万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

トーマス&キャロル・パレッティーの世界 3

2015-11-29 21:25:06 | 万華鏡ブログ

今日は鳥の羽とリボンが主役です。 パレッティー夫妻のイノベーションと呼べる2点の作品をご紹介します。
上の写真は「フェザー&レザー」というカレイドスコープです。 オブジェクトは鳥の羽というユニークさと美しい映像で、万華鏡ファンに愛され続けてきた定番であり、パレッティー夫妻の代表作のひとつと言えるでしょう。

この軽いオブジェクトを動かすのが、アトマイザー(噴霧器)です。 空気をオブジェクトセルの中に送り込み、きれいな色の羽を飛ばすのです。飛ばされた羽が重なり合って、魅力的な色合いとなり、質感の面白さも加わって飽きのこない、楽しい映像展開となります。

ボディーには革が使われているので、このタイトルになりました。

アトマイザーをひと押しすると一瞬で模様が変わる面白さに誰もが夢中になる万華鏡です。

次は「スロー・ヨーヨー」です。 こちらもユニークさと愛らしさで魅せるカレイドスコープです。

オブジェクトは3本の長いリボンの束。 巻きつけてあるのを伸ばすとなんと1メートル40cmくらいになります。 色も太さも生地も違う色鮮やかなリボンをつないで長いオブジェクトにしてあります。

このリボンを垂らした状態から、クランクを使って巻き上げたり、おろしたりして映像の変化を楽しみます。 3本の重なり具合によって映り込む色模様も違ってきますし、また動きの中で変化する様子もきれいで、「フェザー&レザー」と同様に、遊び感覚で楽しめる作品です。

透き通ったリボンは重なって他のリボンの色や質感を活かします。 ガラスのオブジェクトの効果と同じですね。

第三面は木材なのに、オブジェクトの色を映し込みます。

リボンを巻き上げてくると、どんどん立体感が増してきて、映像も手毬のように見えたりします。
こんな素敵なアイディアを形にするパレッティー夫妻ですが、カレイドスコープルネッサンスの初期の頃から活動をしてきた方たちで、スタートは木工の万華鏡でした。 その技術があるからこそ、木材のアクセントの使い方が上手で、異素材の組み合わせをきれいにまとめていると思います。


 

 

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トーマス&キャロル・パレッティの世界 2

2015-11-28 21:10:40 | 万華鏡ブログ

パレッティー夫妻の「Tilt-A-Whirl ティルト・ア・ウァール」をご紹介します。 傾いたり、回転したりという意味です。ボディーには革が巻かれていて、木材と金属でアクセントをつけたデザインです。 
コンセプトはワンドスコープの仕組みを取り入れていますが、先端部でベアリングにより回転させることができます。 この大きなオブジェクトケースを動かして、その中にたっぷりと入ったユニークなオブジェクトが生み出す模様を楽しみます。

底面が弧を描くオブジェクトケースなので、傾けて安定して置けるように、セルの外側に支えがつけられています。透明なアクリル製で、中がすべてよく見えます。 
裏から見ると、細かい透明ビーズと大きめなオブジェクトが混ざり合っているのがよくわかります。

ミラーシステムに対して思いきり大きなオブジェクトケースをつける発想はどこから来たのでしょう?
バラエティー豊かな色と形の饗宴が楽しめそうですね。

彼らの作品は2ミラーシステムで第3面に溝のある木材を使うのが特徴です。 木材の切り口が映像の形になっています。

白っぽく見える部分が細かい透明ビーズです。 大きなオイル入りオブジェクトケースの中を自在に動きまわるオブジェクトたちですが、映り込むとバランスのとれたきれいな模様を構成し、くっきりと浮かび上がります。 どんな模様になるか、想像のつかないところがこのカレイドスコープの楽しみです。

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個性的な作家たちによる万華鏡展 

2015-11-27 22:33:07 | 万華鏡ブログ

今日は予定を変更して、東急吉祥寺店で開催中の「万華鏡とガラスのオブジェ展」について書くことにします。
参加している万華鏡の作家さんは、小元江里子さん、喜多里加さん/小嶌淳さん、細野朝士さん、松宮真理子さん、若林寛さん。 それぞれに素材、作風、内部映像など個性を打ち出していて、見ごたえのある作品展です。

