2023年2月28日、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同日、開会中である第211回通常国会に提出されました。 ※ 経済産業省関係サイトから←クリック
こう紹介されても普通の人なら、それがどうしたん、私に何の関係があるのん、と煩わしい思いで聞き流して記憶にも残りません。
しかしこれは、次の新聞記事に関わる重要なことなんです。
(2023.4.27. 17:04 毎日新聞記事から) 電気事業法など五つのエネルギー関連法を改正し、原発の60年超運転を可能にする束ね法案「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」は4月27日、衆院本会議で賛成多数により可決され、衆院を通過した。参院に送付される。(毎日記事引用おわり)
毎日新聞記事が伝えているように、当該原子力発電炉(以下、原子炉)供用開始後の正味運転可能年数を現行40年から、60年に延長し、そのうえ点検・修理のために運転休止していた年月数合計を加算することを認める話です。法案は衆議院を通過し、参議院審議待ちですから、これで決まりです。
もともとの原子炉運転年数規制は30年でした。
それが40年に延長されました。
そしてこのたび一気に60年を超えた。
点検・修理等の運転休止年月を加算すれば、運転可能70年くらいまでいくかもしれません。
〇 川内原発、運転延長40年超・60年超に関する賛否調査
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が2022年10月に、20年の運転延長(運転期限60年まで)を原子力規制委員会に申請しています。現行40年の期限が迫っているそうです。
先月、2023年4月に、南日本新聞が鹿児島県民を対象に、川内原発運転20年延長に関する意識調査をしました。
▽原則40年の運転期限が迫っている川内原発の運転延長について賛否は?
・賛成 48.2% ・反対 45.6%
▽60年を超える原発の運転延長を可能にする国の方針について賛否は?
・反対 31.5% どちらかといえば反対 26.6% 横計 58.1%
・賛成 15.4% どちらかといえば賛成 19.0% 横計 34.4%
・賛成 15.4% どちらかといえば賛成 19.0% 横計 34.4%
・分からない 7.5%
▽運転延長賛成の理由は
・電力供給量が不足するから 37.5%
・再生可能エネルギーが普及するまで必要 31.3%
・40年を過ぎても安全性に問題ない 15.8%
・地域の活性化に必要 12.3%
▽運転延長反対の理由は
・安全性に疑問がある 37.6%
・原発は廃止するべき 31.2%
・できるだけ早く再生可能エネルギーに移行するべき 25.0%
・電力供給量は足りている 3.3%
▽調査は4月15日、16日に行われた。回答数は1062人でした。
・電力供給量が不足するから 37.5%
・再生可能エネルギーが普及するまで必要 31.3%
・40年を過ぎても安全性に問題ない 15.8%
・地域の活性化に必要 12.3%
▽運転延長反対の理由は
・安全性に疑問がある 37.6%
・原発は廃止するべき 31.2%
・できるだけ早く再生可能エネルギーに移行するべき 25.0%
・電力供給量は足りている 3.3%
▽調査は4月15日、16日に行われた。回答数は1062人でした。
〇 上記調査のうち「原発運転延長賛成の理由」について考えること
▽「電力供給が不足するから」という理由
・2011年3月、福島第一原発メルトダウン。
その年の夏は全国の原発が停止していたが、電力不足を回避できた。
その年の夏は全国の原発が停止していたが、電力不足を回避できた。
・だから、電力不足を回避することはできない相談ではない。
▽「再生可能エネルギーが普及するまで必要」という理由
・1997年12月 京都市で地球温暖化防止京都会議(COP3)開催。
京都議定書が採択された。
・2005年 2月 京都議定書発効。
・京都会議、京都議定書は、脱炭素推進への大きな契機になっているが、
日本政府に実質的な熱意が見られない。
・大きな課題である「発送電分離」について有効な進展がない。
政府にやる気がない。
・新規の個人住宅・事業所建築物・公共建築物などに太陽光発電装置据え付け
を義務付け、売電でなく、電力の自家発電自家消費を制度化すれば、脱原発
は飛躍的に進捗するだろう。
▽「40年を過ぎても安全性に問題はない」という理由
・経年劣化は供用年数が増えるごとに危険性が増加する。これ、常識。
・全国の原発で、配管の損傷修理が常に発生している。
・人々の多くにとって原発の脆弱性情報に接する機会がない。
・福島第一原発に関わった一流の人士、すなわち有力政治家・官僚・技術者・
学者のすべてが、「想定外」の事故と言う。
・「想定外」とは、「正確に予見できる技術」を持たないという意味に
なるので、「安全性」に問題があるのです。