万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

小さな万華鏡 

2010-03-26 17:07:49 | 万華鏡ブログ
小さな万華鏡を見るとちょっと嬉しい気がします。手の中に納まる小ささなのに、覗くと想像もつかないような世界が見えるから。小ささに愛着を覚えるのは日本人だからでしょうか?
小さな作品は、作るのが結構大変です。ミラーも細く切らなければなりませんし、焦点距離を合わせるために覗き口にレンズを入れますから、すべてがよく見えてしまうので、ミラーを組む時も細心の注意が必要です。オブジェクトセルも小さいから、中に入れるものも小さく造られています。そして小さくても作家さんの個性は変わりません。
今日の万華鏡は喜多里加さんと小嶌淳さんのコラボレーションの万華鏡です。長さ9cmの小ぶりな作品は、木の台に載っています。喜多さんの創る筒の質感、雰囲気は小さくても十分伝わります。

土を削って模様を浮き出させているのがわかるでしょうか?オブジェクトセルのカバーはすりガラスで、ざらっとした土の筒の先端に、融合するようにつけられています。
この中に小さなオブジェクトセルがあり、小さなガラス細工が入っています。
筒の色に使われたピンクやブルーと同様の、柔らかいパステル調の映像。

透き通ったダイクロイックガラスが輝きが添え、赤い灯がともったような映像。

菖蒲の花のような紫が鮮やかな映像も見えます。

いろいろな表情があって、やさしい色と強い色が突然目の前に現れる印象。
心をざわざわとさせるような小嶌さんの万華鏡映像です。

 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3ミラーシステム

2010-03-22 22:13:11 | 万華鏡ブログ
今日ご紹介するのは、依田さんご夫妻が最近創っていらっしゃる「こころん」という可愛らしい万華鏡です。筒はアクリル製で、依田さんの選んだいろいろな紙を内側に巻いています。オブジェクトはプラスチックビーズで筒の模様に合う色合いや雰囲気のものを使っています。既存の材料を使ってまとめられていますが、それぞれに個性があって素敵です。そしてシンプルな造りは万華鏡の原点に立ち返った感があります。
品質の良いミラーをきれいに組んでいるので、映像はとても魅力的。黒い背景、白い背景、いろいろなミラーシステムなど、ヴァリエーションがあり、いろいろ集めても楽しそうです。
この3点はすべて3ミラーシステムです。それぞれ違う組み方の3ミラーシステムの映像を比べてみましょう。一つ目は正三角形に組んだ映像。 3つの角がいずれも60度ずつ組んでいるので、どこも3ポイントのパターンが繰り返します。

次は直角二等辺三角形に組んだ映像。45度‐90度‐45度に組むと、45度の角も反射して90度になり、このように縦横に連続する4ポイントの映像になります。

そして30度‐60度‐90度の直角三角形に組んだ映像。角度の異なる組み方で6ポイントと3ポイントの反復映像が組み合わさっています。


3ミラーシステムで映像の重なりがなく、繰り返し模様が均等にずっと続くのはこの3種類だけです。あなたはどの3ミラー映像がお好きでしょうか。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウサギや人形たちも!

2010-03-19 11:44:55 | 万華鏡ブログ

引き続き依田さんの万華鏡フェアで出会った作品です。初登場の磁器のウサギは帽子のオブジェクトセル。可愛らしいですね。ご購入をお決めになったお客様からお借りして撮影しました。

毎回登場するお人形たち。でも、いつも違ったファッションです。そしてそれぞれにピッタリな映像表現。



外側のデザインが個性的な陶器の作品を万華鏡に仕立て、飾る楽しみを2倍にも3倍にも膨らませています。 

大きな作品から本当に小さなペンダント形の作品に至るまで、一つ一つの個性を大切にして映像が生み出されていることに、いつも感動します。



Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢を運ぶガラスたち

2010-03-18 22:55:30 | 万華鏡ブログ
昨日から開催中の依田満さん・百合子さんの万華鏡フェアには、依田さんの万華鏡の世界を見たい人たちと、通りがかりだったけれど目を惹かれて、覗いたらどれもきれいで感激!・・・と初めての出会いを経験した人など多くの方が来ていらっしゃいました。でもちょうどこの機会に、東京まで足を運べないファンの方も多いことも知っています。そこで、このブログで少しだけでもお伝えできればと思います。

上の写真は今までとはちょっと表情を変えた北国のガラスシリーズ。きれいなやさしい色調のガラスの筒に、夢がいっぱい入っているようです。
下の写真は色とりどりのガラスの瓶の数々が万華鏡に生まれ変わった作品。丸みを帯びた可愛らしい万華鏡は手のひらにすっぽりと包みたくなります。中を覗くと外のガラスの色とよく合った美しい色合いの映像が視野いっぱいに広がります。

