万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

虫が飛ぶ万華鏡

2009-11-30 21:34:21 | 万華鏡ブログ
マーク・ティクルさんは、ミラーの組み立てとカットを工夫してユニークなミラーシステムを考案し、大きな覗き口から3Dの万華鏡映像を生み出すことで有名な作家さんですが、最近では鏡を使った空間のあるアート表現に凝っています。
この作品は2009年9月に発表された「Peek-a-box too」 というタイトルの万華鏡ですが、何といっても目を惹くのは箱の中に羽を広げて飛んでいる虫。どうやって浮かんでいるのか、とてもわかりにくい、ちょっと不思議な空間です。奥にオブジェクトセルがあるので、万華鏡だとわかります。ガラス製の万華鏡で、一部に透明なガラスを使い和紙を見せています。
オブジェクトチェンバーの方から見るとこんな具合です。きれいに仕上げてありますね。

オイルチェンバーで、回転を助けるためにセルの留め具の脇と先端にビーズを使っています。ティクルさんらしい手づくりのガラスオブジェクトが少し透けて見えるような表情のあるガラスを背景に使っています。

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Kaleido Drawings

2009-11-26 19:15:30 | 万華鏡ブログ
2ミラーの万華鏡映像は、その完璧なシンメトリーや完結性、安定性、バランス、美しさから、心や精神に働きかける「何か」があり、それによって私達は癒されたり、慰められたり、元気付けられたり、感動をもらったりしています。
この絵の作者ベティー・トライブさんは、最初は、万華鏡が好きでこのような絵を描くようになったわけではないそうですが、アーティストとしてものを生み出す過程で同じような「何か」を求めていくうちに、Kaleido Drawings と呼ばれる絵画に行き着いたそうです。そしてそれがコージー・ベーカーさんの本などに紹介され、万華鏡ファンの心をひきつけました。

この絵のタイトルは Kalei-Go-Clowns カレイドスコープとメリーゴーラウンドとクラウン(道化師)を組み合わせたタイトルで、1987年に描かれました。優しい色合いは色鉛筆から生み出されています。



よく見てください。動物や花や道化師が楽しそうに、そしてとても丁寧に描かれています。鏡の反射ではなくて、本当にひとつひとつ描かれているのですよ。すごいですね。人々の心に響き、微笑をもたらす素敵な絵です。 

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花を描いて・・・

2009-11-25 14:07:01 | 万華鏡ブログ
みずあめやさんの新作「ブーゲンビリア」です。新しい試みとして今回登場した柔らかい印象のガラス装飾の作品です。ガラスのパウダーを石膏型に敷き詰めて描いたブーゲンビリアは、ひたすら優しげでひっそりと咲いているみたいです。それにしても細かな花の景色をパウダーで表現するのは、さぞかし大変なのではと思います。
中を覗くと南国の花らしい明るさと鮮やかさがありながら、上品な色合いの花模様が展開します。グリーンの濃淡やピンクの濃淡の組み合わせが、みずあめやさんらしい色合いかなあと思います。

もう1点は「ミモザ」です。グラデーションのかかった薄いブルーに柔らかい黄色がきれいです。 色の配合を少しずつ変えながら敷き詰めていくことで、このようなグラデーションが出ると伺いましたが、丁寧な手仕事と推察します。まるで絵を見ているようです。

擦りガラスを使うことで、 少しかすんだ効果を生かして、和紙を透かしてみたような柔らかな映像が展開します。



12月7日までこの個展は開催中です。(火曜は休廊)

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幸せな動物たち

2009-11-21 21:46:58 | 万華鏡ブログ
みずあめやさんの個展から、昨日とは違ったテーマの作品をご紹介します。日頃から動物を描いた万華鏡を製作なさっているみずあめやさんですが、今回はパート・ド・ヴェールの技法を駆使して、さらに手の込んだ存在感のある万華鏡となっています。そしてどの動物たちも幸せそうな表情に見えるのです。作家さんの動物への愛情が感じられる愛らしい作品です。大きさは手のひらに載るくらいです。
黒い馬は手綱の金彩がお洒落で、背景の模様も凝っています。

こちらは象。背景の金彩のデザインが素敵です。堂々とした感じが伝わってきます。

この鶏は今回の出品作の中で一番大きいタイプです。 パート・ド・ヴェールの技法で凛とした姿を描き、細かい羽の表情や色合いまで表現しています。大きい作品だけに映像表現にも繊細さ、あでやかさがあり、均整のとれた大変美しい映像展開を実見せます。



