06/06 神奈川県大和市の事務所で報道陣に「本日から政務復帰」
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〔読売新聞2020.11.24. 06:45 記事から〕
安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、会場のホテル側に支払われた総額が、昨年までの5年間に計約2300万円に上ったのに対し、参加者からの会費徴収額は計1400万円余りにとどまっていた疑いのあることが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は、差額の計800万円超を安倍氏側が補填(ほてん)していた可能性があるとみて、捜査している。
ホテル側は、安倍氏側から差額を受領したことを示す領収書を作成し、安倍氏側に渡していたといい、特捜部も領収書の存在を把握。ホテル側や安倍氏側から提出された資料を分析するとともに、安倍氏の公設第1秘書や私設秘書のほか、地元の支援者ら少なくとも20人以上から任意で事情を聞いた。
安倍氏はこれまで、「後援会としての収入、支出は一切なく、事務所側が補填したという事実も全くない」と説明してきた。
市民団体「税金私物化を許さない市民の会」地元後援者の無料招待と前夜祭での会費徴収について公職選挙法違反(買収)や政治資金規正法違反に当たるとして安倍首相を刑事告発。市民の会には作家の鈴木邦男さんやジャーナリストの斎藤貴男さんら約50人が参加している。
(2)東京地検に告発 2020年1月14日
「桜を見る会」の関係者後援会員招待など私的利用をめぐり、上脇博之氏を含む13名が告発人になって、「被告発人安倍晋三の下記の告発事実に記載の所為は、刑法第247条背任罪 に該当すると思料しますので、捜査のうえ厳重に処罰されたく告発いたします」として、東京地検に告発しました。告発状ほか明細は、次のアドレスで閲覧・ダウンロードできます。
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/wp-content/uploads/2020/01/31437555582fb39413a713b8a50cd5ff.pdf
(3)東京地検に告発 2020年5月21日
「『桜を見る会』を追及する法律家の会」662名が告発人になって、「桜を見る会の前夜祭」について、刑法第60条共同正犯、政治資金規正法第25条、同法第12条に該当するとして、安倍晋三内閣総理大臣、後援会代表者・配川博之、後援会会計責任者・阿立豊彦の3名を、刑法第60条共同正犯、公職選挙法第249条の5、同法199条の5に該当するとして、安倍晋三内閣総理大臣、後援会代表者・配川博之の2名を東京地検に告発しました。
これの告発状の内容は実に詳しく、一読して全容が理解できます。次のアドレスで閲覧できます。 → https://www.chosyu-journal.jp/shakai/17300
(4)東京地検に告発 2020年8月6日
全国の弁護士や法学者による告発第2陣279人が8月6日、「桜を見る会前夜祭」について公職選挙法と政治資金規正法に違反した疑いで、安倍首相と後援会幹部の計3人に対する告発状を東京地検に新たに提出した。この問題を追及する法律家グループは5月にも662人が同様の告発をしており、これで 941人に上る。
※(1) 刑法60条‥‥二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
※(2) 公職選挙法249条の5‥‥選挙区内の後援団体等への寄附は罰金50万円以下
※(3) 公職選挙法199条の5‥‥後援団体は選挙区内の有権者・団体に寄附して
はならない
※(4) 政治資金規正法25条1項2号、同法12条1項1号ホ、12条1項2号は、
資金の出入り詳細の報告項目規定
これまでに上記(1)~(4)の安倍晋三前首相の「桜を見る会」東京地検告発が報道されています。
(2)については、今年2020年1月14日に東京地検に告発状を提出したが、同1月31日に「不受理」として、東京地検は告発状を受理しなかったことが明らかになっています。→ 黒川弘務東京高検検事長(当時)自滅退職前