松宮真理子さんはステンドガラスの万華鏡作家さんです。 ガラスの表情を自分で加工して作りだしたり、こだわって選んできたガラスを使い、形も必ずしもシンメトリカルではなかったりと筒のデザインにも凝っています。 
映像では「天文観測」シリーズがユニークで、オイルの中をゆっくり浮遊するオブジェクトが動くのを、筒を回さずにのぞいていると、黒い中に浮かび上がり、消えていく美しい色の流れを見ることができて、宇宙の中に自分の身を置いているような感じがします。

若林寛さんは、いろいろな素材でアイディアにあふれた作品の数々を見せています。 かぼちゃの馬車の中に映し出される映像に添えて、ご自分で演奏した音楽も流れる仕組みです。

金属の作品「コペルニクス」では、筒の色にも味わいを感じさせ、ベアリングもデザインの一部に使って、スタンド付きの「かっこいい」万華鏡にしました。 オブジェクトは天然石と金属のばねを組み合わせて、こちらもユニークです。

シンプルなステンレス製の筒の中に、思いもかけないほど素敵な色の世界を展開する細野朝士さんの作品が並びました。 外観からは分かりませんが、ミラーシステムの違いによる映像の種類がいろいろあります。 偏光素材のオブジェクトは、それ自体に色はないのですが、偏光フィルターの作用で色が生み出されます。 その色の重なりや変化の面白さが細野さんの作品の魅力です。

テレビ番組で特集されて話題となったテレイドスコープも並びました。 2ミラーのテレイドスコープはポイント数を選べますし、3ミラーのテレイドスコープも4種類あり、違った模様を生み出します。

喜多里加さんと小嶌淳さんの作品は、陶器の表情が豊かで質感にも特徴があります。 小嶌さんの生み出す映像とのコンビネーションが抜群で魅力的な作品になっています。 
中央にあるのは「アタノール」。 木部のデザインも素敵ですね。 
まわりにある手持ち型の万華鏡は「アルケミスト」シリーズです。

小嶌さんの映像表現は独特の雰囲気があって、しかも多彩で、魅せられます。

最後は、小元江里子さんのガラスの万華鏡です。 フュージングでガラスを重ねる技法で、やわらかい色合いと丸みを帯びたデザインが特徴です。

オイルの中に浮かぶオブジェクトは外観の色をテーマに組み合わされています。 覗くとおおらかで明るい映像が展開して、気持ちが明るくなるような気分になりました。

5人(組)の個性が発揮されている万華鏡展です。 ぜひ多くの方に実際にご覧になっていただきたいと思います。

11月26日から12月2日まで
東急吉祥寺店 8階美術工芸品売場 

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トーマス&キャロル・パレッティの世界 1

2015-11-26 20:43:21 | 万華鏡ブログ

久しぶりでトーマス&キャロル・パレッティー夫妻の作品を取り上げることにしました。
この作品はドット(水玉模様)がテーマで、「ホットドット」というカレイドスコープです。 
美しい色に加工したアルミニウムを2枚重ねて、水玉模様がのぞく筒のデザインがユニークで目を惹きますね。
金属と木材とアクリルという異素材の組み合わせで、とても現代的なカレイドスコープを製作するご夫婦です。

そしてまた特徴的なのが、この細長いオブジェクトセルです。 ミラーシステムの先に、さらに縦長のオブジェクトセルというのはは珍しいですね。  白く見えるのはとても細かいガラスビーズで、大きなセルの中をざぁっと流れるように動きます。 棒状のオブジェクトは光ファイバーで、トップをいろいろなビーズで飾っています。 ファイバーが光を集めて、その先端が発光します。

このオブジェクトセルはベアリングで滑らかに回転します。 その回転によって、ファイバーのオブジェクトも動き、細かいビーズの流れとあいまって、ユニークな映像になります。

赤や緑の光が灯ったような、クリスマスのイルミネーションのような楽しくてきれいな映像です。
ファイバーの先端の輝きがオブジェクトになって映り込んでいます。

パレッティー夫妻は遊び心と斬新さが満載のカレイドスコープをいろいろ製作しています。 この作品もかなり前から製作している定番ですが、いつまでたってもその新鮮さを失わない魅力があり、またご紹介することにしました。
次回も続いて彼らの作品をご紹介していこうと思います。

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万華鏡小宇宙

2015-11-18 22:02:20 | 万華鏡ブログ

「万華鏡小宇宙 ~鏡の中の美の世界~」 山見浩司さんの個展からご紹介します。
美しいガラス造形の並ぶ様子だけでも圧巻ですが、ひとつひとつ覗いて見れば、その中に展開する宇宙、美の世界に圧倒されます。