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いつか見た空、いつか見る空

2009-11-20 19:54:26 | 万華鏡ブログ
万華鏡工房みずあめやさんの個展に伺いました。いただいたDMには今までとすっかり様子の違う万華鏡の写真、そしてサブタイトルは「いつか見た空、いつか見る空」・・・今回はどんな作品に出会えるのか、わくわくしながら、清澄庭園の側にあるギャラリー、「楽庵」さんに向かいました。
「ガラスの粉を型に敷き詰めて、空の微妙な色合いを表現した、パステル画のような表情の万華鏡」と説明されていましたが、実際に間近に拝見して、その柔らかい色のグラデーションの美しいことに本当に感動しました。単に美しいだけでなく、心の中にすっと入ってくるような景色、郷愁を覚える色合い、どの作品にも見る人を惹きつける魅力があります。
最初の作品は「砂浜」。海の色って本当にこんな風に遠近で濃さが違うし、空の色も浮かんでいる雲も自然で、「こんな景色どこかで見たなあ」って、それぞれの人がそれぞれの海を思い浮かべるのではないでしょうか。ドライタイプで内部に特別な擦りガラスを使って映像にも柔らかさを演出しています。


次の作品は「初雪」。白い雪が空に舞う様子が微かに見えます。張りつめた寒気と静けさを感じますね。木の姿も美しいです。

映像はこんなに柔らかい表情です。これも特別な擦りガラスを内部に使って、和紙に薄墨で描いたような優しい表情の映像が展開します。


こちらは「セイタカアワダチソウ」という作品。黄色の花と赤みがかった空の色が溶け合った美しい色合いの景色を切取りました。小さな面に表現された広い景色です。

この作品ではミラーシステムとオブジェクトセルの間にクリアなガラスを使っているので、ひとつひとつのオブジェクトがくっきりとした映像です。

みずあめやさんならではの万華鏡を入れる巾着も新作に合わせて生地を選び、丁寧に仕立てました。万華鏡との素敵な組み合わせにも注目です。
この個展は11月20日から12月7日まで、「Tea Room Gallery 楽庵」さんで開催中です。
(電話03-5621-4777 東京メトロ半蔵門線、都営大江戸線 清澄白河駅A3出口から徒歩2分です。) 

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憧れの・・・

2009-11-19 22:03:53 | 万華鏡ブログ
いろいろな場所で万華鏡を拝見したり、本で調べたりしているうちに、今はもう製作していない過去の作品や作家さんのことなどに興味を覚えることがしばしばあります。今なお魅力的な万華鏡の数々を写真で見るだけでも、驚きと感動があります。
今日ご紹介するのは、そんな憧れの作家さんの一人、シャンティデヴィさんのマーブルスコープです。写真で見たような傑作と評価された作品には及ばないかもしれませんが、おそらく1980年代に創られて、何人かの万華鏡コレクターのもとから私のもとに巡ってきたというそのことだけでも感動的な(私にとっては!ですが・・・)万華鏡です。

定評のあるガラスマーブルと個性的な装飾ハンダに是非ご注目ください。装飾ハンダの鉛の粒の間に、水晶や青い石がはめ込まれています。マーブルはこの状態でくるくる全方位に回転させることができ、映像の変化を楽しみます。
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小さくても大きい万華鏡

2009-11-15 20:50:11 | 万華鏡ブログ

この万華鏡はルーク&サリー・デュレット夫妻の最新作で、身につけて楽しむ万華鏡 WEE WONDER のひとつです。長さ8.3cm、幅2.8cmという小型の作品ですが、なかなかの「すごさ」があるのです。
【その1】 2種類の木材を使ったオリジナルデザインで、とても軽いこと。
【その2】 ペンダントタイプの万華鏡では珍しいオイルチェンバーで、しかもチェンバーを回転させることができること。
【その3】 ミラーシステムの精度を高め、小さな万華鏡では難しい、美しくバランスの取れた2ミラー映像を見せていること。
【その4】 覗き口が通常のペンダントタイプよりも大きく、覗きやすいこと。

軽くて、覗きやすくて、中の映像も大きいので、身につけて楽しむだけでなく、携帯していつでも楽しめるし、大きい重い万華鏡では覗くのが大変・・・という方にも楽しんでいただけると思います。

