時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

月の森に、カミよ眠れ

2009-12-27 | 読書
月の森の蛇ガミをひたすら愛し
一生を森で送ったホウズキノヒメ
その息子である
蛇ガミのタヤタに愛されながらも
カミとの契りを
素直に受けいれられない娘・キシメ
神と人
自然と文明との関わりあいを描く古代ファンタジー

拙者
外界生活を少しかじってから
これまで以上に
日本古来から語り継がれている
八百万の神々に惹かれ始めております

変幻自在な
日本古来の神の存在は
とても魅力的ですね
総てのモノには神が宿っていると言う
大らかな感覚が好きです

ひとつの存在でありながら
身近に近くにある
ありがたい存在
と同時に
常に畏怖の対象でもある神様
この二面性
日本特有の感性ですよね~

ですが
この作品では
その神が
人に殺されるのです
人が神を殺す
この大それた行為をした人は
果たしてこの先どうなっていくのでしょうか…

神をも畏れぬその所業
地球を我がモノ顔で
好き勝手に扱っている現代の人間と
オーバーラップしてしまいました

タヤタを殺したナガタチが
その後
キシメとどんな年月を
どんな日々を過ごしたのだろう…

森を切り開き
田畑を増やしていった村
日々の生活に困ることなく
豊な暮らしが約束されたかに思われたが…

自分達が犯した
神殺しは
一体何だったのか…
村の変貌と
以前とさして変わらない村の貧困
その有り様を前に
老いたキシメは何を思う