これまでに類似の告発が成されてきたが、告発状受理 → 不起訴はあっても、不受理というのは異例のことだそうです。
(1)は受理か不受理かの報道を見つけることができていないので、受理・不受理の確認ができません。しかしながら、不受理の公算大と推察します。
(3)は受理されています。(4)はその後の報道をみつけることができていませんが、(3)と同様の性質の告発で告発人の数量的加算の意義があるので、(3)と同様に受理されているものと思います。
この4件のうち、(2)不受理、(3)受理の相違は、「告発時期」が原因になっていると考えることができます。 → 黒川弘務東京高検検事長(当時)自滅退職
■韓国における文在寅政権と尹錫悦検事総長の対立>
今、韓国では文在寅政権と尹錫悦検事総長の権力闘争が大変なことになっています。文在寅大統領が尹錫悦氏の硬骨を見込んで検事総長に任じたのだが、文在寅大統領派の主要人物の不祥事が続発しました。
これら不祥事に対して尹錫悦検事総長は何ら手心を加えることなく大統領派を追いつめるものですから、文在寅大統領は女性ながら筋金入りの秋美愛氏を法相に任命しました。この新しい法相は検察庁幹部を地方庁に出し、代わりに検察幹部を文在寅大統領派で固めました。これを韓国紙は「大虐殺人事」と呼んでいます。
さらに、法相による操作指揮権を3回も発動して、尹錫悦検事総長が動けないようにしました。それでも尹錫悦検事総長の意気はへこたれない。迫害に抗する検事総長の姿を見て、世論調査で次期大統領候補人気ナンバーワンにまでなりました。そこで法相はついに、検事総長に職務執行停止命令を出しました。
尹錫悦検事総長はこれに抗して、地位保全を裁判所に訴えました。日本も同じ傾向ですが、裁判所も上に行けば行くほど、時の政権や時代の空気に迎合的になる傾向があります。法相指揮権発動が連続3回、法相による検事総長職務執行停止命令は韓国でも前例のない異常なものです。今のところ硬骨検事総長に勝ち目がありません。
■安倍首相(当時)による検察私物化作戦――突然遭難
韓国で今展開中の検事総長追い落としは人ごととは思えません。日本でも今年初めから5月まで安倍政権による露骨な検察攻めがありました。黒川弘務東京高検検事長問題です。
安倍首相(当時)は、今年2月8日に定年を迎える黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長を1月31日に閣議決定しました。この駆け込み閣議決定による定年延長は検察庁法に従えば完全に「違法」です。しかし安倍首相は公務員法の定年規定を持ち出して、「合法」だと言い張りました。
安倍晋三流は「遵法」ではなくて、折に触れて「無法、勝手なこじつけ合法」が目につきます。「違法の閣議決定」という声は大きくなり、全国各地の弁護士会から「検察官の定年延長は違法」という声明が相次ぎました。
安倍首相(当時)は放っておけなくなって、黒川氏定年延長を後追い合法にするために、検察庁法の改正を企てました。安倍首相は黒川弘務氏を検事総長にしたい。稲田検事総長(当時)との定年レースです。
そのまま進んでいれば、稲田伸夫検事総長(当時)は1956.8.14.生まれ。検事総長の定年は65歳なので、2021.8.14.まで在職できます。
幸いにも黒川検事長(当時)が賭け麻雀問題を起こして突然失脚。安倍政権による強引な検察攻めは遭難して終わりました。
しかし残念なことには、自公与党内の良識派によって、あるいは野党の健闘によって、あるいは私たち国民の良識のうねりによって、それら民主主義の力によって、安倍首相(当時)を思いとどまらせたのではありません。
■安倍前首相の気持ち 「森友」「加計」は終わった
■「桜を見る会」「河井金権選挙の火の粉」はこれから
■検 察 vs 安 倍
稲田伸夫氏 2014年 法務事務次官
2016年 仙台高等検察庁検事長
2017年 東京高等検察庁検事長
2018年 検事総長
黒川弘務氏 2010年 法務省大臣官房付
2016年 法務事務次官
2019年 東京高等検察庁検事長