上の作品は新作「Wave ウェーブ」です。  カーブと直線で構成する表情豊かなガラスからなるボディーを飾るのは、先端の美しいガラスをちりばめた2枚のホイールです。

その2枚のホイールを大きなアイホールから覗くと、迫力のある映像が目に飛び込んできます。テイパードミラーシステムによる立体的な映像です。

ラインや構成する部分がくっきりと、寸分の狂いもなく目の前に展開します。 クリアでシャープな映像は山見さんの作品の特に素晴らしいところです。

次の作品も新作「AURORA オーロラ」です。

さまざまな質感、表情のガラスを美しく組み合わせ、下のラインをオーロラのカーテンのように表現したデザインが素敵です。 ワンドタイプの大きめなオブジェクトケースには、バーナーワークによるガラスオブジェクトがいろいろな形と種類で入っています。 上のホイールと同様、覗く前に外観からもわくわく感を持たせる美しいガラスの饗宴です。

映像は大きく視野いっぱいに広がっているのですが、カメラではなかなかとらえきれません。
人間の目で見るときの臨場感は万華鏡の醍醐味ですし、微妙な色の重なり、奥行き、輝きなどを感じ取る感覚は、やっぱり自分の目で覗いてこそなんだなあと思います。こんな素敵な世界をぜひ多くの人に体験してほしいと思います。(撮影の腕のなさをカメラのせいにしていますね。)

次の作品は「HOPE ホープ」です。アシンメトリーなデザインですが、バランスが美しいですね。
ガラスの色の組み合わせも素敵です。

この作品も狭い角度に組まれた二等辺三角形のミラーシステムを組み込んでいます。 映像もとても繊細です。 これも実際にはもっと広がりのある映像が見えるのですが、その一部をカメラでとらえたものです。魅力的な色合いですね。

山見さんはその完璧なミラーシステムを組む技術で、狭い角度に組んだ万華鏡映像を生み出します。手のひらに載るほどの小さな作品も出品されていましたが、それでもその凄さを見せています。
このほか、金閣寺や東京タワーなどの作品も展示されています。 万華鏡の、鏡の生み出す美を堪能させてくれる個展です。 

Gallery リトルハイ
東京都中野区中野5-52-15
中野ブロードウェイ 4F
http://www.little-high.com/

2015年11月12日から24日まで。 水曜休廊 
12:00-19:00 (最終日17:00まで)

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ピンクの花

2015-11-16 23:12:39 | 万華鏡ブログ

井野文絵さんの白い磁器の万華鏡からモダンなテイストの作品をご紹介します。 すっきりとした白に大きなピンク色の花のデザインです。 いつもは和の雰囲気が漂う図柄が多いのですが、たまに少し雰囲気が変わった図柄で作ってくださると、ちょっとわくわくします。

中の映像もピンクとグリーンを中心に素敵な5ポイントです。一部霞んだところがあるのも面白いですね。

こちらは透明感のある映像で、ガラスオブジェクトの表情まで良く見えています。

小さな万華鏡なのに、たくさんの魅力的な映像を生み出されることに感動。 次はどんな花が咲くのかなと筒を回し続けてしまいます。

筒全体を回しますが、小さめなので持ちやすく、滑らかな手触りで回しやすい万華鏡です。 身近に飾る一輪の花を手に取れば、見るたびに姿を変える映像も楽しめる・・・そんなひとときを毎日の暮らしの中に持っていただくことが願いです。

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ジュディスさんのセルの誘惑

2015-11-09 22:43:22 | 万華鏡ブログ

万華鏡の楽しみを増やすために、オブジェクトセルを交換できるようにした作品があります。 ジュディス・ポールさんのデザインした万華鏡は、最近はほとんどがセルの取り外しができ、別のセルをはめて、違う景色を楽しむことができます。
こんなきれいなセルを見ると、やっぱり見てみたいと思わせるところが、ジュディスさんの凄いところですね。 交換しなくても十分と告白した私でさえ、その魅力には逆らえません。

素敵なブーケが次から次へと生まれます。 

オイルセルの中で、自由に動くオブジェクトがいつでもきれいに見えるように向きにも気をつけています。 映像が立体的に見えるのも、それぞれの形状の違いを考えて、上手にバランスをとっているからでしょう。

