漫画家と作家、ほぼ同世代の結婚、子育てなどに関する対談。お二人は普段から知り合いらしく、読者にはよくわからないエピソードについても語られる。
しかし、気にせずに読み進んで行けば、今の時代の(と言っても本の出版は14年前)女の生き難さに関して、別の見方があり、窮屈に考えることはないと心が軽くなるような読後感でした。
とは言え、私自身は結婚したのも子育てもはるか昔、価値観も今とは違う時代ではあったけど、これからはどう変わっていくのか見取り図を示されたようにも思う。
一人の男性と結婚をする。戦後の民法では二人で新しい家を作り、戸籍もそのように作られる。しかし、戦後76年がたっても、嫁に入ってそこの家の考え方、やり方に慣れ、その家族のために尽くすべきという価値観はあまり変わっていないように私には思える。若い時は毎日のことに夢中で深く考えることもなかったけど、節目節目では納得いかないこともなかったと言えば嘘になる。
内田氏は離婚後に同じ相手と事実婚を選んで、この本の刊行当時は子供を含めた家族として暮らしていた。(今は事実婚は解消しているとか)
ばなな氏は初めから籍は入れずに子供は産んで育てている。
二人とも嫌なものは嫌と言って、理不尽なことは受け入れない。その潔さがうらやましかった。それというのも世に認められる仕事を持ち、人に頼らなくてもいい収入があるから。と、ご本人たちはひけらかしてないけど、身も蓋もないことを私は考えた。女が収入を得ることは、いまだに家事、育児の縛りがあるので大変なことで、その努力に対しても頭が下がる。
それでも男は女を自分の管理下に置きたがり、女性が活躍するのを快く思わない。春菊氏の友達の漫画家が、故郷の同窓会に出ての帰り、わざわざ追いかけてきた男の同級生に、「東京で漫画家しているからって、いい気になるなよ。天狗になって嫌な女になるなよ」と言われたそうな。
感じ悪るぅ―。いつでも女の上に立ちたい男は相手にしない方がよさそうです。
ばななさんは、昔同棲していた男性のお母さんが新潟から新幹線でいきなり来て、帰宅すると家にいたそうな。
それ、ちょっと困りますよね。私も、いきなり来るという夫の親族に困った経験あり。掃除していない家の中、見られたくない。ましてやアポなしでは。
いいじゃないの、家族だからって、姑は思うかもしれないけど、籍も入れてないのに嫁扱い。それがきっかけで別れたそうです。
姑の立場の私としては、息子には息子の暮らし、介入しないに限るとの学びを得ました。
先月、大分県で。