煙草の味が戻ってきた。「その日の体調は朝一服のタバコの味で分かる」という愛煙家の通説はどうやら本当のようだ。私の場合、朝食後のパイプ煙草の数呼吸で、自分の体調が本来のものか否かが大体分かる。
健康のバロメーターが、「百害あって一利なし」などと遠い昔デート中の彼女に言わしめ、近頃日増しに風当たりの強い煙草だなんて、なんと逆説的な事実だろう・・・と笑いたくなるが、私はタバコに一利もないとはツユほども思っていない。
ある日、マーク・トウェインを読んでいたら、”To cease smoking is the easiest thing I ever did. I ought to know because I've done it a thousand times.” 「タバコを止めるなんてこれまで私がしたことで最も簡単なことだ。そんなこと充分わかってるはずだ、1000回も止めたんだから」・・・という一文に当たって腹を抱えそうになったことがある。
私も過去何度か止めたことがあって、20年ほど前の最後の禁煙は半年間も続いた。しかし、空関係の大会で立山連山に1週間キャンプ生活をすることになった時、雨続きの退屈さに負けて「ちょっとだけ一服^^;」・・・これでもとの木阿弥。同じものに手を出すのはあんまりシャクなものだから、紙巻からパイプに切り替えることにした。紙巻と違ってパイプ煙草には幾つもの「利点」があるので、気が向いた時にまた触れる。
なんでこんなことを書くことになったか・・・この数日の静かな「もの読み」でバートランド・ラッセルに浸っていたら、なんと彼も相当なパイプスモーカーであることを知ったからだ。日本屈指のラッセル研究家である三浦先生のHPで見つけた、これも思わずニンマリしてしまったラッセルのインタビュー動画。70年以上もパイプ煙草を愛し97歳まで活動した彼は、煙草から一利を得るどころか生命を救われているのである^^。この敬愛すべき巨人については、これからここにも時々登場することになるだろう。