセルの中にも、それぞれの色にこだわったさまざまなオブジェクトが濃いオイルの中でゆったりと動き、二等辺三角形に組まれた3ミラーを通して、5ポイントの映像とその周りを埋め尽くす反射映像がいっぱいに広がります。
両脇を飾るガラスロッド(ガラス棒)と筒の先端に配したガラスジュエル、そして小さな4つの脚は定番のスタイル。スー・リオさんは、そこにいつも新しい何かを加えて、新作を作っていきます。中も外も美しいガラス万華鏡を目指すスタイルはいつも変わらず、私達を魅了し続けます。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガラス色で描く

2009-07-21 23:05:10 | 万華鏡ブログ


前回ご紹介しました山見浩司さんの「ジュエル」(オイルワンド)の映像です。光をたくさん通すオイルワンドなので、オブジェクトのガラスピースも光を透過したり、反射させたりして、表情の豊かな映像になっています。外から見えるガラスの透明感に対して、中の映像は色の豊かさに驚かされます。くっきりとした映像の作品も多い中、この万華鏡は色や質感の重なり合いがグラデーションとなって映像に映り込みます。オブジェクトのラインをぼかすような印象があり、見たときに絵画のような色の重なりを感じました。この万華鏡の製作過程は「ステンドグラス」(ホルプ出版、家庭ガラス工房シリーズ)に詳しく紹介されていますが、多くの過程を注意深くこなしていかなくてはならないことがよくわかります。大変なんだと思う一方、きれいなガラスオブジェクトを選びながらガラス管の中に入れては映像を確認し、満足のいくまで試行錯誤するところは、大変だけれど幸せな時間なのではないかなあと、作家さんをうらやましく思ったりします。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ステンドガラスのオブジェクト

2009-07-19 16:52:47 | 万華鏡ブログ

山見浩司さんのステンドガラスの万華鏡、今回はオイルワンドを見る「ジュエル」です。
オブジェクトは、ステンドガラスを短冊にカットし、先端をピンセットでつかみ、バーナーで加熱しながらガラスを回してねじり模様を作っていきます。この万華鏡ではダイクロイックガラスをねじったオブジェクトも見えています。オイル(濃いグリセリン)の量は筒いっぱいではなく、ガラスにまとわりつき、動きをスムーズにする程度の量になっていますが、ガラスの輝きを増す効果もあります。
「ジュエル」の名にふさわしく、筒のデザインのアクセントになっているのは、やはりダイクロイックガラスをフュージングしたガラスピースの数々です。
山見さんのお店(兼・工房、教室)Little Bearには、さまざまなダイクロイックガラスが整理された引き出しがあり、見せていただきましたが、キラキラと美しく、夢がいっぱいの宝の箱を覗いているようでした。フュージングによってさらにきれいに加工され、山見さんの手で万華鏡になっていくのだなあと思うと、とてもわくわくしました。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「虹の彼方に」

2009-07-18 20:08:48 | 万華鏡ブログ

雨上がりの虹を見るような万華鏡です。このブログでは初登場のなみまちえりこさんの「Over the Rainbow」という作品で、虹色のガラスマーブルをオブジェクトにするという課題を持って製作なさったものです。
ステンドガラスでアーチを創り、透明なガラスにガラスの粒で虹色の模様をつけました。虹の向こうに何があるのだろう? 万華鏡を覗くと何が見えるんだろうと手に取ってのぞきたくなる、夢のある作品ですね。何だかドロシーの歌も聞こえてきそうな雰囲気です。
オブジェクトのマーブルはそんなに大きくないのですが、その中に虹色のガラスが渦を巻いて入っています。その渦のほんの一部が狭い角度のミラーシステムの先端に映りこみます。2ミラー12ポイントの映像はマーブルを指先でちょっと回すだけで、全く違う模様となって目に飛び込んで来るのです。
虹を見るときのわくわくした気持ちが素直に表現された愛らしい万華鏡です。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする