吉祥天女
2007-07-04 | 読書
昔
天女が浜に舞い降りた
ある男との約束を果たすため
天女は
天女になるそのまたずっと昔
結ばれることができなかった一人の男と
いつか必ずめぐり会い
結ばれる約束をしていたのです
涼
最初に会った時から
あなたは私を見抜いていた
私がどんなにとりつくろっても
あなただけはだませなかった
涼
私よ
さっきから聞こえているんでしょ?
涼
うん
何か言いたいことはないの?
ああ あるよ
何?言ってよ
俺
お前のこと好きだったんだぜ
なぁ?
知ってたわ
なぁ・・・
俺たち
また会えるのかな?
会えるわよ
どんな形であれ
きっと会えるわ
会いましょう
小学館文庫『吉祥天女』より抜粋
小夜子と涼
古(いにしえの)の天女と男
輪廻を繰り返せど
哀しいかな
報われることのない恋心
転生を繰り返し
互いを求め彷徨う宿命
現世に独り残された小夜子
涼の妹水絵と共に
再び街を離れる
小夜子・・・
あなたは何処へ