県立高校育友会の役員をした経験があります。あるとき、事務長さんと話していたら、「授業料を納めない人がいる」と苦々しげに言いました。年間8万円くらいを払わない、あるいは払えないことは、定収入が保障された公務員の彼にとって、考えられないことでした。
また別の折には、修学旅行の折に、約400人の生徒の中で、ほぼ毎年、数人は参加できない生徒がいると聞きました。不登校や病気がその理由ですが、なかには経済的な理由の生徒もいます。
授業料が払えない生徒も、お金がなくて修学旅行に行けない生徒も、1学年につきたったの1人か、またはせいぜい2,3人のことでした。
それでも、私は、母子家庭や無職家庭を想像して、胸が痛みました。
今、生活に苦しむ家庭が増えています。
今朝、4月9日朝日朝刊の一面トップのリードを見てください。
治療代未払い急増
低所得者・負担増響く
これに対する日本福祉大学の近藤克則教授のコメントです。
患者のモラル低下や病院経営の甘さだけでは説明できない増加だ。生活保護などのセーフティーネットからもこぼれ落ちている人が多いためだ。
医療費の自己負担額を増やせば未収金は増え、結局、払えない層を救うため社会的な費用負担も増える。
背景には貧困層の拡大があるから、厳しく取り立てても未収金はなくならないだろう。制度を根本から問い直すべきだ。
この近藤教授のコメントは、私の持論に全く同じです。
翻って、厚生労働省医政局指導課のコメントです。
(医療)制度が保険料や税金で支えられていることを自覚し、患者の方には一定の負担は支払っていただきたい。医療機関も徴収に向けて努力してほしい。原則3割の負担が払えない人のために高額医療費などの諸制度を設けており、負担増が原因という見方は違うのではないか。