丸いだけでなくちょっと四角いのも初登場。


キノコの形が可愛い万華鏡。右奥に見えるのは沖縄ガラスの巨匠とのコラボレーション作品です。

ほかにもフクロウやリンゴ、雪だるまなどなど、思わず手に取りたくなる可愛らしい姿。いろいろなガラス造形が、万華鏡の喜びを体全体で表しているように思えてなりません。

そして一生懸命覗いて決めたお客様のもとが、これらの万華鏡たちの居場所となって、その輝きと喜びを伝え続けると思うと、万華鏡ってただの「もの」ではないなあと思ってしまいます。 つづく・・・

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

万華鏡を万華鏡で見る

2010-03-17 21:50:51 | 万華鏡ブログ
今日から伊勢丹新宿店で開催中の依田満さん・百合子さんの万華鏡フェアに伺いました。今回のテーマは「万華鏡を万華鏡で見る。」・・・一体どんな試みなのでしょうか?
新作の大型作品として展示されていたのが「すばる2010」です。 説明によると「ハワイ島マウナケア山頂にある宇宙観測用の望遠鏡から見た宇宙をイメージして制作した万華鏡」です。全体は、実際の望遠鏡の姿に似せた造りで、大きな覗き口から見るとこんな大きな星が輝いています。


この立体的な映像は三角錐をひっくり返したようなミラーシステムと先端部のカットによるものです。さらに近付いてみるとオブジェクトの模様が万華鏡映像になっていることがわかるでしょうか。


この万華鏡のオブジェクトは、依田さんが開発を進めている投影式万華鏡(本体の左側に設置してあります)が映し出す映像そのものなのです。どこに映し出すかというと、ミラーシステムの先端部に白いスクリーンがあるそうです。照明のもと、明るい会場で撮影させていただきましたので、白っぽく見えていますが、暗い中ではもっと輝きを増した星を見せてくれるでしょう。

投影式万華鏡によるイベントは、このブログでも何回かご紹介してきましたが、今回初めて投影式万華鏡「映華鏡」が作品として展示販売されました。大きな場所でも小さなスペースでもきれいに映し出される本物の万華鏡映像です。本物らしさがよくわかるのが、映像変化の時間差があることです。たとえば、筒を同じ速度で回したとしても、オブジェクトの動き方は同じ速度にはなりません。セルが下向きの回転に差し掛かったとたんにオブジェクトが急に流れるというような動きがあったりして、動き方にむらができます。同じ模様も出てきません。だからこそ、単調でない映像変化に目が奪われるのです。
小さな映華鏡には本当に小さくて繊細なオブジェクトが入っており、大きく拡大されて投影され美しい色と形を見せています。
このほかにもたくさんの素敵なガラスや陶器、アクリルなどの万華鏡も展示されています。次回ご紹介いたします。この万華鏡フェアは23日(火)まで。20日~22日には依田さん考案のキットを使った制作教室もあるそうです。

 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Not fire, Not ice

2010-03-15 22:19:30 | 万華鏡ブログ
木工の万華鏡作家、高林千稔さんの新作をご紹介します。タイトルは「Not fire, Not ice」・・・この曲を聴きながら製作した作品だそうです。細いラインが3本入った寄木細工の作品は、木目や木肌の色の美しさを生かした加工で、その感触と持ちやすさが心地よい万華鏡です。一体化しているように見える筒ですが、実際はセルの部分だけなめらかに回転する仕組みが組み込まれています。高林さんがこの万華鏡でやってみたかったこと。それは彼がこだわって、ずっと求めていた良いオレンジのガラスロッドがやっと見つかって、オレンジがらみの色をつけた万華鏡を創ることでした。

オブジェクトセルの背景はブラウン。サイドから光を取り込み、その光が高林さん特有のオブジェクトに陰影をもたらします。正確に言うと、陰影を出すために一つ一つバーナーワークで造形したオブジェクトなのです。大胆でありながら、よく考えられたオブジェクトのデザイン、構成によって、映像は力強く、時になまめかしく、変化し続けます。作家さんの感性がよく表現されていると思います。


学んだ木工の技術を生かした万華鏡をデザインし、飾ってみたくなる作品、そして覗いてみたくなる作品を創り続ける若手の作家さんです。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

華ごよみ 

2010-03-14 23:41:01 | 万華鏡ブログ
中里保子さんの「華ごよみ」です。赤い被せガラスにサンドブラストという技法で花模様を削り出してデザインしました。この赤いガラスは中里さんが好んで使っていらっしゃるアンティークガラスのひとつで、落ち着いた味わい深い色合いです。フランスのガラスメーカーのものですが、和風のデザインにもよく合います。
2007年にザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティのコンベンションで、最優秀賞を獲得した「秋草」もこのガラスで制作されました。その後いくつかの万華鏡展にも出品されましたので、ご覧になられた方もいらっしゃることと思います。
(2007年7月2日、3日の当ブログでご紹介しました。)
その内部イメージや雰囲気をそのままに、手持ち型の作品として製作されたのが、この「華ごよみ」です。唐草模様のアイアンの台に載っていますが、このデザインもとてもいいですね。ガラスとアイアンの組み合わせというのも、中里さんの製作スタイルとひとつとして定着してきました。万華鏡としてはもちろん、インテリアを飾る造形作品としても素敵な作品だと思います。


