川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

今の日本国政府はなんでもかんでも営利事業者に売り飛ばす

2019-09-20 17:19:45 | Weblog

2019年9月9日早朝、台風15号が千葉県に上陸して、東京電力サイトによると 2019/09/20 17:24 現在、千葉県ではまだ約15000軒が停電に苦しんでいます。大阪では昨年2018年9月4日に襲来した台風21号のため、大阪湾沿岸空港島にある関西国際空港と連絡橋の被害や、大阪市内で強風にあおられて転げる自動車の映像が生々しく記憶に残っています。

きょうの毎日新聞大阪夕刊のコラム「憂楽帳」が昨年の京都法然院台風21号被害と森の再生について書いています。

毎日新聞大阪2019.9.20.夕刊

 チェーンソーの合奏に、濃密な生木の香り。法然院は京都・大文字山の森に抱かれた静かなお寺だが、ちょうど1年前は様子が違った。台風21号により、境内は倒木また倒木。有縁の人々による大片付けとなったのだ。

 切りそろえられた一抱えもある丸太がごろごろ。スギ、ヒノキ、カシ。運びに運んだ。ある落語家さんの「この重さ、一生忘れまいぞ」のうめきに、一同大笑い。汗をザンザン流した。

  全国で山の再生に取り組む硬骨の学者から、植樹指導も受けた。樹種や生育具合に応じ、土も植え方も変える。

 「木と向き合えば、木の声が聞こえる。子育てと思えば当たり前」。人に厳格で、木に優しい。

 「なぜ各地で森が荒れるのか。山や木を金額で考えているからだ。切るだけ切り、山に合わぬ木を植え、手入れはおざなり。元気に育つわけがない。
 荒れた森は弱い」

 私たちは、目先の利にとらわれ、大切に育ててきたはずのモノを安易に刈り取ってはいまいか。木はもちろん、人も。「切る」より「植える」を大切にする社会でありたい。


 ○首相官邸の「未来投資会議」が林業の規制改革活性化策を推進しています。

○「未来投資会議」は荒っぽく言えば、「産業競争力会議」が衣替えしたもの
 です。議長は安倍首相。ほかの構成員は、副総理・官房長官を含めて大臣9
  人、中西宏明経団連会長、五神真東京大学総長、投資ファンドやIT系事業
  で成功している企業経営者3人、そして竹中平蔵。
いつも大学教授の肩書で
 ノミネートされていますが、実際は政商です。議長を含めて総勢15人です。

○林業の規制改革活性化施策の目的は、樹木採取(伐採)経営の効率化です。

○2016年に「森林法」が改正され、市町村が今年2019年4月までに「林地台
 帳」(※土地境界を確定する地籍調査) を作成することになりました。

○続いて昨年2018年5月通常国会で、民有林を対象とする新しい法律「森林経
 営管理法」が成立しています。

○これは、森林の所有者が市町村に経営管理権を渡し、市町村は民間事業者に
 運営を委託する制度です。主に、林業経営を委託したい森林所有者や所在不
 明の森林所有者を対象にする新しい制度です。

○今年2019年6月国会では、「国有林野の管理経営に関する法律」(略称、国有
 林野法)が改正されました。 これは、全国の国有林で最長50年間、大規模
 に伐採・販売する権利を民間業者に与える施策です。

 ○国有林はもちろん国の財産であり、水源涵養、土壌保全、景観保全、そして
  気象・大気など地球環境保全にも役立っている重要な公的資源です。
経済上
 の観点オンリーで、民有林と同一視することはできません。

○国有林に対して未来投資会議が提案した施策は、数百ヘクタールの「樹木採
 取区」で公募した業者に「樹木採取権」を与え、国は対価として一定の権利
  設定料と樹木料を徴収する。(毎日新聞2019.5.22記事による)

○期間は最長50年間、全国の国有林で大規模に伐木・販売する権利を民間業
  者に与える。(毎日新聞2019.5.22記事による)

 ○委託契約条件には一大欠陥があります。受託民間業者には「伐木後の植樹再
  造林義務」がありません。
これはもちろん、受託民間業者が悪いのではあり
 ません。

 ○吉川貴盛農相(※当時)は2019.5.21.記者会見で「業者に伐採の権利のみを与
 える法案だ」と質問に答えています。

 ○植樹再造林は年月と費用を要します。伐採跡の再造林義務がなければ、山林
 の再生が無ければ、山地が崩れる災害が発生します。

○再造林を国がするのかどうかは別として、再造林事業計画を具体的に国会で
  説明していないということは、「未来投資会議」の事業計画書には「再造林
  事業の経費」が組み込まれていないはずです。


○伝統的な林業家にあっては、林業の伐木事業と伐木後の植樹造林事業は一連
 の流れのものとして扱うのが常識です。

 ○安倍首相が日本経済の将来を任せている「未来投資会議」経済人議員は、投
  資ファンド・マインドという即効型利益計上追求で物事を判断し決めて行き
  ます。

  その結果の社会的影響への対策や費用計上について「未来投資会議」は関
 与しません。責任を問われることはありません。それは他の人や機関が負う
 べきことになっています。

  マイナスの社会的費用は国・自治体が負います。政策災害が原因で生活被
 害が発生しても、「因果関係を証明できないから」という理由で、被害者に
 元の生活は戻ってきません。

○投資ファンドは個別民間企業の利益計画を立てるのが専門です。利益を取る
  ことに専念して自分の身を立てるのが彼らの立場です。

  その結果社会的費用支出が生じるならば、それは別枠で別の人や機関が対策
  することで、自分に責任は無いという考え方です。竹中平蔵氏をご覧くださ
  い。彼は小泉政権以後もずっとそういう弁舌で世渡りをしてきました。

毎日新聞大阪2019.5.22.記事から

 政府・与党は昨年の通常国会で、民有林の経営に新規企業が参入しやすくなる森林経営管理法を成立させた。さらに臨時国会でも、公共水道の運営権の民間売却を促す改正水道法、漁業権を地元漁協などに優先的に与える規定を廃止する改正漁業法が成立。「安定供給に懸念がある」などと批判した野党側を押し切り、矢継ぎ早の規制緩和に踏み切った。

 これらは首相官邸の未来投資会議や規制改革推進会議などで議論され、安倍政権の成長戦略に位置づけられている点が共通する。自民中堅議員は「小泉政権から続く自由化の流れの一環だ」と話すが、公的資源の大規模開放の是非が問われる。



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