今度は黄色の薔薇を中心に作られたオブジェクトセルです。 ワイヤーワークのオブジェクトも目立っています。

こんなブーケはいかがでしょう?10個の薔薇の花が咲きました。

大きなビーズと細かいピースの組み合わせは、その動きのスピードの差が見ていて面白いです。
映像を構成するバランスにも大きな影響があります。

ミラーの筒を通すと、こんなにもいろいろな模様が生み出されるのが、いまさらながら面白いし、生み出された映像展開を切り取ったどの部分にも、意味と見所があるなあと思わされるジュディスさんのオブジェクトセルです。

インターチェンジャブルな万華鏡もやっぱり嬉しい! そんなことを思いながら、セルを交換している今日の私です。

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金木犀

2015-11-06 20:53:44 | 万華鏡ブログ

時期は少し過ぎてしまいましたが、秋の訪れを教えてくれる金木犀をテーマにした万華鏡です。 依田満さん、百合子さんの工房から新しく登場しました。 小さな黄色やオレンジ色の金木犀の花を思わせる色模様が、薄く金色のベールに覆われた筒に浮かび上がる、素敵な秋色のガラスです。

このタイプの作品は、オープン2ミラーシステムを使われることが多く、この万華鏡も鏡がオープンになったところから、筒の模様を映しこんで、中心の映像の周りを飾ります。

光の入り具合で雰囲気も変わりつつ、繊細で小さなガラスオブジェクトが生み出す模様は7ポイントの花の姿でいろいろな表情を見せます。

オレンジ、グリーン、イエロー、レッドなどの「ガラスオブジェクト」と「ミラー」と「筒のガラス模様」の共演に、さしこむ光が風味を加えて、味わい深い色模様の連続です。 

昨日ご紹介した椿の赤も元気が出ますが、この色合いも気分を明るくしてくれますね。

季節感を大事にする日本人の想いを、いつもきれいに、心に染みいるように表現なさる依田さんの素敵な万華鏡です。

 

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五弁の花

2015-11-05 14:13:20 | 万華鏡ブログ

高さ10cmほどの赤いガラスがきれいな万華鏡は長谷川順子さんの「椿」です。


深い赤で虹色の輝きと光沢のあるイリデッセントガラスで作られたボディーには五弁の花の飾りが付いています。 下にうっすらと見えるオブジェクトセルの色合いもきれいな映像を予想させます。

各部分の装飾ハンダもとても手が込んでいて、全体の雰囲気を華やかなものにしています。

長谷川さんは大きな作品も作られますが、このように小ぶりな作品でも細部まで美しさを追求して製作なさっているのがよくわかります。 和の雰囲気を大切になさっていて、この作品では覗くと椿の五弁の花が大きく見えています。

中心に黄色の花芯が見えるように工夫してあり、また全体の形も花びらに見えるようになっています。

赤や緑などの透明感あふれるガラスオブジェクトが重なり合って生み出される色合いは、外観の美しい赤と相俟って、見る人に元気を与えてくれる万華鏡です。

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表情、自由自在

2015-11-04 22:41:31 | 万華鏡ブログ

陶芸家、清野一郎さんの万華鏡です。 上の写真は「濃い紅」という作品。 どことなくざっくりとした土の感触があり、釉薬の流れや色模様にも手作り感のある、温かい印象の筒ですね。 ハンダ部分も陶器に合わせて落ち着いた色合いにしています。

この作品のミラーシステムは2ミラーですが、黒い背景に映り込むマンダラ映像の周りにも映り込む模様があります。 ミラーシステムの第3面に工夫したユニークな映像です。

線香花火のように、模様が飛び散っているようです。 

次の作品は「雅」です。 こちらは真っ白な筒に繊細な模様が浮き上がっています。
ずいぶんと雰囲気が違いますね。 

こちらはハンダも白の雰囲気に合わせて銀色です。 そして内部映像はたくさんの華。 二等辺三角形に組んだ3ミラーシステムから、大きなマンダラ映像とそれを重なりながら囲む模様が見えています。

ガラスオブジェクトの中に混じった白い陶器のオブジェクトが効いています。

清野さんは陶でいろいろな表情を自由自在に生み出して多彩な万華鏡を創っています。 筒の表情からインスピレーションを得て、映像を考えるのでしょうか? それとも映像やミラーシステムを考えながら、筒をデザインなさるのでしょうか? いくつものテーマでたくさんの作品を生み出していて、そのパワフルなところにもいつも驚かされます。

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