横に広い覗き口(写真手前)になっていて、両目で見られる万華鏡です。中を覗くと、こんなきれいな映像が・・・ 4枚の鏡をちょっと傾きを変えて組み合わせることでユニークな反射映像を生み出します。
オブジェクトの細長いガラスワンドには、ガラスやビーズ、天然石、メタル細工などが入っており、回転させると円錐部分の色が変化します。ぐるりと囲む花環も、被せガラスを削って作った部分がたくさん反射してできました。

Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パープルの風に吹かれて

2010-03-09 22:21:32 | 万華鏡ブログ
佐藤元洋さんの吹きガラスの万華鏡で、流れるような色が美しい「Pure(ピュア)シリーズ」から、小さめの作品です。丸くて両手で包み込めるくらいの可愛らしい万華鏡です。
今回は、パープルの風が吹いたような色模様がとても美しい作品を2点、ご紹介します。グリーン/パープルの色味が薄く何層にも重なるようなガラスの色模様。外から見てもきれいなガラスオブジェクトは、ミラーシステムを通して、グリーン、ターコイズ、パープルの綾を織りなします。

もう一点はブルー/パープルの「ピュア」です。ここにもパープルの風が吹いているような気がしませんか?


ガラスの筒の色に合わせた、ブルーやパープルのオブジェクトに混じって、白いオブジェクトが見えています。白いけれど、青や紫の色を帯びながら、映像に溶け込んでいます。 この万華鏡の透明なブルーはとてもインパクトがあって、覗く人を青く幻想的な世界へ導いています。

佐藤さんはもっと大きめの作品も、パーラータイプの作品も、それぞれに素晴らしいのですが、この小さな万華鏡シリーズから広がる世界の豊かさ、深さに感動する人もきっと多いに違いありません。

 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いぶき

2010-03-08 15:31:54 | 万華鏡ブログ
季節を時折後戻りしたような寒さの中でも春のいぶきを感じるこの頃ですね。今日は清野一郎さんの「いぶき」という万華鏡をご紹介します。
陶芸家として長いキャリアをお持ちの清野さんの万華鏡は、表現も豊かでテーマも様々あります。土の表情も釉薬の色合いも自由自在(のように見受けられます)、万華鏡であるという“制約”などから解き放たれたように、いろいろな形で創作し、いろいろなミラーシステムに挑戦なさって、そのエネルギーにはいつも驚かされます。
この万華鏡はその中でもオーソドックスな手持ち型。 手の中であらためて存在感を感じる土の感触、「いぶき」というタイトルの新鮮な感じ、エネルギーを感じる万華鏡です。

オーソドックスな2ミラーシステム、6ポイントの映像ですが、オブジェクトの形状や色合い、組み合わせ方がバランスよく、きれいな映像表現です。次々と新鮮な映像が、小気味よく生まれていくところに、すがすがしさを感じます。

背景がすりガラスになっていて透明なガラスオブジェクトの重なりが美しく見えます。また棒状のオブジェクトが映像の構成によいポイントになっていると思います。
 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

温室の中の万華鏡

2010-03-03 22:43:16 | 万華鏡ブログ
前回に続いて花を楽しむ万華鏡をご紹介します。ジュディス・ポールさん、トム・ダーデンさんご夫妻による「Hall of Flowers(花の広間)」という作品です。
セージグリーン(少しくすんだ緑色)にパウダーコーティングした万華鏡本体と、温室の形のかごを組み合わせた限定版の作品です。たくさんの花があふれる温室をイメージしたとてもきれいな万華鏡で、筒には手作りの淡いオレンジ色のバラの飾りが飾られています。

3ミラーシステムで、とても大きな映像です。中にもバラを始めたくさんの花が見えています。オブジェクトセルは3個あり、交換して楽しめるようになっています。上の映像は濃い赤や紫、ライムグリーンなどの入った黒い背景のオイルセルから生まれたものです。色に深みがあり、鮮やかできれいです。
次の写真はパステルカラーの花模様。黒い背景に、ピンクの花やパールなどがやさしい色合いです。

そして、もう一つのセルは、ちょっと違った感じです。背景は透明で、よく見ると、透明なダイクロイックガラスが何枚か貼りつけてあります。オブジェクトセルを回すときに、通す光の向きによって色が変わってくるのです。そしてよく見るとこのセルは変わったオブジェクトがいろいろ見えています。このセルから生まれる映像は、ほかの二つとは全く違うもの。

黒い背景の二つが生み出す映像が古典的なら、こちらはまさに現代アート風。ワイヤー細工の動きから生み出される一風変わったシンメトリーと光が生み出す色の饗宴は、対照的な明るさと軽妙さに満ちていて楽しいです。


万華鏡と替えのセルは、この温室風ケージの中に、きちんと入るようになっています。万華鏡の先端部の枠を外して、オブジェクトセルを簡単に交換できる仕組みです。テーマに沿って、たくさんの楽しみを提供している作品です。

Comment (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする