時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

流れ行く者 守り人短篇集 ~守り人シリーズ11~

2009-12-23 | 読書
王のたくらみによって
父を殺された少女バルサ
親友の娘を助けるために
すべてを捨てたジグロ
ふたりは
追手をのがれ
流れあるく
二度ともどらぬ故郷を背に…

タンダが主役
亡き人の想いを伝えられるのか!「浮き籾」

バルサが主役
賭事師・ラフラとの出会に
バルサは何を思う!「ラフラ<賭事師>」

放浪の用心棒ジグロ&バルサが主役
バルサの初の試練が描かれている「流れ行く者」

タンダの
待ち続ける
運命(さだめ)を予感させる「寒の振る舞い」

二人の旅路を描いた
守り人シリーズ番外編・短編集です

短いストーリーの中で
日本の民間伝承
古い言い伝えを彷彿させるストーリーがあったり
人生の無常な出来事が描かれていたり
相変わらず奥が深こうございます

特に
バルサが初めて
‘用心棒’の過酷さを身を持って知る事になる
「流れ行く者」は
これが児童書?
と驚いてしまいました

自身に忍び寄る‘死の影’を予感し
トロガイ師の元へ戻ろうとするジグロ
13歳の女の子が体験するには
余りに非情な体験をしたバルサ
そんな二人を
峠にある<お社>で待つタンダを描く
「寒の振る舞い」で
番外編が幕を閉じます

まだ遠いけれど、頭巾の下の顔が見えたとき
タンダはこらえきれずに、ぱっと軒下からとびだした

天は鈍い光を孕んでいたが、舞い落ちてくる淡雪は
いつのまにか、しっかりとした雪に変わっていた

降りしきるその雪の中を、タンダは一直線に
跳ねるような足どりで駆けていった


三人の未来を
運命を既に知っている小生としては
この最後の描写には
心救われる思いがしました