松井一郎氏はご存じのように、大阪府知事、大阪市長を歴任して、この4月6日大阪市長退任で政治家を引退しました。浅田均氏は現在、日本維新の会所属の参議院議員です。
55階建て、高さ256mの高層ビルは大阪府新庁舎にふさわしいと考えました。
遠く東北の震源であっても、大阪市は震度3。
3月11日東日本大震災発災の翌日12日夜になっても8基が復旧していない。
[初出] 1966(昭和41)年11月 河出書房新社 刊
高橋和巳「邪宗門 (下)」 朝日文庫 1993(平成5).7.1. 1刷 P541~P545
焼け落ち、所々にバラックが建ちはじめている貧民窟の一劃、道路と関西線の堤に
はさまれた区劃だけが残った、日傭宿に、千葉潔と堀江民江、そして医師には見おぼ
えのない従者がつき従って瞑目している。
──略── 石像のように、彼らは何の感情も表にはださず、黙って坐りつづけて
いる。簡易宿泊所の管理人が宿泊代を要求しても、ぞっとするような眼で睨みすえる
だけ、周囲の者も恐れをなして、管理人の味方をする者もいなかった。
食事時になって彼らの前に、医師が雑炊やシチューを運んでやっても、彼らはそれ
に箸をつけようともしなかった。
人々は気味わるがるだけだったが、医師には神部から逃れてきた救霊会の残党が、
どうするつもりなのかは、はっきりわかった。瞑目したまま、この世の汚濁の一切か
ら厭離し、何も語らず、何も食わず、餓死して果てようとしているにちがいなかっ
た。
医師は知っていた。救霊会は他の宗教と異なって、苦しみの果てに自殺することを
許す宗教であり、沈黙はこの世に執着を残さぬため、絶食は罪なき動植物を食って生
きた人間存在そのものの根源悪に対する僅かな謝罪として、むしろひそかに称揚して
きたことを。医師が救霊会の経営する愛善病院長をしていた時代にも、回復の見こみ
のない患者の多くが、このようにして死んだのを彼は見ていた。みずから意志した平
静な餓死──それは自己の業を絶ちきって二度と苦海に生れかわることのない死、全
く虚無に帰さんとする人間存在の最後の祈願と認められていたのだ。
(注)老衰の場合、いよいよの最期が近づくと少量の流動食でさえ受付けなく
なり、その状態になると1週間ほどで眠るがごとくに寿命を閉じます。わた
しの身内の一人がその通りの平静な最期を終えました。小説作品へのこだわ
りを捨てて、形容句として言葉通りにみるならば、この老衰の姿は「平静な
餓死」の尊い姿ではないでしょうか。
──略── 二日三日経つうちに、行者たちのいる場所には腐臭が漂いはじめた。
絶食している以上、ほとんど排泄物も出なかったのだが、やはり少しずつ滲むように
分泌物が流れだしていたからだろう。
救霊会の残党らしいと噂が立って、警官がきて訊問しても何も答えず、MPと市の
衛生局員がDDTを撒布しにきた時も、真白に薬剤をぶっかけられながら、四人の行
者は身じろぎもしなかった。ほとんど呼吸さえしていないかのように、凝然と坐りつ
づけていた。
いや、ただ一度、四人の行者、とりわけ異様に睫毛の長い先達が、わずかながら人
間らしい反応をしめした時があった。
彼らが箸をつけないことは解っておりながらも、医師がはこばせた雑炊を、まぎれ
こんできた浮浪児が奪い合った時だった。浮浪児たちは、行者の漂わす怪しい気配に
も気づかず、四人の前におかれた一個ずつの雑炊を奪い合い、たがいに殴り合って、
その雑炊を通路にこぼしてしまった。しかもなお飢えた浮浪児は、通路に口をつけて
その雑炊をすすったのだ。その時、墓石のように坐ったまま動かぬ先達行者の空洞の
ような瞳から、たった一滴だけ、一滴だけながら……ぽと、と涙が滴った。だが、碗
の雑炊を奪い合った浮浪児も、同宿の日傭も、それには気づかなかった。
四人の行者が倒れたのは、彼らがそこへ入ってきてから七日目だった。まず腕に
傷をしていた一人が、死者そのままのような皮膚色になって、ふわっと、横ざまに倒
れて息をひきとった。絶食絶飲して、息が絶えても、もはや体内から流れだす汚物も
なく、皮膚の表面に浮いていた静脈が、血液の凝固とともに色を失った。続いてもう
一人の行者が、ことっと背後の板壁に背をもたせ、ミイラのようにそのままの姿勢で
死んだ。もだえもなく、死の直前の荒い呼吸音もなく、また倒れもしなかった故に同
宿人は彼がすでに息をしていないと気づいたのは、他の二人も死んで後のことだっ
た。
三人目に、指導者らしい魁偉な風体の行者が、死んだ。死ぬ間際に、彼は、顎を震
わせて何かを言おうとした。女行者がそっと、やさしく、男女の性別を越えた、聖な
る優しさで彼の肩を抱き、耳をその口許に寄せて、二、三度しずかにうなずいた。女
性は絶食にたいして、やはりいちばん抵抗力があるのだろうか。頬の肉はおち眼窩は
くぼみながらも、彼女の皮膚は幼女のように清潔であり、なにか乳の臭いのようなか
すかな芳香すら発していた。指導者の口が魚の呼吸のように開閉し、そしてがっくり
と首を前に折った時、その女行者の口から、涙のように血がしたたり、そして噛み切
られた舌の先が、ぽろりと膝の上に転った。何のつながりあってか、どうした恩顧あ
ってか、女行者の死は、餓死ではない。あきらかにその先達のあとを追う殉死だっ
た。
地方税法 第二節 固定資産税 第一款 通則
(固定資産税の非課税の範囲)
第三百四十八条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、
財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。
2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただ
し、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用す
る場合には、当該固定資産の所有者に課することができる。
──略──
三 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建
物及び境内地(旧宗 教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、
工作物及び土地を含む。)
四 墓地
──略──
八 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によつて国宝、重
要文化財、重要有形民俗文化財、特別史蹟、史蹟、特別名勝、名勝、特別天
然記念物若しくは天然記念物として指定され、若しくは旧重要美術品等の保
存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)第二条第一項の規定により認定
された家屋又はその敷地
八の二 文化財保護法第百四十四条第一項に規定する重要伝統的建造物群保存
地区内の家屋で政令で定めるもの