 
写真では映像の魅力や雰囲気が伝わらなくて残念ですが、黒い背景に幻想的な輝きが美しい万華鏡です。ペルシャ絨毯のようにも、光沢のある糸で織り上げたタペストリーのようにも、またある時は、ゴージャスなジュエリーのようにも見えます。

この写真の作品は、特にゴールドと赤のオブジェクトを効果的に使っています。
光沢を抑えたゴールドの渋くて繊細な美しさは、ぜひ実際に手にとって見ていただきたいなあと思います。
バーナーワークによるガラス細工、手描きの模様入りビーズ、手づくりのワイヤー細工、きらびやかなビーズなどが直径2.3cmほどの小さなオイルチェンバーの中に組み込まれ、大きな映像を見せています。
デュレット夫妻の「ダズル」や「ワイヤード」などの映像にも通じる、あざやかさ、きらめき感、躍動感などを十分に堪能できる「小さくても大きな万華鏡」シリーズです。


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伝統工芸を現代万華鏡に

2009-11-13 23:55:32 | 万華鏡ブログ
溝口好晴さんの「和の万華鏡展」から源氏物語絵巻の世界を表現したシリーズの作品です。多くの伝統工芸に携わり、その技術を深めてきた溝口さんならではの万華鏡です。日本の文字の美しさをこのように万華鏡のデザインにも取り入れているところが斬新ですね。漆の顔料を使っているという筒の色、質感も独自のもので、全体的に姿の美しい、装飾品としてもみごとな万華鏡ばかりです。右奥の作品は全面に螺鈿を施した手の込んだ万華鏡で、蓋を取ると覗き口があります。


ずらりと並んだ和の万華鏡たち。陶器、漆、蒔絵、般若心経・・・どのひとつをとっても、立派な存在感のある工芸作品です。そしてひとつひとつに万華鏡という機能があり、変化するアートをその中に持っているのですから、製作する作家さんのエネルギーの大きさを実感します。

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シルクロード 溝口好晴さんの個展から

2009-11-12 20:47:05 | 万華鏡ブログ

黒い漆に葡萄の実、葉、蔓がデザインされた万華鏡「シルクロードシリーズ」を、溝口好晴さんの「和の万華鏡展」で拝見しました。葡萄の実は貝がらを使った螺鈿で、一粒ずつ微妙に異なる色と光沢が美しく、また葉や蔓は銀で表現しています。そして白い美しい蓋を棗のように外すと、覗き口が現れます。良く磨かれた漆の光沢は、外の景色を映しこんでしまうほど。反射を抑えての写真が撮れませんでした。

日本の伝統工芸にあたらな技法を取り入れ、独自の「和の万華鏡」の世界を創りだす溝口さんは、各地のギャラリーで万華鏡展を開かれていますが、今回(明日13日まで)渋谷区、青山学院そばの「クールヴィルギャラリー」さんでの開催に伺うことができました。
モダンな和風の「置き庭」というインテリアで空間を演出するこのギャラリーはそんな溝口さんの万華鏡を飾るのにピッタリで、とても素敵でした。

ドライセルのオブジェクトは透明なものと半透明なものが組み合わされ、重なり合って陰影を生み出します。薄墨のような陰影と透明感のあるガラスオブジェクトが生み出す「和の万華鏡」ならではの映像です。

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フランスからアメリカへ、そして日本へ

2009-11-11 21:53:23 | 万華鏡ブログ
「フランスのアンティークショップで見つけました」という雰囲気の万華鏡でしょう?
実は、この作品は清野一郎さんがフランスで出会ったというドミニク・ストラさんが以前作られた万華鏡です。
「ふらび」(ふらのやまべ美ゅーじあむ)の三井さんのコレクションにあったもので、三井さんがボストンのショップで見つけてきたと聞いています。フランスで生まれ、今は北海道に旅してきた万華鏡なんですね。
手描きの模様も何だか変わっていて目を引きました。


ドミニク・ストラさんはApres La Pluie(After the Rain)という工房名で1976年から万華鏡を製作なさっていたそうです。この作品はいつ創られたのかはわかりませんが、古色蒼然とした雰囲気がありますね。 映像もオーソドックスな3ミラーシステムの映像ですが、色合いやオブジェクトの形にも独特の味わいがあると思いました。

Comments (2)
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