黒川弘務氏の法務大臣官房付の期間は長い。そのうえ民主党政権と安倍政権にまたがっています。安倍政権は2012年12月以後です。民主党からも自民党からも重宝される人柄だったのではないでしょうか。それはまた政治家に押されやすい、検察官としては弱さがあったのかもしれません。黒川氏本人も数年間も政治家の足元で働くことを好まなかっただろうと思いますが、政治家が手放さなかったのでしょう。
黒川弘務氏は優秀な人だったそうですが、検察本流人脈から検事総長は任せられないと見られていました。政治家と近すぎるというのが検事総長に向かないと見られた理由です。
安倍首相は早くから検事総長にしたかったと見られていますが、人事は、検察官の枠内で若いころから時々に人物評価が成されながら、行く末の人事を想定したローテーションの中で回っていきます。安倍首相といえども検察官人事にやすやすと介入することは難しかったと思います。
稲田伸夫氏が検事総長になった時からすでに、安倍首相は黒川弘務氏を次期検事総長に想定していました。
安倍政権は法治主義ではなく、人治主義です。必要とする要路に自分の意を通じた人物を配置し、法を曲げることを厭わないその人物を使いこなして国政運営をします。
森友・加計ともに安倍首相(当時)は批判の中を切り抜けてきました。私的カラーの強い政治をするものですから、批判集中は当然です。
森友公文書変造問題は2017年、2018年に大問題になっていました。しかし、大阪地検がすべてを不起訴にしました。あれほど大量で規模の大きい公文書変造であるにもかかわらず、起訴された人は一人もいません。それは、黒川弘務法務事務次官の時代のことです。安倍首相は検察庁を押さえることに、絶大なメリットを再確認したことでしょう。
安倍首相(当時)は黒川弘務氏を検事総長にしたいと考えてきました。その黒川弘務東京高検検事長(2019年当時)の定年は63歳。2020年2月で終わります。もう目前。
検事総長の定年は65歳です。なんとしても満63歳の日の前日までに、黒川弘務氏を検事総長に任命しなければなりません。2019年12月ごろには、安倍首相側から稲田伸夫検事総長に勇退をもちかけています。稲田検事総長は応じません。安倍首相(当時)は焦ります。
稲田検事総長を始め検察主流はなんとか安倍政権の圧力をしのいで、稲田伸夫氏の次は林眞琴氏を想定して人事を構えていました。
稲田検事総長は検察を立て直したい。そのために2019年夏から広島地検に東京地検から応援を派遣して、河井夫妻の金権選挙の調査を始めていました。もちろん安倍首相もそのことを知っていたでしょう。
それに加えて2019年11月8日、田村智子参議院議員(共産党)の国会質疑で「桜を見る会」問題が一気に燃え始めました。2020年1月、2月は「桜見る会」問題は野党の集中砲火を浴びました。
安倍首相(当時)は追いつめられました。黒川検事長の定年日は2020年2月8日。万策尽きた安倍首相は、2020年1月31日、黒川弘務東京高検検事長の特例定年延長を泥縄式に閣議決定しました。これは検察庁法を素人が読んでも違法。安倍晋三個人の私的利益のためだけの閣議決定でした。
おまけに閣議決定の違法性を隠すために検察庁法の改正を仕掛けた。黒川弘務氏の自滅がなければ、強引に国会を通過させたでしょう。
こういう経過を踏んだうえの東京地検による「桜を見る会」捜査。進展を期待しております。
2020-05-25.当ブログ記事の文末に私は次のように書きました。
〔2020-05-25 川本ちょっとメモの文末から〕
林眞琴氏が次期検事総長に就任するかどうか。まだまだ駆け引きがあるかもしれません。(※現在、林眞琴検事総長です)
また、河井前法相夫妻の公職選挙法違反を起訴に持ち込めるかどうか。起訴に持ち込めてもそこで終わるのか。あるいは、けた外れの党支給選挙資金の絡みで安倍首相に迫ることができるのか。(※公判中、自民党総裁・幹事長には迫れない)
「桜を見る会」告発はこれからどう進むのか。東京地検の取り組みはこれからです。森友公文書変造事件では、あれほどの大規模な公文書変造でも関係者全員不起訴にした検察ですから、心もとない限りです。これを機会に検察再建にかけるよう、検察官の皆さまの奮起を期待します。
森友公文書変造事件に絡む赤木夫人の裁判もこれからです。